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「肝臓がん」を発症すると「しこり」はどの位置にできる?症状や治療方法も解説!

 公開日:2025/01/12
「肝臓がん」を発症すると「しこり」はどの位置にできる?症状や治療方法も解説!

沈黙の臓器とも呼ばれる肝臓は、がんや障害があっても自覚症状がほとんどありません。しかし、がんが大きくなると、しこりが生じることもあります。

肝臓がんのしこりはどの位置に生じるのでしょうか。この記事では、肝臓がんのしこりが現れる位置やしこり以外の症状を解説していきます。

肝臓がんの治療方法も紹介するため、不安のある方はぜひ参考にしていただけると幸いです。少しでも当てはまる項目があれば、早めに医療機関の受診をおすすめします。

山本 康博

監修医師
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

肝臓がんとは?

肝臓がんとは、肝臓にできるがんの総称です。肝がんと呼ばれることもあります。肝臓がんの一部は胆管ががん化した肝内胆管がんですが、日本ではほとんどが肝細胞ががん化した肝細胞がんです。沈黙の臓器と呼ばれる肝臓のがんは、初期症状に気付かないことも多く、定期検診や人間ドックで異常が見つかるケースも少なくありません。
肝臓がんは肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が原因となることも多く、以下の病気が肝臓がん発生のきっかけになる場合があります。

  • B型・C型肝炎ウイルスへの持続感染
  • 自己免疫性肝炎
  • アルコール性肝障害
  • 非アルコール性脂肪肝炎

上記以外にも喫煙や加齢も肝臓がんのリスク因子です。また、肝臓以外の臓器にできたがんが、肝臓に転移する転移性肝がんもあります。肝臓がんは50代から増え始め、女性よりも男性に多く見られるのが特徴です。

肝臓がんのしこりはどの位置にできる?

肝臓がんに限らず、がんになるとしこりが発生するケースがあります。しこりとは、皮膚の下にできる塊やコブの総称です。肝臓がんになると、身体のどの位置にしこりが発生するのでしょうか。
ここからは、肝臓がんでできるしこりの位置や、悪性・良性の見分け方を解説します。

みぞおちにできる?

肝臓がんの代表的な症状が、みぞおちあたりにできるしこりです。肝臓は右の肺の真下にあり、みぞおちに向かって細くなる三角の形状をしています。この三角形の先部分がしこりとして感じられるようになりますが、これは肝臓がんが大きくなったことが原因です。
しこりが触れるような状態は、かなり肝臓がんが進行していることも考えられるため、早めに医療機関の受診をおすすめします。

しこりががんかどうかの見分け方は?

一般的にしこりには良性と悪性があり、良性の場合にはそれほど心配する必要はありません。良性か悪性か正確な判断はできませんが、一般的な目安を解説します。
まず悪性のしこりは変則的に増殖を繰り返すため、凹凸のある表面になる傾向があります。また、正常の組織に比べると硬く感じるでしょう。さらに、がん物質が周辺組織に癒着しているため、押したときにあまり動かないことが多いです。
とはいえ、肝臓がんのしこりは腫瘍の数や大きさ・進行度によって、硬さが変わってきます。触っただけで悪性か良性かの判断は困難であるため、しこりが気になる方は早めに医師に相談しましょう。

肝臓がんの症状

肝臓がんは初期症状がほとんどないといわれているがんです。ただし、ほかの部位がすでにがんを患っていたり、肝炎や肝硬変など肝臓がんの原因となる疾患が発生したりしているケースも少なくありません。
ここからは、それらの病気による症状が現れている場合や、肝臓がんが進行した場合に現れる症状を解説します。

全身倦怠感が続く

がん患者さんは日常生活に支障をきたすほどの持続的な全身倦怠感を覚える方が少なくありません。倦怠感が生じる原因のひとつが悪液質です。がん細胞はサイトカインと呼ばれる物質を分泌します。その物質やがんに対する身体の反応で代謝に異常が生じ、その結果起こる合併症が悪質液です。
悪液質の症状のひとつとして筋肉量が減少するため、全身に倦怠感を感じるようになります。また、食欲低下により、全身倦怠感がひどく感じるケースもあるでしょう。

貧血が現れる

肝臓がんが進行すると、お腹のなかで破裂し、出血を起こすことがあります。それにより、貧血の症状を訴える肝臓がん患者さんも少なくありません。
貧血の症状には、めまい・頭痛・立ちくらみ・息切れ・動悸などが挙げられます。また、重度の貧血になると、吐き気や食欲不振になるケースが見られるのが特徴です。

急な腹痛が起こる

肝臓がんが進行すると、急な腹痛が起こるケースがあります。お腹のなかで肝臓がんが破裂した場合は、突如激しい痛みが生じるのが特徴です。
それ以外にも、周辺組織や神経が肝臓がんにより圧迫される痛みや、肝臓がんの周囲に炎症が生じることによる痛みの可能性もあります。発熱を伴う場合もあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。

