「ビタミンDの多い食べ物」はご存知ですか?不足すると現れる症状も解説!

ビタミンDの多い食べ物とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
鈴木 友美(管理栄養士)
健診センターでの特定保健指導・栄養相談の経験を生かして、より多くの方々の健康をサポートできるように知識を深めています。
目次 -INDEX-
「ビタミンD」とは?
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、キノコ類に含まれるビタミンD2(エルゴカ ルシフェロール)と魚肉及び魚類肝臓に含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)の2種類があります。
ビタミンDは、食品から摂取できるだけでなく、日光(紫外線)にあたるとビタミンDの前駆体であるプロビタミンD(エルゴステロール、7-デヒドロコレステロール) をビタミンD2(エルゴカ ルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)へ変換することができる特徴があります。
ビタミンDの一日の摂取量
・目安量について
成人(18歳以上):9.0 µg/日
・耐容上限量
成人(18歳以上):100 µg/日
ビタミンDの効果
骨や歯を丈夫にする
ビタミンDは体内で、骨の形成や成長に重要なカルシウムの吸収に深く関わっており、カルシウムのバランスを調節する働きがあります。
ビタミンDが食事で摂ったカルシウムやリンの吸収を促し、血液中のカルシウムやリンの濃度を高め、骨や歯の健康を維持します。
糖尿病を予防する
ビタミンDを十分に摂取している人は、糖尿病のリスクが低い傾向があると研究で示されています。
ビタミンDは体内に入ると、肝臓と腎臓で活性化され活性型ビタミンDとなり、膵臓のβ細胞に作用して、インスリン感受性の改善に働きかけてくれます。
ビタミンDが不足すると、こうした働きも低下するため、インスリンがうまく機能しなくなると推測されています。
免疫力を高める
ビタミンDには、体内に入ってきた細菌やウイルスを食べる「マクロファージ」という免疫細胞を活性化させる働きがあります。
インフルエンザを予防する
ビタミンDは、免疫機能にも関わっているため、インフルエンザや風邪等のウイルスや細菌が体内に入ってきたときに免疫細胞を活性化させ、ウイルス感染予防に有効であると報告があります。
「カテリジン」というたんぱく(抗菌ペプチド)を作る働きや、「ディフェンシン」という抗菌ペプチドを皮膚上に作らせバリア機能を高めるということが報告されています。
ビタミンDの多い食品
まいたけ
まいたけ50gに、ビタミンDが2.5㎍含まれています。まいたけは炒め物やスープに加えるのがおすすめです。油を使った調理でビタミンDの吸収率が上がるため、オリーブオイルやごま油でさっと炒めると良いでしょう。また、他のキノコ類と合わせてきのこご飯にするのも手軽に取り入れられる方法です。
干ししいたけ
干ししいたけ(2個/6g)に、ビタミンDが1.0㎍含まれています。干ししいたけは煮物や出汁を取るのに最適です。調理前に日光(紫外線)に当てると、ビタミンDがさらに増えることが分かっています。晴れた日に1時間程度干してから使用すると、栄養価がアップします。
鮭
鮭1切れ(80g)にビタミンDが25.6㎍含まれています。鮭は焼き魚にするだけでなく、ムニエルやホイル焼きにするのがおすすめです。ムニエルでは小麦粉を薄くまぶしてからバターやオリーブオイルで焼くと、風味が良くなりビタミンDの吸収も高まります。また、ホイル焼きにすると栄養の損失が少なく、野菜と一緒に調理することで栄養バランスも整います。
サンマ
サンマ1尾(正味100g)に、ビタミンDが16.0㎍含まれています。サンマはシンプルな塩焼きが定番ですが、大根おろしとポン酢を添えると消化を助ける効果もあります。また、圧力鍋で骨まで柔らかく煮るとカルシウムも同時に摂取できます。余ったサンマは炊き込みご飯にすると無駄なく活用できます。
イワシ
イワシ丸干し1尾(30g)に、ビタミンDが15.0㎍含まれています。イワシは煮付けやオイルサーディンにするのがおすすめです。オイルサーディンはそのまま食べても良いですが、サラダやパスタに加えると手軽にビタミンDを摂取できます。煮付けにする際は、梅干しを一緒に煮ると魚の臭みが軽減され、風味が増します。
ビタミンDが不足すると現れる症状
くる病
小児がビタミンDが 欠乏すると、カルシウムやリンが不足して骨を形成する過程で石灰化がうまくいかず、弱い骨が作られる病気です。
骨基質をコーティングする骨塩(カルシウムやリン)が不足するので、骨が弱く、やわらかく、曲がりやすくなります。
身長の伸びが悪いなどの成長障害や、頭蓋ろう(頭蓋骨のへこみ)、乳歯出現の遅れ、O脚やX脚などがみられます。
骨軟化症
成人がビタミンDが欠乏すると、骨や軟骨の石灰化障害によって、類骨(石灰化していない骨基質)が増加する病気です。
