「病は気から」って本当なの?重い病でも気持ちが前向きなら治る?【医師解説】

病は気からって言うけど本当なの?メディカルドック監修医が医学的根拠や免疫力を高める生活習慣や食べ物などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「病は気から」って言うけど本当なの?

「病は気から」とは、病気は気の持ちようで良くも悪くもなる、つまり気持ちの持ち方が健康に大きく影響するという意味の慣用句です。確かに、ストレスが強くかかることで体調を崩しやすくなることを経験することも多いと思います。この「病は気から」は本当なのでしょうか?
「病は気から」の医学的根拠

ストレスが免疫力を低下させる
身体にストレスがかかると、交感神経が興奮するようになります。交感神経が興奮し、β2アドレナリン受容体が刺激されると、リンパ球がリンパ節から出るのを抑え、リンパ球が炎症部位に到達しづらくなることが報告されています。この現象は、感染症が身体で起こっている場合、炎症部位にリンパ球が到達しづらくなることで、感染症の治癒が遅れてしまうことにつながります。
精神的、肉体的な疲れやストレスが溜まっているときには感染症が治りづらくなることがあり、この現象がいわゆる「免疫力が低下している」という状態と考えられるでしょう。
プラセボ効果
プラセボ効果とは、実際に効果のない偽薬を服用したにも関わらず、患者さんが症状の改善を実感する現象のことです。このプラセボ効果は、効果のある薬を飲んでいるという気持ちが症状の改善を起こしていると言えます。過敏性腸症候群や腰痛症などの慢性疼痛などへのプラセボ効果を調査した研究では、プラセボ群での改善がみられました。このように実際に有効性のある薬でなくとも効果があると信じる気持ちで症状が改善することもあるのです。まさに「病は気から」ということもできるのではないでしょうか?
自律神経への影響
日常生活でのストレスや不安感などが影響して自律神経のバランスを崩したり、うつ病などの精神疾患の原因にもなります。日常生活のストレスをためやすかったリ、自分で抱え込むような性格の場合にはリスクになります。
逆にストレスを上手く解消できるようにしたり、自分がリラックスできる環境を整え、気持ちを安定させることで自律神経のバランスを整え、うつ病などの発症リスクを軽減させることが可能となるでしょう。
また、実際にストレスにより病状が悪化することが分かっている病気もあります。過敏性腸炎や胃・十二指腸潰瘍、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、片頭痛、筋緊張性頭痛などです。これらの病気も気持ちが前向きでストレスを感じにくくなれば病状が改善します。これらの病気もまさに「病は気から」と言えるかもしれません。
重い病に罹っても気持ちが前向きなら治ることはあるの?

重い病気になった時、つい気分が落ち込みがちになります。また、精神的にも身体にもストレスがかかることも多いです。このような状態では前述したように、交感神経が活性化されリンパ球が炎症部位に到達しづらくなります。
重病でも、気持ちが前向きでストレスをあまり感じていないようであれば、これらの反応が起こりにくく、炎症が治りやすい可能性は考えられます。しかし、病気の種類によっては気持ちが前向きになってもなかなか治りにくい病気も多いです。
治りづらい時でも気持ちを前向きにすることでストレスをためにくく過ごすことができると考えられます。
気持ちが沈むと免疫力も下がる?

気持ちが沈むと精神的にも身体的にもストレスがかかります。そうすると、リンパ球が炎症部位に到達しづらくなります。このような現象が起こるため、感染などに対して治癒しにくくなり、いわゆる免疫力が下がっているという状態になります。
医学的に免疫力が高いと定義される人の特徴

