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「スキルス胃がんの余命」はご存知ですか?症状や原因についても解説!

 公開日:2024/03/18
「スキルス胃がんの余命」はご存知ですか?症状や原因についても解説!

スキルス胃がんという病名は聞いたことがあるけれど、ほかの胃がんとの違いについてよく知らない方も多いのではないでしょうか。

進行が早く、若い方でも見つかるがんなので、どのような症状が出るのか・治療方法は決まっているのかなど気になります。

この記事では、スキルス胃がんの余命についてを中心に、治療方法や発見が遅れてしまう理由などについて解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

スキルス胃がんとは

胃がんは胃の粘膜にできるがんですが、スキルス胃がんは、胃がんの中の1つの通称です。がんが胃壁や組織の中に広がっていくことで、胃が厚くなった状態のことをいいます。
これは進行胃がんの肉眼的分類では、4型のびまん浸潤型に該当する病型です。内視鏡で診断することが難しく、進行が速いので症状が進行してから見つかることが多いです。ここでは、スキルス胃がんの特徴・症状・原因などについて解説します。

特徴

スキルス胃がんの特徴は進行が早く、がんが腹膜内に散在する腹膜播種が起こりやすい疾患であることです。
また、他の胃がんに比べて若い方や女性に多いことも特徴です。内視鏡で診断することが難しい場合もあり、なかなか早期で発見できずに進行してから発見されることが多いため治りにくいがんであるといわれます。

症状

スキルス胃がんを含むすべての胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどありません。中にはかなり進行してからも症状のない人もいます。代表的な症状は、胃の痛み・胃の不快感・胃の違和感・胸やけ・吐き気・食欲不振です。
また、がんの部分から出血することで貧血が起こったり、黒い血便が出たりすることもあります。胃炎や胃潰瘍でも同様の症状が起こることがあるので、内視鏡検査でがんが見つかることもあります。
スキルス胃がんでは、腹膜播種が起こりやすく、これが原因の腹水が見られることがあるのです。がんが進行すると、体重減少や食事が摂取しにくくなることもあります。

好発年齢

胃がんの罹患率は、50代から増え始め80代がピークです。このため胃がんの好発年齢は80代といえます。男女比は男性が女性より2倍以上かかりやすいです。一方、スキルス胃がんは20〜40代の若い方や女性にも多いです。

発症原因

胃がんの発生原因として考えられているものは以下の通りです。

  • ピロリ菌感染
  • 喫煙
  • ストレス
  • 塩分
  • アルコール
  • 刺激物
  • 遺伝子変異

近年では、ピロリ菌の感染率の低下とともに胃がんの発生率も低下してきています。スキルス胃がんに限定すると、発生原因は今のところ確実なものは分かっていませんが遺伝子変異が関与している可能性があります。

スキルス胃がんの余命

スキルス胃がんと診断されると、余命は数ヶ月から1年と診断されることが多いです。胃がんの中でも進行が早く、発見が難しいためです。
まず、胃がん全体の臨床進行度別の5年生存率を確認すると、がんが胃に限局している場合は97.6%ですが、遠隔転移を起こしている場合には6.6%でした。
国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターにより公表されている統計から、胃がんの病期ごとの5年生存率を確認すると以下の通りです。

  • 1期(ステージ1) 82.0%
  • 2期(ステージ2) 60.2%
  • 3期(ステージ3) 37.4%
  • 4期(ステージ4) 5.8%

胃がんは定期的に内視鏡検査を受けることにより早期発見が可能です。
しかしスキルス胃がんは胃がんの一種ですが、発見が難しく進行が速いため、診断されたときには既にステージ4である場合が多いです。
スキルス胃がんに限定した統計はありませんが、このことからスキルス胃がんの5年生存率は5.8%前後であることが推測されます。

スキルス胃がんの余命が短くなりやすい理由

余命が短くなりやすいといわれるスキルス胃がんですが、その理由としては大きく以下の2つの理由があります。

  • 発見が難しいため
  • 進行が速いため

ここでは、これらの理由について詳しく解説をします。

発見が難しいため

スキルス胃がんは胃壁の中で広がって粘膜の表面にはあらわれないため、胃内視鏡検査で発見しにくい疾患です。このため早期での発見が難しく、見つかったときにはがんが進行してしまっています。
がんが進行して大きくなってしまったり、転移してしまったりしているとできる治療が限られてしまい、余命が短くなりやすくなってしまうのです。

進行が速いため

がんの組織型分類は分化型と未分化型の2つに大別されます。分化型は進行が緩やかですが、未分化型は進行が速い場合が多いです。
スキルス胃がんは、粘膜下で細胞がまとまらずにバラバラに広がっていく未分化型胃がんです。進行が早く発見されたときには病期が進んでしまっていることが多く、治療が限られてしまいます。

スキルス胃がんの治療法

スキルス胃がんを含む胃がんの治療方法は、大きく分けて4つあります。

  • 手術療法
  • 化学療法
  • 放射線療法
  • 緩和ケア

ここでは、それぞれの治療方法について解説します。

手術療法

すべてのがんにおいて、可能であれば手術をするという治療方法が最も根治性が高いため第一選択です。胃がんの場合はがんと胃の一部または全部と場合によってはリンパ節も切除します。
しかし、これはがんが早期で見つかり、すべて手術で取り除くことができる場合です。がんが進行して大きくなっていたり、遠隔転移してしまったりしている場合には、術前に薬物療法や放射線療法などでがんを小さくしてから手術を行うこともあります。
また、年齢やがんが発見されたときの体の状態によっては手術が選択できない場合もあるので治療法については、医師との相談が必要です。

