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「鼻ポリープ」を放置するとどうなる?症状・原因・セルフチェック法も医師が解説!

 公開日:2024/12/03
「鼻ポリープ」を放置するとどうなる?症状・原因・セルフチェック法も医師が解説!

鼻ポリープ(鼻茸)とは?Medical DOC監修医が鼻ポリープの症状・原因・検査法・治療法・日帰り手術費用・予防法・セルフチェック法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

小島 敬史

監修医師
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)

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慶應義塾大学医学部卒。医師、医学博士。専門は耳科、聴覚。大学病院および地域の基幹病院で耳鼻咽喉科医として15年以上勤務。2年間米国で基礎研究に従事の経験あり。耳鼻咽喉科一般の臨床に従事し、専門の耳科のみならず広く鼻科、喉頭、および頭頸部腫瘍疾患の診療を行っている。
日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医。日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本耳鼻咽喉科臨床学会の各種会員。補聴器適合判定医、補聴器相談医。

「鼻ポリープ(鼻茸)」とは?

鼻ポリープ(鼻茸)は、鼻や副鼻腔内にできる良性の腫瘤で、鼻づまり、嗅覚低下、鼻水などの症状を引き起こします。主な原因は慢性副鼻腔炎による粘膜の腫れです。悪性の病気ではないものの、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす場合があります。また、副鼻腔の病変が良性腫瘍か悪性腫瘍(がん)の初期のどちらなのかは、症状的に見分けがつかないこともあります。そのため、しっかりとした診断が重要です。鼻ポリープの治療には、ステロイド点鼻薬などの薬物療法が用いられ、効果が見られない場合は内視鏡手術が選択されることもあります。適切な治療で症状改善が期待できます。
今回の記事では、鼻ポリープの予防法やセルフチェック方法についても解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

鼻ポリープの主な症状

鼻ポリープができると、以下のような症状が現れます。

鼻詰まり

鼻ポリープが鼻腔内を塞ぐことで、慢性的な鼻づまりが起こります。これにより呼吸がしにくくなり、夜間のいびきや口呼吸につながることもあります。
鼻づまりがある場合、蒸気吸入や生理食塩水スプレーで鼻腔を潤すと楽になることがあります。しかし、鼻づまりが慢性的に続く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。息苦しさや副鼻腔炎の症状があるときは早めの診察が重要です。

嗅覚低下

鼻ポリープによって匂いを感じる部位が塞がれてしまうため、匂いを感じにくくなったり、全く匂いを感じなくなることがあります。また、炎症の原因によっては腐ったような臭い匂いが続く場合もあります。
匂いを感じづらい、あるいは匂いが完全に失われた場合は医療機関での治療が必要です。急に嗅覚を失った場合も耳鼻咽喉科で早めに診察を受けてください。

鼻水

鼻ポリープのそもそもの原因は、主に慢性副鼻腔炎です。慢性副鼻腔炎があると、鼻水が頻繁に出たり、鼻腔内に違和感や圧迫感を感じたりすることもあります。副鼻腔炎を併発する場合もあり、痛みや頭痛が生じることもあります。
鼻水が頻繁に出る場合、生理食塩水の鼻洗浄で症状が和らぐことがあります。鼻水の原因によって治療方針が異なりますので、耳鼻咽喉科での相談が望ましいです。鼻水に血が混じる場合や痛みがある場合は早めに診察を受けましょう。

鼻ポリープの原因

鼻ポリープの原因について、以下で解説していきます。

慢性的な炎症がある

鼻ポリープの原因のほとんどが慢性副鼻腔炎です。長期間の鼻や副鼻腔の炎症が粘膜を腫らし、ポリープを引き起こします。症状としては、鼻づまり、嗅覚の低下・異臭、黄色い鼻水、後鼻漏、頭痛や顔の痛みなどが現れることがあります。
これらの症状が長引く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。受診時には、症状が始まった時期や悪化する状況を伝えると診断に役立ちます。治療には薬物療法や鼻洗浄が行われ、必要に応じて内視鏡手術が検討されます。痛みが強い場合や顔の腫れがあるときは、早急な診察が必要です。

