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「急性前骨髄球性白血病の生存率」は?見逃せない”症状”も医師が解説!

 公開日:2026/01/22
「急性前骨髄球性白血病の生存率」は?見逃せない”症状”も医師が解説!

急性前骨髄球性白血病(APL)は、成熟する前に骨髄で異常に増殖した白血球が血液中に放出される疾患です。日本でのAPLの生存率は、医療技術の進歩と治療法の改善により、年々向上しています。

本記事では、急性前骨髄球性白血病(APL)について以下の点を中心にご紹介します!

  • ・急性前骨髄球性白血病(APL)の生存率
  • ・急性前骨髄球性白血病(APL)の症状
  • ・急性前骨髄球性白血病(APL)の治療法

急性前骨髄球性白血病(APL)について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

山本 佳奈

監修医師
山本 佳奈(ナビタスクリニック)

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滋賀医科大学医学部 卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科

急性前骨髄球性白血病について

急性前骨髄球性白血病(APL)は、遺伝子異常に基づく急性骨髄性白血病の一種で、PML-RARA融合遺伝子が形成されることが特徴です。
血球の分化が前骨髄球の段階で停止します。
主な治療法としては、全トランス型レチノイン酸による分化誘導療法が用いられています。
日本での治療成績は良好で、寛解導入率や無病生存率が高いのが特徴です。

急性前骨髄球性白血病の生存率

急性前骨髄球性白血病(APL)の生存率は、近年の治療法の進歩により向上しています。
日本で標準的に行われているJALSG APL204プロトコルに基づく治療により、5年生存率は90%前後に達しています。
かつては致死的な疾患とされたAPLは、治癒を目指せる疾患へと変わりました。

急性前骨髄球性白血病の症状

急性前骨髄球性白血病(APL)発症時には以下のような症状が見られます。

  • ・発熱:頻繁に高熱を呈するようになる
  • ・貧血:血液中の赤血球が減少することで貧血症状が現れ、倦怠感や動悸、息切れが生じる
  • ・出血傾向:血小板の減少により、鼻血、歯茎からの出血、皮下出血などの出血症状が頻繁に発生する
  • ・易感染性:白血球の減少により、感染症にかかりやすくなる
  • ・播種性血管内凝固症候群(DIC):APLではDICを合併しやすく、重篤な出血が発生するリスクが高まる

急性前骨髄球性白血病の原因

急性前骨髄球性白血病(APL)は、主に遺伝子変異や染色体異常によって引き起こされる病気といわれており、染色体のt(15;17)転座により、PML-RARA融合遺伝子が形成されます。
PML-RARA融合遺伝子は正常な血球の分化を阻害するため、前骨髄球が成熟できず、未熟な前骨髄球が蓄積され、白血病細胞が異常に増殖します。

また、ほかのがん治療の一環として受けた化学療法や放射線治療が、急性前骨髄球性白血病(APL)発症のリスクを高めることがあります。
さらに、ダウン症などの先天性疾患を持つ患者さんでは、急性前骨髄球性白血病(APL)の発症リスクが高くなります。

急性前骨髄球性白血病の検査方法

急性前骨髄球性白血病(APL)の診断および検査方法は以下のとおりです。

骨髄検査

  • ・骨髄穿刺:骨髄から細胞を採取して顕微鏡で異常な前骨髄球の存在を確認し、Auer小体の束を持つ細胞(faggot cell)の有無を確認する
  • ・骨髄生検:骨髄組織を採取し、組織学的に検査する

遺伝子および染色体検査

  • ・染色体分析:特徴的なt(15;17)(q22;q12)転座によるPML-RARA融合遺伝子の存在を確認する
  • ・FISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション):染色体異常を特異的に検出する
  • ・RT-PCR法:PML-RARA融合遺伝子の検出を行う

