目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「肝臓がんステージ4」の治療方法は?完治の可能性や生存率についても解説【医師監修】

「肝臓がんステージ4」の治療方法は?完治の可能性や生存率についても解説【医師監修】

 公開日:2025/06/21
「肝臓がんステージ4」の治療方法は?完治の可能性や生存率についても解説【医師監修】

肝臓がんは早期発見がむずかしいがんとして知られています。そのため、発見時には症状がステージ4まで進行していることもあります。

ステージ4の肝臓がんが完治する見込みはあるのか、気になるところでしょう。また肝臓がんを早期発見する方法はあるのか、この記事で解説します。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

プロフィールをもっと見る
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

肝臓がんとは?

肝臓は腹部の右上にあり、成人で約1kg~1.5kgの重さになる臓器です。肝臓の主な役目は血液中の養分を体内に取り入れたり、不要物を体外に排出したりすることです。

肝臓がんには、肝臓自体から発生するがんと他臓器から転移するがんがあり、転移性肝がんの方が多くみられます。肝臓がんは50代から増加する傾向にあります。

肝臓がんステージ4の治療法

ステージ4の肝臓がんについて、治療がむずかしいと感じている方は少なくないかもしれません。
しかし現在、ステージ4の肝臓がんについては複数の治療法が確立されています。ここではそれらの治療法について解説します。

化学療法

化学療法は抗がん剤や化学物質を使って、がん細胞の増殖を抑えたり破壊したりする治療法です。
抗がん剤や化学物質が血液を通して身体中をまわり、がん細胞を攻撃します。ステージ4の肝臓がんは手術が難しく、症状を緩和させたり患者さんの生活の質を向上させたり、生存期間を延長させることが治療の目的となります。

免疫チェックポイント薬

免疫チェックポイント薬も、ステージ4の肝臓がん治療で使用される重要な薬となります。
免疫チェックポイント薬とは、がん細胞を直接攻撃するのではなく、本来の免疫機能が正常に働き、がん細胞を攻撃できるように作用させる治療のことで肝臓の免疫機能を保つための薬のことです。
免疫チェックポイント薬のアテゾリズマブに分子標的薬のベバシズマブを併用する方法が代表例です。
デュルバルマブとトレメリムマブという2種類の免疫チェックポイント薬を併用する方法もあります。こちらも食欲の低下・血圧の上昇・下痢を始めとする複数の副作用が見込まれるので注意が必要です。

肝動注化学療法

肝動注化学療法は肝臓につながる動脈に直接抗がん剤を注入する治療法です。抗がん剤としてはシスプラチンがよく使用されます。
肝動注化学療法では、カテーテルを肝臓の動脈につなぎ、注入器を使って抗がん剤を投入します。肝臓の動脈に直接薬を注入することにより、副作用を抑えられることがこの治療法の特徴です。

光免疫療法

ステージ4の肝臓がんには、光免疫療法が有効であるケースもあります。光免疫療法とはがん組織に効果がある波長の光を照射し、がん細胞を破壊することを目的とした治療法です。
光免疫療法は、リポソームという薬との併用で行われます。リポゾームは分子標的薬や免疫チェックポイント薬と比べると、副作用が少ないことが特徴です。そのため、放射線治療やほかの薬物治療に対しての免疫が懸念される患者さんに対しての有効手段となります。

分子標的薬

ステージ4の肝臓がん治療として分子標的薬も使用されます。分子標的薬とは、がん細胞の増殖機能を抑えて免疫機能を調節するための薬です。
分子標的薬治療では、第一段階としてソラフェニブやレンバチニブなどの薬が使用されます。
第一段階で効果が十分でない場合は、レゴラフェニブ・カボザンチニブ・ラムシルマブといった薬が投与されます。これらの薬物の副作用として食欲の低下・血圧の上昇・下痢などの症状が考えられるので注意が必要です。

放射線治療

肝臓がんの放射線治療には、定位放射線治療と重放射線治療があります。定位放射線治療は放射線を患部に向けて多方向から照射する治療法で、正常な組織に対する害を極力抑えて行う治療です。
重放射線治療は炭素イオンの放射線をがん細胞のみに照射する治療法で、ほかの細胞に与えるダメージは定位放射線治療よりも少なくなります。
放射線治療は、手術が困難な場合に行われる治療法です。

肝臓がんステージ4完治の可能性

ステージ4の肝臓がんの治療法について解説してきました。ここでステージ4の肝臓がんが完治する可能性について説明します。ステージ4の肝臓がんが寛解に向かうケースにはどのようなものがあるのでしょうか?

