目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 栄養素
  4. 「ビタミンEの効果」は何かご存じですか?不足した時に現れる症状も管理栄養士が解説!

「ビタミンEの効果」は何かご存じですか?不足した時に現れる症状も管理栄養士が解説!

 公開日:2025/10/07
「ビタミンEの効果」は何かご存じですか?不足した時に現れる症状も管理栄養士が解説!

ビタミンEの効果とは?メディカルドック監修医がビタミンEの効果・一日の摂取量・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・多く含む食品・効果的な摂取方法などを解説します。

會田 千恵美

監修管理栄養士
會田 千恵美(管理栄養士)

プロフィールをもっと見る
認定こども園で管理栄養士として給食管理・調理・食育を行っています。離乳食アドバイザー(一般社団法人母子栄養協会)・食育インストラクター1級(NPO日本食育インストラクター協会)・和食文化継承リーダー認定を取得し、子供たちが食に興味をもち、おいしいと笑顔で言ってもらえるように励んでいます。

「ビタミンE」とは?

脂溶性ビタミンで、4 種のトコフェロールと 4 種のトコトリエノールの合計 8 種類の同族体が知られており、クロマン環のメチル基の数により、α-、β-、γ-及びδ-体に区別されています。血液及び組織中に存在するビタミンE同族体の大部分がα-トコフェロールです。生体膜を構成する不飽和脂肪酸あるいは他の成分を酸化障害から防御するために、細胞膜のリン脂質二重層内に局在します。

ビタミンEの一日の摂取量

【目安量】
0〜5歳(乳幼児期) 3〜4mg
6〜11歳(学童期) 4〜5.5mg
12〜17歳 6〜7mg
18〜64歳 5〜6.5mg
65歳以上 6〜7.5mg
【耐容上限量】
1〜5歳 150mg〜200mg
6〜11歳 300〜450mg
12〜17歳 600〜750mg
18歳以上 650mg〜800mg
ビタミンEの必要量を正確に算定することは困難であるため、目安量を設定されています。ヒトを対象とした高用量のビタミンE摂取に関する研究の主要な副作用として血液凝固能の低下が対象とされています。最低健康障害発現量が明確でないことから不確実性因子を 1 として、小児を含め、800 mg/日と参照体重を用いて体重比から性別及び年齢区分ごとに耐容上限量を算出しています。

ビタミンEの効果

抗酸化作用

多価不飽和脂肪酸の摂取量が増えると、多価不飽和脂肪酸に由来して発生する過酸化脂質の生成を抑制するためにビタミンEの需要が高まります。「ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養です。」 と、栄養機能性表示が認められています。

血行促進

血管循環の正常維持機能があります。血管弛緩の改善がみられ、血行を促す作用があります。そのため、末梢血管の血行障害が原因と考えられる冷え性の症状を改善します。

肝臓の正常維持

ビタミンE投与(100 mg/日または800 IU/日)により 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者を含めた非アルコール性脂肪肝炎疾患(NAFLD)患者で肝機能(AST、 ALT およびALP)と脂肪変性、炎症、肝細胞の風船状腫大などが改善することを報告されています。

認知機能の維持

軽度から中等度のアルツハイマー患者にビタミンE(2000IU/日)を投与した際に、認知機能低下が遅延した報告がある。また、高齢者を対象にしたビタミンEの血清中の濃度が低いほど認知機能の低下が大きいという報告もあります。

歯の健康維持

ビタミンE(d-α-Toc 200 mg)を1日おきに投与することにより歯周疾患の状態を示す値が改善されたことや、非喫煙者において食事からのビタミンE摂取量が多いと歯周ポケットをもつヒトの割合が少なる。という報告があります。

ビタミンEが不足すると現れる症状

動悸息切れ・めまい

ビタミンEが不足すると活性酸素の影響で赤血球の膜を保護する能力が落ちます。これにより、血中の赤血球の数が少なくなる溶血性貧血になり、進行すると赤血球量が減少するため、動悸・息切れ・めまい・倦怠感・頭痛・黄疸の症状が出る可能性があります。

視力の低下

   加齢性黄斑変性症や白内障は、酸化的ストレスの累積的影響が関与していると考えられています。黄斑変性症は、加齢とともに黄斑という組織がダメージを受けて変化することで、白内障は、眼球水晶体の混濁が視界をかすめることで、視力の低下を引き起こします。視界のゆがみや、明暗での見え方が違ったり、部分的に見えづらくなるという症状も現れます。

更年期障害

ほてり、足の冷え、イライラ、うつ、集中力の低下、頭痛、めまい、耳鳴り、疲労感などの更年期障害の治療にビタミンEが使用されることがあります。ビタミンEは、女性ホルモンの分泌を正常に働かせ、ホルモンの代謝を促したり、調整してくれます。細胞膜の構成要素もあるため、細胞の老化を抑えることで更年期の諸症状を和らげてくれます。

シミ・しわ・肌荒れ

紫外線により発生した活性酸素を除去し、活性酸素による皮膚の老化から守る効果が低下してしまい、しみ、しわ、肌荒れなどの症状が出る場合があります。

歯周病

活性酸素による歯周組織の炎症や出血を抑制する効果が低下してしまうため、歯茎の出血や腫れ、痛みが出る歯周病の症状が出る場合があります。

ビタミンEが不足しやすい人の特徴

脂質吸収障害や脂質代謝に問題のある方

脂肪の吸収がうまくできないとビタミンEの吸収もできず、不足しやすくなります。 胃切除後や糖尿病性神経障害、アミロイドージスなどによって消化管運動異常が発症すると消化液と食物のミキシングが充分行われなくなり、脂肪消化吸収障害がおきたり、抱合胆汁酸濃度が消化管腔内で低下するとミセル形成が障害されて脂肪吸収不良が発症したりします。