化学療法

化学療法とは薬物療法のことで、大きく分けて以下の2つの目的があります。

  • そのままでは手術によりがんを全部取ることが難しい進行・再発胃がんに対する化学療法
  • 胃がん手術後の再発予防を目的とする術後補助化学療法

胃がんの化学療法で使う薬の種類は、細胞障害性抗がん薬・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などがあります。
これらの薬を単独で使用することもありますが、組み合わせて複数を使用することもあるのです。スキルス胃がんでは進行してからがんが見つかることがほとんどなので、化学療法が選択されることが多いです。
手術ができたとしても、見えないところに腹膜播種が起こっていて再発してしまうこともあり、この場合にも延命のために化学療法が行われます。

放射線療法

胃がんの治療において放射線治療は再発・進行胃がんに対する補助的な治療の1つとし用いる治療方法です。
局所に留まった再発部位に照射して、根治が期待できる場合や胃がんや転移した部位によって食事ができなかったり、痛みがあったりという場合の症状緩和を目的として使用されます。

緩和ケア

緩和ケアは、がんに伴う体の痛みや苦痛だけではなく、心の痛みや社会的な辛さも和らげます。末期の疼痛緩和だけなく、がんと告知されたときから始まるものです。
胃がんが進行した場合は、吐き気・嘔吐・腹水・倦怠感などのさまざまな症状があらわれることがあります。
本人にしか分からない症状もあるので、積極的に医療従事者に相談しましょう。
胃の出口がふさがってしまって食事が摂れない場合には、チューブ状のステントという器具を入れる治療を提案されることもあります。

スキルス胃がんの余命についてよくある質問

ここまでスキルス胃がんの余命を中心に、病気の特徴や治療法などについてを紹介しました。ここでは「スキルス胃がんの余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

スキルス胃がんの検査方法について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

スキルス胃がんと診断するために行う検査は、胃内視鏡検査・胃バリウム検査・腹部エコー検査・腹部CT検査・腹部MRI検査が中心になるでしょう。胃内視鏡検査では、組織を採取することができるので、生検も同時に行うことができます。スキルス胃がんでは、生検をしても組織の表面にがんが出てきていないため確定診断ができないことがあります。内視鏡で胃壁の硬さやひだの肥厚などスキルス胃がんを疑う所見がある場合には、見逃さないために再検査や重ねて他の検査をすることで診断する必要があるのです。

  

スキルス胃がんを予防する方法はありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

スキルス胃がんの原因ははっきりとは分かっておらず、確実な予防法は確立されていません。しかし、胃がん全般にいえる予防方法がスキルス胃がんの予防につながると考えられます。具体的には、以下のことが予防方法として挙げられます。

  • ピロリ菌の除菌
  • 刺激物・塩分の摂り過ぎを避ける
  • 暴飲暴食をしない
  • 飲酒を控える
  • 禁煙する
  • ストレスをためない
  • 定期的(1年に1回程度)に胃内視鏡検査を受ける

上記のことに注意すれば、スキルス胃がんを予防したり、早期発見をしたりすることにつながります。

スキルス胃がんのステージ4の余命を教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

スキルス胃がんに限定された調査は行われていませんが、スキルス胃がんは進行してから見つかることが多いので、見つかったときにはステージ4であったケースが多いです。このため、胃がんのステージ4の余命について5年生存率から見てみると、5.8%という結果があります。このことからもスキルス胃がんのステージ4もこれと同じかこれよりも低いという可能性が推察されます。

編集部まとめ

今回の記事ではスキルス胃がんの余命を中心に、特徴・原因・治療方法などについて解説しました。

スキルス胃がんは早期発見が難しい病気ではありますが、なるべく早く発見して治療を開始することが重要です。定期的に胃内視鏡検査を受けることも発見の一助になるでしょう。

ご自身またはご家族で気になる症状・異変があるという方は、1人で悩まずなるべく早く医療機関に相談してください。

スキルス胃がんと関連する病気

「スキルス胃がん」と関連する・似た症状が出る病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

細菌の一種であるヘリコバクター・ピロリに感染すると、胃に炎症が起きたり、潰瘍ができたりすることがあり胃がんになる可能性が高くなります。
また、がん以外の胃の疾患には胃ポリープ・胃潰瘍・慢性胃炎などがあります。胃ポリープは検診などで見つかることが多く、無症状であることが多いです。
胃潰瘍は胃の痛み、慢性胃炎は胃の不快感・胸やけなど胃がんと似た症状が出ることがあります。
スキルス胃がんは胃がんの中でも進行が早く、若い人でもかかることがあります。早期発見・早期治療ができるようにするためにも、気になる症状があるときは病院を受診し、相談してみましょう。

スキルス胃がんと関連する症状

「スキルス胃がん」と関連している・似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

スキルス胃がんの症状は特徴的なものはなく、「ストレスかな?食べ過ぎたかな?」と見過ごしてしまうことも多いです。
いつもとどこか違う、またはこれらの症状が長引いていると感じたならぜひ早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師