血液検査

  • ・末梢血塗抹検査:血液中の異常な前骨髄球を検出する
  • ・血液化学検査:血液中の白血球数、赤血球数、血小板数の異常を確認する

追加検査

  • ・フローサイトメトリー:白血病細胞の表面抗原を解析し、細胞の種類や特性を確認する
  • ・骨髄細胞培養:骨髄細胞を培養し、細胞の増殖や薬剤感受性を評価する

急性前骨髄球性白血病の治療方法

急性骨髄球性白血病の治療には、いくつかの方法があります。
以下に、詳しく解説します。

レチノイン酸療法

急性前骨髄球性白血病(APL)の治療には、レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が重要な役割を果たしています。
ATRAは、異常な前骨髄球を成熟白血球に分化させる作用があります。白血病細胞は正常な細胞に変わり、計画細胞死の機序により死滅します。
ATRA単独または抗がん剤との併用療法により、約95%の患者さんが完全寛解に達します。
レチノイン酸はPML-RARA融合遺伝子に直接作用するため、特異的な分子標的療法とされています。

副作用にはトリグリセライド上昇や肝機能障害があります。
また、レチノイン酸症候群(発熱、呼吸困難、胸水貯留など)が発生することがあり、重篤な場合には投与を中止し、ステロイド療法が必要です。

なお、治療は、以下の3つの段階に分けられます。(寛解導入・地固め・維持療法)

寛解導入療法

寛解導入療法は、前述したレチノイン酸(ATRA)と化学療法の併用療法が標準的です。
主な目標は、白血病細胞の数を減少させ、完全寛解を達成することです。
基本はATRAが使用されますが、その他にも、アントラサイクリン系薬剤(例えばダウノルビシン)やアントラセントロン系薬剤(例えばイダルビシン)が使用されます。
これらの薬剤は、白血病細胞を効果的に攻撃し、減少させる作用があります。

寛解導入療法では、副作用(骨髄抑制や感染症のリスク増加)の管理が重要です。
これには、定期的な血液検査や感染症予防のための対策が含まれます。
そのため、治療中の患者さんには、必要に応じて輸血や抗生物質の投与が行われます。
支持療法は、患者さんの体力を維持し、治療の効果を上げるために不可欠です。

地固め療法

地固め療法は、寛解導入療法後に行われる重要なステップです。目的は、寛解状態を維持し、再発のリスクを低減することです。
地固め療法では、アントラサイクリン系薬剤(ダウノルビシンやイダルビシン)やシタラビンが使用されます。
残存する白血病細胞を徹底的に排除します。
また、前述のATRAも使用されます。

維持療法

維持療法は、寛解状態を長期間維持し、再発を防ぐための重要なステップです。
前述のATRAが使用されます。
また、メトトレキサート(MTX)や6-メルカプトプリン(6-MP)などの抗がん剤が併用されることがあり、再発予防効果が高まります。
維持療法中に発生する可能性のある副作用(肝機能障害や感染症リスク)の適切な管理が重要です。

急性前骨髄球性白血病についてよくある質問

ここまで急性前骨髄球性白血病を紹介しました。ここでは「急性前骨髄球性白血病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

初期の急性前骨髄球性白血病にはどのような治療がよいですか?

山本 佳奈山本 佳奈 医師

初期の急性前骨髄球性白血病(APL)には、全トランス型レチノイン酸(ATRA)とアントラサイクリン系薬剤(ダウノルビシンやイダルビシン)を主体とした化学療法の併用が標準治療とされています。高い完全寛解(CR)率が得られ、長期生存率も向上しています。具体的には、70歳以下の患者さんではCR率が90%を超えています。
海外では、ATRAと亜ヒ酸(ATO)の併用療法が標準治療として確立されています。ATRAと化学療法の併用に比べて、効果が大きいようです。
治療中に出血や分化症候群のリスクがあるため、DICの管理や早期発見、治療が重要です。

急性前骨髄球性白血病は珍しい病気ですか?

山本 佳奈山本 佳奈 医師

急性前骨髄球性白血病(APL)は、腫瘍医にとって稀な疾患とされています。
米国国立がん研究所(NCI)のデータによれば、APLは急性骨髄性白血病(AML)のなかでも発症率が低く、AML全体の約10%を占めるに過ぎません。

まとめ

急性前骨髄球性白血病(APL)についてお伝えしてきました。
APLの要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • ・APLの5年生存率は90%前後
  • ・APLの症状は発熱、貧血、出血傾向、易感染性、DICなどがある
  • ・APLの治療では、レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が重要な役割を果たしている

急性前骨髄球性白血病と関連する病気

急性前骨髄球性白血病と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

急性前骨髄球性白血病と関連する症状

「急性前骨髄球性白血病」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
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  • 精巣腫大
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  • 肝脾腫
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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