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「ポリフェノールを摂りすぎると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!

 更新日:2025/05/19
「ポリフェノールを摂りすぎると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!

ポリフェノールを摂りすぎるとどうなる?Medical DOC監修医がポリフェノールを摂りすぎると現れる症状、妊娠中の女性の症状・一日の摂取量・効果・多く含む食品・効率的な摂取方法などを解説します。

西城戸 仁美

監修管理栄養士
西城戸 仁美(管理栄養士)

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短大卒業後、一般企業にて事務職に従事。リーマンショック後、専門学校で学び栄養士免許修得。高齢者施設勤務時代に管理栄養士国家試験合格。現在は、施設での給食管理のほか、特定保健指導や食事指導、衛生管理指導などに従事している。

「ポリフェノール」とは?

「ポリフェノール」とは?

ポリフェノールは、植物由来の苦味や色素を持つ化合物で、「酸化を防ぐ働き=アンチエイジング効果」が期待される成分です。その種類は数千種類以上もあると言われ、体に与える影響は様々です。大豆や果物に多いイソフラボン・緑茶に多いカテキン・赤ワインやお茶に多いタンニン・ごまに多いセサミンなどが代表的な物としてあげられます。消化酵素を阻害するため、調理では取り除いたほうが良いとされてきました。しかし、近年では強い抗酸化作用が、体内の活性炭素の働きを抑制し、生活習慣病の予防に役立つことで注目されています。

ポリフェノールの一日の摂取量

ポリフェノールの一日の摂取量

摂取量の研究が進められていますが、1日あたりの基準は明確ではなく「日本人の食事摂取基準(2025年版)」にも記載はありません。しかし、健康の維持増進のためには、1日あたり1000~1500mgが良いと言われています 。コーヒー1杯中のカフェインは約70~140mgなので、コーヒーに換算すると3~5杯程度になります。

ポリフェノールの効果

ポリフェノールの効果

動脈硬化の予防

動脈硬化の原因のひとつに、LDLコレステロールの増加があります。カカオに多いカカオポリフェノール、卵黄や色の濃い葉物野菜に多いルテインや、大豆に多いイソフラボン、果物のフラボノイドには、血中のLDLコレステロールを下げる効果があることがわかってきました。特に閉経後の女性の脳梗塞や心筋梗塞の罹患リスクが低下すると報告されています。適正なLDLコレステロール値維持により、動脈硬化の予防が期待でき、さらに脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが下がります。しかし動脈硬化は、食事・運動不足・多量飲酒・肥満・喫煙習慣なども関連しますので、ポリフェノールの摂り方以外に、生活習慣全般に着目する必要があります。

がんの予防

ポリフェノールには、がんのリスクを低下させる可能性があるという研究結果がいくつかあります。例えば、コーヒーを飲む習慣がない人の肝がん発症率を100%とすると、週に1~2回飲む人は75%、毎日5杯以上飲む人は24%に減少したとの研究があります。また、緑茶のカテキンや大豆のイソフラボンには、一部のがんリスクを下げる可能性が示唆されています。
ただし、これらの効果は食事や生活習慣全体の影響が大きく、ポリフェノールのみで効果を期待するのは不十分です。摂りすぎは健康を害する場合があるため、適量を心がけることが重要です

アンチエイジング

ポリフェノールの抗酸化作用は、しわやたるみを予防する効果があると言われています。緑茶や赤ワインに多いカテキンやコーヒーに多いクロロゲン酸には、コラーゲンを活性化させる報告のほか、大豆に多いイソフラボンやごまに多いリグナンは、女性ホルモンに似た働きによる美肌効果、ブドウの皮やベリー類に含まれるエラグ酸には美白効果があると言われています。
このように、ポリフェノールと言っても、種類や効果は様々です。いろいろな食品から摂取すると、ポリフェノール以外の食品成分も、少しずつ摂ることが可能になります。

ポリフェノールを過剰摂取すると現れる症状

ポリフェノールを過剰摂取すると現れる症状

貧血と便秘

赤ワイン・コーヒー・お茶・柿などに多く含まれている「タンニン」の摂りすぎは、鉄の吸収を妨げたり、腸の動きを抑えたりする働きがあるため、貧血や便秘に繋がりやすくなります。食事の前後は、タンニンを多く含む飲料を避けた方が良いでしょう。また、アルコールやカフェインには、水分を排出する働きがあるため、水も一緒に飲むことをお勧めします。タンニンの過剰摂取だけでなく、アルコールやカフェインの過剰摂取に繋がるため、ワインなら1日1杯、コーヒーなら1~2杯にとどめると良いでしょう。不調を感じた際は、内科を受診するのがおすすめです。

歯が黄ばむ

ポリフェノールは色素成分のため、タンパク質と結びつくと色素が沈着し、歯が黄ばんでしまいます。飲食後はできるだけ早く口をゆすいだり、食後の歯磨きをしっかり行うことが大切です。色素が落ちにくいときは、歯科医に相談するのがお勧めです。

