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「肺がんを疑う痰の色」は何色かご存知ですか?初期症状も医師が解説!

 公開日:2024/10/21
「肺がんを疑う痰の色」は何色かご存知ですか?初期症状も医師が解説!

肺がんを疑う痰はどんな色・特徴をしている?Medical DOC監修医が肺がんの初期症状・血痰で考えられる病気・原因・なりやすい人の特徴などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「肺がん」とは?

肺がんは、肺や気管支の組織や細胞が異常増殖し、がん化したものです。
日本においては、肺がんは特に男性の死亡率や罹患率が高いがんとなっています。
今回の記事では、痰や血痰などに注目し、肺がんの初期症状や原因について詳しく解説します。

肺がんを疑う痰はどんな色・特徴をしている?

肺がんを疑うような痰について解説します。

血が混じっている痰

肺がんの代表的な初期症状の一つに、血が混じっている痰(血痰;けったん)があります。血液が混ざった痰は、赤や茶色に見えることが多いです。血が少量の場合はピンク色になることもあります。

黄色や緑色の痰

通常気管支炎や肺炎などの感染症、特に細菌感染の場合、膿っぽい痰(膿性痰:のうせいたん)が出ることがあります。膿性痰は、黄色や緑色をしています。こうした痰は、白血球が細菌と戦う過程で生じます。
肺結核や肺の非結核性抗酸菌症、あるいは肺がんでも膿性痰が出ることがあります。

透明や白い痰

透明、あるいは白い痰であっても、大量に出る場合は注意が必要です。肺がんの初期段階では、特に色の変化がない場合もあります。

痰がからむようになった・血痰が出たらどんな病気が考えられる?

血痰が出る場合に、どのような病気が考えられるのかについて解説します。

肺がん

血痰は、肺がんの初期症状である可能性があります。
肺がんは、気管支や肺胞といった肺の細胞から生じた悪性腫瘍です。
大きく分けると、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4種類があります。
発症の原因は、喫煙やアスベストなどの有害物質への曝露(ばくろ;さらされること)、遺伝子的な要因などがあります。
治療法は、がんの進行度合いやリンパ節・他の臓器への転移の有無、さらに患者ごとの体力や持病などによって決定されます。早期の段階では手術もしくは放射線治療が選択されます。進行した段階では、手術もしくは化学療法と放射線治療を組み合わせた化学放射線治療を行います。他の臓器へ転移がみられる場合には、免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤、分子標的薬などを用いた薬物療法を行います。骨転移などによって痛みなどの症状がある場合には、症状を和らげるために放射線治療が行われることもあります。
血痰や長引く咳・痰、胸の痛み、発熱などが続く場合には、呼吸器内科を受診するようにしましょう。

急性気管支炎・肺炎

急性気管支炎や肺炎といった感染症も、痰がからむ原因となります。
細菌やウイルスなどによる、強い炎症が気管支や肺に起こっている状態です。
治療法は、炎症を起こしている病原菌に合わせて抗菌薬の投与を点滴あるいは内服で投与します。黄色や緑色の痰や咳、発熱が見られる場合には、肺や気管支に強い炎症が起こっている可能性があります。呼吸器内科を早めに受診しましょう。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)は、以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた病気をまとめたものです。タバコをはじめとする有害物質を長い間吸入することによる肺の炎症性疾患です。肺の生活習慣病とも言えます。
体を動かす時の息切れ・呼吸困難感や、慢性的な咳や痰が特徴的な症状です。喘息のような症状を示す人もいます。治療法としては、喫煙者の場合には禁煙が第一となります。さらに、気管支拡張薬などの薬物療法で症状を和らげます。
タバコを長期間吸っており、息切れや痰・咳などの症状がある方は、呼吸器内科を受診するようにしましょう。

肺がんの前兆となる初期症状

肺がん早期は症状がなく、進行して症状が現れることがあります。ここでは、肺がんの初期に出現する可能性がある症状を紹介します。

血痰

血痰は、痰に血が混ざる状態です。血痰が出る場合は、肺や気管支で出血が起きている可能性があり、肺がんを含む重篤な病気が疑われます。少量の血液であっても無視せずに、早急な受診が推奨されます。
血痰が出た場合、原因が不明であれば、自己判断せずに直ちに医師の診断を受けることが重要です。特に喫煙者や肺の病気を過去に患った人は注意が必要です。
血痰が出た場合、呼吸器内科を受診しましょう。検査には、胸部X線やCTスキャン、気管支鏡検査が用いられます。

長引く咳

風邪やインフルエンザが原因でないのに、咳が2週間以上続く場合は、肺がんの初期症状としての可能性があります。特に痰が絡む咳や、夜間や朝方に咳がひどくなる場合は注意が必要です。咳が続く場合は、まず鎮咳薬などを使って咳を和らげることができますが、根本的な原因を突き止めるためには医師の診察が不可欠です。
呼吸器内科を受診しましょう。原因を調べるために胸部X線や痰の検査が行われます。

