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「心筋梗塞にかかりやすい年齢」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!

 公開日:2024/10/01
「心筋梗塞にかかりやすい年齢」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も医師が解説!

心筋梗塞にかかりやすい年齢層とは?Medical DOC監修医が心筋梗塞を発症しやすい男女別の年齢層・なりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

小鷹 悠二

監修医師
小鷹 悠二(おだかクリニック)

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福島県立医科大学医学部卒業 / 専門は循環器内科 / 2009/4月~2013/3月 宮城厚生協会坂総合病院 / 2013/4月~2017/3月 東北大学病院循環器内科・同大学院 医員 / 2017/4月~2018/5月 仙台オープン病院 循環器内科医長 / 2018/5月~ おだかクリニック 副院長 / 診療所での外来業務に加え、産業医、学校医としての業務も行っている。 また、医師業務以外の副業も積極的に行っており、ビザスクなどを通して企業の医療アドバイザー業も副業として行っており、年間70社以上の会社にアドバイザーとして助言を行うなどしている。 ライティングも行っており、m3.comや、Ubie病気のQ&A(https://ubie.app/byoki_qa/doctors/yn8ueqd6kjn)などにて定期的に執筆活動を行っている。

「心筋梗塞」とは?

冠動脈の血流が途絶し、心臓の筋肉に強い障害が生じた状態が急性心筋梗塞です。
動脈硬化により生じた血管内のプラークに傷ができ、血栓が付着することで血管が詰まってしまい(プラークの破綻)、血流が途絶えてしまうことが原因です。
急性心筋梗塞も狭心症と同様、生活習慣病や喫煙などの生活習慣などによって生じる動脈硬化が原因となることが多いです。
急性心筋梗塞の主な症状は胸痛であり、典型的には締め付けられるような、踏みつぶされるような強い痛みであり、狭心症よりも強く、長い時間持続します(多くは30分以上)。心筋梗塞では胸痛だけでなく、呼吸困難、意識障害、臓器障害など、より重症な症状を生じることもあります。
また、心臓の血管の根元に近い部分が詰まってしまうと、より広い範囲の心筋の障害が出現し、より重症化し、突然の死亡の原因となることもあります。
心筋梗塞は緊急での対応が必要であるため、動けないような強い胸痛が出現した場合には、速やかに救急要請を行い、少しでも早く病院で治療を受ける必要があります。

心筋梗塞を発症しやすい年齢層と男女差

心筋梗塞の発症は、男性の方が女性よりも3倍高いとされています。
年齢的には、動脈硬化が進行する中高年者に多く発症します。男性においては平均発症年齢が65歳、女性では平均発症年齢が75歳と10歳高齢になり、明らかな性別による違いがあります。これは、エストロゲンなどの女性ホルモンには心血管系に対する保護作用を有しているためであり、女性ホルモンが減少する閉経後から、女性での発症が増加してくることが関連しています。

心筋梗塞になりやすい人の特徴と原因

心筋梗塞は、血管の動脈硬化が進行することで発症することが大半であるため、動脈硬化が強くなりやすい人で発症しやすくなります。
具体的には、生活習慣として喫煙、運動不足、肥満、不規則な生活をしている人、高血圧などの生活習慣病がある人などで起こりやすくなります。

生活習慣病

心筋梗塞は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が原因となることが非常に多いです。
これらの生活習慣病は動脈硬化を引き起こし、血管内のプラークを増加させやすくなるため、急性心筋梗塞の非常に大きなリスクになります。
健診などで血圧や脂質、血糖の異常を指摘された際には、一度は内科の病院を受診して状態を評価し、必要であれば生活改善や内服治療などを検討する事が大切です。

