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「aya世代(15~39歳)に多いがんの特徴」はご存じですか?医師が解説!

 更新日:2025/11/26
「aya世代(15~39歳)に多いがんの特徴」はご存じですか?医師が解説!

近年、aya世代のがんの患者さんの数は増加傾向にあり、欧米諸国ではすでに成人の新たな主要な患者層となっています。しかし、従来の小児がんと成人の治療法の狭間に位置するaya世代のがんは、治療成績や予後が不良であることが課題となっています。
本記事では、AYA世代のがんの特徴やaya世代のがんで起こる問題について詳しく解説します。

  • ・aya世代のがんの特徴
  • ・aya世代のがんの主な種類
  • ・aya世代のがんで起こる問題

ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

aya世代とは

aya世代、または「Adolescent and Young Adult」の略称として用いられるこの言葉は、15歳から39歳までの思春期および若年成人の人たちを指します。
なかでもがん医療の分野でよく使われ、生物学的な成熟や精神的発達、社会的変化など、人生の重要な時期を過ごしている世代を指し示します。

aya世代のがんの特徴

日本においてaya世代のがん罹患者は年間約2万人と推定されています。
aya世代でのがんは、胚細胞腫瘍や性腺腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、子宮頸がんなど多岐にわたります。
15歳から19歳では白血病が多く、20代では甲状腺がんや胚細胞腫瘍が見られ、30代では乳がんや大腸がん、子宮頸がんなどが増加します。
これらのがんは、遺伝的要因や環境要因によっても引き起こされることがあります。

aya世代のがんの主な種類

少し前述しましたが、aya世代のがんの種類は、どのようなものがあるのでしょうか。以下で、それぞれのがんを解説します。

乳がん

乳がんは女性に起こるがんの一つで、主に乳腺の乳管から発生しますが、小葉から発生することもあります。
乳がんはしばしば、自己触診による乳房のしこりや、医療機関でのマンモグラフィー、超音波検査などを通じて発見されます。
乳がんの治療は、がんの種類、進行度、患者さんの健康状態に応じて異なりますが、手術、放射線治療、薬物療法などがあります。
乳がんは早期発見が重要であり、適切な治療と管理によって多くの場合、良好な予後を得ることが可能になるとされています。
そのため、リスクを減らすために定期的な検診を怠らないことが重要です。

甲状腺がん

甲状腺がんは、甲状腺組織内に発生する悪性腫瘍です。甲状腺は蝶が羽を広げたような形をしており、喉の下部に位置しています。
甲状腺がんの多くは、早期には自覚症状がほとんどなく、しこりを直接触ることによって初めて気付くことが多いようです。しかし、がんが進行すると声のかすれ、のどの違和感、飲み込みにくさ、誤嚥(ごえん)、血痰、呼吸困難のような症状が現れることがあります。
また、甲状腺がんの発生要因としては、放射線への露出が挙げられますが、遺伝的要因も無視できません。

精巣がん

精巣がんは、男性の生殖器である精巣で発生する悪性腫瘍です。20代から30代の男性に多く発見され、固形がんの中では若年成人に多いがんの一つです。
精巣がんの初期段階では、多くの場合自覚症状がありませんが、進行するにつれて精巣のしこりや腫れ、下腹部の鈍痛や重圧感、進行した場合は呼吸困難や頸部リンパ節の腫大のような症状が現れることがあります。
また、診断は、触診、超音波検査、腫瘍マーカーを用いた血液検査、CTやPET-CTによる画像診断を通じて行われます。
治療法には外科的治療、薬物療法や放射線治療があります。

造血器のがん

造血器のがん、または造血器悪性腫瘍は、血液を生成する細胞が悪性化した病気です。主要な種類には白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などがあります。
これらのがんは体全体に影響を及ぼす全身性の疾患であり、特定の臓器だけでなく、全身の血液細胞に関わることが特徴です。

  • ・白血病:骨髄で白血病細胞が異常増殖し、正常な血液細胞の生成を妨げます。急性と慢性、骨髄性とリンパ性に分類され、化学療法が主です。若い患者さんには骨髄移植が選択されることもあります。
  • ・悪性リンパ腫:リンパ系の細胞ががん化する病気で、リンパ節やほかの臓器に腫瘍を形成します。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別され、さらにそれぞれが複数のサブタイプに分けられます。治療には、化学療法や放射線治療が用いられます。
  • ・多発性骨髄腫:骨髄内で形質細胞が異常増殖し、正常な血液細胞の生成を阻害し、骨を破壊します。骨髄腫細胞は異常な抗体(Mタンパク)を生成し、免疫力の低下や腎機能障害を引き起こすことがあります。

