目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「放射線治療の効果が出るまで」どのくらいかかるかご存じですか?メリットも解説!

「放射線治療の効果が出るまで」どのくらいかかるかご存じですか?メリットも解説!

 更新日:2025/11/05
「放射線治療の効果が出るまで」どのくらいかかるかご存じですか?メリットも解説!
放射線治療の基本から効果が現れるまでの時期、そして治療のメリットを詳しく解説します。 本記事では放射線治療について以下の点を中心にご紹介します。 ・放射線治療の概要 ・放射線治療の種類 ・放射線治療の効果が出るまで 放射線治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
佐上 徹

監修医師
佐上 徹(新宿クレアクリニック)

プロフィールをもっと見る
・横浜市立大学医学部卒業 ・東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了 ・専門は放射線診断学 産業医学 臨床疫学 ・大学病院等で放射線診断医として研鑽を積む。放射線診断専門医・指導医を取得した後、大学院へ進学。 ・2016年国立がん研究センターがん対策情報センター全国がん登録分析室で疫学研究に従事。 ・2017年大手サービス業の専属産業医に従事(6年)。 ・2023年合同会社さがみ産業医事務所を設立。 ・2024年新宿クレアクリニック院長を兼ねる。

がんの3大治療法の1つ”放射線治療”

放射線治療は、がんの3大治療法の1つであり、100年以上の歴史を持つ治療法です。高エネルギーの放射線を用いてがん細胞を死滅に導き、がんの進行を抑える効果が期待できます。外科手術や化学療法と組み合わせることで、治療効果をさらに高められます。 放射線治療は照射範囲を集中させることで、がん細胞を狙い撃ちしつつ、周囲の健康な組織への影響をできるだけ抑えることが特徴です。

放射線治療の概要

放射線治療とはどのような治療法で、どのような目的があるのでしょうか?

放射線治療の仕組み

放射線治療は、がん細胞に高エネルギーの放射線を照射し、DNAを損傷させることで細胞分裂を阻止する治療法です。がん細胞は正常細胞に比べて修復能力が低いため、放射線によって効果的にDNAが切断されます。 正常細胞も影響を受けますが、がん細胞よりも回復が早いため、がんの治療に利用されています。

放射線治療の目的

放射線治療の主な目的は、がん細胞が分裂できないように細胞を狙ってDNAを切断し、病気の進行を抑えることにあります。なかでも、がんが手術ですべて取り除けない場合や、手術が困難な場所にある場合に用いられることが多い傾向にあります。 また、放射線治療はがんの再発防止や、症状の緩和を目的とする場合もあります。

放射線治療の種類

放射線治療にはどのような種類があり、それぞれにどのような特徴があるのでしょうか?

高精度放射線治療

高精度放射線治療は、がんの形状や位置に合わせて放射線を照射する技術で、治療効果を高めるとともに周囲の健康な組織への影響をできるだけ抑えられる方法です。代表的な技術には、強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SRT)があります。 これらの方法では、放射線の照射角度や強度を細かく調整し、複雑な形状の腫瘍にも正確に対応できるよう設計されています。

小線源治療

小線源治療は、放射線治療の一種であり、放射線源を直接腫瘍やその近くに埋め込む方法です。小線源治療では、体の内部から集中的に放射線を照射するため、周囲の健康な組織へのダメージをできるだけ抑えながら、効果的にがん細胞を攻撃できます。 なかでも前立腺がんや子宮頸がんなどで利用されることが多く、外部からの放射線照射と比べて高精度な治療が期待されます。小線源治療は、治療期間が短く、入院期間も短縮できるなどの利点がありますが、適応症例が限られるため、専門医と十分な相談が必要です。

粒子線治療

粒子線治療は、放射線治療の一種であり、陽子線や重粒子線を用いてがん細胞を精密に攻撃する方法です。なかでも体の深い箇所にあるがんに対して効果的であり、周囲の正常組織へのダメージをできるだけ抑えながら治療を行える点が特徴です。 陽子線治療では、がん組織にピンポイントで放射線を集中させ、重粒子線治療では陽子線よりもさらに高いエネルギーを持つ粒子を利用します。その結果、治療の精度と効果が高まり、難治性のがんにも有効とされています。

放射線治療の期間

放射線治療の期間はどのくらいかかるのでしょうか?