不健康な生活習慣

心筋梗塞は、不適切な生活習慣も原因となることが多いです。
気をつけるポイントとしては、以下のような点があります。

  • ・塩分をとり過ぎない:1日の塩分量は6g以下を意識する
  • ・カロリーをとり過ぎない:通常成人では、年齢や活動量に応じて1800-2600kcal程度のカロリー摂取が推奨されます。さらに、野菜や果物の積極的な摂取、脂分が多い食品をとり過ぎないことが推奨されます。
  • ・太り過ぎない:BMI(体重[kg]÷身長[m]2)25未満を心がける
  • ・運動習慣:軽く汗ばむ位の有酸素運動を1日60分(歩行なら1日8000歩以上)行う
  • ・節酒:エタノールとして1日、男性20-30ml(日本酒1合、ビール中瓶2本、焼酎0.5合、ワイン2杯、ウイスキーダブル1杯に相当)、女性は約半分の10-20ml以下の制限が推奨されます。
  • ・禁煙:喫煙は高血圧、心臓・脳血管疾患、肺疾患、悪性腫瘍等、様々な疾患リスクとなる事が証明されています。

心筋梗塞の代表的な症状

心筋梗塞は心臓に栄養を送る冠動脈が完全に閉塞してしまうため、強い症状が長い時間出現します。ここではどんな症状が出現するのかを解説します

胸痛

心筋梗塞では、冠動脈が閉塞することで心臓の筋肉への血流が途絶えてしまい、胸痛を生じます。典型的な心筋梗塞の症状としては、胸の中心~左側の締め付けられる様な、押しつぶされるような強い胸痛であり、冷や汗を伴うような強い症状であり、左肩~顎や奥歯まで苦しくなる放散痛を伴う事も多いです。
動いた時だけの胸痛なのか、安静時にも出現するのか、持続する時間、放散痛の有り無しなどは診断のために非常に重要な情報です。
数分で改善しないような強い胸痛の場合は、速やかな救急要請が必要となる、緊急性が高い状態となっている可能性が高いです。
もし短時間で落ち着いたとしても、それまでなかった症状が出現している際には早期の循環器科受診が必要です。

動悸

心筋梗塞で心臓の血流障害が引き金となり、不整脈が出現することがあります。
不整脈が出現した際には、動悸が出現する事が多いです。
ただ、動悸と一言で表現しても、様々な症状を動悸と表現する事があります。そのため、動悸の場合には①脈が速い状態なのか、②脈の乱れなのか、③脈が速くも乱れてもいないが鼓動だけ強く感じるのか、という①~③のどのタイプの動悸なのかをはっきりさせる必要があります。
もし、自分で動悸を自覚した場合には、下記の確認をして頂くことが大切です。

  • ①脈の速さは1分間で何回か(時計などを見てチェックする)
  • ②脈のリズムの異常はないか

また、不整脈には大きく分けて下記のような3つのタイプ(又は組み合わせたもの)があります。

  • ①脈が速くなるタイプ
  • ②脈が遅くなるタイプ
  • ③リズムが異常となるタイプ

不整脈では動悸や胸の違和感を自覚することが多いですが、動悸以外に胸痛や強い呼吸苦症状を伴う場合には緊急性が高い可能性があるため、救急要請も検討が必要です。
短時間で改善する、症状はあるが軽い場合には早めに循環器科を受診することを検討しましょう。
強い動悸やめまい・ふらつき・失神等の症状がある際には、無理に動かず、横になって楽な姿勢を取り、速やかに救急要請をする必要があります。

息切れ、呼吸の苦しさ(呼吸困難感)

心筋梗塞により、広範囲の心臓の筋肉が障害を受け、突然心臓の機能が低下することで生じます。
心不全症状での典型的な呼吸苦症状は、横になった際に心負荷で肺にたまった胸水が肺全体に広がるため呼吸の苦しさが悪化し、体を起こすと楽になる起坐呼吸という症状があります。中には突然の呼吸障害・循環障害を引き起こし、命にかかわることもあります。

めまい、ふらつき、失神

脈がゆっくりとなる不整脈や、逆に速くなるタイプの不整脈で引き起こされます。心臓が痙攣したような状態となる極端な頻脈では、突然の意識消失による失神を起こしたり、ひどいとそのまま心停止となることもあります。
症状を自覚したら、まずは転倒・失神等をしないように座り込むか横になりましょう。
そして可能であれば自分で脈をチェックし、脈の速さの異常や乱れがないかを確認してください。
失神を起こす場合は、緊急での処置を必要とする状態の可能性もあるため、できる限り速やかな受診が必要です。
心筋梗塞など心臓病が原因の失神は、徐々に気が遠くなるというよりは、突然ブツンと意識がなくなる、気が付いたら倒れていたというタイプの症状が多いため、このような症状では特に注意が必要です。