医学的には免疫力が高いとはあまり言いません。免疫力が低下しているかもしくは、免疫力が正常/保たれていると表現されることが多いです。ここでは、免疫力が低下している状態ではない、正常である状態がどのようなものか考えていきましょう。
病気による免疫低下がない
免疫力の低下はいわゆる「免疫不全」や「易感染状態」などと言われることが多いです。感染症への抵抗力が著しく低下している状態と言えます。この状態はさまざまな原因によりリンパ球やマクロファージなどの体を守る免疫システムの機能が低下している事によります。
この免疫不全は重症複合免疫不全症などの生まれながらの病気のこともあれば、HIV感染による後天的免疫不全症候群(エイズ)、白血病やリンパ腫などの血液疾患によるものもあります。また、糖尿病やがんなどの慢性疾患も免疫機能の低下を起こしやすいです。
これらの免疫不全を起こす病気が無いことがまず大切です。
薬剤による免疫低下がない
免疫不全の状態は、ステロイドや免疫抑制剤、抗がん剤などの薬剤によっても起こります。易感染性を引き起こすような薬剤の使用がないということも大切です。
若い
加齢により免疫機能は低下します。このため若い人の方が免疫機能が正常に働いていると言えます。
栄養状態が良い
低栄養状態では免疫機能が低下します。そのため食事をバランスよく食べ、栄養状態が良いことも免疫機能を正常に保つ条件となります。
ストレスがない
ストレスがかかっている状態では、リンパ球が炎症部位へ到達するのが妨げられるため治癒が遅れます。この状態とならないためにストレスをためず、気持ちを安定させることが大切です。また、健康を保ち身体へのストレスがなるべくないようにしましょう。
免疫力を高める生活習慣

ストレスのない生活
まず免疫力を維持するためには、ストレスの少ない生活をすることが大切です。現代社会では、ストレスが全くないということは少ないですが、なるべくストレスをためこまない様にしましょう。
生活習慣を整える
睡眠不足や運動不足は免疫力を低下させやすいです。十分な睡眠をとり、適度な運動をして体調を整えましょう。
バランスの良い食事
低栄養は免疫力を低下させます。しっかりとバランスよく食事を摂り、栄養状態を改善させましょう。
免疫力を高める食べ物

免疫力を高めるために有効と言われている食材の一部を、下に挙げていきます。免疫力を高めるためには、これだけ食べればよいというわけではなく、いろいろな食材をバランスよく摂ることが大切です。
タンパク質
免疫細胞や抗体産生のための原料となるタンパク質は重要な栄養素です。肉や魚、大豆製品などのタンパク質をしっかりと食事に取り入れるようにしましょう。
発酵食品
腸内環境を整えることが免疫力を高めるためにも大変重要です。ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどの発酵食品を摂ることも心がけましょう。
ビタミン類、ミネラル
腸管免疫に作用して活性化させると言われているミネラルやビタミン類も大切です。亜鉛、セレンなどのミネラル類やビタミンA、C、D、Eなどが含まれる食材を取り入れましょう。
亜鉛はカキ、うなぎ、豚レバー、ナッツ類などに、セレンはマグロ、イワシなどに多く含まれます。
ビタミン類は野菜果物類、ビタミンDは魚介類、キノコ類などに含まれます。ビタミンEはナッツ類などに多いです。
「病は気から」についてよくある質問

ここまで病は気からについて紹介しました。ここでは「病は気から」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
病は気からはプラセボ効果と関連があるのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
プラセボ効果は効果があると期待して内服した偽薬で、症状が改善する現象のことです。信じることで脳内麻薬と呼ばれる物質の放出や自律神経の調整が起こり、実際に症状が改善するという意味では、正に「病は気から」の一つの例だと言えます。
まとめ 「病は気から」は本当です
病は気からという昔からの慣用句がありますが、これが本当かについて今回は解説しました。病気の種類によっては、気持ちを前向きに持ってもなかなか治りにくい種類の病気もあります。しかし、精神面が影響することも少なくありません。
実際、ストレスによる影響が免疫力を低下させたり、自律神経のバランスを乱したりすることも多いです。このため、気分を前向きにして、ストレスをなるべくためこまず過ごすことで病気を改善させることも期待できます。普段から、このように気持ちを安定させることも病気にならない、悪化させないために大切です。また、プラセボ効果と言って治療を信じることにより改善することもあります。治療自体にあまり疑いを持ち過ぎず、担当医との信頼関係を築くことも大切であると言えます。
「病は気から」と関連する病気
「病は気から」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系
- 動悸
消化器系
- 過敏性腸症候群
- 胃・十二指腸潰瘍
呼吸器系
神経系
- 片頭痛
- 筋緊張性頭痛
皮膚科系
ストレスなどにより悪化しやすい病気は上記の様にさまざまです。また、免疫力の低下により感染症などの治癒が遅れることも考えられます。
「病は気から」と関連する症状
「病は気から」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
精神面での影響を受けやすい病気によって症状の出方はさまざまです。特定の症状で区別ができるわけではありません。気になる症状があるようであれば、内科など症状が出ている部位の診療科を受診してください。
参考文献



