「狭心症と心筋梗塞の違い」はご存知ですか?それぞれの症状も医師が解説!

狭心症と心筋梗塞の違いとは?Medical DOC監修医が狭心症と心筋梗塞の違い・原因・症状・予防法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
「狭心症」とは?
狭心症とは、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が狭くなり、血液供給が不足することで起こる疾患です。冠動脈の内側にコレステロールなどがたまって血管が硬くなる「動脈硬化」が主な原因です。症状は主に労作で誘発され、安静により数分で軽快するのが特徴となります。
「心筋梗塞」とは?
心筋梗塞とは、心筋に血液を供給する冠動脈が詰まり、酸素や栄養の供給が遮断されることで起きる疾患です。そのため、心筋が壊死して心臓の収縮機能が低下します。重症化すると、全身への血液供給が不足するため、さまざまな症状を起こし、心不全を合併します。
「狭心症」と「心筋梗塞」の違いとは?
狭心症と心筋梗塞はいずれも、虚血性心疾患に分類されます。両疾患とも冠動脈が障害される疾患ですが、狭心症は冠動脈が狭くなる疾患、心筋梗塞は冠動脈がつまる疾患です。症状にも違いが見られ、両疾患とも胸痛や胸部圧迫感が主症状です。しかし、狭心症は数分で軽快しますが、心筋梗塞は長時間継続し軽快することがありません。また、狭心症と比較して、心筋梗塞は緊急性が高く、命に関わる危険な疾患です。
狭心症の主な原因
主な原因は冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化が進む要因の中から3つあげて、詳しく説明いたします。
高血圧
長期間にわたり高血圧の状態が続くと、血管の内側の壁が損傷し、血管が硬くなったり、プラークと呼ばれる沈着物が形成されやすくなったりします。そのため、冠動脈が閉塞し、狭心症が起こりやすくなります。したがって、高血圧のコントロールは重要です。しかしながら、高血圧は多くの場合、自覚症状が乏しいため、気づかずに放置してしまう人も少なくありません。血圧が高めの状態が続く場合は、内科や循環器内科を受診し、医師の適切な指導を受けることが大切です。
喫煙
タバコは血管収縮作用があるため、血圧が上昇しやすいです。さらに、タバコの煙に含まれる有害成分が血管の内膜を傷つけ、動脈硬化の進行を早めます。このような変化により、狭心症を起こす危険性が高まります。禁煙を実践しましょう。しかしながら、自力で禁煙することは容易ではありません。医療機関の禁煙外来を活用し、専門的なサポートを受けることも有効な方法です。
高LDLコレステロール血症
血液中のLDLコレステロールが高値になると、プラークと呼ばれる塊が血管の内側に沈着しやすくなります。そのため、冠動脈が狭くなり、狭心症が起こりやすくなります。LDL高値を指摘された場合は、内科や循環器内科を受診し、医師の指導のもとで食事の改善や必要に応じた内服治療を受けましょう。
心筋梗塞の主な原因
狭心症とほぼ同様で、心筋梗塞の主な原因は、冠動脈の動脈硬化です。前に紹介した、高血圧、喫煙、高LDLコレステロール血症は原因となります。加えて、以下も原因となるため、注意が必要です。代表的な3つをあげて解説いたします。
糖尿病
糖尿病は血管内皮を傷つけ、動脈硬化を進行させます。過食、運動不足、肥満、遺伝、ストレスなどが糖尿病発症の要因となります。初期には自覚症状が少なく、進行すると、全身倦怠感、喉の渇き、多尿、体重減少などがみられることが多いです。健診等で血糖が高値を指摘された場合は、内科や糖尿病内科を受診ください。
内臓脂肪型肥満
肥満、とくに内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性という状態を起こし、動脈硬化を促進します。過食、運動不足、睡眠不足、ストレスなどが要因となります。体重管理と生活習慣改善が重要な予防策です。
ストレス
ストレスは交感神経を活発にして、血圧や心拍数を上昇させます。過労、不眠、人間関係の悩みなどが要因となります。生活するうえで、ストレスを避けることは難しいです。自分に合ったリラックス方法を見つけ、心身を休めながら自律神経のバランスを保つことが大切です。
狭心症の代表的な症状
胸痛をはじめとするさまざまな症状がみられますが、安静にすると数分程度で改善するのが特徴です。また、舌の下に投与するニトログリセリンを使用すると症状が軽快することも特徴です。
胸痛と胸部圧迫感
発作時に胸痛や胸部圧迫感が起こることが多いです。特に、労作時に多く、安静やニトログリセリン投与で改善します。思い当たる症状がある場合は、循環器科で相談しましょう。
左腕や喉の痛み
胸痛や胸部圧迫感とともに、左腕や喉に鈍い痛みが広がることがあります。主に労作で起きることが多く、安静により軽快するのが特徴です。症状が出ましたら、まずは安静を心がけましょう。ニトログリセリン投与も有効です。症状を繰り返す場合は、循環器科を受診しましょう。
息切れ
胸痛がはっきりせず、息切れとして症状が現れることがあります。特に、高齢者や糖尿病患者では「無痛性狭心症」として自覚症状が乏しい場合もあります。症状をくりかえす場合は、自己判断で放置せず、循環器内科を受診して、心電図・運動負荷試験を受けることが大切です。
心筋梗塞の代表的な症状
狭心症と症状は似ていますが、心筋梗塞はより重篤な疾患のため、代表的な症状が異なります。以下に3つあげて解説いたします。
胸痛と胸部圧迫感
