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「交通事故」は軽いケガでも受診すべき理由をご存じですか? 整形外科選びのコツも医師が解説

 公開日:2025/05/29

交通事故に巻き込まれた場合、病院へ行くことが第一優先となります。一見、障害がなさそうに見えるムチウチや打撲なども、じつは体がダメージを受けているかもしれません。そんなときに気をつけたいのが、整形外科選びです。交通事故によるケガで整形外科を受診する場合、注意すべきポイントがあるのです。一体、どのようなことに気をつけたらいいのか、「いでた整形外科クリニック」の出田先生に解説していただきました。

出田 聡志

監修医師
出田 聡志(いでた整形外科クリニック)

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自治医科大学卒業。その後、長崎医療センター、福岡大学病院、長崎県上五島病院、長崎県島原病院などで経験を積む。2020年、長崎県島原市に「いでた整形外科クリニック」を開院。日本整形外科学会 専門医・指導医・認定スポーツ医・認定リハビリテーション医。難病指定医、日本DMAT隊員、厚生労働省緩和ケア研修会修了医師。

交通事故後は何科を受診すべき?

交通事故後は何科を受診すべき?

編集部編集部

交通事故にあったとき、何科を受診すればいいのでしょうか?

出田 聡志先生出田先生

打撲や骨折の可能性があるので、基本的には整形外科を受診してください。ただし、ケガをした部位によっては脳神経外科、内科、外科、皮膚科などを受診することが必要な場合もあるため、状況に応じて判断してください。

編集部編集部

痛みなどの症状がなくても受診した方がいいのでしょうか?

出田 聡志先生出田先生

そうですね。交通事故にあった場合、受傷直後は全く痛みがなくても、1週間くらいかけて次第に症状が強くなることもあります。また、交通事故にあった直後はアドレナリンなどの影響で神経が高ぶっており、痛みを感じにくくなっていることも少なくありません。そのため、痛みなどの症状がなくても念のため受診することをおすすめします。

編集部編集部

交通事故からしばらく経ってから症状が出るケースもあるのですか?

出田 聡志先生出田先生

はい。頸部から肩周囲の痛みは、時間が経ってから出現することが少なくありません。また、脳内出血は、頭を打ってすぐに起きる場合もあれば、数日経ってから頭痛や嘔吐などの症状がみられることもあります。場合によっては命の危険にも及ぶため、その場では症状がなくても必ず受診してください。

整形外科を選ぶときのポイント

整形外科を選ぶときのポイント

編集部編集部

交通事故によるケガで病院を選ぶときには、どのようなことに注意すべきですか?

出田 聡志先生出田先生

まずは、交通事故によるケガの取り扱いに慣れている病院を選びましょう。医療機関のwebサイトなどに、交通事故でのケガの取り扱い実績が明記されていることもあります。

編集部編集部

なぜ、交通事故の取り扱い実績が豊富なところがいいのですか?

出田 聡志先生出田先生

交通事故によるケガの治療は、一般の治療と比べて病院側が対応しなければならないことがたくさんあります。例えば、保険会社への対応や後遺障害診断書の作成などは、病院側の役割です。そのため、そうしたことに慣れている病院を受診した方が、その後の作業がスムーズになります。

編集部編集部

ほかにも気をつけた方がいいことはありますか?

出田 聡志先生出田先生

物理療法だけでなく、理学療法士によるリハビリテーションにも力を入れている医療機関を選びましょう。交通事故後は、首や背中、腰などに痛みが残ったり、手足に力が入りにくくなったり、痺れが残ったりなどの後遺症があることもあります。そうした後遺症の改善には、リハビリテーションが必要です。理学療法士が常駐していて、定期的にリハビリテーションを受けられる医療機関を選ぶことをおすすめします。

編集部編集部

そのほかにも、医療機関選びで注意すべきことがあれば教えてください。

出田 聡志先生出田先生

交通事故に遭ったとき、医療機関ではなく整骨院やマッサージなどに行く人も多いようですが、必ず一度はレントゲンやMRIなどの医療機器を備えた医療機関を受診してください。それらの検査を受けることで、ケガや疾患の発見につながることもあります。交通事故に遭った直後は気が動転していて冷静に考えられないかもしれないので、家族や兄弟などに病院選びを手伝ってもらうのもいいと思います。

交通事故によるケガで通院する際の注意点

交通事故によるケガで通院する際の注意点

編集部編集部

交通事故によるケガの場合、窓口での支払い義務はありますか?

出田 聡志先生出田先生

交通事故における被害者の過失割合によって変動はありますが、自賠責保険の利用によって自己負担金がなく、交通事故の治療を受けることができます。ただし、警察への届け出をしてない場合や相手が自賠責保険へ加入してない場合には、自賠責保険が適用にならないケースもあります。詳しくは保険会社に確認しましょう。

編集部編集部

受診する前にやらなければならないことはありますか?

出田 聡志先生出田先生

加害者側の自賠責保険を適用して、治療費や慰謝料を支払ってもらう場合には、警察署で「交通事故証明書」を交付してもらう必要があります。医療機関を受診する前に、必ず警察署へ行きましょう。

編集部編集部

そのほかにも注意点はありますか?

出田 聡志先生出田先生

交通事故が原因で通院する場合、基本的に加害者側の保険会社が治療費を支払ってくれます。そのため、自賠責保険や任意保険から治療費を支払う際は、保険会社にどの医療機関で治療を受けるのか伝えましょう。また、交通事故によるケガの治療は、症状によっては長引く場合もあります。「医師やスタッフときちんとコミュニケーションが取れるかどうか」という点も重要です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

出田 聡志先生出田先生

交通事故の痛みは患者さん本人にしかわからないものなので、痛みは我慢せずに適切な検査や治療を受けましょう。できる限り早い段階で受診した方が、早期診断と早期治療につながります。場合によっては、事故からしばらく経った後に症状が出てくることもあるので、痛みなどの症状がなくても早期に医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

できれば遭いたくない交通事故。しかし、不幸にも事故に遭ってしまった場合には、落ち着いて行動できるよう、普段から「万が一」のことを考えておくのは大切です。いざというときのために、自宅の近くなどに交通事故による外傷を多く扱っている整形外科を見つけておくのもいいかもしれませんね。

医院情報

いでた整形外科クリニック

いでた整形外科クリニック
所在地 〒855-0863 長崎県島原市親和町丁3565-11
アクセス 島原鉄道「島原港駅」 徒歩12分
診療科目 整形外科、リハビリテーション科

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