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「腎臓がんの生存率」はご存知ですか?原因や症状についても解説!【医師監修】

 更新日:2023/11/21
「腎臓がんの生存率」はご存知ですか?原因や症状についても解説!【医師監修】

腎臓がんと診断されたときに心配になるのが生存率、つまり予後が「良いのか」「悪いのか」ということではないでしょうか。

腎臓がんは生活習慣が原因で発症する可能性がある疾患です。初期の段階で発見され、適切な処置・治療を受けられると根治が可能であるといわれています。

この記事では、腎臓がんの生存率や原因・症状・治療法について詳しく解説します。

どのような疾患なのかを知ることで、早期発見の大切さを感じていただき、定期的な検査を受けることが必要だと実感できるでしょう。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

腎臓がんとは?

腎臓がんとは、腎臓の尿をつくる腎実質にある尿細管の細胞が、がん化したものです。腎臓はそら豆のような形をしており、成人の握りこぶしより大きい臓器です。背中側の腰よりも高い位置に左右1つずつあります。
他の臓器に転移することもあり、主な転移場所は肺です。その他には、肝臓・副腎・脳・骨などに転移することがあります。転移したがんが先に見つかり、そのときの検査で腎臓がんが発見されるというケースが多くみられます。
腎臓がんの初期には、症状がほとんどみられないため、発見が遅くなってしまうケースがあるのです。腫瘍が大きくなってくると、腎組織が損傷されることによりさまざまな症状が出てきます。炎症反応・発熱・出血・側腹部痛・腰痛・腹部のしこり・血尿などです。
腎臓に腫瘍ができると、血圧のコントロールや造血ホルモンの生成という機能が脅かされ、高血圧になったり出血しやすくなったりします。

腎臓がんの生存率

生存率とは、がんと診断されてからある一定の期間が経過した時点で生存している割合のことです。がんの治療成績を示す指標として、5年後の数値を表した5年生存率を用います。5年後の生存確率が0%であれば治療の効果がなく救うことが難しい疾患です。生存率が100%であれば治療の効果があり、救える疾患であるという意味です。
腎臓がんの場合、ネットサバイバルの2014~2015年における5年生存率では、I期94.9%・II期87.9%・III期76.5%・IV期18.7%という結果になっています。腎臓がんは早期に発見でき、適切な処置・治療を受けられれば、根治できる疾患だということがわかります。

腎臓がんの原因

腎臓がんの原因として、以下の4つが挙げられます。

  • 生活習慣
  • 喫煙
  • 高血圧
  • 糖尿病

上記について詳しく解説します。

生活習慣

がんの発症には生活習慣が関わっているといわれています。運動不足や食生活の乱れによって引き起こされる生活習慣病の1つである肥満は、腎臓がんの原因とされています。脂肪細胞から生産されるアディポサイトカインという物質が、腎臓がんの発生に関わっているといわれているのです。
また、肥満は高血圧になる原因にもなります。高血圧は腎臓がんになるリスクを高めるため、肥満の解消は腎臓がんになるリスクを軽減させることにつながります。

喫煙

たばこには人体に悪影響を与える発がん物質が含まれていることは、広く知られているのではないでしょうか。たばこを吸うことで血管が傷つけられ、がんが発生します。
腎臓には細かい血管が多くあるため、たばこを吸うことによりダメージを受けやすい臓器でもあります。喫煙することは、腎臓がんの発生率を高めることになるため注意が必要です。

高血圧

高血圧は動脈効果を引き起こし、腎機能を低下させてしまいます。また、高血圧になると酸化ストレスが亢進し、遺伝子が傷つき腎臓がんが引き起こされるといわれています。
酸化ストレスとは、酸化反応によって引き起こされる生体にとって有害な作用のことです。血圧が上がることで腎臓の負担が増え、がんの発生リスクを高めることにつながります。

糖尿病

肥満の方に多い2型糖尿病は、インスリンが効きにくいインスリン抵抗性が存在しています。血糖値を下げるために、膵臓から分泌されるインスリンが必要なのですが、インスリン抵抗性があると人体は血中のインスリン濃度を高めようと働くのです。
インスリンには血糖を下げる作用がある他に、細胞を増殖させる作用もあり、高インスリン血症ががんの発生や増殖に関与していると考えられています。そのため、糖尿病の方は腎臓がんになる確率が高くなるのです。

