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妊娠中は親知らずの抜歯ができない? 妊婦さんの歯科治療のタイミングや注意点を歯科医が解説

 更新日:2023/11/16
妊娠中は親知らずの抜歯ができない? 妊婦さんの歯科治療のタイミングや注意点を歯科医が解説

親知らずの腫れや痛みは、妊娠中に多いお口のトラブルの1つです。もし、妊娠中に親知らずの痛みや腫れが出たらどのように対処すればいいのでしょうか。今回は妊娠中に生じやすい親知らずのトラブルの対処法や抜歯の可否、予防法などをコンパスメディカルグループ「医療社団法人コンパス」常務理事の越智先生にお聞きしました。

越智 英行

監修歯科医師
越智 英行(コンパス内科歯科クリニック赤羽)

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昭和大学歯学部卒業。東京女子医科大学病院(歯科口腔外科)入局後、昭和大学大学院歯学研究科(臨床系歯科麻酔科学)修了。同大学歯学部全身管理歯科学歯科麻酔科助教を経て、コンパスメディカルグループ「医療法人社団コンパス」の常務理事に就任。患者さんのQOL向上に寄与し、患者さんが笑顔になれる様な治療を心がける。歯学博士。日本口腔外科学会認定医、日本外傷歯学会認定医。

妊娠中は親知らずが痛くなりやすいって本当? 妊娠するとお口トラブルが多くなる理由

妊娠中は親知らずが痛くなりやすいって本当? 妊娠するとお口トラブルが多くなる理由

編集部編集部

妊娠中は親知らずの痛みなどのトラブルが増えると聞きますが、それは本当でしょうか?

越智 英行先生越智先生

はい、本当です。妊娠中は親知らずに限らず、歯ぐきの腫れや出血、痛みなどのトラブルがかなり多くみられます。

編集部編集部

なぜ、妊娠中は親知らずをはじめとするトラブルが急増するのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

妊娠するとホルモンバランスの変化により免疫力が低下して、細菌やウイルスに感染しやすくなるのが大きな要因です。お口の中も例外ではなく、妊娠中は歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。

編集部編集部

そうすると、妊娠中は普段以上にお口のケアに注意する必要があるわけですね。

越智 英行先生越智先生

そのとおりです。しかし、妊娠中はつわりがひどくて、歯を上手に磨けないということも少なくありません。ホルモンバランスの変化に加えて、お口の中が不衛生になりやすいのも妊娠中に親知らずをはじめとするトラブルが増える原因となっています。

妊娠中でも親知らずの抜歯はできる? 妊娠中の歯科治療や麻酔・薬の服用について歯科医がアドバイス

妊娠中でも親知らずの抜歯はできる? 妊娠中の歯科治療や麻酔・薬の服用について歯科医がアドバイス

編集部編集部

ちなみに、妊娠中でも親知らずの抜歯はできるのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

できるか、できないかで言うと抜歯はできます。ただ、妊婦さんの心理面を考えると抜歯は避けた方がいいでしょう。妊婦さんにとって痛みが出やすい処置はそれだけでストレスとなりますし、そもそも「妊娠中に歯を抜きたくない」という人がほとんどです。また、仮に妊婦さんが抜歯を希望した場合でも、妊娠周期によっては抜歯できないことがあります。

編集部編集部

では、仮に親知らずを抜歯する場合、どのタイミングであれば抜歯が可能なのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

妊娠16~27週のいわゆる「安定期」と呼ばれる時期です。ただし、緊急性が高く簡単な抜歯に限られます。ちなみに、抜歯以外の歯科治療を受けたい場合も、妊娠中は安定期におこなうのが一般的です。

編集部編集部

安定期であれば、レントゲンや麻酔も大丈夫なのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

レントゲンに関しては歯科の場合は頭部に限定されるほか、防護エプロンもするので放射線がお腹の赤ちゃんに当たることはほぼないと考えていいでしょう。麻酔も基本的に問題はないと言われていますが、歯科用の麻酔にはアドレナリンが含まれているため、通常よりも使える量は限られます。また、いずれも妊婦さんが拒否した場合はおこないません。

編集部編集部

妊娠中に親知らずが腫れた場合、抜歯以外でどのような処置が受けられるのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

腫れや痛みが出ている部分をクリーニングしたり、消毒したりして症状を抑えていきます。また、妊娠初期(15週まで)でなければ、抗生物質や鎮痛剤を服用して痛みや腫れを治すこともあります。

編集部編集部

妊娠中でも抗生物質や鎮痛剤が服用できるのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

妊娠中期以降(16週以降)であれば問題ないですが、必要最小限の処方となります。ただし、妊娠期には避けた方がいい鎮痛剤もあるため、自己判断で服用しないようにしましょう。

編集部編集部

妊娠中でも飲める鎮痛剤には、どのようなものがありますか?

越智 英行先生越智先生

アセトアミノフェン」という鎮痛剤であれば妊娠中でも服用できます。反対に「ロキソプロフェン」は妊娠中、とくに妊娠後期以降は服用を避けなければならないので注意してください。服用に際しては、医師に相談してからの方が安心ですし、トラブルも少ないでしょう。

妊娠中のデンタルケアのポイント 親知らずは「妊娠前」に抜いておくべき?

妊娠中のデンタルケアのポイント 親知らずは「妊娠前」に抜いておくべき?

編集部編集部

これまでの話から考えると、親知らずは「妊娠前」に抜いておいた方がいいのでしょうか?

越智 英行先生越智先生

そうですね。将来的に妊娠を考えているのであれば、妊娠前に抜いておくのが理想的だと思います。

編集部編集部

妊娠中にお口のトラブルを避けるためにできることは何でしょうか?

越智 英行先生越智先生

お口のトラブルが増える妊娠期は日頃のケアを徹底することに加えて、定期的な歯科受診をおすすめします。できれば妊娠前にかかりつけ歯科医を持っておくと、万が一トラブルが生じた場合でもすぐに対処してもらいやすいでしょう。また、「つわりで歯が磨けない」なども、かかりつけ歯科医院の歯科衛生士に相談できれば安心です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

越智 英行先生越智先生

妊娠中はお口に限らず、体に様々なトラブルが起こりやすい時期なので、何かあった際は焦らず、すぐに受診できる歯科医院を見つけておくことが大切です。前もって信頼できる歯科医、歯科衛生士を探しておきましょう。

編集部まとめ

妊娠中はホルモンバランスの変化により、親知らずの腫れや痛みをはじめとするお口のトラブルが起こりやすくなるとのことでした。安定期であれば簡単な抜歯や歯科治療ができるとはいえ、お腹の赤ちゃんの安全を考えると「治療は極力避けたい」というのが正直なところです。そのためには、妊娠中でも可能な限りお口のケアを徹底することと、安定期以降は定期的に歯科医院のチェックやクリーニングを受けることが大切です。ぜひ、妊活をはじめる前に、信頼できるかかりつけ歯科医を見つけておきましょう。

医院情報

コンパス内科歯科クリニック赤羽

コンパス内科歯科クリニック赤羽
所在地 〒東京都北区赤羽南1丁目19-10 プリミエール藤田1階
アクセス JR「赤羽駅」 徒歩5分
診療科目 歯科、小児歯科

この記事の監修歯科医師