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「冷え性」が女性に多い原因・予防法・食事の注意点はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/06/01
「冷え性」が女性に多い原因・予防法・食事の注意点はご存知ですか?医師が監修!

冷え性は女性に多いことで知られていますが、具体的な症状・種類についてご存じでしょうか?実は冷え性にはいくつか種類があり、それぞれに応じた症状が現れるのが特徴です。

また、冷え性に悩む女性は多いですが、具体的な対処法や受診すべき医療機関などを知らない方が大多数だといえます。

この記事では冷え性の原因・治療法・食事で気を付けるべきことなどについて解説します。特に冷え性の症状がひどい方はこの記事を読んでいただくことで冷え性を改善できるはずです。

冷え性に関する理解を深め、対策に生かしていただければ幸いです。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

冷え性の症状や原因

病気や問題を発見する女性医師

冷え性の症状を教えてください。

冷え性は気温・季節に関係なく、手足などが冷たく感じる症状です。必ずしも体温が低いということではなく、本人の感覚的な症状となります。また、手足が冷たく感じることに加え、肩こり・腰痛・生理不順などが伴うケースも多いのが特徴です。
そもそも人間の体は気温・湿度に合わせて毛細血管・筋肉などが調整される仕組みになっています。冷え性の方はこれらの仕組みが上手く働いていない状態といえます。

冷え性にはどのような種類がありますか?

冷え性にはさまざまな種類があります。それぞれの種類によって症状の特徴も異なるため、対策もさまざまです。以下、それぞれ種類ごとに解説します。

  • 末端の冷え性:手足が冷たく感じる冷え性です。一般的に多くみられる典型的な冷え性が末端の冷え性だといえます。
  • お腹の冷え性:胃腸などの冷え性です。胃腸が冷えることで下痢を起こしやすくなります。
  • 冷えのぼせ:足腰が冷たく、上半身は火照って汗ばむ症状です。更年期障害の女性に多くみられる症状といえます。

冷え性の原因を教えてください。

上記で紹介した冷え性の原因はそれぞれ違います。以下、詳しく解説します。

  • 末端の冷え性:基本的には末端の血流が悪くなることで起こります。そのため運動などで血流を改善すれば基本的に改善できる症状です。
  • お腹の冷え性:冷たい食べ物・飲み物を摂り過ぎると起こります。お腹の冷え性で悩む方は、冷房などに当たりすぎると下痢などの症状を起こしやすい傾向にあります。
  • 冷えのぼせ:メンタル面のストレスなどが原因と考えられています。また、更年期障害などによる自律神経の乱れも冷えのぼせにつながる主要な原因です。

上記のほか、神経の働きの低下・筋肉量の不足・病気などが冷え性の原因として挙げられます。特に筋肉は熱を作り出す重要な部分であるほか、自分の努力次第で増やすこともできるので、冷え性の改善に着手する切り口として即効性があるといえます。

冷え性が女性に多い理由を教えてください。

端的にいうと、冷え性が女性に多い理由は筋肉量が少ないからです。先述したように、筋肉は熱を作り出す組織です。男性に比べて筋肉量が少ない女性は、熱生産の効率が低くなるといえます。
また、女性は血流を左右する心臓のポンプ作用が弱く、末端に行き届かないことも冷え性と関連があります。そのほか、ホルモンバランスの乱れ・自律神経の乱れを起こしやすいのも冷え性につながる女性の特徴です。
更年期障害による自律神経の乱れは既に述べましたが、実は思春期においても自立神経が乱れる傾向にあるのです。これらさまざまな理由で女性には冷え性が多く、冷え性に悩む方の割合は実に女性の54%だといわれています。

冷え性の診断や治療方法

説明する医師の手元

冷え性は何科を受診すればよいですか?

冷え性で悩んだ際に受診すべき科としては、内科・循環器科・産婦人科などが挙げられます。冷え性には漢方が有効とされており、内科の中でも特に漢方内科へ相談すれば症状に応じた漢方を処方してもらえるはずです。
ただし冷え性の原因はさまざまで、上記で述べた更年期障害・自律神経の乱れなど、女性特有の原因によるものもあります。
また、冷え性がひどい場合は精神面での不調も原因として考えられます。その場合はメンタルヘルス専門医の受診も視野に入れて検討するとよいでしょう。

冷え性はどのように診断されますか?

