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「心筋炎の初期症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が徹底解説!

 公開日:2025/11/14
「心筋炎の初期症状」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が徹底解説!

心筋炎の初期症状とは?Medical DOC監修医が心筋炎の初期症状・原因・なりやすい人の特徴・治療法などを解説します。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心筋炎」とは?

心筋炎とは、心臓を動かす筋肉である心筋に炎症が生じる病気です。主な原因として、ウイルス感染(コクサッキーウイルスなど)、自己免疫反応、薬剤やワクチンなどがあげられます。炎症によって心筋細胞が傷つくと、心臓の収縮力が低下し、全身に血液を十分に送り出せなくなります。その結果、息切れ、動悸、むくみ、胸の痛み、倦怠感などの心不全症状が現れます。重症の場合には、急性心不全や致死性の不整脈を起こすこともあります。診断には血液検査、心電図、心エコー、MRIなどが用いられ、原因に応じて抗ウイルス薬や免疫抑制薬などの治療が行われます。軽症では自然に回復することもありますが、重症化すると生命に関わるため、早期発見と適切な治療が重要な疾患です。

心筋炎の初期症状

心筋炎の初期症状は、風邪に似ているのが特徴です。しかしながら、心筋炎であった場合は、急に重症化することがあるため、注意を要します。代表的な初期症状を5つとりあげ説明します。

発熱

風邪と同様に発熱がみられます。原因の多くは、ウイルス感染に伴う免疫反応によるものです。数日続くこともあります。このような場合は、安静にして水分を十分に取り、無理をしないことが大切です。解熱剤で一時的に熱が下がる場合もありますが、症状が長引くときや急に息苦しさが出る場合は注意が必要です。まずは内科や循環器内科を受診し、心臓が原因でないかを診断してもらうことが重要です。

全身倦怠感

心筋炎によって心臓の機能低下が進むと、日常生活や軽い運動でも疲れやすくなることがあります。特に、階段を上るだけで息が上がる、体が重く感じるなどの症状は注意が必要です。無理に活動を続けず、安静を心がけましょう。症状が続く場合は内科や循環器内科を受診し、心エコー検査などで心機能の評価を受けることが大切です。早期の診断が重症化を防止できます。

胸痛や胸部圧迫感

心筋の炎症により、心臓周囲の神経が刺激され、胸痛や胸部圧迫感が起きることがあります。日常において経験することが多い症状ですが、継続する場合は心臓由来である場合もあるので、放置は危険です。循環器内科や救急科を受診し、心電図や血液検査などで早期に診断を受けることが重要です。

息切れ

心筋の収縮力が落ちることにより、軽い運動や会話だけでも息切れを感じることがあります。横になると苦しくなる場合は、心不全の可能性があります。自宅では座位で安静にすることを心がけましょう。症状が進むと急激に悪化する危険があるため、救急外来や循環器内科を早急に受診しましょう。

動悸や脈の乱れ

心筋の炎症により心臓の電気信号が障害されると、動悸や脈の乱れが現れることがあります。安静にしてもおさまらない場合や、めまい・ふらつきを伴う場合は危険な不整脈の可能性があるので、スマートウォッチなどで脈拍を記録することをおすすめします。循環器内科を受診し、心電図などで不整脈の有無を確認することが重要です。

心筋炎の主な原因

心筋炎にはさまざまな原因がありますが、その中でも感染によるものが最も多いです。ここでは、代表的な原因を3つあげてご説明いたします。

ウイルス感染

心筋炎の最も多い原因はウイルス感染です。コクサッキーウイルス、インフルエンザウイルス、コロナウイルスなどが関与します。感染後1〜2週間で、発熱、倦怠感、胸痛、息切れなどの症状が現れることが多いです。これらの症状が現れた際は、内科や循環器内科を受診し、心電図や心エコー検査を受けましょう。

自己免疫反応

自己免疫疾患やワクチン接種後などで、自分の免疫が誤って心筋を攻撃し炎症を起こし、心筋炎が起こることがあります。膠原病などの基礎疾患がある人は注意が必要です。内科、膠原病内科、循環器内科での精査が適切です。

