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「急性骨髄性白血病の治療法」はご存知ですか?治療後の副作用も解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/19
「急性骨髄性白血病の治療法」はご存知ですか?治療後の副作用も解説!【医師監修】

急性骨髄性白血病(AML)は、がん化した細胞が骨髄で異常に増える病気です。

「急性骨髄性白血病(AML)の治療後はどのようなことに気をつけたらよいのだろう」など様々な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では急性骨髄性白血病(AML)の治療方法や治療の流れについて解説します。

気になる症状のある方はぜひ参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

急性骨髄性白血病(AML)の治療方針を定める診断・検査

急性骨髄性白血病(AML)の治療方針を定める診断・検査は次の3つです。

  • 血液検査
  • 骨髄検査
  • 画像診断

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

血液検査

急性骨髄性白血病(AML)の検査の1つは血液検査です。血液検査では血液サンプルから白血球数・赤血球数・血小板数などの数値が測定され、異常な細胞や細胞の割合が確認されます。
また、造血細胞の異常や染色体変異の検査も行われる場合があります。

骨髄検査

骨髄検査は、急性骨髄性白血病(AML)の診断と治療方針の決定に重要な検査の1つです。骨髄検査では骨髄サンプルを採取し、顕微鏡で細胞の形態を観察することによって、AMLの存在や細胞の異常性を確認します。
また、細胞の遺伝的・分子的な変化を評価するために、染色体および遺伝子変異の検査が行われる場合もあります。

画像診断

急性骨髄性白血病(AML)の画像検査に挙げられるのは、X線検査・CTスキャン・MRI・PET検査などです。
これらの画像診断により、脾臓やリンパ節の腫脹・病変の範囲・重症度・他の臓器への広がりなどを評価することができます。これによって、病期分類や患者さんの治療への反応性を評価し、適切な治療方針を立てることが可能です。

急性骨髄性白血病(AML)の治療方法

急性骨髄性白血病(AML)の治療方法には以下の2つが挙げられます。

  • 化学療法
  • 造血幹細胞移植

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

化学療法

急性骨髄性白血病(AML)の治療方法の1つに化学療法が挙げられます。化学療法の治療手順は次の通りです。
まずは強力な化学療法が行われます。一般的には、抗がん剤であるシタラビンとアンスラサイクリン(ダウノマイシンなど)の組み合わせを使用します。この治療の目的は、AMLの白血病細胞を完全に除去し、一時的に正常な造血を阻害することです。
次に行われるのが寛解療法です。急性骨髄性白血病(AML)の白血病細胞が非検出可能なレベルまで減少すると、「寛解」と呼ばれる状態になります。この段階で、補完療法として追加の化学療法が行われる場合があります。
なお化学療法には、脱毛・嘔気・嘔吐・倦怠感などの副作用もあるため注意が必要です。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、急性骨髄性白血病(AML)の治療法の1つです。造血幹細胞移植は、次の2つの方法があります。
1つ目は自家移植
であり、患者さん自身の造血幹細胞が利用される方法です。通常は、化学療法や放射線療法により骨髄が破壊された後に、自己の造血幹細胞が回収されて凍結保存されます。その後、再凍結した幹細胞が患者さんに再注入され、新たな造血系を再構築させる治療方法です。
2つ目は血縁者や無血縁者のドナーから得られた造血幹細胞が利用される方法
です。兄弟姉妹の場合、ヒト白血抗原(HLA)の適合性を確認し、最も適合度の高いドナーから幹細胞を採取します。無血縁者ドナーについては、データベースから適合するドナーを見つけ出し、幹細胞を採取します。

急性骨髄性白血病(AML)の化学療法を行う流れ

急性骨髄性白血病(AML)の化学療法には、寛解導入療法と地固め療法があります。以下ではそれぞれの治療の流れについて解説します。

寛解導入療法

寛解導入療法では、一般的に7日間から10日間の連続的な投薬を行います。具体的な薬剤の組み合わせは、シタラビンとアンスラサイクリン(ダウノマイシンなど)です。1回の寛解導入療法で寛解に至らない場合は、同じ治療法をもう1度行います。

地固め療法

地固め療法は、寛解後の白血病細胞を除去することに焦点を当てた治療方法です。地固め療法の期間および薬剤の選択は患者さんごとに異なりますが、寛解導入療法に引き続き、同程度の強力な化学療法を複数回行います。残存するがん細胞に対してより深い寛解をもたらす治療です。