アレルギー

アレルギー性鼻炎のある人は、アレルギー反応による炎症が原因で鼻ポリープができやすくなります。特に、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに繰り返しさらされると、鼻腔内の炎症が慢性化しやすくなります。また、カビへのアレルギーを原因とした特殊な副鼻腔炎と診断されることもあります。
症状には、くしゃみ、鼻づまり、鼻水、目や鼻のかゆみなどが含まれます。
アレルギーが疑われる場合は、耳鼻咽喉科またはアレルギー科を受診し、原因となるアレルゲンを調べてもらうとよいでしょう。受診時には、どの季節や状況で症状が出やすいかを伝えると診断に役立ちます。治療には、抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬が用いられ、アレルゲンをできるだけ避ける生活習慣も重要です。

喘息

鼻ポリープの原因として「喘息」も挙げられます。特にアスピリン喘息や慢性の喘息を持つ方は、慢性副鼻腔炎のなかでも好酸球性副鼻腔炎という診断を受けることが多いです。好酸球性副鼻腔炎では気道と鼻腔の炎症が連動しやすく、鼻ポリープができやすい傾向があります。この場合、喘息発作としての息切れや喘鳴(ぜいめい;ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸音)が出ている時期には鼻づまりや嗅覚低下が悪化することがあります。
喘息が関連する場合は、耳鼻咽喉科とともに呼吸器科も受診すると効果的です。受診時には、鼻や胸の症状の経過、服用中の薬について伝えると診断に役立ちます。治療では、ステロイド点鼻薬や吸入薬を用いた症状管理が行われ、アスピリン喘息がある場合は薬剤選択にも注意が必要です。喘息を伴う好酸球性副鼻腔炎では生物学的製剤が有効な場合があります。

鼻ポリープを放置するとどうなる?

鼻ポリープを放置すると、鼻づまりや嗅覚の低下、慢性的な副鼻腔炎が悪化し、生活の質が低下することがあります。また、ポリープができるほどの炎症では自然治癒することは難しく、炎症が続くことでポリープがさらに大きくなり、症状が重くなる場合もあります。
適切な治療がないと悪化しやすいため、症状が続く場合は早めの受診が大切です。

鼻ポリープの検査法

鼻ポリープの診断には、いくつかの検査方法が用いられます。以下で代表的な検査について解説します。

鼻内視鏡検査

耳鼻咽喉科で行う一般的な検査で、鼻内視鏡を用いて鼻の奥や副鼻腔の状態を直接観察します。内視鏡でポリープの位置や大きさ、炎症の度合いを確認できるため、診断精度が高いのが特徴です。内視鏡所見によっては、組織生検といって、ポリープの一部を採取し病理診断に提出することがあります。鼻内視鏡検査は外来で短時間のうちに完了し、入院の必要はありません。

画像検査

鼻ポリープの位置や広がりをさらに詳しく確認するために、CTスキャンやMRIなどの画像検査が行われることがあります。鼻ポリープと見分けがつきにくい良性腫瘍・悪性腫瘍の診断のためにも必要です。鼻ポリープと診断された場合は基本的に必ず行ったほうが良いでしょう。画像検査は外来で対応可能なため、入院は不要で、検査後すぐに帰宅できます。

アレルギー検査

アレルギーが鼻ポリープの原因となっている場合が多いため、アレルギー検査を併せて行うこともあります。耳鼻咽喉科やアレルギー科で、主に血液検査で特定のアレルゲンを確認します。また、血液中の特定の白血球が慢性副鼻腔炎の発症に関わる可能性があるため、確認することもあります。この検査も外来で完了するため、入院は不要です。検査結果に応じてアレルギーに対する治療方針が決まります。

