「スキルス胃がんのステージ4でも完治」は可能なのか?4つの治療法も医師が解説!
公開日:2025/12/11

胃がんのなかでもスキルス胃がんは進行が早く、見つけにくいといわれています。特にスキルス胃がんのステージ4は、かなり進行した段階です。 本記事では、スキルス胃がんがステージ4でも完治するかどうかについてご紹介します。またスキルス胃がんの治療法や検査方法などについても詳しく解説します。 スキルス胃がんについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
目次 -INDEX-
スキルス胃がんとは
胃がんは胃の粘膜にできるがんですが、そのなかでも胃の壁を硬く厚くしながら広がるタイプがスキルス胃がんです。スキルス胃がんは進行が早いほか、腹膜播種が起こりやすいことも特徴です。また、通常の胃がんとは異なり、胃の壁にわかりやすい病変が見られず、内視鏡での診断が難しい場合もあります。
そのため、発見されたときにはステージが進んでいることも多く、手術が難しいケースもあるでしょう。
スキルス胃がんはステージ4でも完治する?
スキルス胃がんのステージ4の場合、通常は外科手術による治療は難しく、化学療法・免疫療法・緩和療法などが行われます。そのため、完治は困難なケースが多いでしょう。スキルス胃がんに限った統計ではありませんが、胃がんのステージ4の場合、5年生存率は10%未満です。
スキルス胃がんの場合はさらに5年生存率が低いと考えられます。しかし、近年では治療法が進歩しているため、5年生存率も改善していくと考えられています。
スキルス胃がんステージ4の治療方法
スキルス胃がんステージ4の治療方法には次のようなものがあります。- 化学療法
- 免疫療法
- 緩和療法
- 胃の切除・バイパス手術
化学療法
化学療法は薬物療法とも呼ばれ、抗がん薬や分子標的薬などを使用して、がん細胞が増殖するのを抑制したり死滅させたりする治療です。化学療法では、薬剤を単独もしくは複数組み合わせ、点滴や内服の形で行います。化学療法の効果は内視鏡検査やCT検査で確認します。化学療法だけでがんを完全に死滅させることは難しいですが、進行を抑えたり、症状を緩和したりするのに役立つでしょう。
免疫療法
免疫療法は、患者さんの免疫の力を利用して行う治療方法です。具体的には、免疫チェックポイント阻害薬による治療と、免疫細胞療法があります。免疫チェックポイント阻害薬による治療は、免疫ががん細胞を攻撃する力を維持できるよう助ける薬です。免疫細胞療法にはアルファ・ベータT細胞療法や活性化Tリンパ球療法など多くの種類があります。
緩和療法
緩和療法は、胃がんによる症状を緩和するための治療方法です。具体的には、痛みを和らげる鎮痛剤を用いる手術などがあります。また、緩和療法には身体的症状に限らず、精神的な辛さや不安などを軽減するケアも含まれます。緩和療法は、胃がんであることを告知されたときから開始が可能です。
胃の切除・バイパス手術
胃がんの治療では、胃の切除やバイパス手術のような外科治療も行われます。胃がんの進行具合や転移などに応じて、胃の全摘や一部を取る手術などが行われます。ステージ4では通常、外科的治療は行われません。ただし、胃や腸の通過障害により食事が難しくなったり、 腸閉塞や出血などのコントロールがつかなかったりする場合はやむを得ず手術が行われることがあります。
スキルス胃がんの検査方法
スキルス胃がんの検査方法には、次のようなものがあります。- CT検査
- MRI検査
- 胃部X線検査
- 上部消化管内視鏡検査
- 腹部エコー検査
CT検査
X線を使って身体の断面を撮影し、コンピューターで画像にする検査方法です。治療を行う前にがんの有無やほかの臓器への転移がないかを確認します。また、治療の効果や治療後の再発の有無の確認などでも検査を行います。検査の目的によっては造影剤を使用する場合があるでしょう。
MRI検査
MRI検査は磁気を使って身体の断面を撮影し、画像にする検査方法です。CT検査と同様、がんの有無・大きさ・浸潤などを調べるために検査を行います。強力な磁場が発生するトンネル状の装置に入って検査を受けます。検査時間は30〜45分程とCT検査よりも時間がかかるでしょう。胃部X線検査
胃部X線検査は、胃や食道の内部を詳しく観察するための検査方法です。造影剤を摂取し、X線装置を使用して胃の形状やひだの状態などを確認します。胃を膨らませて検査を行いますが、スキルス胃がんでは胃が固くなって膨らまなくなる特徴があります。そのため、胃が膨らみにくい場合はスキルス胃がんの疑いがあります。
上部消化管内視鏡検査
鼻やお口から内視鏡を挿入し、内視鏡の映像を見ながら医師が食道・胃・十二指腸などを観察する検査です。がんのある場所・範囲・深さなどを調べられます。また、病変があれば内視鏡で組織のサンプルを取り、病理診断で診断が可能です。内視鏡の先に超音波振動子を取り付けて体の中から超音波検査が行える、超音波内視鏡検査もあります。
腹部エコー検査
超音波を使って胃の内部を観察する検査です。スキルス胃がんの場合は胃の壁が厚く硬くなることから、腹部エコー検査を行うと胃壁の変化が観察されるケースが多く見受けられます。検査はベッドに横になり、超音波が伝わりやすくなるゼリーを腹部に塗り、超音波を当てることにより行われます。
スキルス胃がんステージ4の完治についてよくある質問
ここまでスキルス胃がんステージ4の完治を中心に、病気の特徴や治療法などを紹介しました。ここでは「スキルス胃がんステージ4の完治」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
スキルス胃がんの原因を教えてください。
スキルス胃がんの原因は完全に解明されているわけではありません。一般的に胃がんの場合、次のようなことが原因と考えられています。
- ピロリ菌感染
- 慢性胃炎
- ストレス
- 塩分の摂りすぎ
- 飲酒
- 喫煙
- 遺伝子の変異
- 染色体の構造異常
スキルス胃がんの再発率はどのくらいでしょうか?
スキルス胃がんの再発率を統計的にまとめたものはありませんが、一般的には再発率が高いといわれています。再発が起こる原因には手術や化学療法などの際にがん細胞が残ってしまい、再び増殖することがあります。スキルス胃がんの再発の可能性はどのような治療を行うかや進行度合いによっても異なるでしょう。
編集部まとめ
本記事では、スキルス胃がんはステージ4でも完治するかどうかについてご紹介しました。スキルス胃がんのステージ4は完治が難しいといわれるがんです。 とはいえ、近年の治療法の進歩により、今後の5年生存率は改善されることが期待されています。 また、食欲低下・胃の不快感・胃痛などの症状に注意するとともに、定期的な検査を受けて早期発見できるようにすることも重要です。スキルス胃がんと関連する病気
「スキルス胃がん」と関連する病気は4個程あります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
スキルス胃がんと関連する病気には胃潰瘍やピロリ菌感染があります。これらの病気から胃がんに進行する場合もあるため、定期的な検査を受けることがおすすめです。
スキルス胃がんと関連する症状
「スキルス胃がん」と関連している、似ている症状は9個程あります。各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
スキルス胃がんの症状は通常の胃がんの症状と基本的には同じです。初期の段階ではほとんど症状が出ませんが、がんが進行すると上記のような症状が現れます。