極端な偏食や少食の方

通常の食生活では不足することはないとされていますが、そもそもビタミンEの含む食品を摂取していなければ、不足してしまいます。

酸化ストレスの多い方

スポーツ選手や日光をたくさん浴びる方、喫煙者、ストレスの多い方、酸化した油の多い加工食品や揚げ物を多くとる方などの酸化ストレスの多い方は、体内に活性酸素を多く作り出してしまいます。抗酸化する必要量が増えるため、不足してしまいます。

ビタミンEを過剰摂取すると現れる症状

吐き気・消化不良

脂溶性ビタミンなので、過剰摂取すると消化不良を起こし、吐き気や腹痛、下痢などの症状が現れる場合があります。

出血作用

α -トコフェロールを低出生体重児に補充投与した場合、出血傾向が上昇することが一部示されています。出血リスク(切り傷や怪我を負った際、血液凝固能が低下するため)や、脳内の重篤な出血リスク(出血性脳卒中と呼ばれる)を増大させる可能性があります。

骨粗しょう症

ビタミンEの過剰摂取により、骨の吸収が促進される可能性がマウスの研究で示唆されていますが、ヒトにおける影響についてはさらなる研究が必要です。

がん

一部の研究では、ビタミンEサプリメントを長期にわたり高用量で摂取することで、前立腺がんのリスクが増加する可能性が示唆されていますが、これがすべての人に当てはまるわけではありません。

肝機能障害

肝臓や脂肪組織に蓄積されてしまい、肝機能障害を起こす危険性があります。

ビタミンEを多く含む食品

緑黄色野菜

モロヘイヤ 6.5mg かぼちゃ 4.9mg ほうれん草 2.1mg ・脂溶性ビタミンは油と一緒にとると吸収がよくなります。ドレッシングで和えたり、油で炒めたりすると効果的です。

魚介類

うなぎ(養殖)7.4㎎ あゆ(養殖-焼)8.2㎎ ほたるいか(茹)4.5㎎ ツナ缶 8.3mg
・うなぎは水温が下がり始める10月頃、冬眠に備えて栄養を蓄えます。
・あゆは、天然よりも養殖のほうが多く含まれています。

魚卵

すじこ 11㎎ たらこ 7.1㎎
・魚卵は塩蔵されているものも多いので、塩分取り過ぎにならないよう食べ過ぎに注意しましょう。

植物油

ひまわり油 39㎎ ココナッツオイル 28㎎ なたね油 15㎎  コーン油 17㎎
・ドレッシングや炒め油に使うと摂取しやすいです。古くなると酸化していき、老化を招く過酸化脂質を生み出してしまうため、早めに使いきりましょう。

種実類

アーモンド(煎り・無塩)29㎎ ヘーゼルナッツ(フライ)18㎎ 落花生(乾) 11㎎
・アーモンドはノンフライで無塩のものを選ぶようにしましょう。ただし、アーモンド自体脂質も高いので、食べ過ぎに注意しましょう。光に弱いので保存するときは光を避けて保存しましょう。 ※食材の数値は、可食部100g当たりのα-トコフェロール含有量を示しています。

ビタミンEの効果的な摂取方法

ビタミンEを多く含む食品の摂取

脂溶性ビタミンであるビタミンEを効果的に摂取するには、油と一緒に取ることが効果的です。

ビタミンEと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ビタミンEと同じ抗酸化作用のあるビタミンAやビタミンCやセレンを一緒に摂取すると相乗効果があります。ビタミンCは、酸化されたビタミンE(ビタミンEラジカル)を、ビタミンEに変換する(還元型に戻す)ので、ビタミンEの必要量を低下させることができます。

ビタミンEの効果を高める摂取タイミング

・空腹時に摂取すると吐き気や胃の不快感を感じる方もいるようなので、空腹時を避けて摂取するようにしましょう。
・ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、油を使った料理を食べたときに摂取するとよいでしょう。

「ビタミンEの効果」についてよくある質問

ここまでビタミンEの効果を紹介しました。ここでは「ビタミンEの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ビタミンEが一番多く含まれている食べ物について教えてください。

會田 千恵美會田 千恵美

食品100g当たりで一番多く含まれるものは、煎茶(65㎎)になりますが、1回で食べる量を考えると養殖の鮎が一番多く含まれている食べ物といえるでしょう。

ビタミンCとビタミンEどちらが体に良いのでしょうか?

會田 千恵美會田 千恵美

ビタミンCとEは一緒に摂取することで相乗効果が発揮され、抗酸化力を高めます。どちらがというよりも、どちらも体に良い栄養素となります。ブロッコリーはビタミンE3㎎、ビタミンC140㎎とどちらも多く含まれる食材なのでおすすめです。

まとめ

ビタミンEの抗酸化作用で細胞の老化や動脈硬化の予防、肌のシミしわの予防などの効果があり、積極的にとりたい栄養素です。普段の食事で過剰摂取になることはないですが、サプリメントで摂り過ぎてしまうと肝機能に障害が出る場合もあるため、サプリメントを活用する場合は、容量・用法をしっかりと守って摂取してください。

「ビタミンE」と関連する病気

「ビタミンE」と関連する病気は12個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内科・循環器科の病気

内科・整形外科の病気

  • 骨粗しょう症

内科・小児科の病気

歯科の病気

「ビタミンE」と関連する症状

「ビタミンE」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

めまいや立ちくらみ、耳鳴りや吐き気などの症状

  • 鉄欠乏性貧血や再生不良性貧血
  • 自律神経失調症
  • メニエール病

視界不良

  • 網膜剥離
  • 緑内障

この記事の監修管理栄養士