胸の痛み

肺がんでは胸や背中に痛みを感じることもあります。痛みは呼吸や咳をする際に悪化することがあり、他の原因による痛みとは異なることが多いです。
胸の痛みがある場合、急いで医師の診察を受ける必要があります。鎮痛薬で一時的に痛みを和らげることができますが、原因を究明するための診察が重要です。
胸部に痛みがある場合、呼吸器内科や内科を受診しましょう。

肺がんの原因

ここでは、肺がんの原因として考えられているものについて解説します。

喫煙

喫煙は、肺がんの最も大きな原因として知られています。タバコに含まれる化学物質が細胞のDNAを損傷させることでがんを発生させる可能性があります。喫煙本数や期間が増えるほど、肺がんのリスクは高くなります。また、受動喫煙も肺がんのリスクを上昇させるリスクとなります。タバコを吸っている期間が長い人や、過去に大量に吸っていた人は、肺がんのリスクが非常に高いため、定期的な検査が重要です。

アスベストなどの有害物質への曝露

喫煙以外の環境汚染として、アスベストやその他の有害物質への曝露も肺がんの原因として挙げられます。 特にアスベストは建設業や工場勤務などで使用されており、ラドンガスや大気汚染も肺がんのリスクを高めるといわれています。症状は肺がんと似ており、咳や息切れ、胸の痛みなどがあります。こうした有害物質への曝露歴がある方は、特に定期的な肺がん検診が勧められます。例えば、日本ではじん肺健康診断が行われています。

遺伝子的な要因

肺がんのリスクは、喫煙や環境関与だけではなく、遺伝的な関与も関与しています。 家族に肺がん患者がいる場合、遺伝がんが発症しやすい体質を持っている可能性があります。遺伝子の突然変異がある場合、タバコや有害物質にさらされていない場合や非喫煙者であっても肺がんのリスクが高くなります。定期的な健康診断や検査を行うことで、早期発見が可能となります。

肺がんになりやすい人の特徴

肺がんになるリスクが高い方の特徴について解説します。

喫煙歴がある人

喫煙は肺がんの最大のリスク要因であり、現在も喫煙している人や過去に喫煙していた人は特にリスクが高いです。
喫煙者の方で、しつこい咳や痰、息切れが続く場合は注意が必要です。肺がんの初期症状としてこれらの症状が現れることがあるため、定期的な健康診断を受け、異常を早期に発見することが重要です。喫煙をやめることでリスクを軽減できるため、禁煙は最大の予防策です。また、禁煙外来の受診も推奨されています。

肺結核になったことがある人

過去に肺結核を患ったことがある人も、肺がんのリスクが高いとされています。結核は肺に空洞といって穴のようなものを作ってしまうことがあります。また、慢性的な炎症も残ることがあります。これらによって肺に大きなダメージが加わります。その後、肺組織が正常に修復されない場合、がん細胞が発生するリスクが増加します。特に、結核を発症した部分に繊維化や瘢痕(はんこん)組織が残っている場合、がんが発生する可能性が高まることが報告されています。
結核の既往歴がある人は、咳や息切れ、体重減少などの症状に特に注意を払い、異常があればすぐに医師の診察を受けることが重要です。また、定期的に肺の健康状態をチェックするために、胸部X線検査やCTスキャンなどの検診を受けることが推奨されます。

肺がんの方が家族にいる人

家族に肺がんを患った方がいる場合、遺伝的な要因により、肺がんのリスクが高くなる可能性があります。遺伝子の変異が影響し、家族内でがんが発生しやすくなることがあるため、非喫煙者であってもリスクを軽視できません。また、遺伝要因に加え、同じ環境で喫煙や大気汚染にさらされることもリスクを高める要因となります。
このような家族歴がある人は、定期的な肺がん検診を受けることが大切です。早期発見ができれば、治療の成功率も高くなるため、定期的に医療機関でのチェックを怠らないことが重要です。

「肺がんを疑う痰の色」についてよくある質問

ここまで肺がんを疑う痰の色などを紹介しました。ここでは「肺がんを疑う痰の色」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

黄色い痰が出る場合、どんな病気が考えられますか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

黄色い斑点は、細菌感染が関与していることが多いです。 肺炎や気管支炎などが疑われるため、早めに呼吸器内科を受診しましょう。

編集部まとめ

今回の記事では、肺がんの症状として痰や血痰を取り上げ、さらに肺がんのリスクを高める原因についても解説しました。
肺がんは初期症状が乏しい場合も多いのですが、特に日本人男性においてはがんによる死因の多くを占める、重要な疾患です。
タバコを吸わない、定期的な健康診断を受けるといったことに加え、長引く咳や痰などの症状がある場合には、呼吸器内科を受診しましょう。

「肺がん」と関連する病気

「肺がん」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器科の病気

  • 肺結核
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

これらの疾患は、肺がんのリスクを高めることがあります。

「肺がん」と関連する症状

「肺がん」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください

関連する症状

  • 痰(血痰)が出る
  • 咳が長引く
  • 呼吸困難
  • 声が掠れる
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 疲労感
  • 背中や腰の痛み
  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • リンパ節の腫れ

肺がんによる症状は様々ですが、初期では症状が出ないこともあります。定期的な健康診断を受け、早期発見に努めましょう。

この記事の監修医師