急性骨髄性白血病(AML)の造血幹細胞移植治療の流れ

急性骨髄性白血病(AML)の造血幹細胞移植治療の流れは、段階として移植前処置・造血幹細胞の投与・生着の3つの段階に分けられます。以下でそれぞれの段階について詳しくみていきましょう。

移植前処置

移植前処置では、高用量の化学療法または全身放射線療法を行います。急性骨髄性白血病(AML)の白血病細胞を除去し、骨髄をリセットする準備を行うのです。
なお移植前処置は、患者さんの年齢・体力・白血病の特性などによって異なる場合があります。

造血幹細胞の投与

造血幹細胞の投与とは、移植手術を行う段階です。造血幹細胞の移植では、ドナーから供給される健康な造血幹細胞を患者さんに投与します。

生着

移植後、投与された造血幹細胞は患者さんの骨髄に生着することで、新しい血液細胞が生成されるようになります。生着の成功は、ドナーの幹細胞と患者さんの骨髄の適合性によって影響を受けることがあります。

急性骨髄性白血病(AML)についてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病(AML)の診断・検査・治療方法などを紹介しました。ここでは「急性骨髄性白血病(AML)」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

治療の副作用にはどのようなものがありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性骨髄性白血病(AML)の治療には、いくつかの副作用があります。副作用の例としては次の通りです。
1つ目は消化器系の副作用です。吐き気・嘔吐・食欲不振などの消化器系の症状が現れることがあります。また化学療法による副作用や抗生物質の使用による腸内バランスの変化が原因となることがあります。
2つ目は骨髄抑制です。化学療法によって正常な造血細胞も抑制されるため、貧血・血小板減少・白血球減少などの骨髄抑制が現れることがあります。そのため抗生物質や輸血が必要になることもあります。
3つ目は免疫系の副作用です。免疫系の骨髄抑制により、感染症に対する免疫力が低下します。例えば発熱・感染症・口内炎などが起こることがあります。
4つ目は神経系の副作用です。化学療法による神経障害や血液内に異常な活性酸素の蓄積による神経痛が起こることがあります。例えば、神経痛・痺れ・チクチクした感覚などが現れることがあります。
5つ目は心臓や肺の副作用です。高用量の化学療法や輸血により、心臓や肺に悪影響が及ぶことがあります。また心臓の機能低下や呼吸困難などの症状が現れる場合があります。

治療後に気をつけることはありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性骨髄性白血病(AML)の治療後は、次の点に注意する必要があります。
1つ目は定期的な経過観察です。治療後は、定期的な経過観察が重要です。医師の指示に従って定期的に検査や診察を受けることで、再発や合併症の早期発見につながります。
2つ目は免疫力の回復についてです。治療は免疫系を弱める場合があるため、治療後は免疫力を回復させるために健康な生活習慣の維持が重要です。具体的にはバランスの取れた食事・適度な運動・十分な睡眠・ストレス管理などが挙げられます。
3つ目は予防接種です。免疫力が低下しているため、治療後は定期的な予防接種を受けることが推奨されます。肺炎球菌やインフルエンザなどの予防接種は特に重要です。
4つ目は感染予防です。免疫力が低下しているため、感染症に対する予防策を徹底する必要があります。手洗いやマスクの着用、感染源との接触を避けるなどの対策が挙げられます。
5つ目は再発への予防です。再発のリスクを最小限に抑えるために、健康的な生活習慣を維持することが重要です。このように急性骨髄性白血病(AML)の治療後は、経過観察と予防策を行うことが大切だといえます。

編集部まとめ

急性骨髄性白血病(AML)では、個々に合った治療計画と、治療後の感染予防などが重要です。また再発予防のためにも、定期的な受診や健康観察を実施するようにしましょう。

「急性骨髄性白血病(AML)」と関連する病気

「急性骨髄性白血病(AML)」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • リンパ芽球性リンパ腫
  • 急性前骨髄球性白血病
  • 慢性骨髄性白血病

気になる症状がある場合は、迷わず病院を受診しましょう。

「急性骨髄性白血病(AML)」と関連する症状

「急性骨髄性白血病(AML)」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食欲が出ない
  • 悪心・嘔吐がみられる
  • 疲労感
  • 貧血
  • 感染症
  • 骨や関節の痛み
  • 内出血

急性骨髄性白血病(AML)の症状と関連している、もしくは似ている症状が現れる疾患には上記のようなものがあります。疑いのある症状が現れたら必ず医療機関で検査を受けましょう。

この記事の監修医師

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