造血器のがんは、進行に併せて治療も全身的なアプローチが必要とされます。

aya世代のがんで起こる問題

aya世代のがんで起こる問題は、どのようなものがあるのでしょうか。

就学の問題

まず、長期の欠席と学業の遅れが挙げられます。aya世代ががんで治療を受ける際には、しばしば入院や通院が必要となります。これにより、同世代の友人や学校生活から長期間離れざるを得なくなり、教育の進度や学業成績に遅れが生じる可能性が高まります。
また、教育支援の不足の問題もあります。高校や大学などの教育機関では、がんの患者さんに対する特別な学習支援体制が不十分な場合が多く、学業続行の障壁となります。さらに、がんであることを理由に十分な支援が得られないケースもあります。
そして、社会的な孤立を感じることもあります。長期間学校を休むことにより、クラスメイトや友人との関係が希薄になり、社会的な孤立感を感じる可能性があります。これは精神的なストレスを増大させ、治療へのモチベーションにも影響を与えかねません。

就労の問題

aya世代は、学業からキャリアの初期段階にあるため、がんという重病によって就労能力が直接的に影響を受けることがあります。
まずは、就労中断が考えられます。がんの診断と治療は長期間にわたることが多く、しばしば仕事を一時中断する必要があります。このため、キャリアの途中で重要なスキルや経験を積む機会を失うことになり、職場復帰後の昇進や役割の拡大に影響を及ぼす場合があります。
また、職場での理解不足が起こる可能性があります。がんの患者さんが職場に復帰した際、同僚や管理者からの理解が不足していると、適切なサポートや配慮が得られないケースが多いのが懸念点です。
最後は、就職活動中にぶつかる壁です。がんを経験したaya世代が新たに就職活動を行う際には、健康状態を開示するかどうかで悩むことが多く、がんに罹患した過去が就職活動に悪影響を与えるのではないかと恐れる方も多いようです。また、長期間の治療によりキャリアが中断しているため、ほかの同年代の求職者と比べて不利になることもあります。

経済的問題

がんの治療には高額な医療費がかかるため、収入が不安定なaya世代にとって、経済的な負担は重いものとなります。

医療費の高額化:aya世代は、収入が少ない場合があることから、高額な医療費を支払うことが家計に影響を与えます。なかでも、日本では公的な医療支援が18歳未満や一部病気に限られており、18歳以上の年齢では自己負担額が増加します。
治療と就労の両立の困難:がん治療のための長期間の休職や就労時間の短縮は収入減に直結します。これにより、必要な治療を受けられないという状況に陥るリスクがあります。
間接的な負担:交通費や治療に伴う付帯費用など、医療費以外にも多くの経済的負担が発生します。これにより、治療継続が困難になることもあります。

aya世代のがんについてよくある質問

こここまでaya世代に多いがんの特徴やaya世代のがんで起こる問題などを紹介しました。
ここではaya世代のがんについてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

aya世代のがんと、それ以外の世代のがんとの主な違いは何ですか?

中路 幸之助中路 幸之助 医師

主な違いは、がんの種類、治療の困難さ、診療の連携や社会的・心理的課題があります。
ですので、医療機関やサポート組織と連携し、適切な治療やケアを提供することで、aya世代のがん患者さんが社会生活に復帰できるようなサポート体制を整えることが重要です。

aya世代のがんの予後が気になります。

中路 幸之助中路 幸之助 医師

aya世代に発症するがんは、小児がんと成人の特徴を併せ持ち、治療や予後においてさまざまな課題が存在するので、予後不良とされています。
なぜなら、患者さんの数が少ないため、適切な治療法が確立されていないからです。また、aya世代におけるがんは発見が遅れることが多いことも要因です。

まとめ

ここまでaya世代に多いがんの特徴やaya世代のがんで起こる問題についてお伝えしました。
要点をまとめると以下のとおりです。

  • ・aya世代のがんは、15歳から19歳では白血病などが多く、20代では甲状腺がんや胚細胞腫瘍が多く見られ、30代では乳がんや大腸がん、子宮頸がんなどが増加する特徴がある
  • ・aya世代のがんは、主に乳がんや甲状腺がん、精巣がん、造血器のがんなどの種類がある
  • ・aya世代のがんで起こる問題には、就学・就労の問題や経済的問題など、世代特有のものが見られる

aya世代のがんと関連する病気

aya世代のがんと関連する病気は5つほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

血液内科・耳鼻咽喉科・乳腺外科・婦人科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

aya世代のがんと関連する症状

aya世代のがんと関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 腹痛や下腹部のしこり
  • 排尿障害
  • 意識障害
  • 声のかすれ
  • 性器出血
  • 乳房のしこり

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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