「心室期外収縮」を放置すると突然死することも?症状や原因・なりやすい人も医師が解説!

心室期外収縮とは?メディカルドック監修医が心室期外収縮の症状・原因・なりやすい人の特徴・検査方法・治療法・予防法などを解説します。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
「心室期外収縮」とは?
健診などでも指摘されることが多く、最も頻度が多い不整脈が期外収縮です。
心臓は血液を送るポンプの働きをしており、中は4つの部屋に分かれています。上の部屋は心房、下の部屋は心室と呼ばれます。
この、心臓の下の部屋である心室内で異常な電気刺激が生じて発生する期外収縮が、心室性期外収縮と呼ばれます(心房から生じると上室性期外収縮と呼びます)。
健常者でも90%以上に少ない数の期外収縮は認められ、若年者でも発生することがある非常にありふれた不整脈です。
心室期外収縮を発症すると心電図にどのような特徴が現れる?
心臓を動かすためには、心臓の筋肉を電気信号で刺激する必要があります。心電図は、この心臓内部の電気の流れを測定する検査です。
心電図の正式名称は12誘導心電図と呼ばれ、12種類の心電図波形を計測し、複数の方向から心臓内の電気信号を評価できます。心電図の波形は主にP波、QRS波、T波という3つの波形からなります。
心室性期外収縮を生じると、通常の波形と形が異なる、QRS波が幅広い波形が出現します。通常は一定のリズムで脈が出現しますが、期外収縮では脈のタイミングもずれます。
心室期外収縮の代表的な症状
典型的な症状は動悸ですが、それ以外にもどのような症状が出現することがあるか解説します。
ただ、心室性期外収縮が出現しても無症状のことも多いため、自己検脈などで脈を確認することも大切です。
動悸
心室性期外収縮で最も多く出現する症状です。
動悸の自覚の仕方は様々ですが、脈が速くなる、脈のリズムがずれる、飛ぶといった症状が期外収縮の自覚として出やすいです。
息切れ、呼吸苦、胸痛
心室性期外収縮が多発している状態では、息切れや呼吸苦症状、胸痛などの症状が出現することもあります。その状態を放置してしまうと、心不全に移行し呼吸困難状態と陥ることもあります。
すぐにできる処置としては、安静を保ち、深呼吸をしてリラックスすることが挙げられますが、症状が強い場合や持続する場合は専門医の診断が必要です。受診する際は循環器内科が適しており、強い胸痛や呼吸困難を伴う場合は緊急性が高いため、速やかな受診が求められます。
めまい、ふらつき
心室性期外収縮が連続して出現する場合や、多発している状態では、脳へ循環する血液が不安定となるため、めまいやふらつきなどが出現しやすくなります。
ふらつきを感じた際は、転倒を防ぐためにその場に座り込むか、手すりなどに掴まって安静にしてください。症状が繰り返される場合は、脳血管疾患との判別も必要なため、内科や循環器内科を受診しましょう。
失神、突然死
極端に心室性期外収縮の回数が多い場合や、連発が持続する場合には、非持続性心室頻拍や心室頻拍、心室細動といった重症の不整脈に移行することもあり、失神や心停止状態、突然死を引き起こすこともあります。
意識を失うような症状があった場合は極めて緊急性が高いため、直ちに救急車を呼ぶか、救急外来を受診する必要があります。
心室期外収縮の主な原因
頻度が多い不整脈である心室性期外収縮ですが、どのような原因で生じるのかを解説します。
心疾患の持病がある
もともと心疾患の持病があると、心臓の過剰な負荷や心臓内の異常な電気刺激が出現しやすくなり、心室性期外収縮が出現する原因となります。
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、心筋の異常が生じる心筋症、心機能が低下する心不全、心臓内の弁という部屋を区切っているフタの異常である心臓弁膜症など、さまざまな心疾患が心室性期外収縮の原因となります。
生活習慣病
高血圧や脂質異常症、糖尿病によって動脈硬化が悪化し、心負荷が増大することが原因で様々な心疾患が出現しやすくなり、心室性期外収縮が出現しやすくなります。
普段の生活習慣に気を付ける、自分の血圧を把握する、健診での異常なデータを確認する、といった事が大切です。
