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「大腸がん・ステージ3」の症状・余命はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/02/04
「大腸がん・ステージ3」の症状・余命はご存知ですか?【医師監修】

大腸がんは早期発見しやすいがんですが、それでも進行してステージ3や4で発見される事例も少なくありません。

早期なら内視鏡で簡単に治療できたものが、進行に伴って体への影響が大きい外科手術が視野に入ってきます。リンパまで侵されたステージ3で根治は期待できるのか、また余命・生存率も気がかりです。

この記事ではステージ3の大腸がんについて、根治の可能性・余命・治療法などを解説します。症状や再発率も併せて紹介しているので、参考にしてみてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

大腸がんとは?

かつては欧米人に多く日本では少数だった大腸がんは、食生活の変化とともに近年増加の一途をたどっています。
がん死亡者数でも男女を問わず大腸がんが上位を占めるようになりました。その大腸がんとはどのようなものなのか、概略をみていきます。

結腸・直腸に発生するがん

大腸がんは結腸がん・直腸がんともいわれるように、腹部右下の盲腸から大きく腹部を一周してS字結腸までの結腸と、そこから肛門縁までの直腸にできるがんです。
特に発生しやすい場所としては、S字結腸と直腸周辺が多いとされます。大腸の構造は、内面の粘膜から粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜と続く5層構造になった管状の臓器です。周囲にはリンパ管・血管・腹膜などがあり、大腸がんはまず粘膜から始まります。

良性のポリープががん化するもの・正常な粘膜から直接発生するものがある

大腸がんは粘膜で発生しますが、その多くは粘膜にできるポリープが変化したものです。
大腸ポリープの80%を占める腫瘍性ポリープのうち、良性腺腫ポリープは大きくなる過程でがん化する可能性を持ちます。5mm未満のポリープでがん化するのは1%程度ですが、1cmでは数%、2cm以上でがん化するのは20%〜30%です。
また、少数ですが正常な粘膜から直接大腸がんが発生する事例もあります。表面が平らな平坦型や陥没した陥凹(かんおう)型がありますが、発生のメカニズムなど詳細は未解明です。

大腸がんのステージ 3

大腸がんでステージ3の病期とは、がん細胞がリンパ節に転移した状態を指します。がん細胞が腸管から外に出た状態なので、進行度合いはより深刻です。その状態からの根治治療は可能なのかをみていきます。

ステージ3の大腸がんの特徴

ステージ3の大腸がんで、転移先のリンパ節は深刻な事態といえます。転移したリンパ節を確認し、できるだけ早く切除しなくてはいけません。
CT検査やMRI検査によって病巣の範囲を予測し、外科的な方法で幅広く切除するのが標準的な治療になります。当該の腸管やリンパ節は手術をすればほとんどの部分の切除が可能です。
しかしわずかながん細胞が残ってしまい、その残りが再び増殖を始める可能性があります。つまり、治療ができても再発リスクが高いのがステージ3の特徴です。

ステージ3でも根治の可能性がある?

リンパ節に転移した状態のステージ3でも、根治の可能性はあります。ステージ3では根治を目指す開腹・腹腔鏡手術が基本です。
原発巣のがんを切除するとともに、周囲の腸間膜・リンパ節も大きく切り取ります。ただ、切除してもその周囲には目に見えない小さながん細胞が残っている可能性があり、それが再発の原因になります。
根治のためには残ったがん細胞を抑え込むことが重要課題です。手段としては抗がん剤や放射線を単独・または併用することもあります。

大腸がんの余命について

大腸がんは罹患者数が年間約15万人に対し死亡者数が約5万3千人で、生存率が高い=余命が長いがんといえます。
罹患・治療後の余命の目安になるのが5年生存率です。結腸がんと直腸がんについてそれぞれの余命の実状をみていきます。

結腸がんのステージ別の5年生存率

まず結腸がんについて、ステージ別に5年生存率がどう変化するかをみていきましょう。ステージ0〜1の5年生存率は92.1%と高い数値で、ステージ2ではこれが85.7%に低下します。
ステージ3では76.2%と段階的に下がった後、ステージ4では15.8%と急激な低下をみせました。このように進行度に比例して生存率が低下し、特にステージ3から4への進行では数値の変動が顕著です。

直腸がんのステージ別の5年生存率

続いて直腸がんでも、ステージごとに5年生存率の変化をまとめました。
ステージ0〜1での5年生存率は92.7%で、そこからステージ2では85%へ低下します。ステージ3では74.4%だったものがステージ4では急激に落ちて23.1%です。
ただ、ステージ4では結腸がんより7.3ポイント高い数値でした。傾向としては直腸がんも結腸がんと同じような推移を示し、ステージ4で急激に下がります。