【妊娠中の女性】ポリフェノールを過剰摂取すると現れる症状

【妊娠中の女性】ポリフェノールを過剰摂取すると現れる症状

胎児の早期動脈管閉鎖

ポリフェノールを過剰に摂取すると、胎児に早期動脈管閉鎖のリスクが生じる可能性があるとされています。動脈管の閉塞や狭窄により、胎児が心不全や肺高血圧症を起こし、最悪の場合死亡につながることもあります。そのため、異常を感じた場合は速やかに主治医に相談してください。
妊産婦向けのカフェインレスのお茶にもポリフェノールが含まれることが多いため、摂取量には注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。

新生児遷延性肺高血圧症

出生後、肺に繋がる動脈が拡がらず、肺高血圧症から心不全やなどをおこし、機能障害や死亡につながることもあります。少しでも異変を感じたら、直ちに主治医へ相談しましょう。
妊産婦に良いとされるカフェインレスのお茶にも、ポリフェノールが含まれていることが多いため、摂りすぎないことが大切です。

ポリフェノールを多く含む食品

ポリフェノールを多く含む食品

赤ワイン

赤ワインは、ブドウの皮・果肉・種子などを発酵させるため、6種類以上のポリフェノールが含まれ、グラス1杯(約150ml)で100~150mgのポリフェノールを摂ることができます。

コーヒー

コーヒー1杯(約150ml)で約200mgのポリフェノールを摂ることができます。脳をリフレッシュさせてくれますが、空腹時に飲むと胃の負担が大きいため、食後に飲んだり、空腹時に飲むときは牛乳などを加えるのがお勧めです。

緑茶・紅茶

ポリフェノールの含有量は、コーヒーの約半分ですが、カフェインも1/3程度のため、比較的取り入れやすい摂取方法と言えるでしょう。

野菜・果物

ポリフェノールは、野菜や果物からも、摂取できます。また、なすやりんごなど、多くの皮付きの食材のポリフェノールは皮に近い部分に集中します。可能な限り、皮ごと召し上がることをお勧めします。

チョコレート

チョコレートには、カカオポリフェノールが多く含まれています。高カカオチョコレートにはミルクチョコレートの4倍のポリフェノールが含まれます。

ポリフェノールを効率よく摂取する方法

ポリフェノールを効率よく摂取する方法

皮ごと食べる

ポリフェノールは、コーヒーやワインなどの飲料以外に、野菜や果物からも摂取できます。ナスやりんご、芋、ナッツ類など、皮ごと召し上がれる食品は、皮も召し上がりましょう。
特に皮や皮にも近い部分には多く含まれています。水に溶けやすい成分のため、ゆで時間や水にさらす時間を短くするのがポイントです。

ポリフェノールと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品

ひとつの食材に頼らず、多くの食材を満遍なく摂ると良いでしょう。
ポリフェノールの含有量が、最も多いのは、ワインやコーヒーですが、飲み過ぎると、アルコールやカフェインの摂りすぎに繋がります。

ポリフェノールの効果を高める摂取タイミング

ポリフェノールは、体内で吸収されると抗酸化作用を発揮しますが、その効果は摂取する種類や個人差によって異なります。一般的に、ポリフェノールは水溶性であるため、吸収後に一定時間効果を発揮しますが、数時間で代謝・排泄されるため、持続的な効果を得るにはこまめな摂取が推奨されます。
具体的には、朝昼晩の食事に加えて、間食のタイミングでお茶や果物などポリフェノールを多く含む食品を取り入れると良いでしょう。特に10時頃や15時頃に緑茶やコーヒーを飲むなど、小まめに摂取することで、抗酸化作用を継続的に体内に届けることができます。

「ポリフェノールを摂りすぎると」についてよくある質問

「ポリフェノールを摂りすぎると」についてよくある質問

ここまでポリフェノールを摂りすぎるとどうなるかについて紹介しました。ここでは「ポリフェノールを摂りすぎると」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ポリフェノールが一番多い食べ物について教えてください。

西城戸 仁美西城戸 仁美

赤ワイン1杯(約150ml)には100~150mgのポリフェノールが含まれ、コーヒー1杯(約150ml)には約200mgのポリフェノールが含まれています。また、抹茶や玉露にも多く含まれており、野菜ではごぼうやほうれん草、ブロッコリーなどに含まれていますが、飲料に比べると含有量は少なめです。

編集部まとめ

ポリフェノールには抗酸化作用がありますが、その一種であるタンニンを取り過ぎてしまうと貧血や便秘に繋がることがあります。ポリフェノールを効率よく、たくさん摂ろうとすると、アルコールやカフェインの摂りすぎにもつながります。また、妊娠後期の女性が、ポリフェノールを摂りすぎれば、胎児だけでなく新生児にまで影響を及ぼしてしまいます。特定の飲料や食品だけを飲んだり食べたりするのではなく、様々な食品からバランス良く食事をとることが大切です。

「ポリフェノール」と関連する病気

「ポリフェノール」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

胎児の病気

  • 早期動脈管閉鎖

新生児の病気

  • 新生児遷延性肺高血圧症

「ポリフェノール」と関連する症状

「ポリフェノール」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
成人では、ポリフェノールに関連している症状は、2つあります。

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この記事の監修管理栄養士