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「心筋梗塞の症状」はご存知ですか?初期症状や予防法も医師が解説!

 公開日:2023/12/21
「心筋梗塞の症状」はご存知ですか?初期症状や予防法も医師が解説!

心筋梗塞の症状とは?Medical DOC監修医が心筋梗塞の症状・前兆となる初期症状・セルフチェック法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

小正 晃裕

監修医師
小正 晃裕(医師)

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京都大学医学部卒業。循環器内科・臨床不整脈を専門とし、これまで関西電力病院、京都大学医学部附属病院などで勤務。主にカテーテルアブレーション、不整脈デバイス診療に従事。現在は大手企業の専属産業医、複数クリニックで内科外来業務に従事しながら医療DX推進に向けて複数事業を運営中。日本内科学会認定内科医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本医師会認定産業医。

「心筋梗塞」とは?

心筋梗塞とは、心臓に血液を供給する冠動脈が閉塞することにより、心臓の筋肉が酸素不足となり、心筋が障害を受ける病気です。通常、この冠動脈の閉塞は動脈硬化によるプラークの破裂や血栓の形成が原因で起こります。
心筋梗塞は非常に重篤な病気であり、迅速な治療が必要です。梗塞が起こると、心筋は酸素や栄養を受け取れず、胸痛や呼吸困難などの症状が現れます。特に、重度の胸痛は心筋梗塞の典型的な症状であり、発症後は早期に適切な治療を受けることが重要で、治療が遅れると心筋の障害が進行し、生命を脅かすこともあります。心筋梗塞は、一般的に高齢者に多い病気ですが、生活習慣によっては若年層でも発症することがあるため注意が必要です。

心筋梗塞の代表的な症状

胸痛

胸痛は心筋梗塞の最も典型的な症状です。典型的には突然の強い圧迫感や締め付けられるような痛みが胸部中央に生じ、しばしば左肩や腕、顎へ放散します。この痛みは数分以上続くことがあり、安静にしていても改善しないことが特徴です。このような強い胸痛を感じた場合には、すぐに緊急対応が必要です。できるだけ安静にするとともに、救急要請をして早期診断・治療を受けることが最優先となります。

息切れ、呼吸苦

心筋梗塞により心筋が障害を受けて心臓が効率的に血液を送り出せない場合に起こります。通常だと症状を起こさないような軽度の活動や安静時でも息切れや呼吸困難を感じることがあります。こうした症状が出た際には、直ちに安静にし、深呼吸を試みることが大切です。それでも改善しない場合には救急で医療機関を受診するようにしましょう。

冷や汗

胸部の不快感や突然の冷汗も心筋梗塞の警告信号の一つです。その他の心筋梗塞を疑う症状と共に冷や汗を伴う場合にはより心筋梗塞の可能性が上がるため、すぐに医療機関を受診して精密検査を受けるようにしてください。

心窩部痛、吐き気

心筋梗塞は消化器系の症状を引き起こすこともあります。心窩部痛や嘔気、胃のムカつきなどの症状が心筋梗塞の症状であることもあるため、こうした症状を認めた際には他の心筋梗塞を疑う所見がないかを注意して確認することが必要です。もしも他の症状も認める場合には早めに循環器科や救急科で検査を受けることをお勧めします。

意識消失

心筋梗塞は脳への血流低下を招くこともあり、意識の混濁やめまい、意識消失などを引き起こすことがあります。こうした症状を認めた場合には緊急性が高く、即座に救急車を呼ぶことが必要です。受診時にはすべての症状を詳細に伝えると共に、事前の健康状態や既往、内服薬、発症時の状況なども伝えられると診断の助けとなります。

心筋梗塞の前兆となる初期症状

間欠的な胸痛

心筋梗塞の前兆となる初期症状として、軽度から中程度の胸痛が断続的に起こることがあります。この痛みは数分間続き、自然に消失することが多いです。症状が現れた場合、まずは安静にして様子を見ることが重要です。痛みが頻繁に起こる、または徐々に程度が強くなる場合には、循環器科または内科を受診し、精密検査を受けることが推奨されます。

胃部不快感

胸の痛みが胃に感じるような、消化不良に似た不快感が前兆症状の一つです。こうした症状がある場合には胃腸症状としてまずは一時的に消化に優しい食事に切り替えたり、胃薬を飲むなどの対応を取られることが多いですが、もし症状が続くなら心筋梗塞の前触れの可能性もあるため、内科や循環器科の診察を受けて精密検査を受けることが推奨されます。

疲労感

普段の活動に比べて過度の疲労や倦怠感を感じることも心筋梗塞の前兆の一つです。休息を取っても疲労感が解消されない場合は、心筋梗塞によって心機能が低下している可能性もあるため内科や循環器科の診察を受けることが重要です。

息切れ、息苦しさ

軽い運動や日常活動における息切れも心筋梗塞の前兆となる初期症状として認められることがあります。この症状が出た場合には、まずは無理をせず休息を取り、それでも症状が持続する場合には内科または循環器科での診察が必要です。

不整脈

心拍が不規則になったり、または異常に速くなる場合は不整脈が疑われます。不整脈自体も病気ですが、時に不整脈は心筋梗塞をはじめとする重大な心臓疾患の前兆として認められることもあるため、こうした症状が見られた場合には、心臓病専門医の診察が必要です。特に症状の持続時間や頻度が増えている場合には早めに受診するようにしてください。