骨が弱くなり骨折しやすくなったり、骨を維持する筋肉や関節に負担がかかるため痛みが出たり脊柱の変形などの症状があります。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨量(骨密度)が減って、骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
骨折は寝たきりや要介護状態のきっかけになりやすく、骨粗鬆症が進むと軽い転倒や衝撃でも大きなダメージを受ける場合があります。
ビタミンDが不足しやすい人の特徴
日光(紫外線)にあたる時間が少ない
在宅勤務など室内で過ごす時間が長く外に出る機会が少ない方や、高齢者が該当します。
外に出る機会が極端に少ない人は、ビタミンDの合成が十分に行われないため不足しやすいです。
年齢が上がるほど、体内でのビタミンDの合成能力は低下するため、ビタミンDが不足してしまいます。
ビタミンDを含む食品を食べる頻度が少ない
ビタミンDは、肉類にはほとんど含まれておらず、魚類やきのこ類に多く含まれています。そのため、肉中心の食生活を送る人や、魚やきのこを日常的に食べる習慣がない方は、ビタミンDの摂取量が不足しやすくなります。特に、現代の食生活ではファストフードや加工食品の利用が増え、魚やきのこが食卓に並ぶ頻度が減少していることが指摘されています。
脂質をあまり摂らない
ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、油を使った調理法にすることで吸収がよくなります。
そのため、普段脂質の摂取を控えている方や病気で脂質制限をしている方などはビタミンDの吸収が低くなります。
ビタミンDを過剰摂取すると現れる症状
高カルシウム血症
ビタミンDを過剰に摂取すると、腸管からのカルシウム吸収が促進され、血清中のカルシウム濃度が異常に高くなる「高カルシウム血症」を引き起こすことがあります。この状態では、消化器症状(嘔吐や食欲不振)、喉の渇き、多尿が現れるほか、重症化すると錯覚や昏睡に至ることもあります。また、カルシウムが血管壁や腎臓などの軟組織に沈着することで、さらなる健康被害を引き起こします。
腎機能障害
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、過剰に摂取すると体内に蓄積されます。その結果、血管壁や腎臓、心筋にカルシウムが沈着し、動脈硬化や腎結石、腎機能障害を引き起こす可能性があります。特に長期間にわたる過剰摂取は、腎臓に大きな負担を与えるため注意が必要です。
ビタミンDの効率的な摂取方法
油と一緒に摂る
ビタミンDは、脂溶性ビタミンのため調理をする際は炒め物や、揚げたり油を使った調理法を用いたり、ドレッシングなど油が含んだものをかけて食べると吸収されやすくなり効率よく摂取することができます。
調理前に日光(紫外線)にあてる
しいたけなどきのこ類は、調理する前に10~30分ほど日光(紫外線)に当てるとビタミンDが増えるのでひと手間加えてみるのも良いですね。
乳製品と一緒に摂る
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあるため牛乳やチーズなどの乳製品と一緒に摂るとカルシウムの吸収率があがります。
適度に日光(紫外線)を浴びる
ビタミンDは、日光(紫外線)を浴びると皮膚で作られるため適度にあたるのが良いです。
窓越しに当たってもビタミンDは生成されないため、散歩や外出をこまめに 行いましょう。
「ビタミンDの食べ物」についてよくある質問
ここまでビタミンDの食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンDの食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ビタミンDの多い野菜について教えてください。
鈴木 友美
ビタミンDは、野菜や穀物、豆や芋類にはほとんど含まれていません。キノコや魚類から摂取する必要があります。
ビタミンDの多いキノコ類について教えてください。
鈴木 友美
キノコ類のなかでも、特にマイタケに多く含まれています。
編集部まとめ
ビタミンDは、食品からの摂取や日光(紫外線)を浴びることで摂取することができます。
不足の場合には、小児の場合はくる病、成人の場合は骨軟化症、骨粗鬆症になるリスクが高くなるため注意が必要です。
過剰に摂取した場合には、高カルシウム血症や、腎機能障害、軟組織の石灰化などが起こる場合があるので適度に摂るようにしましょう。
ビタミンDが効率よく吸収されるには、いくつかポイントがあるのでぜひ日々の生活に取り入れてみてください。
「ビタミンD」に関連する病気
「ビタミンD」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 乾癬
甲状腺の病気
- 副甲状腺機能低下症
「ビタミンD」に関連する症状
「ビタミンD」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 食欲不振
- 体重減少
- 多尿
- 不整脈
- 筋肉痛
- 筋力低下
- 骨の痛み