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「ビタミンB6の多い食べ物」は何かご存じですか?不足すると現れる症状も解説!

 公開日:2025/10/08
「ビタミンB6の多い食べ物」は何かご存じですか?不足すると現れる症状も解説!

ビタミンB6の多い食べ物とは?メディカルドック監修医がビタミンB6の多い食べ物・一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

會田 千恵美

監修管理栄養士
會田 千恵美(管理栄養士)

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認定こども園で管理栄養士として給食管理・調理・食育を行っています。離乳食アドバイザー(一般社団法人母子栄養協会)・食育インストラクター1級(NPO日本食育インストラクター協会)・和食文化継承リーダー認定を取得し、子供たちが食に興味をもち、おいしいと笑顔で言ってもらえるように励んでいます。

「ビタミンB6」とは?

ビタミンB6 活性をもつ化合物の総称をビタミンB6 といいます。遊離型ビタミンB6 にはピリドキシン (PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)があり、これらのリン酸化型とし てピリドキシン 5-リン酸(PNP)、ピリドキサール 5-リン酸(PLP)、ピリドキサミン 5-リン酸(PMP) があります。PLP 及び PMP が補酵素として機能しています。日本食品標準成分表(八訂)ではビタミンB6の含有量はピリドキシン(PN) 相当量として示されています。

ビタミンB6の一日の摂取量

ビタミンB6の摂取量は、年齢や性別によって異なります。 一日の推奨量が 成人男性(18歳以上):1.4~1.5㎎/日 成人女性(18歳以上):1.2㎎/日  一日の耐容上限量が 成人男性(18歳以上):50~60㎎/日 成人女性(18歳以上):40~45㎎/日  になります。 

【妊娠中の女性】ビタミンB6の一日の摂取量

・ビタミンB6は胎盤や胎児に必要な体たんぱく質の蓄積を考慮し、付加量を設定しています。 18歳女性の推奨量に付加量を加えた摂取量は 妊娠中:1.4㎎/日 授乳中:1.5㎎/日 

ビタミンB6の効果

たんぱく質からのエネルギーの産生

ビタミンB6 は、PLP 及び PMP の形態で、アミノ基転移反応、脱炭酸反応、ラセミ化反応などを触媒する酵素の補酵素として機能し、特にアミノ酸代謝において重要な役割を果たします。 栄養機能食品の栄養成分の機能の表示に 『ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。』とあります。

皮膚や粘膜の健康維持

ビタミンB6は、アミノ酸の合成から分解まで関わるため、健康な皮膚や粘膜、髪、歯のほか、体を動かす収縮たんぱく質や、栄養や酸素を運ぶたんぱく質、免疫機能をつかさどる 体を守る防御たんぱく質など多くの部分に関わり、健康を維持します。

がんの発症予防

ビタミンB6 が大腸がんの予防因子であることが報告されています。我が国においては、通常の食事によるビタミンB6 摂取量と大腸がんの関係調査から、男性においてビタミンB6 摂取量が最も少ないグループ(摂取量の中央値は 1.09 mg/日)に比べ、それよりも多いグループで 30~40%リスクが低かったと報告されています。

ホモシスチン尿症の症状改善

ホモシスチン尿症では、メチオニンの代謝過程でホモシステインを代謝する酵素、シスタチオニンβ合成酵素が欠損する。乳児には、低メチオニン高シスチンミルクが用いられます。シスタチオニンβ合成酵素の補酵素であるピリドキシン(ビタミンB6)を投与することで、症状が改善する場合もあります。

つわりを緩和する効果

妊娠すると、アミノ酸の一種であるトリプトファンの代謝がうまくいかず、キサンツレン酸という物質が通常よりも増加してつわりの原因になるといわれています。代謝がうまくいかない原因の一つにビタミンB6の不足があるため、ビタミンB6をとることで、つわりの症状を緩和する効果があります。

ビタミンB6の多い食品

動物性食品にも植物性食品にも含まれますが、体内での利用率は動物性食品の方が効率よく補えます。(食材の数値は100g中のビタミンB6の含有量を示しています。)

肉類

牛レバー(生):0.89㎎ 豚ヒレ(赤身・焼):0.76㎎ 豚レバー(生):0.57㎎ 鶏肉(ささみ・むね皮なし)生:0.66㎎ 牛レバーを1食80g食べると、一日の推奨量の約6割摂取できます。

魚類

びんなが(びんちょうまぐろ)(生):0.94㎎ みなみまぐろ(赤身・生):1.08㎎ かつお(春獲り・秋獲り)(生):0.76㎎ しろさけ(生):0.64㎎ ミナミマグロの赤身の刺身を1人前(約70g)を食べると、一日の推奨量の約6割摂取できます。

野菜類

ブロッコリー(花序・焼):0.67㎎ モロヘイヤ:0.35㎎ 菊のり:0.69㎎ にんにく(りん茎・生):1.53㎎ ビタミンB6は水溶性ビタミンなので、茹でると減ってしまいます。

