目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「大腸がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?女性が発症する原因も医師が解説!

「大腸がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?女性が発症する原因も医師が解説!

 公開日:2024/02/22
「大腸がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?女性が発症する原因も医師が解説!

大腸がんになりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が大腸がんになりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

プロフィールをもっと見る
佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「大腸がん」とは?

大腸は、小腸に続いて右下腹部から始まり、おなかを時計回りにぐるりと大きく回って肛門につながる食べ物の最後の通り道です。大腸の長さは約1.5m~2m程度で、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸からなります。この大腸にできるがんが大腸がんです。大腸がんにかかる割合は年々増加しています。日本では男女とも2番目に多いがんです。男女ともに40歳代以上では増加する傾向があり、注意が必要です。

大腸がんになりやすい人の特徴

大腸がんは生活習慣や家族の病歴との関わりがあるとされています。大腸がんになりやすい人の特徴について解説します。

飲酒・喫煙

飲酒、喫煙は大腸がんの危険因子となります。
日本における研究報告で、男性では飲酒しない人と比較して一日平均1合以上2合未満飲酒する人は1.4倍、2合以上飲酒する人は2.1倍大腸がんになりやすいという報告があります。女性では、飲酒との関連ははっきりしませんでしたが、飲酒量が多い方が少なかったためと考えられ、女性でも飲酒量が多くなると大腸がんになる危険性は高くなると考えられています。
一方喫煙は、男女ともに喫煙する人は喫煙しない人と比較して、大腸がんの発生率は1.4倍増加するという結果でした。他のがんと同様に、飲酒・喫煙ともに大腸がんとの関連性が認められています。大腸がんにかからないようにするためには、一合未満程度の適度な飲酒と禁煙が重要といえます。

肥満

肥満も大腸がんと関連しています。肥満によりインスリンの作用が悪くなり、インスリンが多く分泌され、高インスリン血症を来たします。これに伴いインスリン様成長因子(IGF-I)も増加することで、大腸がんの危険性が増加すると考えられています。
国内の研究では、男性においてBMI25kg/m2未満の群と比較してBMI27 kg/m2以上でがんのリスクの上昇がみられました。女性に関しては、今の段階でははっきりとした差がみられていません。特に男性では、肥満を防ぎ、適正体重を維持することも大腸がんを防ぐために必要です。

赤肉・加工肉の摂取

日本人における大腸がんの増加は、食生活の欧米化による影響もあると考えられています。牛肉、豚肉、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)を過剰に摂取することで、大腸がんの危険性が増加すると言われています。しかし、一日あたりの日本人の赤肉・加工肉の摂取量は平均63gと言われ、元々赤肉摂取量が諸外国と比較して少ないです。このため、日本人の平均的な赤肉・加工肉の摂取量では問題なく、食べ過ぎないことが大切です。

家族歴

大腸がんには遺伝的要因が関係している場合があります。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では大腸がんになる危険性が高いことが分かっており、若い時から定期的な大腸の精密検査を受けることが勧められています。
家族性大腸腺腫症とは、大腸にたくさんのポリープができる遺伝性の病気で、ポリープは年齢とともに増加し、癌化します。大腸以外にも胃や十二指腸、小腸にもポリープができ甲状腺がんや骨腫瘍などの合併も起こります。
リンチ症候群とは、遺伝子の異常を修復する「ミスマッチ修復遺伝子」に遺伝子がうまく働かない変異が生じることでおこる遺伝性の病気です。この影響で大腸がん以外にも子宮内膜がんや卵巣がんなどさまざまながんが発生しやすくなります。
家族にこのような病気がいる方は、若いうちから精密検査を受けることが勧められます。

大腸がんの代表的な症状

大腸がんは初期では自覚症状がほとんどないです。進行すると徐々に下記のような症状が出てきます。

便に血が混ざる

便に血が混ざったり、便の表面に血がつくなどの症状がみられることがあります。これらは、痔の症状でも起こりそのまま放置してしまいがちですが、癌を早期に見つけるためにも消化器内科を受診し検査をしてもらうことが大切です。また、大腸がん検診で便潜血が1回でも陽性となった時も、症状がなくとも早めに消化器内科を受診しましょう。

貧血

大腸からの出血を長期に放置すると、貧血が進行します。血液検査でヘモグロビン(Hb)の値が下がっている、貧血に伴うめまい、立ちくらみなどの症状がある場合には消化管(胃や腸)からの出血を考える必要があります。まず、内科を受診し貧血の原因を調べてもらい、消化管からの出血が疑われた場合には消化器内科を受診する必要があります。

便の異常

がんにより腸の内腔が狭くなると、便秘や下痢、便が細くなる、残便感など便の性状が変化したり、便通異常が出ることがあります。また、おなかが張ったりする症状も起こります。いつもと症状が違う場合には、一度消化器内科で相談をしてみましょう。

腹痛、腸閉塞

さらに大腸がんが進行すると、がんが腸をふさいでしまい腸閉塞により便が出ない、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が起こります。このため食事がとれなくなり体重が減少します。おなかの張りが強くなり、吐き気や便が出ない症状がある場合には早急に消化器内科を受診しましょう。