放射線治療の効果が出るまで

放射線治療の効果が現れる時期は、治療を受ける部位や個々の患者さんの状態によって異なります。治療後すぐに効果が現れることは少なく、数週間から数ヵ月かけて徐々に効果が現れることが多い傾向にあります。 腫瘍の縮小が目に見えて確認できるようになるには時間がかかる場合があり、治療終了後もしばらくの間、定期的な経過観察が必要です。

放射線治療の治療期間

放射線治療の治療期間は、3週間から7週間程度かかります。治療の目的や患者さんの状態に応じて、治療回数や期間が異なることがあります。1日1回の治療が週に5日行われ、土日は休みとなることが多いようです。 このスケジュールに基づき、計画的に治療を進めていくことが重要です。また、治療期間中は体調の変化や副作用の発生に注意し、医師とのコミュニケーションを密に保つことが求められます。

放射線治療のメリット

放射線治療にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

体への負担が少ない

放射線治療の大きなメリットの一つは、体への負担が少ない点です。手術と比較して、放射線治療は身体に大きな傷をつけることなく、がん細胞を狙い撃ちできます。また、治療中に全身麻酔を必要としないため、患者さんの身体的ストレスが軽減されます。 さらに、治療後の回復も早く、日常生活への影響が少ないことが多いようです。これらの点から、体力が低下している患者さんや、高齢者にとってもおすすめの治療法とされています。

臓器の機能と形態を温存できる

放射線治療のメリットの一つは、臓器の機能と形態を温存できることです。外科手術とは異なり、放射線治療は腫瘍のみをターゲットにして攻撃するため、周囲の健康な組織や臓器に対するダメージをできるだけ抑えられます。その結果、臓器の正常な機能を維持しながら、形態も保てます。 なかでも、重要な臓器や器官が腫瘍の近くにある場合、このメリットは大きく、治療後の生活の質を高める要因となります。

働きながら治療を受けられる

放射線治療のメリットの一つは、治療を受けながら仕事を続けられることです。放射線治療は、週に数回、短時間のセッションで行われるため、患者さんは治療後に職場に戻れます。 また、副作用が少ないため、日常生活に大きな影響を与えにくい点も特徴です。その結果、治療期間中でも経済的な負担を軽減しつつ、生活のリズムを保てます。

放射線治療についてよくある質問

ここまで放射線治療の効果を紹介しました。ここでは放射線治療についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

付き添いの方も放射線を浴びてしまいませんか?

佐上 徹佐上 徹 医師

放射線治療を受ける際、付き添いの方が放射線を浴びてしまうことを心配される方が多いようです。しかし、放射線治療は精密な技術で行われ、治療を受ける患者さんに対してのみ放射線が照射されるように設計されています。治療室内には防護設備が整っており、付き添いの方が治療中に放射線を浴びることはありません。 また、外来で行われる放射線治療でも、患者さんが治療後に周囲に放射線の影響を及ぼすことはありませんので、問題なく治療を受けていただけます。

放射線治療で副作用が出たらどれくらいで治りますか?

佐上 徹佐上 徹 医師

放射線治療の副作用が出た場合、その回復期間は副作用の種類や個人差によって異なります。急性の副作用は治療開始から数週間以内に現れ、治療終了後1〜2ヵ月で徐々に改善できることが多い傾向にあります。 しかし、倦怠感や皮膚の炎症など、持続する副作用もあります。一方で、晩期副作用と呼ばれるものは治療後数ヵ月から数年後に現れることがあり、回復には時間がかかることがあります。

まとめ

ここまで放射線治療についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。 ⚫︎まとめ ・放射線治療は、がん細胞を死滅に導くために高エネルギーの放射線を利用する治療法である ・放射線治療の種類には、高精度放射線治療や小線源治療、粒子線治療がある ・効果が現れるまでには数週間から数ヵ月かかることがあり、がんの種類や治療計画によって異なる

放射線治療と関連する病気

放射線治療で治療できる可能性があるがんと関連する病気は13個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

放射線治療と関連する症状

放射線治療の副作用と関連している、似ている症状は6つほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 皮膚の炎症や乾燥
  • 疲労感や全身の倦怠感
  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 粘膜の炎症(口腔内や咽頭など)
  • 頭髪や体毛の脱毛
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師