狭心症と同様に胸痛と胸部圧迫感が現れます。狭心症と異なる点は、労作と安静にかかわらず症状が起きること、安静にしても軽快せずに継続すること、ニトログリセリンを使用しても軽快しないこと、などです。これらの症状が起きた際は、緊急性が高く、早急に循環器科や救急科を受診しましょう。
冷や汗
胸痛や胸部圧迫感に加え、冷や汗が出ることがあります。痛み刺激が、交感神経を活性化し、皮膚の汗腺(特にエクリン腺)を刺激するためです。救急車を要請し、できるだけ早期に循環器科や救急科を受診しましょう。
呼吸困難
胸痛や胸部圧迫感に加え、呼吸困難が出ることがあります。心筋梗塞が原因で心筋が広範囲に壊死し、ポンプ機能が急激に低下した状態です。その結果、肺の血管内圧が上昇し、血漿成分が肺胞内に漏れ出て、肺水腫という病態を起こします。肺胞が液体で満たされるため、ガス交換が妨げられ呼吸困難が生じます。重篤な状態なので、救急車を要請し、早急に循環器科や救急科を受診してください。
狭心症の予防法
狭心症は、主に動脈硬化が原因となり、冠動脈が狭くなることで起こります。そのため、予防には動脈硬化を進めない生活習慣が重要です。代表的な予防法を以下に説明いたします。
禁煙
タバコには多くの有害物質が含まれています。これらが血管を収縮させたり、血栓を作りやすくしたりすることで、血管の壁を傷つけます。その結果、動脈硬化が進みやすくなり、狭心症発症のリスクとなるため気をつけなければなりません。禁煙が最も効果的な予防法のひとつです。
血圧管理[
高血圧は、動脈硬化を進行させる大きな要因の1つです。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気がつかないことが多いです。そのため、日ごろから血圧を測定する習慣を持ちましょう。血圧の目標値は、75 歳未満の方では原則として130/80 mmHg未満をめざします。一方、75歳以上の方では140/90 mmHg未満を目標とし、130/80mmHg未満まで下がっても体調に問題がなければ、そのままの状態を維持することが望ましいとされています。
ストレス管理
ストレスが長く続くと、交感神経が過度に働き、心臓や血管に負担をかけます。その結果、脈拍が速くなったり血圧が上昇したりして、狭心症や不整脈のリスクが高まります。ストレスをため込まない工夫が大切です。瞑想、深呼吸、ヨガなど自分に合ったリラックス法を取り入れ、心身のバランスを保ちましょう。
心筋梗塞の予防法
心筋梗塞も狭心症と同様に冠動脈の動脈硬化が原因となるので、予防法はほぼ同じです。先に記載した狭心症の予防法が有効ですが、加えて3つの予防法をご紹介いたします。
適度な運動習慣
定期的な運動は、心臓の健康を保つうえで非常に効果的です。特にウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、血流を改善し血圧を下げる効果が期待できます。目安として、有酸素運動を中心に中等度(楽である〜ややきつい程度)以上の強度で、毎日30分以上(少なくとも週に3日)を行うことが有効です。
適量のアルコール摂取
アルコールの摂りすぎは血圧上昇や中性脂肪の増加を招き、動脈硬化を進めて心筋梗塞のリスクを高めます。アルコールの摂取は25 g/日以下、あるいはできるだけ減らすことが望ましいです。
適正なエネルギー摂取
摂取カロリーが多すぎると、肥満、脂質異常症、糖尿病を起こし、動脈硬化の進行を早めます。適正な体重(BMI<25kg/m2)を意識した、適正なエネルギー摂取につとめましょう。そのうえで、脂肪エネルギー比率20〜25%、炭水化物50〜60%に設定することを心がけましょう。
「狭心症と心筋梗塞の違い」についてよくある質問
ここまで狭心症と心筋梗塞の違いなどを紹介しました。ここでは「狭心症と心筋梗塞の違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。/p>
狭心症や心筋梗塞で突然死することはありますか?
佐藤 浩樹 医師
狭心症や心筋梗塞は、いずれも冠動脈が障害され、心臓への血流が不足することで起こる疾患です。特に心筋梗塞では突然死の危険が伴います。これが、狭心症と心筋梗塞の違いです。心筋梗塞では、心臓の一部が壊死し、不整脈(特に心室細動)を起こすことで、意識を失い数分以内に心停止に至ることがあります。「突然死」と呼ばれる状態です。強い胸痛、冷汗、息苦しさなどの症状が出た時は、迷わず救急車を呼ぶことが重要です。早期の治療により、救命の可能性が高まります。
編集部まとめ 狭心症、心筋梗塞の予防は生活習慣の見直しから
狭心症や心筋梗塞はいずれも、主に冠動脈の動脈硬化によって起こる疾患です。そのため、動脈硬化の進展を抑える日常生活の過ごし方が予防の鍵となります。禁煙を心がけ、適正な体重の維持、バランスの取れた食事、そして無理のない範囲での適度な運動を継続することが大切です。
「狭心症と心筋梗塞」と関連する病気
「狭心症と心筋梗塞」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
整形外科の病気
狭心症や心筋梗塞で現れる胸痛を呈する疾患は多いです。その中には、命にかかわる疾患もあります。早期の診断と治療は極めて重要です。早めに医療機関を受診することをおすすめします。
「狭心症と心筋梗塞」と関連する症状
「狭心症と心筋梗塞」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胸痛
- 胸部圧迫感
- 左腕のしびれ
- 左肩の痛み
- 心窩部痛
ご紹介した症状は狭心症や心筋梗塞以外の疾患でも認められます。症状が強い、継続する場合は、命にかかわる場合もありますので、自己判断せず医療機関を受診してください。