日頃からも、過度の塩分やカロリー摂取に注意する、適正体重の維持、適度な運動、しっかり睡眠や休息をとる、といった生活習慣を意識しましょう。
健診や人間ドックなどで、血圧、脂質、血糖の異常やデータの異常が指摘されたときには、まず内科を受診して相談することが大切です。
疲労、ストレス
強いストレスや疲労、睡眠不足、バランスの悪い食事、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣の乱れは、不整脈の原因となることがあります。普段から、過度のストレスを避ける、バランスの良い食生活、十分な睡眠・休養をとる、食べすぎや飲みすぎを避ける、適度な運動、といった生活習慣に注意して生活することが重要です。
心室期外収縮になりやすい人の特徴
生活リズムが不規則な方
生活リズムが不規則、夜遅い食事、外食が多い、食事バランスの乱れ、精神的・肉体的なストレス、睡眠不足、疲労によって、生活習慣病が引き起こされやすくなり、それによって動脈硬化が進行し、心室性期外収縮を発症するリスクが高まります。
男性・女性問わず、働き盛りの年齢層でストレスが多い方や、肥満体系の方に発症しやすい傾向があります。
生活習慣病がある方
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病があると、心臓への負担がかかりやすく、心疾患を合併しやすくなり、心室性期外収縮のリスクが上がります。
一方で、規則正しい生活を送り、定期的な運動を欠かさない健康志向の方は、リスクを低減できる可能性があります。
心疾患の持病がある方
持病として心疾患があると、心臓に負担がかかりやすく、心臓内で不整脈の原因となる異常な電気興奮が出現するため、心室性期外収縮が出現しやすくなります。
心臓の血流障害を生じる狭心症や心筋梗塞、心臓の筋肉に異常を生じる各種心筋症、心臓の機能が障害されて低下する心不全、心臓内の部屋を区切る弁の異常である心臓弁膜症など、さまざまな心疾患が心室性期外収縮の原因となります。
心室期外収縮の検査法
心電図
正式には12誘導心電図と呼ばれ、心臓を動かす電気信号を体表の電極で測定する検査です。
多くの医療機関で行うことができる検査であり、最も簡便に心臓の異常を評価することができる検査です。入院の必要はなく、循環器内科や一般内科で受けることができます。
胸部レントゲン検査
X線を用いて胸部や心臓、肺の状態を評価する検査です。
心室性期外収縮の原因となるような心臓の大きさの異常などを評価することができます。
血液検査
心室性期外収縮の原因となるような、心不全のマーカーであるBNPやNTproBNP、異常な電解質異常、腎臓などの臓器障害の有無、他全身状態の評価などを行うことができる、最も基本的な検査です。
心臓超音波
超音波を用いて、心臓の状態を評価する検査です。
心臓の筋肉の動きの異常の有無、形状の異常、弁膜症の有無など、心臓の評価をするうえで重要な情報を得ることができます。
ホルター心電図(24時間心電図)検査
小型の心電計を装着し、24時間の心電図を記録する検査です。心室性期外収縮の回数、連発の有無、自覚症状との一致、他の不整脈の有無などを評価することが可能です。治療の必要性の評価、重症度の評価には欠かせない検査の一つで、外来で実施することができます。
心臓カテーテル検査
足の付け根の動脈から、特殊な電極が付いたカテーテルという管を心臓内に挿入し、異常な電気の流れを直接計測することができる検査です。どの部位から発生している電気刺激が原因で心室性期外収縮が出現しているかを評価します。
この検査は入院が必要であり、入院期間は通常2〜3日程度となります。循環器専門病院や大学病院の循環器内科で行われます。
心室期外収縮の治療法
心室性期外収縮は、心疾患の持病がなく、極端に数が多くない、3連発以上の連続で出現する状態がない、自覚が乏しい場合には、特別な治療は不要なことが多いです。
しかし、心疾患の持病がある、数が多い、3連発以上持続する、自覚症状が強いといった場合には治療が必要となることがあります。
生活改善
心室性期外収縮の原因の一つに、ストレスや疲労、不適切な生活習慣などがあります。
生活習慣や生活リズムに注意することが重要であり、過度のストレス避ける、過食を避ける、バランスの良い食生活、十分な睡眠や休養、適度な運動、といった事に注意することで、心室性期外収縮を減らせることもあります。
