「炭水化物の一日の摂取量」はご存知ですか?男女別・ダイエット中の摂取量も解説!
炭水化物の一日の摂取量とは?Medical DOC監修医が炭水化物の一日の摂取量・男女別の摂取量・ダイエット中や筋トレ時の摂取量・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・摂取量のコントロール方法などを解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「炭水化物」とは?
炭水化物は、脂質、たんぱく質とともに三大栄養素としてあげられる人間の身体に欠かせない栄養素です。人間の体で消化吸収できる糖質と消化ができない食物繊維から形成された炭素と水素の化合物の総称が炭水化物で、脳や神経を動かし集中力を維持するなど生活に欠かせないエネルギー源となります。特に日本人が主食としている米やパン、麺などの穀物やジャガイモ、さつまいもなどの芋類に多く含まれており、私たちの食の中心を担う栄養素です。
「炭水化物」と「糖質」の違い
糖質とは炭水化物を形成する要素のひとつです。炭水化物と糖質は同じと考える方も少なくなくありませんが、炭水化物のなかで消化吸収できるエネルギー源を糖質、消化できないエネルギー源を食物繊維といいます。そのため糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いたものです。
【男性】炭水化物の一日の摂取量
一日に摂取してよいとされる炭水化物の量は、年齢・性別・日中の活動量によって変化します。一般的な目安としては、男女ともに一日に必要とされるエネルギー量の50〜65%です。20〜60代男性の場合、活動量で計算するとおおよその数値は下記のようになります。
- 日中の活動量が低い場合(食事摂取カロリー2,200kcal):275〜357g
- 日中の活動量が普通の場合(2,600kcal):325〜422g
- 日中の活動量が高い場合(3,000kcal):375〜487g
食事摂取カロリー(2,200〜3,000kcal)×エネルギー量の50〜65%÷4(炭水化物1g約4kcal)の計算で算出ができます。また炭水化物は1gあたり約4kcalのため、覚えておくとカロリー計算にも便利です。
【女性】炭水化物の一日の摂取量
次に20〜60代の成人女性の炭水化物の一日の摂取量を活動量から見ていきます。
- 日中の活動量が低い場合(食事摂取カロリー1,400kcal):175〜227g
- 日中の活動量が普通の場合(2,000kcal):250〜325g
- 日中の活動量が高い場合(2,400kcal):300〜390g
女性の場合は男性と比べて目安の食事摂取カロリーが少ないため、炭水化物の一日の摂取量も少なくなります。ただし、女性は妊娠など体の変化にあわせて食事の量や質も変化するので、自身の心身状況と向き合って炭水化物の摂取量を調整するなどが大切です。
【ダイエット中】炭水化物の一日の摂取量
ダイエットをするうえで食事制限をする際に、多くの方が最初に減らそうと考えられるのが糖質です。糖質は人間のエネルギー源となりますが、適正量以上の摂取で消費しきれなかった糖質が中性脂肪として蓄積されていき体重の増加につながります。そのため糖質が含まれる炭水化物の摂取量を減らす方が多く、炭水化物の量を130g以下にすることで緩やかに糖質を制限し、ダイエット効果が期待できるとされています。個々の代謝や活動量によって適切な摂取量は異なります。一方で、炭水化物を減らしすぎることでエネルギー不足になり仕事や生活、心身に支障が出ることもあるため過度な炭水化物の制限は避けましょう。
【筋トレ】炭水化物の一日の摂取量
筋肉トレーニングに炭水化物は欠かせない栄養素です。炭水化物は筋肉収縮に必要なエネルギー源である筋グリコーゲンという筋肉に蓄えられる糖を作り出します。この筋グリコーゲンは炭水化物が不足すると減少し、筋肉を分解するため筋肉量が落ちる原因となります。特に筋肉トレーニングを行い消費カロリーが上がり日中の活動量が増えると食事の摂取目安カロリーも増えるため炭水化物の摂取量も増やすことが望ましいです。20〜60代男女で筋肉トレーニングを行うなど日中の活動量が多い場合の炭水化物の一日の摂取目安量はおおよそ下記のとおりです。
- 20〜60代男性:375〜487g
- 20〜60代女性:300〜390g
運動中は糖を細胞に吸収し活発になるので、運動直後に炭水化物を補給すると筋グリコーゲンの速やかな回復につながります。
炭水化物を過剰摂取すると現れる症状
血糖値の上昇
炭水化物の過剰摂取により血糖値が急激に上昇します。これは炭水化物に多くの糖が含まれているためで、血糖値が急上昇すると強い眠気や集中力の低下が引き起こされます。炭水化物を摂る前に野菜や海藻などを摂取すると血糖値の上昇が緩やかになるため食事の食べる順などを心がけるとよいでしょう。
体重の増加