果実類

バナナ:0.38㎎ アボカド:0.29㎎  バナナは1本可食部が100gくらいなので、1本食べると、一日の推奨量の約3割摂取できます。

玄米

玄米ご飯:0.21㎎ 白米のご飯:0.02㎎ 玄米ご飯を1食200g食べると、一日の推奨量の約3割摂取できます。

ビタミンB6が不足すると現れる症状

うつ病の症状

うつ病の要因であるセロトニンの合成とセロトニンの合成に必要なトリプトファンの代謝に関わります。このため、ビタミンB6はうつ病またはうつ症状を引き起こす可能性があります。 抑うつ気分、思考力低下、意欲の低下、睡眠障害、食欲不振などの様々な症状を引き起こします。

皮膚炎・口内炎の症状

ペラグラ様症候群、 脂漏性皮膚炎、舌炎、口内炎・口角症が起こります。 うろこ状の発疹、赤い舌、口の端のひび割れ、頭皮のフケなどの症状がでます。                                                        

便通異常

ビタミンB6が不足すると、腸内環境の悪化につながり、便通異常が現れる可能性があります。 ・具体的な症状としては、下痢や便秘、腹痛、血便などが挙げられます。これらの症状が長期間続く場合、大腸がんのリスクも高まる可能性があるため、注意が必要です。ビタミンB6を適切に摂取することで、腸内環境を整える一助になるとされています。                                                      

ビタミンB6を過剰摂取すると現れる症状

通常の食品では、可食部100gあたりのビタミンB6含量が1mgを超える食品はほとんどありません。しかし、「にんにく(生)」のように、100gあたり1.53mgのビタミンB6を含む食品も存在します。ただし、通常の食事でこれらの食品を摂取する場合、過剰摂取に至る可能性は極めて低いとされています。ただし、高用量のビタミンB6を1年以上にわたってサプリメントから摂取していると現れる症状があります。

感覚性ニューロパシー

運動神経、感覚神経、自律神経の末梢神経が障害され、手足の筋力の低下や、しびれや痛みなどの症状が現れます。

光線過敏症(日光アレルギー)

日光が引き金となる皮膚のかゆみ、発疹、発赤、炎症などの症状が現れます。

悪心や胸やけ

悪心(嘔吐まで行かない吐き気)や、胸やけのような症状が現れます。

ビタミンB6の効率的な摂取方法

ビタミンB6と一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に働くので、たんぱく質と一緒に摂取すると効果的です。 生魚に多く含まれているので、マグロの刺身とアボカドの組み合わせで食べたり、 カツオのたたきをにんにく醤油で食べると効果が高まります。 酒粕にもビタミンB6が多く含まれるので、魚の粕漬も効果的です。 統合失調症患者の治療において、ビタミンB6とマグネシウムを併用することで症状の改善が期待できるとの研究報告があります。マグネシウムは海藻類に多く含まれます。

ビタミンB6と一緒に摂取すると効果を下げる栄養素・食品

銀杏に含まれる4‐O‐メチルピリドキシンがビタミンB6に拮抗して、ビタミンB6から作られるGABAの生合成を阻害して痙攣などを引き起こす可能性があります。 抗菌薬、抗結核薬、リウマチ治療薬などの抗生物質は、ビタミンB6の低下が生じやすくなります。 効果を下げるわけではないですが、経口避妊薬を摂取するとビタミンB6の必要量も増え不足しやすくなります。

ビタミンB6の効果を高める摂取タイミング

サプリメントを使用する場合は、容量用法を守って摂取してください。 運動する方は、運動をする30分前に摂取するとエネルギー代謝に効果的です。

「ビタミンB6の食べ物」についてよくある質問

ここまでビタミンB6の食べ物などを紹介しました。ここでは「ビタミンB6の食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ビタミンB6が多く含まれる果物を教えてください。

會田 千恵美會田 千恵美

バナナやアボカドに多く含まれます。ドライマンゴー、プルーン、レーズンといった、乾物の果物にも多く含まれます。

まとめ

ビタミンB6は、たんぱく質を摂取した際に、必要な栄養素です。体の成長を促したり、皮膚や髪の健康を維持します。意識して摂取するようにしてください。食事はバランスよくとることが大事です。これが良いと言われたものだけを食べるのではなく、いろいろなものをまんべんなく食べるようにしてください。

「ビタミンB6」と関連する病気

「ビタミンB6」と関連する病気は16個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

婦人科の病気

皮膚科の病気

耳鼻咽喉科・歯科・口腔外科の病気

精神科・脳神経内科・心療内科の病気

内科・消化器内科の病気

  • 銀杏中毒

「ビタミンB6」と関連する症状

「ビタミンB6」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • ナイアシン欠乏症や葉酸欠乏症などのビタミンB6以外の水溶性ビタミン不足は、似た症状が現れることが多いです
  • 鉄欠乏性貧血に似た症状
  • 肌荒れ
  • うつ病や統合失調症

この記事の監修管理栄養士