腎臓がんの症状

腎臓がんにはどのような症状があるのでしょうか。

  • 血尿
  • 腹痛
  • 腹部腫瘤

ここでは上記3つの症状について解説します。

血尿

腎臓には細かい血管が多数あり、血圧のコントロールをしたり造血ホルモンを生成したりする役割を担っています。また、血中の老廃物を排泄するための尿をつくる働きもしています。
がん細胞により組織が破壊され、腎実質から尿路へ暴露されると腎機能が低下すると共に出血し、血尿として現れることがあるのです。血尿の原因は腎結石や膀胱結石など他の疾患にもみられますが、腎臓がんの指標として参考にできる症状でもあるため、見逃さないようにしましょう。

腹痛

がんが進行し腫瘍が大きくなると、腹痛を起こすことがあります。腎臓は腰よりも高い位置にあるため、腰部や側腹部が痛くなります。
腹痛が出るレベルはステージ3〜4で、多臓器へ転移しているレベルです。原因不明の腹痛を感じた場合、早めに医療機関を受診しましょう。

腹部腫瘤

腫瘍が大きくなってくると、体の外側から触ったときに腫瘤を感じます。痛みを伴わないこともあり、検診や人間ドックなどで医師が腹部の触診をして気付くケースもあります。
前述した血尿や腹痛と同じく、病状が進行しているときにみられる症状の1つです。腹部に違和感が生じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

腎臓がんの治療

カウンセリング
腎臓がんの治療方法には、以下の3つが挙げられます。

  • 手術
  • 薬物療法
  • 放射線療法

上記について詳しく解説します。

手術

腎臓がんの治療で第一選択されるのが、外科的手術です。腫瘍が小さいときには、腎臓の一部と腫瘍を一緒に切除する腎部分切除術が適応となります。しかし、腫瘍が発生した場所によって、腎部分切除ができないケースがあるのです。
部分切除ができない場合や腫瘍が腎臓全体に浸潤している場合は、全摘除術が行われます。腎臓やその周辺の脂肪と一緒に腫瘍を取り除く術式です。
また、部分切除術と全摘除術それぞれにおいて、腹部を大きく開ける開腹手術と内視鏡を使用した腹腔鏡下手術の二通りの術式があります。最近では、ロボット支援腎部分切除術を行っている施設もあります。
がんや患者さんの状態に合わせ、適切な方法が選択されますが、医師とよく相談して決めることも大切です。

薬物療法

薬物療法は、手術で腫瘍切除が困難な場合に選択されます。また、手術をする前に治療の効果を高めるため薬物療法を行う場合もあり、「分子標的薬」と「免疫チェックポイント阻害薬」が主に利用される薬です。
分子標的薬は、がん細胞を増殖させるたんぱく質や栄養を運ぶ血管・がんを攻撃する免疫に関わるたんぱく質などを標的にがんを攻撃する作用がある薬です。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががんを攻撃する力を保持させる作用があります。
最初に使われる薬はがん細胞の組織型やリスク分類に合わせて選択され、二次治療以降に利用する際には、患者さんやがんの状態に合わせて薬を選択します。

放射線治療

放射線療法は、手術で腫瘍を取り切れなかった場合や、骨や脳などへの転移が見つかった場合などに行われます。腎臓がんは放射線に対して感受性が低いため、根治的治療には用いられません
転移した部分のがんの進行を抑えたり、痛みを緩和させたりすることが目的で行われます。非浸潤的な治療のため、身体への負担が小さいことがメリットでもあります。

編集部まとめ

腎臓がんは腎臓に発生するがんで、初期には自覚症状が乏しい疾患です。

健康診断で偶然発見されることもあり、偶発がんともいわれています。早期の場合、手術で根治が可能で生存率を高められます。

しかし、進行してしまうと他の臓器に転移する可能性が高いため、治療が困難になる場合もあるため注意が必要です。

生存率を高めるためには早期発見・早期治療が大切です。

少しでも気になる場合は、自覚症状がなくても定期的に健康診断を受けたり、受診したりするようにしましょう。

腎臓がんと関連する病気

「腎臓がん」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

腎臓がんは他の臓器に転移する可能性が高い疾患です。また、症状が進行すると自覚症状も出てきます。腎臓がん以外の疾患が隠れている場合もあるため、気になる場合は早めに受診しましょう。

腎臓がんと関連する症状

「腎臓がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 血尿(尿に血が混じる)
  • 貧血
  • 腰痛
  • 腹部の腫瘤
  • 腹部の腫瘤
  • 食欲不振
  • 体重減少

腎臓がんは初期症状がなく、進行してくると上記のような症状を自覚することがあります。がんの進行度合いが予後を左右するため、早期発見と早期治療が非常に大切です。気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。

この記事の監修医師