冷え性の概念そのものは東洋医学の発祥であり、東洋医学ならではの独特な診断が行われます。実は西洋医学では冷え性が症状として認められておらず、適切な治療法も確立されていないのです。東洋医学の診断で特徴的なのは、気・血・水の概念を元に診断を行う点です。
気とは生命エネルギーのことで、気・血・水の3つのバランスが崩れると病気になるとされています。具体的に冷え性の診断においては、舌の状態・腹部の緊張・脈などを観察しながら行われます。

医療機関ではどのような治療を行いますか?

冷え性の治療に最も有効とされているのが漢方です。漢方は上記で述べた東洋医学に由来しており、西洋医学においても近年その効果が見直されつつあります。冷え性に効く漢方薬は冷え性の種類によってさまざまですが、にんじん・しょうが・にんにくなどは漢方を構成する基本的な材料です。
これらは食材として料理に使うよりも、蒸す・乾燥するなどして調合された漢方薬として飲む方が温める効果が高いとされています。
一方で漢方では治らない冷え性もあります。それは動脈硬化などにより血流に支障が出ているような冷え性です。歩けなくなるほど足が冷えている場合はその可能性が高いといえます。その場合は漢方では対処できず、西洋医学的な外科手術などが必要となります。

冷え性の予防や食事

豚肉のしょうが焼き定食

冷え性を予防する方法はありますか?

冷え性の予防として有効なのは生活習慣の改善です。特に食生活は重要だといえます。食事から得られるエネルギーの75%は体温維持に役立つ熱となるからです。また、ビタミンE・ビタミンC・パントテン酸などは血流の改善・貧血予防・自律神経の活性化など、冷え性対策には嬉しい効能があります。積極的に食事で摂るようにしましょう。
そのほか、生活習慣の改善としては運動も挙げられます。ウォーキング・ストレッチ・筋トレなどが代表的ですが、運動そのものには自律神経を整える働きがあります。また、熱を発する筋肉の量も増えていくので、一石二鳥です。

食事で気を付けるべきことを教えてください。

冷え性対策の一環で食事を意識する際、気を付けるべき点は体を冷やす食材を避けることです。体を冷やす食材と聞くとあまりイメージが湧かないかもしれませんが、具体的にはきゅうり・なす・キャベツ・ほうれん草などです。これらの特徴として夏野菜である・水分が多いなどが挙げられます。
特に夏野菜は体を冷やす効果があるとされており、その特徴ゆえに夏バテ防止に有効な食材なのです。体を冷やす食べ物は避け、先述したビタミン類など、体を温めるサポートとなる栄養素を積極的に取り入れていきましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

冷え性は女性に多い症状であり、部位や症状によって種類が分かれるのが特徴です。西洋医学において冷え性の概念が確立されていない一方で、東洋医学においては頭痛・肩こりなどをはじめ、あらゆる病気の原因となる症状が冷え性だと考えられています。
その東洋医学で生み出された漢方薬は、冷え性に最も有効な治療法です。冷え性に悩んでいる方は漢方内科の受診を検討するのがよいでしょう。ただし歩けないほどの冷え性だと、動脈硬化などによる血流への支障が出ている可能性があります。
その場合は漢方薬ではなく、血管を拡張するなどの外科手術が必要になってくる場合もあります。いずれにしても一人で悩まず、医療機関を受診して判断を仰ぎましょう。

編集部まとめ

パソコンをしながら休憩中の女性
この記事では、冷え性の原因・治療方法・食事で気を付けるべきことなどについて解説しました。冷え性は体温が低いということではなく、本人の感じ方で決まるのが特徴です。

冷え性の原因は部位・症状によって様々ですが、特に多くの方が悩む末端の冷え性が起こる原因は血流の悪化です。そのほか、体を冷やす食材を食べたり、自律神経が乱れたりすると起こる冷え性もあります。

冷え性の治療方法として有効だとされているのは漢方薬です。主な材料にはにんじん・しょうが・にんにくなどがあり、これらは調理して食べるよりも、漢方薬として調合して飲む方が体を温める効果があるとされています。

また、食事で気を付けるべきこととして、体を冷やす食材を避けることを紹介しました。代表的なものはきゅうり・なす・キャベツ・ほうれん草などです。

冷え性は辛い症状ですが、必ず原因と改善方法があります。この記事が冷え性を改善する一助となれば幸いです。

この記事の監修医師