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「悪阻(つわり)」とは?症状・いつからいつまでがピークか対処法も解説!

 更新日:2023/08/17
「悪阻(つわり)」とは?症状・いつからいつまでがピークか対処法も解説!

妊娠が判明し喜びを感じていたのも束の間、すぐにやってくるのが辛いつわりです。

つわりの程度には個人差が大きく、症状も本当に人それぞれです。中には重症化してしまい入院治療が必要になってくるケースもあります。

つわりはどんな症状がいつから起こるのか、辛いつわりを乗り越える方法も気になりますよね。

今回は、つわりの症状やつわりが起こる期間・原因・対処法などを解説します。

前田 裕斗

監修医師
前田 裕斗(医師)

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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

つわり(悪阻)の症状と原因

つわりがひどい女性

つわり(悪阻)とはどのような症状なのでしょうか?

  • つわりは様々な症状が現れますが、一般的に多いのが以下の症状です。
  • 食べると嘔吐してしまう(吐きづわり)
  • 空腹になると気持ち悪くなってしまう(食べづわり)
  • 眠気がひどく、いくら寝ても眠気が取れない(眠りづわり)
  • 唾液が飲み込めないほど大量に出る(よだれづわり)
  • 船酔いのような気持ち悪さが続く
  • 匂いに敏感になる
  • 味覚が変わる
  • 他にも、イライラ感や頭痛を感じるという人もいます。どんな症状が出るかは個人差が大きく、つわりの期間中にいくつかの症状が同時に現れたり、ひとつの症状が治まったらまた別の症状が出てくるというケースもあります。

つわり(悪阻)はいつからいつまででしょうか?

  • 一般的につわりは早い人だと妊娠5週頃から始まり、妊娠8〜11週頃にピークを迎えます。妊娠16週頃には治まる人が多いのですが、つわりの始まりや終わりの時期には個人差が大きく、中には出産までつわりの症状が続いたという人もいるほどです。
  • また、妊娠16週頃に一旦つわりが落ち着いた人でも、妊娠28週(8ヶ月)頃から再び「後期つわり」に悩まされるケースもあります。

個人差があるのですね…。

  • つわりには個人差が非常に大きく、ほとんど何の症状も出ない人もいます。その一方で、水分すら摂ることができなくなり妊娠悪阻(にんしんおそ)の診断が下りて、入院が必要になる人もいます。
  • また同じ人でも、1回目の妊娠と2回目の妊娠ではつわりの症状が異なることも多いです。個人差というよりは「妊娠ごとに違う」と考える方が良いでしょう。一般的には初産婦の方が経産婦に比べるとつわりの症状が重い傾向にあるといわれています。

つわり(悪阻)の原因を教えてください。

  • はっきりと分かっていませんが、妊娠によりホルモンバランスが急激に変化することが原因だといわれています。妊娠によって起こる体内の急激な変化にうまく順応することができず、様々な症状がつわりとして現れてくると考えられているのです。
  • その他にも、生活環境・妊娠・出産への不安など心理面で大きなストレスを感じていると、つわりの症状が悪化するリスクが高まります。

体質も関係するのでしょうか?

  • つわりの重さや症状の出方には、体質が関する可能性はありますが、詳細はわかっていません。妊娠するとホルモンバランスの急激な変化をはじめ様々な変化が体内で起こります。その急激な変化への順応力が高い人ほど、つわりが軽い(もしくはつわりがない)可能性が高いのです。
  • 逆に変化の影響を受けやすい体質を持っている人は、つわりが重くなりやすい可能性があります。

つわり(悪阻)の検査と対処方法

診察

受診の目安を教えてください。

  • つわりの辛さは本人にしか分からないため、つわりが辛いと感じたら一度受診することをおすすめします。妊婦健診の際に相談してみてもよいでしょう。
  • つわりが重症化すると妊娠悪阻という病名が付き、入院治療が必要になってきます。つわりが重症化して妊娠悪阻へ進行しているかどうかの目安としては、下記の3点が挙げられます。
  • 食事も水分も摂ることができない
  • 妊娠前の体重と比べて5%以上減っている
  • 尿の回数・量が減った
  • 妊娠悪阻が重症化してしまうと、母体と赤ちゃんの命に関わってくる危険性があります。上記3点のうちひとつでも当てはまっている場合には、次の妊婦健診を待たず速やかに受診してください。

どのような検査をするのか知りたいです。

  • つわりが辛くて受診した場合、まずは医師による問診が行われます。問診で確認される事項は、食事や水分が摂れているかや、嘔吐の期間・頻度などです。また、つわりが妊娠悪阻へ進行していることを調べるために、血液検査尿検査が実施されます。
  • 血液検査で調べられる項目は、肝臓や腎臓の機能に異常が見られないかということと、脱水症状の有無です。尿検査でケトン体が検出されると妊娠悪阻の診断が下ります。

