目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「膣がんの生存率」はご存知ですか?原因や症状についても解説!【医師監修】

「膣がんの生存率」はご存知ですか?原因や症状についても解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/27
「膣がんの生存率」はご存知ですか?原因や症状についても解説!【医師監修】

腟がんは不正出血や下腹部の痛みなど症状を伴う病気ですが、初期の段階では症状がないことがほとんどです。

腟がんは多くの場合、子宮頸がんの検診時に発覚するといわれています。

発見が遅れがちな、腟がんになったときの生存率はどれぐらいなのでしょうか。

今回は、腟がんの生存率・原因・症状・治療などについて詳しく説明していきます。腟がんについて、詳しく気になることがある人はぜひ参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

腟がんとは?

腟がんは、女性特有のがんの1種です。女性生殖器がんの中でも、1%ほどの割合しかいない希少な病気です。初期症状はみられないことが多いので、子宮頸がんの検査時に発覚するか、がんが進行するまで気づかない人もいます。
そのため、子宮頸がんの検査を受けていない人は、気づかないうちに腟がんになってしまっているケースも考えられます。腟がんを早期に発見するためには、定期的な検診を受けることが重要です。

腟がんの生存率

腟がんと診断された場合、腟がんについての情報が少ないことから、病気に対して不安なことが多いでしょう。不安な事柄の1つである「生存率」について、以下でまとめました。腟がんの5年生存率は以下の通りです。

  • ・I期で腟がんが発覚した場合の生存率は、約92%
  • ・II期で発覚した場合の生存率は、約74%
  • ・III期で発覚した場合の生存率は、約52%
  • ・IV期で発覚した場合の生存率は、約30%

腟がんは早い段階で発覚し治療した場合、生存率は高く、90%以上ある種類のがんです。腟がんを克服するために重要なことは、できるだけ早い段階で病気に気づくことです。

腟がんの原因

腟がんと診断される方は少なく、女性特有のがんの中でも、珍しい病気です。あまり患うことがないといわれている腟がんは、何が原因とされているのでしょうか。腟がんの原因は、主に以下の3点が挙げられます。

  • ・ヒトパピローマウイルスへの感染
  • ・免疫抑制状態
  • ・骨盤への放射線治療

主な原因としては、1つ目の「ヒトパピローマウイルスへの感染」だといわれています。それぞれの原因について、詳しく解説していきます。

ヒトパピローマウイルスの感染

腟がんの原因のほとんどが、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因とされています。ヒトパピローマウイルスは、人から人への接触により感染するウイルスで、性交渉時に感染することが多いです。このウイルスへの感染によるがん化を防ぐためには、ワクチン接種が有効とされています。
また、感染したからといって必ずしも発症するわけではなく、ほとんどの場合は何も症状がないことが多いです。

免疫抑制状態

免疫抑制状態にある人は、腟がんにかかる原因になりえます。ステロイドや免疫抑制剤を使用している人・透析を受けている人などは、体内の免疫状態により、ヒトパピローマウイルスに通常より感染しやすいとされています。他の病気で治療を受けていて、免疫抑制状態にある人は、ウイルス感染の定期的な検診を受けましょう。

骨盤への放射線治療

放射線治療を受けたことがある人も、骨盤への放射線治療が腟がんの原因になることがあります。他の部位へのがん治療などで、放射線治療を受けたことがある人は、定期検診で腟がんの疑いがないかも確認してもらいましょう。

腟がんの症状

腟がんは、初期段階ではほとんど自覚症状がないといわれています。がんが進行すると、以下のような症状が出てくることが多いです。

  • ・不正出血
  • ・腟のしこり
  • ・排尿痛
  • ・下腹部の痛み

当てはまる症状があり、心配な人はすぐに医師に相談しましょう。早期の発見が、腟がんの治療にとって重要です。

不正出血

腟がんの最も多い症状が、不正出血です。不正出血があるからといって腟がんとは限りませんが、不正出血は、なんらかの体への異常があるサインです。また、出血と同時に水っぽいおりものがある場合もあります。生理時以外で、不正出血や水っぽいおりものなどの症状がある場合はすぐに医療機関で診察してもらいましょう。