薬剤・毒素による影響

一部の薬剤(抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬など)、アルコール、薬物などが心筋に直接障害を与えることがあります。処方薬や市販薬も含め、服用履歴は日頃から記録しておくことをおすすめします。医療機関の受診時にそれらの情報を正確に伝えることで、診断の重要な手がかりとなるためです。

心筋炎になりやすい人の特徴

年齢や性別を問わず発症しますが、なりやすい人の特徴があります。代表例を3つあげて、以下に説明します。

免疫力が低下している人

高齢者、慢性疾患を有する人、ステロイドや免疫抑制薬を使用している人は、感染に対する抵抗力が弱くなるため、心筋炎を発症しやすい傾向があります。また、栄養不足、睡眠不足、過度なストレスなどの悪い生活習慣も免疫力を低下させる要因となります。あてはまる方は日常生活の見直しが必要です。

自己免疫疾患に罹患している人

自己免疫疾患に罹患している人は、もともと炎症が起きやすい体質のため、免疫の異常な働きによって心筋炎を発症するリスクが高まります。膠原病内科や循環器内科と連携し、定期的な検査や早期受診を心がけることで予防は可能です。体調の小さな変化を見逃さない生活習慣も大切です。

特定の薬剤治療を受けている人

抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬など、心筋に影響を及ぼす薬剤治療を受けている人は心筋炎のリスクが高くなります。治療中は、動悸、胸痛、息切れといった症状を早期に把握し、主治医や循環器内科へ速やかに相談することが重要です。

心筋炎の治療法

心筋炎の治療は、原因や重症度に応じて行われます。基本は安静と心臓への負担軽減が中心で、必要に応じて心不全や不整脈の治療、感染や免疫反応への薬物療法が行われます。重症例では集中治療が必要です。代表的な治療を3つあげてご説明します。

安静による心臓への負担軽減

基本治療は安静です。主に、循環器内科で診断や管理が行われ、軽症例では安静と経過観察で回復することもあります。中等症以上では入院が必要です。入院期間は一般的に、数日から数週間と症状によって異なります。

薬物療法

心筋炎が悪化し、心不全や不整脈が合併した場合は、循環器内科で積極的に薬物療法が行われます。利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬などを投与して心臓への負担を軽減します。場合によっては抗ウイルス薬や免疫抑制薬を使用します。多くは入院下で治療が開始されます。

集中治療・高度な医療介入

心臓機能が極端に低下する重症例では集中治療室(ICU)での管理が必要です。補助循環装置(ECMO)や人工呼吸器、強心薬を用いて心臓と呼吸をサポートします。これらは主に循環器内科や心臓血管外科の連携のもとで行われます。長期入院を要することが一般的です。回復後は心機能の改善を目的としたリハビリが不可欠で、リハビリ専門医療スタッフのもとで段階的な運動負荷を行い、社会復帰を目指します。

「心筋炎の初期症状」についてよくある質問

ここまで心筋炎の初期症状について紹介しました。ここでは「心筋炎の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心筋炎を発症するとどこに痛みを感じますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

主に左前胸部に痛みや圧迫感を感じることが多いです。狭心症や心筋梗塞と似た症状を示すこともありますので、安静にしても痛みが続く、息苦しさや動悸を伴う場合は、迷わず救急外来や循環器内科を受診することが重要です。

編集部まとめ

心筋炎はウイルス感染などをきっかけに心臓の筋肉に炎症が起こる病気で、若年者でも発症します。原因や重症度に応じて安静・薬物療法・集中治療などが行われ、適切なリハビリも重要です。早期発見と受診が重症化を防ぐ鍵となるため、体調の変化を見逃さず、特に胸の痛みや動悸がある場合は速やかに循環器内科を受診しましょう。

「心筋炎」と関連する病気

「心筋炎」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

心筋炎は他の重大な病気と似ているため、自己判断は危険です。胸痛、息切れ、動悸などを感じたら、早めに循環器内科を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。

「心筋炎」と関連する症状

「心筋炎」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

心筋炎は胸痛などさまざまな症状を伴い、他の重篤な病気と似ていることがあります。これらの症状が続く場合は、自己判断せず、早期に循環器内科を受診して下さい。

この記事の監修医師