肝臓がんステージ4で完治が難しい理由

肝臓は沈黙の臓器という通称でも知られています。がんなどの初期症状が明確に現れないため、そう呼ばれています。したがって肝臓がんの場合、発見が遅れてしまうことが少なくありません。
がんのステージはその進行度合いによってステージ1からステージ4までに分類されています。身体の異変に気付いたときにはもうステージ4まで進行しているというケースも少なくありません。ステージ4の肝臓がんになると外科手術ができず治療が困難になります。

肝臓がんステージ4の余命

肝臓がんは早期での発見が困難であり、ステージ4まで進行してしまうケースが少なくありません。では、ステージ4の肝臓がんの余命はどのくらいで、ステージ4の肝臓がんからの完治は望めるのでしょうか?

5年生存率は極めて低い

肝臓がんの生存率に関して、2014年~2015年に調査されたデータがあります。全国で肝臓がん治療を行う516施設から集められたデータによると、5年生存率は53.6%となっていました。
これは肝臓がんのステージ1からステージ4のすべての患者さんを対象にしたデータです。したがってステージ4の肝臓がんの生存率はこれよりも低くなります。やはり肝臓がんがステージ4まで進行してしまうとその治療の困難さゆえに、生存率は減少してしまいます。

ステージ4からの完治は望めるか

ステージ4の肝臓がんはほかの臓器への転移も見られます。そのため、完治は困難だといえるでしょう。
患者さんの症状に合わせてよりよい方法を探す治療だといえるかもしれません。

「肝臓がんのステージ4」についてよくある質問

ここまでステージ4の肝臓がんの治療法や完治の可能性などを紹介しました。ここでは「ステージ4の肝臓がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

肝臓がんステージ4にならないための方法は?

山本 康博医師山本 康博(医師)

肝臓がんは初期段階の症状が見分けにくいがんとして知られています。肝臓がんの早期発見のためにはMRI・CTスキャン・エコー・腫瘍マーカーなどを用いた事前の検査が有効でしょう。特にB型肝炎・C型肝炎・肝硬変などの症状がある方には定期的な検査が推奨されます。また、飲酒が肝臓に悪影響を与えるという研究結果が多く報告されています。肝臓がんの予防には、飲酒習慣の改善も有効な心がけだといえるでしょう。

肝臓がんの5年生存率が高くない理由は?

山本 康博医師山本 康博(医師)

肝臓は病気の症状が表面化しにくいため沈黙の臓器とも呼ばれています。そのため、肝臓がんの発見は遅れてしまうことがあります。ステージ4の肝臓がんとなると、外科手術が困難で生存率は高くありません。そのため、肝臓がんの早期発見を導く定期検査が必要となります。

編集部まとめ

肝臓がんの特徴は早期発見が困難なことです。そのため、がんが発見されたときにはステージ4となってしまい、完治が難しくなることも少なくありません。

早期発見のためには肝臓がんに対する認識を高め、定期的な検査を習慣化することが有効でしょう。

「肝臓がん」と関連する病気

肝臓がんと関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

上記の症状はいずれも肝臓がんの発生に影響しているといわれています。これらの症状に心当たりがある方には、肝臓がんのための検査が推奨されます。

「肝臓がん」と関連する症状

「肝臓がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 黄疸
  • むくみ
  • かゆみ
  • だるさや倦怠感
  • 腹部のしこり
  • 圧迫感
  • 痛み

この記事の監修医師