鼻ポリープの治療法

鼻ポリープの治療法は、薬物治療と手術療法が2本柱となります。最近では、デュピルマブなどの生物学的製剤(抗体製剤)も注目されています。

薬物療法

鼻ポリープの治療は、主に耳鼻咽喉科を専門とする病院で行われます。軽度の鼻ポリープの場合、外来で薬物治療が中心となり、通常は入院の必要はありません。鼻の炎症を抑えるためにステロイド点鼻薬や去痰薬、場合によっては低用量の抗生剤が処方されることが多く、経過を見ながら効果を確認していきます。この治療は自宅で続けられるため、通院だけで済むケースが多いです。

内視鏡手術

ポリープが大きく、薬物療法では改善が見られない場合は、内視鏡を使った手術が検討されます。術後のケアとしては、再発を防ぐためのステロイド点鼻薬を継続する場合があり、定期的に経過観察を行います。術後に特別なリハビリはありませんが、鼻洗浄を継続的に行うことが再発防止に有効と考えられています。喫煙している場合は禁煙し、術後の生活習慣には気を配りましょう。

生物学的製剤(デュピルマブなど)

最近では、デュピルマブ・ヌーカラなどの生物学的製剤(抗体製剤)が、鼻ポリープに対する新しい治療オプションとして注目されています。もともと気管支喘息に対する治療薬で、アレルギーに関与する物質を直接的に抑えるお薬です。重症の慢性鼻副鼻腔炎を伴う鼻ポリープに使用され、ポリープの成長や粘膜の炎症を抑え、嗅覚にも良い効果があります。
この治療法は、従来の薬物療法や手術で効果が得られない場合に使われることが多く、投与には専門的な判断が必要です。治療開始時は2週間に1回、自己注射を行う形が一般的です。治療中は定期的に採血やレントゲンなどの検査が必要で、およそ1〜2ヶ月おきに通院が必要な場合があるものの、日常生活に大きな制限はありません。副作用も限定的と良いお薬なのですが、非常に高価なものであるという点で注意が必要です。

鼻ポリープは日帰り手術できる?

鼻ポリープの手術は日帰りで行える場合があります。特に、ポリープが小さく症状が軽い場合は、内視鏡を使った手術が一般的で、局所麻酔での対応が可能です。ただし、鼻ポリープの原因の多くが慢性副鼻腔炎です。日帰り手術では再発する可能性が高いと判断される場合もあります。その場合、全身麻酔が必要な慢性副鼻腔炎の根本的手術治療を選択したほうが良いと考えられることがあります。主治医とよく相談し治療方針を決定しましょう。
内視鏡手術は、鼻から内視鏡を挿入し、ポリープを直接切除する方法で、鼻の外側に傷が残らず、比較的短時間で終了します。全身麻酔による手術であっても内視鏡で行いますが、鼻の奥の骨を削る必要があるため、出血コントロールのため数日〜1週間の入院となることが一般的です。診断や病状に応じて決定していきますので、医師と相談して手術方法を決めるのが良いでしょう。

鼻ポリープの日帰り手術費用は?

鼻ポリープの日帰り手術として、内視鏡下副鼻腔手術Ⅰ型(ポリープ切除)(保険点数は3,600点)などの方法があります。この場合の費用は、保険3割負担で約10,800円です。
それぞれの方の負担割合や、諸費用が追加されるかどうかによって異なるかと考えられますが、大体2万円程度をみておくと良いでしょう。
入院・全身麻酔下での手術の場合は入院の総費用は保険3割負担で10〜25万円程度となり、手術法と行う部位によって大きく異なります。高額療養費の対象になることが多いので、入院前に手続きをしておきましょう。

鼻ポリープの予防法

鼻ポリープを予防するための方法として、以下のようなものがあります。

医師に指示された治療をきちんと続ける

すでに鼻ポリープの治療を受けている方は、その治療を続けることが大切です。ステロイドの点鼻薬には、炎症を抑える効果が期待できます。医師の指示通りに、すべての薬を使うようにしましょう。