炭水化物はエネルギーの吸収が早いため過剰に摂取すると、消費が追いつかなかった栄養素が脂肪として蓄積され、体重が増加し、メタボリックシンドロームなど生活習慣病に転化していきます。食事を選ぶ際には、たんぱく質や脂質もあわせてバランスよく組み合わせ、炭水化物だけを過剰に摂取しないような工夫をしましょう。
炭水化物が不足すると現れる症状
自律神経の乱れ
炭水化物が急激に不足すると生命活動をつかさどる重要な自律神経が乱れます。炭水化物は人間の大きなエネルギー源であり、不足しエネルギーが枯渇すると自律神経の働きも低下していきます。自律神経が乱れると自律神経失調症など生活に支障を及ぼす病気へと発展していくため、炭水化物の不足には気をつけましょう。
脳へのダメージ
炭水化物の不足により糖が減少し、脳へさまざまなダメージを及ぼします。炭水化物が生み出すブドウ糖は脳が唯一使うことができるエネルギー源です。そのため炭水化物が不足すると脳が使えるエネルギーがなくなり栄養不足の状態になり、脳がうまく機能しなくなります。脳が働かなくなると生活に支障が出るだけでなく、記憶障害など重大な病気となることもあります。炭水化物の量は自身の心身状況にあわせて適切な量を摂取するのが大切です。
炭水化物の一日の摂取量をコントロールする方法
糖質の少ない食品を摂る
炭水化物に含まれる糖質が多くなると血糖値が上がり太りやすくなることや、食欲増加につながり炭水化物の過剰摂取の原因にもなります。そのため炭水化物でも低GI食品など糖質が少ないものを選ぶといいでしょう。GIとはグリセミック・インデックスの略称で食後の血糖値の上昇度を示す値です。GIは高い数値程血糖値が急上昇し、低い数値だと緩やかに上昇します。高GIは70、中GIは56〜69、低GIは55以下のように数値で分類されています。主な低GI食品は以下のとおりです。
- 穀物:そば(GI値46)、スパゲッティ(GI値46)、春雨(GI値35)
- 野菜:キャベツ(GI値26)、レタス(GI値23)、ブロッコリー(GI値25)、ピーマン(GI値26)
- 、きのこ類(GI値40)
- 果物:リンゴ(GI値34)、イチゴ(GI値40)、グレープフルーツ(GI値25)、みかん(GI値33)
- 乳製品:牛乳(GI値27)、ヨーグルト(GI値27)、チーズ(GI値35)
このような食品を取り入れ炭水化物の量をコントロールして、炭水化物の一日の摂取目安量を達成しながら糖質を抑えることができます。
食事の栄養バランスを整える
炭水化物の量をコントロールするには、たんぱく質、脂質と三大栄養素のバランスが整った食事を心がけることが大切です。厚生労働省は健康的な身体を保つための基準で、三大栄養素の一日の理想比率であるPFCバランスを下記の割合で推奨しています。
- たんぱく質(Protein):13~20%
- 脂質(Fat):20~30%
- 炭水化物(Carbohydrate):50~65%
この割合を指針にして炭水化物の過剰摂取や、不足をコントロールできます。
「炭水化物の一日の摂取量」についてよくある質問
ここまで炭水化物の一日の摂取量を紹介しました。ここでは「炭水化物の一日の摂取量」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
炭水化物の一日の摂取量はお茶碗何杯分でしょうか?
武井 香七 医師
炭水化物の一日の摂取量は個人差があるので、ここでは日中の活動量が普通レベルの20〜60代の成人男性と女性が白米を摂ると仮定して換算します。まず白米100gに含まれる炭水化物の量は約77gです。日中の活動量が普通レベルの男性は約325〜422g、女性は250〜325gの炭水化物の摂取が目安で、一杯100gの白米盛ったお茶碗に換算すると下記のようになります。
男性:4〜5杯
女性:3〜4杯
一日に炭水化物は白米などの主食以外の食品からも摂取しているため、簡単に炭水化物の目安量を超えている場合も少なくありません。自分に必要な炭水化物の量を認識しておくと過剰摂取を予防することができます。
編集部まとめ
本記事では、炭水化物の一日の摂取量について解説しました。
炭水化物は脳や身体を支えるエネルギー源として必要不可欠な栄養素です。過剰摂取や不足によって体調に変化をもたらすこともあります。しかし、一日摂取量を守ることで生活習慣病の予防や、仕事や生活の質の向上に役立ちます。
また炭水化物の一日摂取量は個人によって異なります。まずは自分に必要な量を知ることが大切です。
「炭水化物の一日の摂取量」と関連する病気
「炭水化物の一日の摂取量」と関連する病気は7個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「炭水化物の一日の摂取量」と関連する症状
「炭水化物の一日の摂取量」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 集中力の低下
- 疲労感
- 倦怠感
- 肥満