「ミネラルの効果」はご存知ですか?日本人が摂り過ぎているミネラルも解説!


監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「ミネラル」とは?

ミネラルの一日の摂取量

ミネラルの種類

ナトリウム
ナトリウムは細胞外液に存在していて、細胞の外の体液の浸透圧を調節する役割があり、生命維持に必要不可欠なミネラルです。日本人は十分に摂取できていて、むしろ摂りすぎる傾向があります。過剰摂取により高血圧や慢性腎臓病のリスクが高まります。カリウム
カリウムは細胞内に存在し水分量を調整するミネラルです。高血圧の原因となるナトリウムの排泄を促す効果があるので、積極的に摂取することが推奨されています。カルシウム
カルシウムは人体に最も多く存在するミネラルです。そのほとんどがリン酸カルシウムとして骨や歯に含まれます。ごく一部がカルシウムイオンとして、血液・筋肉・神経のなかに存在し、さまざまな生理機能の調節を行っています。マグネシウム
マグネシウムは、リンやカルシウムとともに骨を形成するほか、身体のさまざまな代謝を助ける機能を持っています。リン
リンは体内のさまざまな場所に存在し、骨や歯の形成と維持に必要なミネラルです。ミネラルのなかでもカルシウムの次に多く存在します。ミネラルの効果

ナトリウムの具体的な効果
ナトリウムは、浸透圧の維持や細胞外液量の調節を行うことで体液のバランスを保ちます。また神経の伝達・筋肉の収縮・糖やアミノ酸の運動輸送などに関与します。カリウムの具体的な効果
ナトリウムと同様に浸透圧や酸・塩基平衡の調節に関わって体内の水分バランスを保ちます。また神経や筋肉の興奮伝達にも関与しています。特に重要なのが、ナトリウムの排泄です。特に日本人はナトリウムの摂取量が過剰傾向のため、カリウムの摂取が重要とされています。カルシウムの具体的な効果
カルシウムの約99%は骨に存在し、骨格を構成する役割があります。残りの1%は血液・組織液・細胞に含まれていて、血液凝固を促して出血の予防をしたり、筋肉の収縮や心臓の拍動を調整したり、生理機能の調節を行っています。マグネシウムの具体的な効果
体内のマグネシウムの約6割は骨や歯の形成に使われます。残りは筋肉・脳・神経に存在して、300種類以上の酵素を活性化する働きがあり、筋肉の収縮・神経情報の伝達・体温や血圧の調整にも役立っています。リンの具体的なな効果
リンの85%はカルシウムやマグネシウムと結合して骨や歯を形成します。残りはタンパク質や脂質と結合して体内のあらゆる場所に存在して、細胞膜や核酸の構成要素となります。またエネルギーを発生させる化合物の構成要素となったり、細胞のpHバランスや浸透圧を保ったり、体内でいろいろな働きをする重要なミネラルです。ミネラルが不足すると現れる症状

ナトリウム不足の具体的な症状
ナトリウムが不足すると低ナトリウム血症を引き起こす可能性があります。軽い疲労感から頭痛や嘔吐があり、重症化すると痙攣や昏睡を起こすこともあります。自己判断せず早急に受診してください。カリウム不足の具体的な症状
カリウムが不足するとナトリウムの排泄に影響が出るので、高血圧や慢性腎臓病に罹りやすくなります。また脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられます。カリウム不足が慢性化すると低カリウム血症になる可能性もあるので、長引く場合は受診してください。カルシウム不足の具体的な症状
カルシウムが不足すると骨が十分に成長することができず、骨折や骨粗鬆症の原因につながります。日本人はカルシウムが不足傾向にあるので、日頃から意識して摂取することが重要です。不足していることはなかなか自覚できませんが、予防のためにも普段から意識してください。マグネシウム不足の具体的な症状
マグネシウムが不足すると骨の形成に影響が出るほか、不整脈・虚血性心疾患・高血圧・筋肉の痙攣・こむらがえりを引き起こします。リン不足の具体的な症状
リンは多くの食品に含まれているために、不足や欠乏になることはないと考えられています。ミネラルを多く含む食品

ナトリウムを多く含む食品名
ナトリウムは日常の食生活で十分摂取できているので、通常は意識して摂取する必要はありません。むしろ高血圧や慢性腎臓病のリスクがあるので減らす努力をしましょう。カリウムを多く含む食品名
カリウムを多く含む食品は、海藻類・バナナやメロンなどの果実類・いも類・豆類・ほうれん草やブロッコリーなどです。一品だけを食べるのではなくバランスよく食べましょう。カルシウムを多く含む食品名
カルシウムは成人男性で700mgから800mg、女性で650mg摂取することが推奨されています。カルシウムを多く含む食品は乳製品・小魚・豆腐・ひじき・水菜・小松菜などです。カルシウムの吸収を促進するビタミンD(キノコ類など)を一緒に食べるのが効果的です。マグネシウムを多く含む食品名
マグネシウムを多く含む食品は、にがり・ナッツ類・きな粉・海藻類・ひじき・エビ・イワシなどです。リンを多く含む食品名
リンは食品にも含まれていて、通常は不足することはありません。特に加工食品やインスタント食品には多く含まれています。むしろ多くとりすぎると、カルシウムの吸収を阻害するので注意が必要です。ミネラルの効果的な摂取方法

ミネラルを多く含む食品の摂取
ミネラルは身体で生成されないので食べ物から摂取する必要があります。ミネラルは野菜や果物に多く含まれるので積極的に食べましょう。特に緑黄色野菜・豆類・海藻類・乳製品にはミネラルが多く含まれます。ある一品だけを集中的に食べるのではなく、バランスのよい食事を心がけてください。ミネラルと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
カルシウムを摂取する際にはビタミンDを一緒に摂取すると吸収が高まります。ビタミンDを多く含む食品は、イワシ・さんま・サケ・キクラゲ・シイタケなどです。ミネラルの効果を高める摂取タイミング
ミネラルはできるだけ食事からの摂取を目指すべきです。しかし不足するミネラルをサプリメントで補うこともあります。カルシウムやマグネシウムは、食後すぐでは胃酸と中和しやすいので、食前か就寝前がよいでしょう。カリウムは食事でとったナトリウムを排出するためにも食後に摂取するのがおすすめです。「ミネラルの効果」についてよくある質問

ここまでミネラルの効果を紹介しました。ここでは「ミネラルの効果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
日本人が摂り過ぎているミネラルについて教えてください。
武井 香七 医師
日本人はナトリウムとリンを摂り過ぎている傾向があります。日本人の食事摂取基準では、成人男性7.5g・女性6.5g未満を目標とされています。しかし現状の摂取量は男性11g・女性9g程度あり、以前より減少しているものの、もっと制限しなくてはなりません。カリウムを多く含む野菜や果物を一緒に食べることで、ナトリウムの排泄を促進します。リンも食品添加物に多く含まれているので過剰の傾向があります。インスタント食品や加工肉に食事が偏ると、つい多くのリンを摂取することになるので注意が必要です。
三大ミネラルについて具体的に教えてください。
武井 香七 医師
意識して摂取したいミネラルはカリウム・カルシウム・マグネシウムの3つです。普段から多く摂取するように心掛けていないと不足してしまいます。摂り過ぎたナトリウムを排泄するにはカリウムが必要ですし、ナトリウムと一緒に排泄されてしまうので意識して摂取する必要があります。カルシウムは骨だけではなく心筋の収縮を増す働きのある重要なミネラルです。マグネシウムはカルシウムと一緒に骨を形成しますが、体温や血圧の調整にも必要なミネラルです。




