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子宮頸がん 「9価ワクチン」の定期接種化を了承

 更新日:2023/03/27

子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染を防ぐワクチンについて、「9価ワクチン」を定期接種化する方針が厚生労働省の専門家部会で了承されました。このニュースについて浅野医師に伺いました。

浅野 仁覚 医師

監修医師
浅野 仁覚 医師

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福島県立医科大学大学院卒業。所属:ロイヤルベルクリニック。主な研究内容・論文:切迫早産、先天性サイトメガロウイルス感染症、子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術など。

厚生労働省の専門家部会が了承した内容とは?

今回、厚生労働省の専門家部会が了承した内容とは?

浅野 仁覚 医師浅野先生

今回のニュースは、3月4日に開かれた厚生労働省の専門家部会で議論された内容になります。専門家会議では、子宮頸がんの原因となるHPVを防ぐワクチンで、これまでは任意接種とされてきた「9価ワクチン」を定期接種の対象にするか検討されました。HPVには多くの型があり、予防できる型の数でワクチンの種類が決まります。現在、定期接種として無料接種できるのは「2価ワクチン」と「4価ワクチン」だけです。「9価ワクチン」は9つの型のウイルスに対応するため、「2価ワクチン」や「4価ワクチン」よりも高い効果が報告されていることなどから、今回の専門家部会で定期接種化が了承されました。

子宮頸がんの「9価ワクチン」とは?

今回、新たに定期接種が了承された「9価ワクチン」について教えてください。

浅野 仁覚 医師浅野先生

9価HPVワクチンは、HPVの6、11、16、18、31、33、45、52、58の9つの型の感染を予防します。これらの型のうち16~58の7つの型は、子宮頸がんだけではなく腟がんや外陰がん、肛門がん、中咽頭がんなどの原因となります。日本産科婦人科学会がまとめた資料の中でも紹介されていますが、2020年の日本の研究グループによる発表によると5045人の40歳未満の日本女性の子宮頸部病変から関連するHPV型を分析した結果、9価HPV ワクチンに含まれる16~58の7つの型が軽度異形成の48.7%、全ての高度前がん病変で89.4%、全ての浸潤がんで93.6%関与していることがわかりました。この結果から、日本人に対しても高い子宮頸がんの予防効果が期待できると考えられます。

「9価ワクチン」の定期接種化の受け止めは?

「9価ワクチン」の定期接種化が了承された受け止めを教えてください。

浅野 仁覚 医師浅野先生

いよいよ日本でも9価のHPVワクチンが了承され、定期接種化に向けた検討が始まりました。今のところ女性のみ対象の検討ですが、アメリカでは、すでに2011年から男女ともに、HPV9価ワクチンが定期接種化されています。HPVワクチン接種率が高い国ほど、子宮頸がん、子宮頚部異形成、尖圭コンジローマが減少することがすでに分かっていますので、日本においても、9価の定期接種が広まることで、今後、4価ワクチンでカバーできなかった膣がん、外陰がん、肛門がん、中咽頭がんも併せて減少させることができると考えられます。また今後、海外と同じく、ワクチン接種対象が男性に対しても広まれば、男性も尖圭コンジローマや陰茎がん、肛門がん、中咽頭がんを減らすことができます。いずれ、日本も海外にならって男女ともに定期接種できるようになることを願っています。

まとめ

子宮頸がんの原因となるHPV感染を防ぐワクチンについて、「9価ワクチン」を定期接種化する方針が厚生労働省の専門家部会で了承されたことが今回のニュースで明らかになりました。今後、接種間隔や量などについて具体的に議論が進められる方針だということです。

この記事の監修医師