大腸がんの主な原因

生活習慣

喫煙やアルコールの摂取は、大腸がんの危険因子として挙げられます。これらの習慣がある方は気をつけましょう。禁煙、適度な飲酒が勧められます。また、赤肉や加工肉を多く食べることも大腸がんを増やすと言われています。バランスの良い食事を心がけましょう。
このほか、肥満、運動不足も大腸がんのリスクを高めると言われています。適度な運動とBMI27kg/m2を超えるような肥満を避け、健康的な生活を送ることが大切です。

遺伝

大腸がんは家族の病歴と関係があると言われています。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群では、家族内に大腸がんの発生が多くみられます。このように家族内で大腸がんがみられた場合には、大腸内視鏡検査を定期的に行って異常を早期に発見することが大切です。

炎症性疾患

大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる潰瘍性大腸炎やクローン病をお持ちの方では、大腸がんになる可能性が高くなると報告されています。診断からの年数で癌の発生率が高くなり、症状がなくとも定期的な大腸内視鏡検査を受けることが重要であると言えます。

大腸がんの予防法

食物繊維を含む食事

食物繊維の摂取が少ないと大腸がんになりやすいという報告があります。しかし、多くとればとるほど予防効果も上がる、というものではないようです。バランスの取れた食事が必要です。
その他に、ニンニクやカルシウムを含む食事には大腸がんの危険性を下げる効果があると期待されていますが、まだ結論は出ておらず今後の研究結果が待たれます。

生活習慣の改善

禁煙、適度な飲酒を心がけ、食事では赤肉や加工肉の取りすぎに気を付けることが重要です。また、肥満を避けて適度な運動を行うことも大腸がんを予防するために勧められています。

定期的な大腸がん検診

初期の大腸がんでは症状がみられないことが多いです。大腸がんが増え始める40才を過ぎたら大腸がん検診を受けましょう。便の表面をこすって提出する便潜血検査は体の負担がなくできる検査です。がんによる死亡の中で大腸がんは女性で一番多く、男性では肺がんに次いで二番目に多いです。大腸がんは早期に発見されれば、生存率が高いがんです。大腸がん検診を受けることで、早期に大腸がんを発見することができ、大腸がんによって死亡する確率を約60%減らせると言われています。40才を超えたら毎年大腸がん検診を受けましょう。

「大腸がんになりやすい人」についてよくある質問

ここまで大腸がんになりやすい人の特徴を紹介しました。ここでは「大腸がんになりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

女性が大腸がんを発症した場合、どんな原因が考えられますか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

男性と同様に、喫煙や過度の飲酒、赤肉・加工肉の摂取過多がある場合が考えられます。また、家族歴がある場合には遺伝性の影響も考えなければなりません。男性と比較して女性で大腸がんによる死亡が多い原因の一つに、大腸がん検診の受診率が低いことが挙げられます。40歳を過ぎたら大腸がん検診を受けましょう。

大腸がんの原因となる可能性の高い食生活や食べ物について教えてください。

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんと関係している食べ物は、赤肉や加工肉です。多く摂りすぎることで大腸がんのリスクが上がります。また、食物繊維が少ないと大腸がんが発生しやすいとも言われています。バランスの良い食生活が重要です。

大腸がんを発症しやすい年齢層はありますか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんは40歳代から増え始め、50歳代以上で急激に増加します。このため、40歳以上では大腸がん検診の定期的な受診が大切です。

編集部まとめ:大腸がんは生活習慣の改善とがん検診で予防!

大腸がんは、禁煙、節酒、適度な運動、適正体重、バランスの良い食事など生活習慣を改善することで予防することができます。また、40才を超えたら大腸がん検診で定期的なチェックも必要です。大腸がんを早期に発見することで、大腸がんによる死亡率を下げることができます。毎年の検診を必ず受けましょう。また、家族歴がある場合には病院で相談してみましょう。

「大腸がんになりやすい人」と関連する病気

「大腸がんになりやすい人」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

代謝内分泌科の病気

消化器科の病気

婦人科の病気

生活習慣病は運動不足や肥満など生活習慣の乱れで見られることが多く、同じく生活習慣の乱れから危険性が高くなる大腸がんと合併する可能性が考えられます。また、大腸がんの家族歴がある人は、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群である可能性もあります。これらの病気では他の病気を合併しやすく、胃ポリープや甲状腺がん、婦人科系がんの発症も増えるため、早期に病院で相談をしましょう。

「大腸がんになりやすい人」と関連する症状

「大腸がんになりやすい人」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 便に血が混ざる
  • 便通が乱れている(便秘、下痢など)
  • 便が細い
  • おなかが張る
  • 腹痛が良く起こる

上記のような症状がある場合には、大腸がんの可能性もあります。大腸がんの初期症状はわからないことが多いため、少しでも上記が続く場合には消化器内科を受診しましょう。

この記事の監修医師