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「ロコモ」と診断されたら? 原因と対策について介護福祉が解説

 更新日:2023/03/27

ロコモ」という言葉をご存知でしょうか? 聞いたことがあるけど、実際どういうものなの? そんな疑問を持っている方も多いでしょう。今回は、もしもロコモと診断されたらどうしたらいいのかという疑問を、「介護福祉士」の斉藤さんに伺いました。

斉藤 直美

監修
斉藤 直美(介護福祉士)

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短大を卒業後、介護福祉施設にて介護士として就職。働きながら介護福祉士の資格を取得し、勤続年数17年目。「ありがとう」という感謝の言葉をかけていただくことも多く、高齢者の方の元気な姿にいつも励まされる日々を過ごす。初心を忘れず毎日誰かの役に立つことをモットーに、現在はライターとしても活動中。

ロコモになる原因を詳しく知ることが大切

ロコモになる原因を詳しく知ることが大切

編集部編集部

ロコモって何ですか?

斉藤 直美斉藤さん

「ロコモ」は運動器の障害のため、移動機能が低下している状態のことで「ロコモティブシンドローム」の略称になります。立つ、歩く、作業するなどの動作が衰え、進行すると要支援・要介護のリスクが高まります。

編集部編集部

ロコモはどんな人がなりやすいのでしょうか?

斉藤 直美斉藤さん

若い頃から高血圧や生活習慣病のある方は、ロコモの原因となる疾患にかかりやすいと言われています。また、骨粗しょう症、変形性関節症、変形性脊椎症、神経障害などの疾患も、ロコモになりやすい傾向にあります。

編集部編集部

男性と女性ならどちらが発症する確率が高いですか?

斉藤 直美斉藤さん

ロコモに結びつきやすい病気のひとつに骨粗しょう症があり、女性の発症率が高いことで知られています。筋力も男性よりも女性の方が少ないので、下半身の筋力も弱い傾向にあります。そして平均寿命も女性の方が長いので、加齢に伴いロコモが発症する可能性は高いと言われています。

ロコモと診断されたらどうしたらいいのか

ロコモと診断されたらどうしたらいいのか

編集部編集部

ロコモと診断されたら、どんな治療法がありますか?

斉藤 直美斉藤さん

ロコモと診断されて痛みが伴う場合は、身体面や精神面での負担が軽減されるように、整形外科での投薬治療が必要になります。痛みがない場合は、理学療法士による運動指導を中心とする治療から始めます。一番大切なのは、無理をせずにご自身のペースで医師の指導のもと、適切な治療を続けることです。

編集部編集部

ロコモに一度なると治らないのでしょうか?

斉藤 直美斉藤さん

ロコモは運動器の衰えによるものなので、発症してから進行を遅らせることは可能ですが、完治するのは難しいでしょう。歳を重ねるごとに筋力が衰えるのは避けて通れない道です。そのため若い頃から食生活に気をつけて、筋力が衰えないように適度な運動をする習慣をつけておくことが重要です。

編集部編集部

どの年代でもロコモになる可能性はあるでしょうか?

斉藤 直美斉藤さん

若い世代でも生活習慣や食生活の乱れ、痩せすぎ、太りすぎなどの身体的な偏りが原因で、ロコモになる可能性は大いにあるでしょう。最近は高齢者だけではなく、運動不足の若者が増えているためロコモ予備軍が増えつつあります。

いつまでもいきいきと元気良く過ごすために

いつまでもいきいきと元気良く過ごすために

編集部編集部

自分でできる簡単なロコモチェックはありますか?

斉藤 直美斉藤さん

以下の簡単なチェック項目があります。
① 立ち上がりをスムーズにおこなえるか
② 少しの段差でつまずくことはないか
③ 階段を上がるのに手すりが必要か
④ 家で物を運ぶ際に少しでも重いと下げるのが困難
⑤ 2㎏以上の買い物袋を持ち帰ることができない
⑥ 15分くらいでも続けて歩くことができない
⑦ 青信号で横断信号を渡りきれない
この中で少しでもあてはまる項目がある場合、ロコモの可能性があるので気を付けましょう。

編集部編集部

日頃からできるロコモの予防策はありますか?

斉藤 直美斉藤さん

毎日少しでもいいので歩く時間を増やし、エレベーターやエスカレーターを使わずに、できるだけ階段で上り下りを意識するようにしてください。自宅でも取り入れられるストレッチを行うのもおすすめです。ロコモに特化したトレーニングや片足立ちで全身のバランスを整え、スクワット運動を中心に行うようにするなどの運動も効果が期待できます。休日には外出を楽しみ、できるだけ身体を動かすようにしましょう。そして、バランスの良い食生活と規則正しい生活習慣を心掛けることが、ロコモの予防対策につながります。

編集部編集部

ロコモ予防にはどのような食事がいいのでしょうか?

斉藤 直美斉藤さん

筋肉の元となるたんぱく質を、肉や魚から摂取しましょう。エネルギー源となる炭水化物や脂質もしっかり補給することが大切です。また、カルシウムやコラーゲンが多い食材は骨を強くします。そのため、カルシウムの吸収率を高めるビタミンDを多く含む食材と合わせて摂取するのがおすすめです。腸でのカルシウムの吸収を高める働きがあり、サケ、イワシ、しらす干しなどの魚介類、きくらげ、干ししいたけ、舞茸などのキノコ類に多く含まれています。ビタミンKは骨の形成に大きく関わるので、納豆やブロッコリー、ニラ、キャベツ、モロヘイヤ、ほうれん草、抹茶などを摂ることも大切です。これらの食べ物をバランスよく取り入れた食事を、日頃から心掛けていきましょう。

編集部まとめ

ロコモとは、どんな状態のことをいうのか詳しく知っておくことが、普段の生活の中で運動や食事に気を配る習慣につながります。これから続く長い人生を視野に入れて、いつまでも自分の足で歩けるようにロコモ予防対策を頑張りましょう。

この記事の監修介護福祉士