心筋梗塞の予防法

生活習慣に気をつける

多くの心疾患は動脈硬化が原因となるため、最も基本的な点は生活習慣に気をつける事です。気をつけるポイントとしては、以下のような点があります。

  • ・塩分をとり過ぎない:1日の塩分量は6g以下を意識する
  • ・カロリーをとり過ぎない:通常成人では、年齢や活動量に応じて1800-2600kcal程度のカロリー摂取が推奨されます。さらに、野菜や果物の積極的な摂取、脂分が多い食品をとり過ぎないことが推奨されます。
  • ・太り過ぎない:BMI(体重[kg]÷身長[m]2)25未満を心がける
  • ・運動習慣:軽く汗ばむ位の有酸素運動を1日60分(歩行なら1日8000歩以上)行う
  • ・節酒:エタノールとして1日、男性20-30ml(日本酒1合、ビール中瓶2本、焼酎0.5合、ワイン2杯、ウイスキーダブル1杯に相当)、女性は約半分の10-20ml以下の制限が推奨されます。
  • ・禁煙:喫煙は高血圧、心臓・脳血管疾患、肺疾患、悪性腫瘍等、様々な疾患リスクとなる事が証明されています。

健康診断、定期的な検査を受ける

心筋梗塞の原因となる疾患の多くは、高血圧等の生活習慣病や、心臓の異常であるため、定期的に健康診断を受けて、身体診察、心電図やレントゲン、採血検査等を受けることで早期の診断、早期治療に繋げることが可能です。
より早い段階で診断・治療を行う事で、危険な状態になるまで病気を放置する事がなくなり、心筋梗塞の予防になります。

治療している病気をしっかりコントロールする

心筋梗塞の原因となるような病気は生活習慣病や慢性的な心臓病が多く、適切な治療を受けることで病気の進行や心臓に過度の負荷がかかる事を防止する事ができます。
高血圧や脂質異常、糖尿病などの生活習慣病や慢性的な心臓病は、治療が不十分であったり、治療を中断してしまうと動脈硬化を進行させ、心臓の負担を増やし、心筋梗塞の原因となるような病気を引き起こしてしまいます。内服をしっかり継続する事、医師による定期的な病状評価をうけること(診察や検査)、治療が不十分であれば治療強化を検討する事が非常に重要です。

「心筋梗塞にかかる年齢」についてよくある質問

ここまで心筋梗塞にかかる年齢を紹介しました。ここでは「心筋梗塞にかかる年齢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

若年性心筋梗塞を発症する原因について教えてください。

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

基本的には動脈硬化が進行したことによる中高年の病気と解説しましたが、若い方で起こることもあります。
近年では食生活の欧米化に伴い、若年者でも動脈硬化が進行しやすくなったことが一つの要因であるとされています。
それ以外にも、動脈硬化の進行だけでなく、血管の筋肉が痙攣し、収縮してしまうことで冠動脈の血流障害を生じ、心筋梗塞を引き起こしてしまうことがある冠攣縮という機序で発生する場合には、若い、動脈硬化が進行していない方でも発症することがあります。

心筋梗塞の罹患率が高い年齢層について教えてください。

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

年齢的には、動脈硬化が進行する中高年者に多く発症します。男性においては平均発症年齢が65歳、女性では平均発症年齢が75歳と10歳高齢になり、明らかな性別による違いがあります。

編集部まとめ

今回は心筋梗塞を起こしやすい年齢やなりやすい要因・原因、症状、予防方法等について解説しました。
生活習慣を注意する、定期的な健診を受けるといった事はすぐにでも始められることですので、ぜひ実践していただき、心筋梗塞を起こすリスクを減らすことができればと思います。

「心筋梗塞」と関連する病気

「心筋梗塞」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

心筋梗塞の原因となる病気には高血圧などの生活習慣病や慢性的な心臓病が多いと言われます。これらの病状の悪化を防ぐことで発症予防につながります。

「心筋梗塞」と関連する症状

「心筋梗塞」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛
  • 息切れ、呼吸困難
  • めまいや失神

心筋梗塞の代表的な症状は胸の痛みですが、他にも他の症状が強く見られることがあります。急に出現した症状で改善しない場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師