「弁膜症の7つの原因」は?症状や”リスクを上げる飲み物・食べ物”も医師が解説!

弁膜症の原因とは?メディカルドック監修医が弁膜症の原因・発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物・症状・治療法などを解説します。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
「弁膜症」とは?
弁膜症とは、心臓にある血液の流れを一方通行に保つため、心臓内の4つの部屋を仕切っている「弁(べん)」という4つの扉がうまく機能しなくなる病気の総称です。
心臓の弁は、血液が全身に送り出される際に開閉し、逆流を防ぐ大切な役割を担っています。弁膜症は、この扉が硬くなって開きにくくなり、血液の流れがせまくなる「狭窄症」、または、弁が完全に閉じきらず、血液が逆流してしまう「閉鎖不全症(逆流症とも呼ぶ)」という状態があります。
これらの異常が起きると、心臓は全身に血液を送るためにより多くの負担がかかり、結果として心臓の機能が低下する「心不全」などの症状を引き起こすことがあります。
弁膜症の主な原因
弁膜症の主な原因は多岐にわたりますが、弁そのものに問題が生じる場合と、他の病気の影響で弁の機能に支障が出る場合の大きく二つに分けられます。
代表的なものとして以下が挙げられます。
〇弁そのものの問題(一次性弁膜症)
加齢・動脈硬化による変化
最も多く見られる原因で、年を重ねたり、生活習慣病等によって動脈硬化が進行するにつれて心臓の弁が硬くなり、カルシウムが沈着することで、弁の開きが悪くなったり、閉じにくくなったりします。特に大動脈弁と僧帽弁で多く見られます。息切れや疲れやすさなどの症状が出た場合は循環器内科を受診し、心エコー検査を受けることが推奨されます。
生まれつきの弁の異常(先天性)
例えば、本来3つある大動脈弁が2つしかない「二尖弁」など、生まれつき弁の形や構造が通常と異なる場合です。若いうちは無症状でも、年齢を重ねるにつれて弁の機能が低下し、動悸や胸痛などの症状が現れることがあります。学校心臓検診などで指摘されることも多く、循環器内科での定期的な経過観察が重要です。
感染症(感染性心内膜炎)
血液中の細菌が弁に付着し、弁が破壊されたり、穴が開いたりして機能が損なわれることがあります。突然の高熱や倦怠感とともに、急速に心不全症状が悪化する場合があり、緊急性が高い疾患です。早急に総合病院の循環器内科や感染症内科を受診する必要があります。
リウマチ熱の後遺症
過去に「リウマチ熱」という全身の病気にかかったことで、弁に炎症が起こり、弁がくっついて狭くなったり(狭窄)、変形して血液が逆流したりします。原因として昔は多かったですが、近年では抗生剤が十分に使用できるようになりリウマチ熱が少なくなっているため、非常に稀な原因となっています。
〇他の病気の影響(二次性弁膜症または機能性弁膜症)
心臓のポンプ機能の低下(心筋梗塞や心筋症など)
心筋梗塞や心筋症によって心臓の筋肉が障害を受け、心臓の部屋が大きく広がってしまうことで、弁が完全に閉じられなくなり、血液が逆流してしまうことがあります。
不整脈(心房細動)や肺高血圧症
これらの病気によって心臓の部屋が拡大したり、弁にかかる圧力が変化したりすることで、弁の機能に異常が生じることもあります。
大動脈の根元が広がる病気
大動脈解離や大動脈瘤などによって、大動脈の根元が広がってしまうことで、大動脈弁がうまく閉じなくなり血液が逆流する場合もあります。
弁膜症発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
弁膜症の主な原因は生活習慣病による動脈硬化の進行です。そのため、生活習慣病を引き起こすような飲食物や生活習慣は、間接的に弁膜症を引き起こす要因となる可能性があります。
カロリーが高い、脂質が多い食べ物
揚物や炒め物、動物性脂肪が多いバターや油、菓子類、脂身が多い肉類、肉加工品、カップラーメンなどは、脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高めるため控えめにすることが大切です。血管の健康を守ることが弁の劣化を防ぐことにつながります。
ジュース、アルコール
ジュースやアルコール類は余計なカロリー摂取につながるため、控えめにすることが必要です。
アルコールは1日当たり20g(ビールだと500ml、日本酒1合程度)が適量とされているため、それを超える量を飲みすぎないこと、休肝日を週2-3日は作る事などが推奨されています。過度な飲酒は心筋にダメージを与え、機能性弁膜症を引き起こす要因となります。
タバコ(副流煙を含む)
動脈硬化を引き起こす大きな要因の一つであり、年齢・男女・人種を問わず、喫煙をすることで動脈硬化を進行させ、脳や血管の重大な病気を引き起こします。「まったく吸わない」ことが重要であり、電子タバコなどでも有害とされるため、禁煙を守る必要があります。また、喫煙している本人だけでなく、周囲の人が煙を吸うこと(副流煙)も喫煙と同様に動脈硬化リスクを上げます。
