「マルファン症候群」の症状・身体的特徴はご存知ですか?医師が監修!
公開日:2023/06/05

マルファン症候群という病気をご存知でしょうか。
マルファン症候群とは、生まれつき細胞と細胞を繋ぐ組織の結合が弱いために骨格・眼・心臓血管・肺などにさまざまな症状が出る病気です。
5,000人に1人程度という比較的稀な病気ですが、気付かずに放置してしまい、ある日突然大動脈解離などの合併症を起こし、若くして命を落とすようなケースもあります。
こちらで、マルファン症候群の症状・身体的特徴・発症しやすい年齢・治療方法についてご紹介していきます。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
マルファン症候群の症状や身体的特徴

マルファン症候群とはどのような病気ですか?
マルファン症候群は、細胞と細胞を繋ぐ結合組織が先天的に弱く、骨格・眼・心臓血管・肺などに症状が現れる病気です。フランスの小児科医アントワーヌ・マルファンが1896年に報告したことから、マルファン症候群という名前がついたとされています。
先天性の遺伝子疾患で、原因となる遺伝子はフィブリリン1(FBN1)です。ほかにもトランスフォーミング増殖因子β受容体1、2型(TGFBR1,2)などが原因遺伝子として判明していますが、未解明の原因遺伝子が存在するのではないかと考えられています。
先天性の遺伝子疾患で、原因となる遺伝子はフィブリリン1(FBN1)です。ほかにもトランスフォーミング増殖因子β受容体1、2型(TGFBR1,2)などが原因遺伝子として判明していますが、未解明の原因遺伝子が存在するのではないかと考えられています。
代表的な症状を教えてください。
マルファン症候群の代表的な症状には以下のようなものがあります。
症状のないまま経過し、突然背中や胸の痛みとともに大動脈解離や大動脈瘤破裂を発症して命を落とすケースもあります。
- 高身長や細く長い指など特徴のある骨格
- 水晶体のずれ・強い近視など眼の症状
- 大動脈解離・大動脈瘤・大動脈弁閉鎖不全など心臓血管の症状
- 自然気胸など肺の症状
症状のないまま経過し、突然背中や胸の痛みとともに大動脈解離や大動脈瘤破裂を発症して命を落とすケースもあります。
マルファン症候群の身体的特徴は?
マルファン症候群の身体的特徴として、高身長・やせ型・四肢の指が細く長い・側弯・漏斗胸・鳩胸などが挙げられます。ただし、マルファン症候群の方に必ずこれらの身体的特徴がみられるとは限りません。
側弯とは、背骨が左右に湾曲することです。また、漏斗胸は胸骨の一部がへこむ病気です。
側弯とは、背骨が左右に湾曲することです。また、漏斗胸は胸骨の一部がへこむ病気です。
発症しやすい年齢を教えてください。
マルファン症候群は生まれつきの遺伝子疾患です。症状が現れる年齢には個人差があり、10代から症状が出るケースもあれば、大人になるまで気付かないケースもあります。
マルファン症候群の方の場合、大動脈解離など心臓血管の症状は20~30代の若い世代でも発症しやすいため注意が必要です。40代までには何らかの心臓疾患を発症し、手術をするケースが多いとされています。
マルファン症候群の方の場合、大動脈解離など心臓血管の症状は20~30代の若い世代でも発症しやすいため注意が必要です。40代までには何らかの心臓疾患を発症し、手術をするケースが多いとされています。
マルファン症候群は遺伝するのですか?
マルファン症候群は染色体優性遺伝疾患であり、約75%は遺伝によるものです。ただし、約25%の方は遺伝子の突然変異で発症します。
両親のどちらかがマルファン症候群の場合、その子供に遺伝する確率は50%です。家族の病歴からマルファン症候群が疑われる場合には、検査をしておくと良いでしょう。
両親のどちらかがマルファン症候群の場合、その子供に遺伝する確率は50%です。家族の病歴からマルファン症候群が疑われる場合には、検査をしておくと良いでしょう。
マルファン症候群の検査や治療方法