腟のしこり

腟がんの症状として、腟のしこりがみられることがあります。しかし、腟のしこりは普段の生活では、なかなか自分で気づくことは難しいです。はっきりしこりを感じなくても、腟に違和感を覚えることがある場合は、産婦人科などで専門の医師に確認してもらうと安心です。

排尿痛

排尿痛は、腟がんの腫瘍が大きくなり、膀胱を圧迫するようになるとみられる症状の1つです。排尿時に、痛みを感じる場合、腟がんでなくても治療が必要です。まずは医師に相談して原因を追及しましょう。

下腹部の痛み

排尿痛と同じく、腫瘍が大きくなると下腹部への痛みが生じる場合があります。下腹部の痛みを感じた場合は、自己判断で放置せず、早い段階で医療機関で診察してもらいましょう。腟がんは、早期発見によって、生存率が高くなる病気です。体の違和感を覚えた場合は、原因を医師に診断してもらうことが重要です。

腟がんの治療

腟がんの治療は、進行段階によって以下の3つの方法があります。どの方法の治療が適しているかは、医師が体の状況を見て判断していきます。

  • ・外科手術
  • ・放射線治療
  • ・抗がん剤治療

それぞれの治療方法について、解説していきます。

外科手術

外科手術は、初期段階の腟がんに対して行われる治療方法です。状況に合わせて、以下の5ついずれかの治療方法がとられます。

  • ・部分腟壁切除術
  • ・子宮全摘出術
  • ・骨盤除臓術
  • ・リンパ節郭清

腟がんのある部位や、進行状況によってとられる治療方法が異なります。

放射線治療

放射線治療は外科手術と併用して、または、外科手術では対応できない状況の腟がんに対してとられる治療方法です。腟を通してがんの部分に照射する内照射療法と、体の外から放射線を照射する外照射方法を併用して行われます。放射線治療によって、外科手術後の再発を防止したり、手術ができない腟がんへの治療をしたりが可能です。

抗がん剤治療

抗がん剤治療は、腟がんの場合、病気が進行したときにとられる治療方法です。腟がんに対する、抗がん剤治療のレジメンがないので、子宮頸がんと同じ方法で抗がん剤治療がほとんどの場合行われます。(レジメンとは、医療行為の計画・行動指針のことです。)
また、放射線と併用して抗がん剤治療が行われるケースもあります。抗がん剤の投薬方法は経口投与または、静脈内・筋肉内・体腟内への注射などがあり、状況によって判断していきます。

腟がんについてよくある質問

ここまで腟がんの原因・治療法などを紹介しました。ここでは「腟がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腟がんにかかりやすい人の特徴はありますか?

腟がん自体にかかる人は稀ではありますが、年齢が上がるほどかかりやすくなります。60才以上の女性は定期的に健診を受けた方がよいでしょう。

腟がんはどのくらいの期間で治りますか?

腟がんの病期により変わって治療期間は変わっていきます。早期の腟がんであれば切除手術を行い3〜5日ほど入院期間を用します。その後の合併症には注意して生活しましょう。

編集部まとめ

腟がんは、初期段階での発覚だと生存率は90%以上ある、女性特有のがんです。

初期の段階での自覚症状がほとんどないため、発見が遅れがちですが、早い段階での発見・治療が腟がんの生存率にとって非常に重要です。

初期段階での発見のためにも、定期的に検査や健康診断を受ける必要があります。

また、少しでも今回まとめた不正出血や排尿痛などの腟がんの症状にあてはまることがある場合、すぐに医師に相談しましょう。

「腟がんの原因」と関連する病気

「腟がん」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器外科

腟がんは、子宮頸がんなどの検診で発見されることが多い病気です。早期発見・治療が重要な病気なので、定期的な子宮頸がんの検査を受けましょう。また、少しでも不正出血や下腹部の違和感を覚えた場合、すぐに婦人科で相談してください。

「腟がんの原因」と関連する症状

「腟がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各商状・原因・治療方法などについて詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 腟のしこり
  • 排尿痛
  • 下腹部の痛み
  • 腰痛
  • 水っぽいおりもの
  • 性交時の痛み
  • 出血

少しでも違和感がある症状を感じた場合には、すぐに医療機関を受診してください。腟がんは、早い段階で発見し治療することで、生存率が高くなる病気です。

この記事の監修医師