つわり(悪阻)の対処方法を教えてください。

  • つわりの対処法として重要なのは無理をしないということです。眠気が取れなかったり倦怠感がひどいといった場合には、できるだけ横になって休むようにしましょう。つわりが辛くて食欲がなくなったり、吐き気で上手く食事が摂れないケースもあります。そのような時には一日3食にこだわる必要はありません。一度に沢山食べると吐いてしまうこともあるでしょう。
  • 食べたい時に
  • 食べられるものを
  • 食べられるだけ
  • つわり中の食事は上記の3点を意識して食べるようにしてください。つわり中は温かいものよりも冷たいもののほうが食べやすいという人が多いようです。
  • また、つわりを乗り切るためには「これなら食べられる(飲める)」というものを見つけておくと安心です。そうめんなどのさっぱりしたものや、柑橘系のジュースやグミといった酸味があるものなら食べられるという人もいますので、自分の食べられる食品を探してみてください。

薬は胎児に影響しませんか?

  • あまりにつわりがひどい時には吐き気止めや鎮痛剤などの薬を飲みたくなりますが、安易に市販薬を飲むことは危険です。胎児への安全性が認められた吐き気止めにもいくつか種類があります。また、「小半夏加茯苓湯」や「半夏厚朴湯」などつわりに効果があるとされている漢方薬もあります。症状に合わせて使用する薬剤を決めるため、必ず産婦人科医に相談してください。

つわり(悪阻)の注意点

妊婦

つわり(悪阻)の際に注意したいことを教えてください。

  • 「つわりは病気じゃない」「これくらいみんな耐えてるからまだ大丈夫」などと考えて我慢しすぎないように注意してください。つわりは重症化してしまうと妊娠悪阻という診断が下り入院治療が必要になることもあります。たとえ妊娠悪阻には至らなくても、いつの間にか脱水症状貧血を起こしていることもありえます。疲れや倦怠感・眠気などを感じることがあれば、できる限り横になって休むようにしてください。
  • また、食事や水分を一気にたくさん摂ってしまうと吐き気を感じやすくなります。食べられそうな体調の時に、少しずつ食事や水分を摂るようにしましょう。

つわり(悪阻)の重さは胎児の性別や早産などに関係しますか?

  • 胎児の性別は受精の瞬間に決定しているので、つわりの重さは関係ありません。また、つわりが早産に繋がることもありません。
  • 逆につわり症状があった人の方が、早産リスクが低下していたという研究結果があります。強いつわりを経験した人ほど、早産のリスクは低くなっています。

家族はどのようにサポートすれば良いですか?

  • つわりの症状には個人差が大きく、その辛さは本人にしか分かりません。つわりの症状は日によっても程度が異なりますし、一日の中でも波があります。症状が辛い時にはなるべく横になって休んでもらうようにして、決して無理をさせないようにしてください。「○○が食べたい」と言われて買ってきても、もうその頃には食べたい気持ちが無くなっているという事も往々にしてありえます。それくらいつわりの時期というのは体調の波が激しいものです。その時に食べたかった気持ちは本心なので、広い心で見守るようにしてください。
  • また、「ご飯の炊ける匂いで吐き気を催してしまう」「普段使っている柔軟剤の匂いがダメになってしまった」など、これまで普通に行ってきた家事をすることに大変な苦痛を伴うこともあります。そのような場合は家事分担を見直すなどして、吐き気の原因となるものとはなるべく関わらなくても済むように配慮をしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • つわりが始まる妊娠初期はまだまだお腹の膨らみも分からず、ぱっと見て周囲からは妊婦だと気付かれにくい時期です。つわりが辛くても、まだ職場や周囲の人に妊娠を伝えていないタイミングかもしれません。しかしできれば早めに周囲に妊娠を伝えて、休みやすい環境を整えていくことをおすすめします。また、突然めまいや吐き気に襲われることもあります。外出の際はマタニティマークをカバンに付けておくと良いでしょう。
  • できるだけ無理はせず、「疲れたら休む」「食べられるときに少しずつ食べる」を心がけて実践するようにしてください。

編集部まとめ

母子手帳とマタニティマーク
「つわりの症状があるということは赤ちゃんが元気な証拠」ではありますが、とにかくつわりは辛いものです。

つわりに無理は禁物です。ひとりで我慢しすぎることのないよう、周囲の手も借りながら「辛い時は休む」ことを心がけてください。

あまりにも症状がひどく辛い時には妊娠悪阻に進行してしまっている場合も考えられますので、そんな時にはすぐに産婦人科医に相談するようにしましょう。

つわりは必ず終わる時がきます。つわりが終わったその先には赤ちゃんとの対面が待っています。その日を楽しみに、辛いつわりを乗り越えてくださいね。

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