アレルゲンの回避

花粉やホコリ、ハウスダストなど、アレルギーを引き起こす物質にできるだけ触れないようにすることで、鼻腔内の炎症を抑える効果があります。喫煙習慣がある場合、アレルギーによる炎症を増悪させる可能性があるため禁煙をおすすめします。睡眠不足や過度な疲労は症状を悪化させるので避けるべきでしょう。また、定期的な掃除や換気で部屋を清潔に保ちましょう。

十分な水分補給

鼻の粘膜を保湿することで、乾燥や刺激から守り、炎症を防ぐ効果があります。こまめに水を飲む習慣をつけ、食事にも水分の多い食品(スープや果物など)を取り入れるとよいでしょう。また、冬場は加湿器を使って室内の湿度を適度に保つことも効果的です。

鼻ポリープのセルフチェック法

それでは、ここからは鼻ポリープのセルフチェック法について解説します。

嗅覚の確認

コーヒーや香水などのはっきりした香りをかいでみて、匂いをしっかり感じられるかチェックします。特に、鼻に違和感があり、嗅覚が鈍っている場合は注意が必要です。鼻ポリープの可能性も考えられます。

鼻づまりの有無

片方ずつ鼻を押さえて呼吸し、どちらか一方が詰まっている感覚があるか確認します。鼻の奥の方や鼻腔の上部で詰まりが感じられる場合、ポリープが原因のこともあります。長引く鼻づまりは要注意です。

鼻水の状態チェック

鼻水が頻繁に出る場合、その色や粘り気をチェックします。透明でサラサラした鼻水が続く場合はアレルギーの可能性があり、粘りが強く黄色っぽい場合は炎症のサインです。鼻水だけで鼻ポリープを疑うことはあまりありませんが、鼻水にくわえて嗅覚低下・鼻づまりがあるようであれば鼻ポリープかもしれません。

「鼻ポリープ」についてよくある質問

ここまで鼻ポリープについて紹介しました。ここでは「鼻ポリープ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

鼻ポリープは自然治癒するのでしょうか?

小島 敬史小島 敬史 医師

鼻ポリープは基本的に自然治癒することはありません。放置すると炎症が続き、ポリープがさらに大きくなる場合もあります。そのため、症状がある場合は早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けることが重要です。特に、鼻づまりや嗅覚低下が長引く場合は治療が必要です。

鼻ポリープは悪性の疾患なのでしょうか?

小島 敬史小島 敬史 医師

鼻ポリープは一般的に良性の疾患で、がんのように悪性化することはありません。ただし、まれではありますが、もともと悪性疾患が隠れていて、ポリープだけ鼻から見えているという場合があります。初期のCT,MRIによる診断が非常に重要となるでしょう。また、鼻ポリープであったとしても、慢性的な鼻詰まりや嗅覚低下によって生活の質が低下します。診断と治療が早いほど症状の悪化を防げるため、気になる症状があれば専門医に相談しましょう。

編集部まとめ

今回の記事では、鼻ポリープの症状や原因、検査方法について解説しました。
鼻ポリープは良性の疾患で、放置してもがんになるなど悪性化はみられません。しかし、鼻ポリープが大きくなると、鼻づまりなどの症状がひどくなり、生活の質が下がってしまうこともあります。症状がある場合には、耳鼻科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

「鼻ポリープ」と関連する病気

「鼻ポリープ」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器科の病気

鼻ポリープは、鼻や副鼻腔の疾患だけでなく、アレルギーや呼吸器の病気と関連することも多いため、全身の健康管理が重要です。

「鼻ポリープ」と関連する症状

「鼻ポリープ」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

鼻ポリープは鼻炎や副鼻腔炎などの症状と似ています。これらの症状が長引く場合は専門医の診断が大切です。

この記事の監修医師