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「急性大動脈解離の原因」となる可能性の高い食べものはご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/09/18
「急性大動脈解離の原因」となる可能性の高い食べものはご存知ですか?医師が解説!

急性大動脈解離の原因とは?Medical DOC監修医が急性大動脈解離の原因・突然死する原因・原因となる可能性の高い食べ物・飲み物・嗜好品・症状・治療法などを解説します。

小鷹 悠二

監修医師
小鷹 悠二(おだかクリニック)

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福島県立医科大学医学部卒業 / 専門は循環器内科 / 2009/4月~2013/3月 宮城厚生協会坂総合病院 / 2013/4月~2017/3月 東北大学病院循環器内科・同大学院 医員 / 2017/4月~2018/5月 仙台オープン病院 循環器内科医長 / 2018/5月~ おだかクリニック 副院長 / 診療所での外来業務に加え、産業医、学校医としての業務も行っている。 また、医師業務以外の副業も積極的に行っており、ビザスクなどを通して企業の医療アドバイザー業も副業として行っており、年間70社以上の会社にアドバイザーとして助言を行うなどしている。 ライティングも行っており、m3.comや、Ubie病気のQ&A(https://ubie.app/byoki_qa/doctors/yn8ueqd6kjn)などにて定期的に執筆活動を行っている。

「急性大動脈解離」とは?

大動脈は心臓から足まで血流を流す、体の中の最も太く、大きな血管です。その大動脈の壁は3層構造となっており、内膜・中幕・外膜からなります。
大動脈解離では、血管の壁(内膜)に様々な原因で亀裂が入ってしまうことで、血液が中膜に流れ込み、本来の血液の通り道(真腔)とは異なる血液が流れる空間(解離腔・偽腔と呼ばれます)が生じてしまった状態です。
解離腔は血流により広がりやすく、大動脈から分岐する脳やせき髄、心臓、腎臓、胃や腸などの臓器へ血流を送る血管が巻き込まれてしまうと、それらの臓器の障害を引き起こします。
大動脈解離は大きく2種類に分類され、心臓から近い血管の上行大動脈に解離が生じたスタンフォードA型と、上行大動脈に解離がないスタンフォードB型があります。

急性大動脈解離の主な原因

大動脈解離は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や、喫煙、ストレスなどに伴う動脈硬化が主な原因となります。
それぞれの原因について、解説していきましょう。

生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)

これらの生活習慣病によって動脈硬化が進行することで、血管に亀裂が入りやすくなり、大動脈解離を発症しやすくなることが知られています。
塩分や脂質、糖分、カロリーの取りすぎを避け、バランスの良い食生活や適度な運動習慣を持つことで、これらの生活習慣病になりにくくなります。
また、もし生活習慣病になってしまった後も、生活改善と、適切な処方管理でコントロールをよくすることが重要です。

喫煙やストレス

喫煙は動脈硬化を進行させてしまい、大動脈解離などの血管の病気を発症しやすくなります。大動脈解離の患者では、喫煙歴があることが多いことは疫学研究でも報告されており、最近では本人だけでなく、副流煙でも起こりやすくなるとする報告もあります。
また、ストレスも血圧を上昇させることで大動脈解離などの血管の病気を発症しやすくすることが知られています。
禁煙、休養や睡眠をしっかりとってストレスを減らす生活をすることが大切です。

遺伝(マルファン症候群など)

頻度は少ないですが、マルファン症候群などの、特殊な遺伝性の病気も大動脈解離の原因となることが知られています。マルファン症候群は、体の組織を構成する結合組織が弱くなってしまう遺伝性の病気で、全身の組織の弾力性が低下してしまい、血管の損傷・解離などが生じやすくなってしまいます。

急性大動脈解離で急死する主な原因

急性大動脈解離は、発症後、病院到着までの死亡は61.4%にもおよび、病院到着後も含めると93%が24時間以内に死亡するとの報告もある、致死率が非常に高い病気です。
その死亡原因としては以下のようなものがあります。

心タンポナーデ

直接死因の98.5%が大動脈破裂であるとされます。そのうち、大動脈の付け根部分の血管が破裂し、心臓と心臓表面を覆う心内膜の間のスペースに血液が溜まってしまい、心臓が動けなくなる心タンポナーデが原因で死亡した例は86.6%とされています。

胸腔内出血

大動脈の解離が破裂し、胸腔内への出血を起こすことによる死亡が、全体の8.1%とされます。
これは頻度としては上記の心タンポナーデに次ぐ頻度です。

虚血性心疾患

大動脈の根本には、心臓の筋肉に栄養を供給している冠動脈という心臓の血管があります。
大動脈解離が、大動脈の根元に及んでしまうと、冠動脈の入口をふさいでしまい、心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こしてしまうことがあります。
心筋梗塞によって心臓の機能が大きく低下し、全身に血液が流れなくなったり、致死的な不整脈が出現することで死に至ることがあります。
頻度としては全体の1.5%程とされています。

急性大動脈解離の原因となる可能性の高い食べ物・飲み物・嗜好品

急性大動脈解離は動脈硬化が原因となることが多いため、カロリーや塩分が高い食べ物や動脈硬化を進行させるリスクがある嗜好品は注意が必要です。

カロリーが高い食品

通常成人では、年齢や活動量に応じて1500-2600kcal程度のカロリー摂取が推奨されますが、取りすぎてしまうと動脈硬化を進めやすくしてしまいます。
動脈硬化の進行を進めやすい食品としては、肉の脂身やバターなどの動物性脂質が多い食品、油を多く使用する食品、トランス脂肪酸を多く含む菓子類などがあります。