マルファン症候群はどのような検査が行われますか?
マルファン症候群の検査では、エックス線・心エコー・CT・MRI・眼科的検査・肺の検査などが行われます。これらの検査を行ったうえで、家族歴や病歴などと合わせてマルファン症候群かどうか判断されます。
心エコーは、大動脈弁の逆流・僧帽弁の逸脱・大動脈基部の拡大などがないかどうか調べるために有効です。また、CTでは全身の大動脈瘤の有無などが分かります。さらに、骨のエックス線検査では側弯・漏斗胸・鳩胸を調べます。
心エコーは、大動脈弁の逆流・僧帽弁の逸脱・大動脈基部の拡大などがないかどうか調べるために有効です。また、CTでは全身の大動脈瘤の有無などが分かります。さらに、骨のエックス線検査では側弯・漏斗胸・鳩胸を調べます。
治療方法を教えてください。
大動脈瘤が破裂した場合や大動脈解離を起こした場合に行われるのは手術療法です。さらに、血圧を安定させる目的で薬物療法を行うことがあります。
また、背骨の側弯は成長期に悪化するケースが多く、これ以上曲がらないように装具治療で進行を防止することもあります。成長期は3~4か月ごとに経過観察を行うのが一般的です。
視力が低下した場合は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正を行い、近視が強い場合には定期検診が必要なこともあります。
また、背骨の側弯は成長期に悪化するケースが多く、これ以上曲がらないように装具治療で進行を防止することもあります。成長期は3~4か月ごとに経過観察を行うのが一般的です。
視力が低下した場合は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正を行い、近視が強い場合には定期検診が必要なこともあります。
どのような手術が行われますか?
マルファン症候群で手術を行う可能性があるのは以下のような場合です。
また、背骨の側弯がみられ湾曲の角度が大きい場合には、金属で固定する手術を行うのが一般的です。漏斗胸がみられ、へこみの程度が大きく美容上治療した方が望ましい場合には、平らにする手術を行うことがあります。
そのほか、網膜剥離や緑内障の症状が出た場合にも、手術を行うケースがあるでしょう。
- 大動脈解離を起こした場合
- 大動脈瘤ができた場合
- 弁膜症で心臓の負担が大きくなった場合
- 背骨の側弯の程度が著しい場合
- 漏斗胸のへこみの程度が大きい場合
- 網膜剥離や緑内障で手術が必要な場合
- 目の水晶体のずれが大きい場合
また、背骨の側弯がみられ湾曲の角度が大きい場合には、金属で固定する手術を行うのが一般的です。漏斗胸がみられ、へこみの程度が大きく美容上治療した方が望ましい場合には、平らにする手術を行うことがあります。
そのほか、網膜剥離や緑内障の症状が出た場合にも、手術を行うケースがあるでしょう。
マルファン症候群の経過

マルファン症候群の経過について教えてください。
以前は、マルファン症候群の方は40歳くらいまでしか生きられないといわれていました。しかし近年では医療技術の発達もめざましく、早期に発見して適切な治療や経過観察などを行えば、平均寿命まで生きられるようになってきています。
定期的に健診を受け、必要な治療を行うなど、適切な健康管理を行うことが非常に大事です。
定期的に健診を受け、必要な治療を行うなど、適切な健康管理を行うことが非常に大事です。
マルファン症候群を発症していても気づかないことはありますか?
マルファン症候群の症状の出方には個人差があり、若いうちには症状が出ない方もいます。そのため、マルファン症候群を発症していても気づかないケースもあるでしょう。
大動脈解離を起こして初めて、マルファン症候群だと診断される方も多いです。突然大動脈解離を起こすと命に関わることも多いため、早期発見が大事です。約75%が遺伝によって発症するため、家族歴のある方は検査を受けておくと安心でしょう。
大動脈解離を起こして初めて、マルファン症候群だと診断される方も多いです。突然大動脈解離を起こすと命に関わることも多いため、早期発見が大事です。約75%が遺伝によって発症するため、家族歴のある方は検査を受けておくと安心でしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
マルファン症候群は先天性の遺伝子疾患で、約75%は遺伝によって発症するとされています。症状がなく気付かないうちに進行し、ある日突然大動脈解離を起こすと危険なため、早期発見が非常に大事です。
家族にマルファン症候群の方がいる場合や家族が大動脈解離を起こしたことがある場合などは、気になる症状がなくても検査を受けておくと良いでしょう。また、マルファン症候群特有の身体的特徴がある方も注意が必要です。早期発見を心がけ、適切な健康管理や治療を行いましょう。
検査で動脈のふくらみがみられたら激しい運動や重いものを持つといった動作を控えるなど、普段の過ごし方にも注意が必要です。日常生活での注意点についても、主治医に確認しておくと良いでしょう。
家族にマルファン症候群の方がいる場合や家族が大動脈解離を起こしたことがある場合などは、気になる症状がなくても検査を受けておくと良いでしょう。また、マルファン症候群特有の身体的特徴がある方も注意が必要です。早期発見を心がけ、適切な健康管理や治療を行いましょう。
検査で動脈のふくらみがみられたら激しい運動や重いものを持つといった動作を控えるなど、普段の過ごし方にも注意が必要です。日常生活での注意点についても、主治医に確認しておくと良いでしょう。
編集部まとめ

以前は、マルファン症候群の患者さんの寿命は40歳くらいでしたが、近年では、一般の方の平均寿命とほぼ変わらないといわれています。
しかし、マルファン症候群の方が平均寿命を全うするためには早期発見が不可欠です。家族にマルファン症候群の方がいる場合には、早めに検査を受けておきましょう。
マルファン症候群であると診断された場合には定期的に経過観察を行い、必要に応じて適切な治療や手術を受けることが大事です。
マルファン症候群は先天性の遺伝子疾患であり、約75%は遺伝によるものとされていますが、遺伝ではないケースも全体の約25%を占めています。
そのため、家族にマルファン症候群の方がいなくても注意が必要です。
マルファン症候群の身体的特徴や症状などについてあらかじめ知識を持ち、ご自分に当てはまると感じたら早めに医療機関で検査を受けましょう。