「胃ポリープができると現れる症状」はご存知ですか？予防法も医師が解説！

「胃ポリープ」とは？

胃ポリープは、胃の粘膜表面がこぶのようにふくれたものです。胃ポリープはその種類によって原因なども異なります。胃ポリープはほとんどの場合は症状はありませんが、サイズが大きくなったりするとさまざまな症状が出ることがあります。この記事では代表的な胃ポリープの症状や原因、その予防法について解説します。

胃ポリープの種類

胃ポリープはさまざまな種類があります。ここでは主な3つの胃ポリープについて解説します。

胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープは、周りの粘膜と同じような色調の2～3mmほどのポリープです。近年胃食道逆流症の治療で使われるプロトンポンプ阻害薬を摂取していると、ポリープが大きくなったり数が増えたりする報告もあります。がんに進展する例も報告されていますが、頻度は非常に低いとされているポリープです。

胃過形成性ポリープ

過形成性ポリープは良性のポリープで、胃の粘膜上皮の過剰な増殖によって発症します。胃粘膜のどの部位にも発生する可能性があります。過形成性ポリープは、ヘリコバクター・ピロリ（H.pylori）感染による胃の炎症が関与していると考えられており、ピロリ菌除菌が有効な場合があります。

腺腫性ポリープ

胃の腺腫性ポリープは、「胃腺腫」として知られています。白色でこぶ状の見た目をしており、胃ポリープと似ています。胃ポリープは外部の刺激に反応して細胞の異常増殖を引き起こすのに対し、胃腺腫は異型上皮として知られる細胞の変化によって構成されています。胃腺腫の大部分は良性ですが、一部はがんに進展する可能性があります。

胃ポリープができると現れる症状

ポリープは多くの場合は症状がありませんが、胃ポリープの大きさ、発生する場所、出血の有無によってはさまざまな症状が出る場合があります。この章では胃ポリープができると現れる代表的な症状について解説します。

胃の痛み

胃ポリープ自体によって胃の痛みを感じることはほとんどありませんが、胃ポリープは慢性胃炎などを併発することもあり、その場合は胃の痛みを生じることがあります。

吐き気や嘔吐

胃ポリープが大きくなり、胃の出口を塞ぐことがあります。その場合は、胃の中の食べ物や消化液が十二指腸に進めなくなるため、吐き気や嘔吐などの症状が出ることがあります。

下血

胃ポリープが大きくなったりすると、胃ポリープから出血することがあります。この出血は便に混じり、量によっては黒っぽい便が出ることがあります。

胃ポリープができる原因

胃ポリープにはさまざまな原因が関与しているとされています。ここでは主に3つの原因に分けて解説します。

ピロリ菌

ピロリ菌はさまざまな胃の疾患の原因になることが知られています。胃ポリープのうち、過形成性ポリープと腺腫性ポリープもまた、ピロリ菌がその発症原因として知られています。

アルコール

アルコールは胃を直接刺激して、炎症を引き起こす可能性があります。特に、過度なアルコール摂取は長期間にわたり胃の粘膜に炎症をもたらし、それが胃ポリープの原因になると言われています。ビールなどをたくさん飲んだり、アルコール度数の高い飲み物を多く摂取すると、胃ポリープが発生しやすくなります。

高脂質食

日本食は比較的、脂質の少ない食事でしたが、食の欧米化に伴い、脂質が多い食事が増えました。ファストフードや外食での食事は脂質が多くなりがちです。脂質が多い食事では、胃粘膜を刺激するため、慢性的な炎症を引き起こしてしまい、胃ポリープの原因になるとされています。

胃ポリープができやすい人の特徴

過剰なアルコール摂取

アルコールは胃に炎症を引き起こす可能性があり、その刺激により胃ポリープを作りやすくなります。アルコール摂取量が多かったり、アルコール摂取する日が多い場合は胃ポリープになるリスクが高まります。

外食が多い

外食は脂質が多くなることが多いです。特に、ファストフードなど欧米食は脂質が多くなりがちです。脂質を多く摂取すると、胃酸の分泌が増えてしまい、胃に炎症を引き起こします。その結果、胃ポリープが生じるリスクが上がります。

暴飲暴食

暴飲暴食は摂取カロリーが増えることで肥満になります。また、その食事に脂質が多く含まれている場合もあります。さらに、暴飲暴食の原因がストレスであれば、それも慢性胃炎などの原因になることもあります。このように、暴飲暴食が胃ポリープの直接的な原因になることもあれば、間接的に胃ポリープができやすくなっている場合もあります。

胃ポリープの予防法

ピロリ菌を除菌する

過形成性胃ポリープや腺腫性ポリープなどはピロリ菌が原因になることがあります。ピロリ菌は胃酸分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を内服することで除菌することができ、ピロリ菌の除菌によって過形成性ポリープ自体が小さくなったり、消えてなくなることもあります。

アルコール摂取を控える

アルコールは胃粘膜の炎症を引き起こします。特に、過剰なアルコール摂取は、慢性的な胃粘膜の炎症を引き起こしてしまい、胃ポリープの原因になるとされています。具体的には、1回あたりのアルコール量を減らしたり、アルコールを摂取しない休肝日を設けたりすることです。

脂質の少ない食事を心がける

脂質は胃酸の分泌を促し、それが原因で胃ポリープを生じます。脂質が多い食べ物は、胃粘膜を刺激するため、慢性的な炎症を引き起こし、胃ポリープの原因になるとされています。間食を減らしたり、外食でファストフードなど高脂質食を控えることが有効です。