弁膜症の代表的な症状
弁膜症の症状は、その種類や進行度合いによって様々ですが、病気の初期には自覚がないことも多いです。心臓に負担がかかるにつれて様々な症状が出現するようになります。主な症状としては以下のようなものがあります。
息切れ(呼吸困難)
運動した時や横になった時に息苦しさを感じます。これは、心臓から全身への血液供給が滞り、肺に血液が溜まるためです。症状を落ち着かせるには安静が第一ですが、日常生活で頻繁に起こる場合は循環器内科の受診が必要です。
疲れやすさ・だるさ
心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液が供給されないために、疲れやすさやだるさを感じることがあります。以前より動けなくなったと感じる場合は、心不全が進行している可能性があるため注意が必要です。
むくみ(浮腫)
血液が心臓に戻りにくくなり、血管に滞留することで、特に足や顔などがむくむことがあります。靴が入りにくくなったり、夕方に足が重くなったりするのが特徴です。利尿剤などの処置が必要な場合があるため、早めに相談しましょう。
動悸・不整脈
心臓が不足した血液を補おうと、速く拍動したり、不整脈が引き起こされることで不規則になることで、脈の乱れや強い拍動を感じることがあります。
胸痛・失神・めまい
心臓の出口が狭くなることで、心臓の筋肉や脳などに血液が十分に遅れなくなることで、胸痛を起こしたり、脳への血流が一時的に不足することで失神や強いふらつき・めまいが起こることがあります。
肝腫大・腹水
右心系の弁(三尖弁、肺動脈弁)に問題がある場合に、肝臓が腫れたり、お腹に水が溜まったりすることがあります。
弁膜症の治療法
弁膜症の治療方法は、患者さんの病状や心臓の状態により多岐にわたります。循環器内科医と心臓外科医からなる「弁膜症チーム」が患者さんごとに最適な方針を話し合い決定します。
内科的治療(薬による治療)
心臓の負担を減らし、息切れやむくみなどの症状を和らげるために、心臓を保護する作用がある薬剤や降圧剤、利尿剤などを用いた薬物療法がおこなわれます。循環器内科の外来で治療を行いますが、基本的には全例に実施される治療であるものの、根本的な治療ではありません。
カテーテル治療(TAVI・MitraClip)
胸を切らず、主に足の太い血管から挿入した細いカテーテルで弁を治療します。新しい人工弁を留置したり、弁を修復・拡張したりする方法があり、体の負担が少ないため高齢者でも合併症のリスクを抑えて治療することが可能です。通常は1週間から10日程度の入院で行われます。
外科手術(弁形成術・弁置換術)
胸を開いて心臓の弁を直接治します。自身の弁を修復する「弁形成術」と、損傷した弁を人工の弁に置き換える「人工弁置換術」があります。形成術は自己弁温存の利点があり、置換術は患者の状況で人工弁が選択されます。手術後は10日から14日程度の入院期間を経て、心臓リハビリテーションが行われます。
「弁膜症の原因」についてよくある質問
ここまで弁膜症の原因などを紹介しました。ここでは「弁膜症の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ストレスが原因で弁膜症を発症することはありますか?
小鷹 悠二(医師)
ストレスが直接の原因となることはありません。ただストレスによって生活習慣が乱れ、高血圧などの生活習慣病を発症し、動脈硬化が進行することで心臓弁膜症になる可能性はあるため、間接的な要因の一つとなることはあり得ます。
弁膜症を悪化させない方法を教えてください。
小鷹 悠二(医師)
最も大切なことは動脈硬化を進行させないことですので、日ごろから食生活に気を付ける、禁煙、節酒を意識する、運動習慣を持つ、規則的な生活習慣を心がけるといった、日常的な生活習慣に気を付けることが大切です。また、すでに生活習慣病の治療をしている場合には、通院を継続し、病気をしっかりコントロールすることも非常に重要です。
まとめ
心臓弁膜症は高齢者が増加していることもあり、患者数が増えている病気です。若い方でも生活習慣病を長期間治療していると動脈硬化が進行し、発症する危険があるため、今のうちから日常生活を見直し、適切な生活習慣を持つことが大切です。
「弁膜症」に関連する病気
「弁膜症」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
弁膜症は主に動脈硬化の進行で悪化するため食習慣・運動習慣を含めた生活習慣の改善を心がけることが重要です。
「弁膜症」に関連する症状
「弁膜症」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
初期の弁膜症では自覚症状がないことも多いのですが、病状が進行し、心臓に負担がかかるにつれて上記のような様々な症状が出現するようになります。