すぐに病院へ行くべき「心筋梗塞の症状」

ここまでは心筋梗塞の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

強い胸痛や息苦しさ、意識を失うことがみられた場合は、救急・循環器科へ

これまで述べてきた初期症状や前駆症状のうちでも、特に突然発症の強い胸痛、胸部圧迫感、呼吸困難、冷や汗、意識消失などを認める場合には緊急の可能性が高く、早急な医療機関の受診が必要です。救急科あるいは循環器科、心臓血管外科などをできるだけ速やかに受診して各種検査を受けるようにしてください。また、受診時には症状の発症時刻、持続の程度、放散痛の有無、既往歴、内服薬などを伝えられると速やかな診断の助けとなります。

受診・予防の目安となる「心筋梗塞」のセルフチェック法

  • ・前胸部痛や圧迫感がある場合
  • ・呼吸困難がある場合
  • ・冷や汗、意識レベル低下がある場合
  • ・突然の激しい脈の乱れがある場合

心筋梗塞の予防法

動脈硬化予防

心筋梗塞の一番のリスクとなるのは動脈硬化です。そのため、動脈硬化をいかに予防するかが心筋梗塞予防の鍵となります。動脈硬化のリスクとしては高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、高ストレスなどがあげられるため、まずは健康的な食事をこころがけてそれらのリスクを下げたり、体重の増加を防ぐなどの対策が重要となります。

禁煙

喫煙は動脈硬化を進行させ、血液をドロドロにして心筋梗塞のリスクを大幅に高めます。そのため、心筋梗塞の予防に禁煙は不可欠です。現在喫煙している人でも禁煙をすることで血管の健康状態が改善し、動脈硬化のリスクを下げることができます。喫煙はその他の心疾患や呼吸器疾患、悪性腫瘍のリスク因子にもなるため、できるだけ早期に禁煙するようにしましょう。

定期的に運動すること

定期的な運動を行うことで、体重増加を防ぐとともに高血圧や脂質異常症、糖尿病などのコントロールも改善することが期待され、心筋梗塞予防の観点でも運動は重要な要素です。運動の内容としては1日20-30分程度の有酸素運動が推奨され、運動によるストレス改善効果も期待できます。

適切な体重管理

肥満は高血圧、高コレステロール、糖尿病などの心筋梗塞のリスク要因を悪化させる要因となります。適切な食事療法と運動を組み合わせて適切に体重を管理することで、これらのリスクを減らすことができます。

ストレスの管理

過度のストレスは血圧を上昇させ、心筋梗塞のリスクを高める可能性があります。十分な休息を取ると共に、深呼吸、瞑想、ヨガ、ストレッチなどストレス管理のためのリラクゼーションを生活にうまく取り入れることで、心臓への負担を減らし、心筋梗塞のリスクを下げることができます。

「心筋梗塞の症状」についてよくある質問

ここまで心筋梗塞の症状を紹介しました。ここでは「心筋梗塞の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心筋梗塞を疑う症状が現れた場合、周囲の人はどのように看護したらよいでしょうか?

浅野 智子浅野 智子 医師

まずは落ち着いて対応することが大切です。半坐位(寝た状態から上半身を45度程度上げた体位)にするなど、本人の呼吸が楽な安静を保てる姿勢を取っていただき、そのうえで症状の詳細を確認します。前述したような心筋梗塞を疑う症状があるようなら、速やかに医療機関を受診させるべきであり、移動が困難だったり症状の緊急性が髙い場合には迷わず救急要請を行ってください。そして、本人の状態変化がないかを確認しながら、発症時の様子や症状の推移などを救急隊に伝えられると早期の治療介入の助けとなります。

編集部まとめ

心筋梗塞は非常に重篤な心臓疾患であり、早期診断と適切な対応が極めて重要です。胸の痛みや息切れ、冷汗、吐き気、意識消失などの症状は、心筋梗塞の兆候である可能性があり、これらの症状が現れたら直ちに医療機関を受診する必要があります。
また、心筋梗塞の予防には禁煙、健康的な食生活、定期的な運動などの生活習慣の改善が非常に重要です。本記事を通して、心筋梗塞に対する正しい理解と予防の重要性を理解し、心筋梗塞が疑われる症状が自分や周囲の人に認められた場合にはすぐに適切な行動が取れるように準備をしておきましょう。

「心筋梗塞の症状」と関連する病気

「心筋梗塞の症状」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器科の病気

心筋梗塞と似た症状をもたらす病気としては心疾患や呼吸器系の疾患が多いです。これらは症状だけでは鑑別が難しいことも多く、他の疾患を疑っていても心筋梗塞のこともあるため、同様の症状が起こった場合にはなるべく早く医療機関で精密検査を受けることが重要です。

「心筋梗塞の症状」と関連する症状

「心筋梗塞の症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸痛、胸部圧迫感
  • 息切れ、呼吸苦
  • 冷や汗
  • 意識消失
  • 心窩部痛

心筋梗塞の症状には典型的なものもあれば他の疾患でも起こり得るものまで多数の症状が含まれます。単独では判断が難しいこともありますが、これらの症状が複数認められる場合にはより心筋梗塞の疑いが強まるため、症状を認めた場合には他の症状もないか注意して早めに医療機関で相談してください。

この記事の監修医師