薬物治療
心疾患の持病がある、数が多い、3連発以上持続する、自覚症状が強いといった場合には投薬治療を行うことがあります。
通常、外来では主に内服薬を処方して治療を実施しますが、心室性期外収縮が連続して出現し、非持続性心室頻拍に移行して頻回に繰り返している場合や血圧低下などが出現している場合、他の危険な不整脈に移行する場合など、緊急での対応が必要な場合には注射薬での投与を行ったり、入院での治療を必要とすることもあります。
カテーテルアブレーション治療
心室性期外収縮が非常に多い、自覚が強い、危険な不整脈を引き起こす原因となる場合などでは、不整脈の原因となる異常な電気刺激の流れを焼き切る、カテーテルアブレーション治療が実施されることがあります。
通常は局所麻酔で行う治療であり、体にかかる負担が少なく、高齢者でも安全に実施することができます。治療する際には、1週間前後の入院で行われることが多いです。術後の特別なリハビリは通常不要ですが、数日間は過度な運動を控える必要があります。
心室期外収縮の予防法
心室性期外収縮を予防する際のポイントについて解説します。
生活習慣
心室性期外収縮は、生活習慣が原因となって生活習慣病や心疾患が引き起こされることが誘因となります。そのため、普段から下記のような生活に気をつけることが重要です。
- 塩分量:1日の塩分量摂取量は6g以下
- カロリー:一般的な成人は、その人の年齢や日常的な活動量によって1800-2600kcal程度のカロリー摂取が推奨。
- 食事のバランス:野菜や果物を多めに食べる、脂分が多い食品やカロリー・糖分が多い食品を食べ過ぎない。
- 肥満を避ける:BMI(体重[kg]÷身長[m]2)25未満を心がける。
- 運動習慣:軽く汗ばむ位の有酸素運動を1日60分程度行うことが推奨。
- 節酒:エタノールに換算して、1日当たり男性20-30ml、女性は約半分の10-20ml以下に抑えることが推奨。
- 禁煙:喫煙は心疾患を引き起こし、心室性期外収縮を出現しやすくします。
生活習慣病
心室性期外収縮は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病により、動脈硬化が進行することや心疾患が出現することで発生しやすくなります。
健診や人間ドックなどで、異常が指摘された場合には、放置せずに病院を受診して評価し、必要に応じて生活改善や治療を検討する事が重要です。
「心室期外収縮」についてよくある質問
ここまで心室期外収縮について紹介しました。ここでは「心室期外収縮」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
心室期外収縮は放置しても問題ないのでしょうか?
小鷹 悠二 医師
心室性期外収縮は、治療を必要としないことの方が多い不整脈ではあります。しかし、その判断は病院で検査を行い、専門の医師が治療の必要性について判断をする必要があります。素人判断で、症状が強くない・ほとんどないので放置してしまうと、重大な疾患を放置したり、ひどいと重症化や命に係わるリスクもあるため、非常に危険です。
まとめ
日常でもよく遭遇することがある心室性期外収縮について解説を行いました。
健常者でも見られることがある不整脈ではありますが、中には治療が必要となることもあるため、健診などで指摘をされた場合には、必ず循環器内科で評価することが大切です。
「心室期外収縮」と関連する病気
「心室期外収縮」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
一言:心疾患が原因となることもあるため、心臓の持病がある際には注意が必要です。また、多発・持続する状態となると危険な不整脈を引き起こすことがあります。
「心室期外収縮」と関連する症状
「心室期外収縮」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
一言:動悸などの症状が出現することもありますが、無症状のことも多いです。中には重症な症状が出現することもあるため、これまでなかった症状が出現した際にはまず受診をして相談することが必要です。