自覚症状がわかりにくい

肝臓がんの初期段階では、自覚症状はほぼありません。肝臓には自己修復機能や自己再生機能が備わっているため、自覚する前に痛みや炎症を抑えてしまうからです。ただし、自己修復機能には限界があるため、肝臓がんが進行すると痛みや炎症を抑えられなくなります。

肝炎や肝硬変と同時に発見されやすい

肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変など慢性的な肝疾患をお持ちの方に発生するケースがほとんどです。そのため、肝炎や肝硬変と同時に発見されることが多々あります。
肝炎や肝硬変は血液検査で発見され、その後状態に応じて腹部超音波検査や肝生検が行われるのが一般的です。身体の外から肝臓に振動を与え、その伝わり方で肝臓の硬さを図るフィブロスキャンが用いられることもあります。

肝臓がんの治療方法

肝臓がんの方は背景の肝疾患の種類や、肝臓の余力がどの程度あるかによって治療方針が異なります。例えば肝臓の余力がほとんどない場合は、手術によって肝臓を一部切除することはできません。そのため、がんの転移状況やステージだけでなく、肝臓の機能がどれだけ保たれているかによっても治療法が変わってきます。
ここからは、肝臓がんの主な治療方法をみていきましょう。

肝切除

肝切除は肝臓がんそのものと、がん周辺組織を切り取る手術です。がんが肝臓以外に転移していない場合で、なおかつがんの数が3個以内、さらに肝臓の機能がある程度保たれている場合に行われます。
肝切除の手術は、腹腔鏡手術・開腹手術のどちらかで実施されますが、腹腔鏡手術はどこの病院でもできるわけではありません。特別な技術が必要なので、医師に相談しましょう。

肝動脈塞栓術

がんに栄養が行きわたらないよう、血流を止めてがんを死滅させる方法です。冠動脈に血液をせき止める塞栓物質をカテーテルから注入し、意図的に冠動脈を詰まらせます。その後、抗がん剤でがん細胞の繁殖を防ぎ、結果的にがんを死滅させる治療方法です。

経皮的エタノール注入療法

経皮的エタノール注入療法は、PEITとも呼ばれます。注射針でエタノール液を注入し、がん細胞を壊死させる方法です。エタノールはタンパク質を凝固させる働きがあるため、エタノールを注入してがんと周辺組織を凝固させます。
しかし、がん細胞にエタノールがうまく行きわたらない場合や超音波で見えない部分にがんがある場合など、経皮的エタノール注入療法だけでは肝臓がんの完治が難しい場合もあるので注意が必要です。

肝臓がんのしこり位置についてよくある質問

ここまで肝臓がんのしこり位置やしこり以外の症状・治療方法などを紹介しました。ここでは「肝臓がんのしこり位置」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

肝臓がんの検査方法はどのようなものですか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

超音波(エコー)による検査やCT・MRIなどの画像検査、血液検査(腫瘍マーカー)で診断するのが一般的です。血液の化学反応で肝臓の機能を判定するために、生化学検査を行うこともあります。また肝腫瘍生検をする場合もありますが、これは肝臓に細い針を刺して組織を採取し、顕微鏡で検査をする方法です。

肝臓がんが進むとしこりは生じやすくなりますか?

山本 康博医師山本 康博(医師)

肝臓がんが進行すると、しこりを感じやすくなります。肝臓がんが大きくなり、肝臓の先端部分に触れられるようになるためです。しこりが感じられる段階になると、がんのステージも上がっているケースがほとんどなため、早めに医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

肝臓がんは初期段階では自覚症状が出にくく、しこりや痛みが生じたときには進行しているケースも少なくありません。そのため、定期的な健診や人間ドックで異常を見つけることが大切です。

全身の倦怠感や食欲不振、貧血の症状が気になる方は、早めに医療機関を受診しましょう。肝臓がんはできるだけ早い段階で見つけ出し、治療を始めることが重要なポイントです。

まずはかかりつけの医療機関を受診し、不調やお悩みを相談してみましょう。

肝臓がんと関連する病気

「肝臓がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

肝臓がんは上記の肝疾患と併発するケースがほとんどです。とはいえ、肝炎になったからといって、必ずしもすぐに肝臓がんになるわけではありません。肝臓がんにかかるリスクが高いと考え、定期的に健診を受けるようにしましょう。

肝臓がんと関連する症状

「肝臓がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食欲不振
  • むくみ
  • しこり
  • 腹部の圧迫感や痛み
  • 黄疸
  • 背中の痛み

肝臓がんの初期段階では特有の自覚症状はあまりありませんが、肝炎や肝硬変などの肝障害により上記のような症状が現れます。肝臓がんが進行すると、みぞおちのしこりや急な痛みが生じるケースもあるので、早めに医師の診察を受けましょう。

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