大腸がんの治療方法

大腸がんの治療方法は、大きく分けて下記の4種類があります。がんの進行状態に合わせて使い分けますが、単独で使うのではなくほかの方法と併用する使い方が一般的です。

  • 内視鏡治療
  • 外科治療
  • 薬物療法
  • 放射線治療

この4つの治療方法について、それぞれ個別に解説します。

内視鏡治療

この治療方法は、ステージが1か2でがんが大腸内にとどまっている場合に選択します。
形状的にも内視鏡で取り切れるサイズ・位置・深さであることという限定的な方法です。肛門から入れた内視鏡で、大腸の内側からがんを切除します。
ポリープ状ならワイヤをかけて電流で焼き切り、小さなものはワイヤで切り取る方法です。平たいタイプは食塩水を注入して持ち上げ、ワイヤをかけて焼き切ります。
大きいものは食塩水で持ち上げてから高周波メスで剥ぎ取るため、出血・穿孔のリスクが増大します。

外科治療

ステージ1の高浸潤タイプとステージ2・3が外科治療の適用になります。進行した大腸がんでは根治が見込める唯一の治療法です。
標準的な外科治療は開腹手術で患者さんへの負担は大きいものの、患部を直接見ながら施術するため短時間でできるメリットがあります。一方、近年増えてきたのが腹腔鏡手術です。腹部に小さな穴を数個開け、カメラや鉗子を入れてがんを切除します。
この治療は開腹手術より患者さんの負担が少ないのがメリットです。また、精密な手術ができるロボット支援手術が保険適用になり、選択肢が増えました。

薬物療法

薬物療法は化学療法ともいい、抗がん剤を使う治療です。
薬が血液に乗って全身を巡るため、がんがある場所を問わず効果が望めます。抗がん剤だけで根治は困難ですが、切除できないステージ4の大腸がんでは延命効果が期待できる治療法です。
また、ステージ3では外科手術の前後に使うことで、再発抑制効果が望める治療法になります。抗がん剤といえば強い副作用が知られますが、抗がん剤は種類が多く選択肢が豊富です。症状に合った薬物を選ぶことで、生活の質を落とさずに治療を続けられます。

放射線治療

大腸がんの放射線治療は、主に切除できる直腸がんの補助的療法として採用されます。
狭く手術しにくい骨盤内で、切除手術の前に照射する再発防止が主目的です。照射で周辺に散在する微細ながん細胞を排除でき、再発が防げます。
一方で、腫瘍による痛み・吐き気・出血・便通障害などの症状緩和療法としても有効です。脳の転移巣によるめまい・嘔吐などにも使用され、腹部・頭部へ照射して症状を緩和します。
放射線治療にも副作用があり、だるさ・吐き気・皮膚炎・脱毛などが主な症状です。

大腸がんステージ3についてよくある質問

ここまでステージ3の大腸がんの余命・治療方法・根治の可否などを紹介しました。ここでは「大腸がんステージ3」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ステージ3の大腸がんはどのような症状が出るのですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

進行したステージ3では便中の血液・鮮血がみられます。また下痢や便秘などの便通障害が起こりやすく、便が細い・きれぎれなど便の変形も特徴的です。がんの進行に伴い周辺のリンパ節の腫れ・組織への圧迫や炎症が起こり、腹痛や腹部不快感を覚えることがあります。進行した腫瘍が栄養を消費し吸収を阻害するため、痩せ・貧血などの症状とともに全体的な体力低下がみられるのが一般的です。

ステージ3で薬物療法が行われるのはどのようなケースですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

ステージ3での薬物療法は外科手術の補助になります。ステージ3では外科手術でがんを切除するのが標準的です。その場合、微小ながん細胞が周辺に残り、それが再び増殖を始めてがんが再発する可能性があります。残っているがん細胞を排除してできるだけ再発を防ぐために術後補助化学療法が選択され、ステージ2と3で再発リスクが高いと判断される患者さんが対象です。手術後1〜2ヶ月で始められ、薬剤により3ヶ月または6ヶ月間継続します。

ステージ3の再発率を教えてください

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

ステージ3の大腸がんでは、再発率は31.8%です。大腸がんの治療では常に再発防止を念頭にすすめますが、ある程度は再発します。再発率はがんが進行するほど高くなり、ステージ1では5.7%・ステージ2では15.0%といった数値です。再発の様態では、元の場所で再発する局所再発・肝臓や肺に移る遠隔転移・大腸を覆う腹膜に起こる腹膜播種などがあります。再発に対しても手術がメインで、補助療法との組み合わせで治療が進められます。

編集部まとめ

この記事ではステージ3の大腸がんの根治可否・余命・治療方法などを解説しました。進行してリンパ節に転移したステージ3でも根治は可能です。

そして余命も70%以上の5年生存率があります。治療方法は手術になりますが、腹腔鏡による負担の少ない手術・ロボット支援の精密な手術も選択が可能です。

また、再発予防措置など補助的な治療法も数多く整っています。転移していても決して絶望的な状況ではないので、積極的に治療に取り組みましょう。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

これらの病気を発症すると、時間が経つにつれて大腸がん化するリスクが増大します。特に遺伝性の家族性大腸腺腫症・リンチ症候群は高い確率でがん化します。他の病気も放置は禁物で、大腸がんの前兆ととらえ定期的なチェックが必要です。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状はどれも大腸がん以外の病気でもみられるものばかりです。しかし、自己診断するのは危険で、長期間続いたり複数の症状が現れたりする場合は医療機関で受診をおすすめします。

この記事の監修医師