塩分が高い食品

動脈硬化を引き起こす高血圧の原因となるものとして、塩分の多い食品があります。
カップラーメンやインスタントラーメン、丼もの、漬物などには注意が必要です。みそ汁も1日1食程度ならば問題ないことが多いですが、2-3食でとると過剰な塩分の原因となることがあります。レトルト食品や市販の弁当などは味が濃くしてあることが多いため、注意が必要です。

タバコ

たばこは4000種類以上の化学物質を含んでおり、人体に有害であることが多くの研究結果で証明されており、特に心筋梗塞のリスクは4倍になるとされています。
たばこに含まれるニコチンは交感神経を刺激し、血管を収縮させることで血流を低下させ、さらに心拍数や血圧の上昇やLDLコレステロール増加作用等により動脈硬化を進行させます。

急性大動脈解離の代表的な症状

胸痛、背部痛

急性大動脈解離では、極めて強い胸痛が出現することが大半です。胸部~背中にかけての強い胸痛で、過去に経験したことがないような痛みと表現されることが多いです。
痛みの性状は、鋭く引き裂かれるような痛みであり、突然発症することが特徴です。
痛みは血管の解離の進行とともに移動したり、逆に解離が止まると痛みが一時的に消失することもあります。
ただ、高齢者や糖尿病患者では痛みの感覚が鈍くなることもあり、6%程度は痛みのない無痛性とされています。

失神

報告にもよりますが、10-20%の症例では失神をきたします。
大動脈の解離が、大動脈から脳に枝分かれする血管を巻き込んでしまうと、脳の血流低下が生じ、失神をきたします。それ以外にも、心臓の周囲に血液が貯留してしまう心タンポナーデや、強い痛みによる迷走神経反射で失神することもあります。

突然死

大動脈解離では病院到着までに60%が死亡するとされる致死率が高い病気です。その中でも、大動脈解離に伴う大動脈破裂を生じてしまうと、突然死につながることもあります。
そのため、最初の症状が突然死になってしまうといった事も、少なからず発生します。

急性大動脈解離の治療法

大動脈解離の治療は、心臓から近い血管の上行大動脈に解離が生じたスタンフォードA型と、上行大動脈に解離がないスタンフォードB型で違います。それぞれでどのような治療を行うか、解説します。

人工血管置換術

主にスタンフォードA型で実施されることが多いです。
解離を生じた血管を、人工血管と置き換える治療であり、一時的に心臓を止めて行う必要がある、かなり大きな手術になります。
スタンフォードB型解離でも、臓器や重要な血管への血流障害、血管の破裂が生じている場合には実施されることがあります。

ステントグラフト内挿術

ステントグラフトは、人工血管にばね状の金属の筒(ステント)を取り付けたものです。これを小さく圧縮した状態で、カテーテルという細い管に収納し、治療する部位の血管内で拡張させ、血管を内側から補強します。
人工血管置換術よりも体にかかる負担が少なく、スタンフォードB型解離で実施されることが多いです。
病変の部位によっては人工血管置換術と併用する、ハイブリッド手術が行われることもあります。

保存的治療

スタンフォードB型で、重要な血管への血流障害が生じていない場合には、厳重な降圧管理や薬物治療で、手術をしないで治療を行うこともあります。
保存的治療後、ステントグラフト内挿術を行うこともあります。

「急性大動脈解離の原因」についてよくある質問

ここまで急性大動脈解離の原因などを紹介しました。ここでは「急性大動脈解離の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性大動脈解離を発症しやすい人の特徴を教えてください。

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

生活習慣病がもとになり発症する事が多いですが、生活環境や嗜好品、遺伝的な要因なども原因となる事があります。急性大動脈解離になりやすい特徴としては以下のようなものがあります。
・肥満
・生活習慣病の治療中
・生活習慣病のコントロールが悪い
・喫煙者
・過度の飲酒者
・不規則な生活習慣
・ストレスが多い
・親族内で若年での突然死がある
・親族での心臓病が多い

急性大動脈解離の予防法について教えてください。

小鷹 悠二小鷹 悠二 医師

多くの心疾患は動脈硬化が原因となるため、最も基本的な点は生活習慣に気をつける事、生活習慣病を早期に発見し、適切に治療することです。
主なポイントとしては以下のようなものがあります。
・塩分をとり過ぎない
・カロリーをとり過ぎない
・太り過ぎない
・運動習慣
・節酒
・禁煙
・健診を定期的に受ける
・治療している病気のコントロールをよくする

編集部まとめ

大動脈解離の原因・突然死する原因・発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物・症状・治療法などについて解説しました。
この疾患は非常に危険な病気であるため、しっかり理解し、少しでも皆さんの健康につながればと思います。

「急性大動脈解離の原因」と関連する病気

「急性大動脈解離の原因」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

脳神経科の病気

遺伝性の病気もありますが、生活習慣病が原因となることが多いため、普段の生活習慣を見直し、問題があるようであれば改善させることが重要です。

「急性大動脈解離の原因」と関連する症状

「急性大動脈解離の原因」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛
  • 背中の痛み
  • 呼吸困難
  • 失神
  • 心肺停止

大動脈解離では病院到着までに半数以上が死亡し、病院到着後も致死率が高いという非常に緊急性の高い病気です。急に上記のような症状が見られた場合にはすぐに救急車を呼んで受診してください。

この記事の監修医師