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糖尿病が進行した先に待ち受ける恐ろしい合併症とは

 更新日:2023/03/27

進行すると様々な合併症を引き起こしてしまう「糖尿病」。足が腐って切断に至ったり、視力が低下して失明したりと、深刻な状態になってしまう恐れがあります。もし、糖尿病になってしまった場合、重症化や合併症を防ぐために、どのようなことが重要になるのでしょうか。今回は、「むさしの糖尿病・甲状腺内科」の田口学先生に糖尿病と合併症について解説していただきました。

田口 学医師

監修医師
田口 学(むさしの糖尿病・甲状腺内科 院長)

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岩手医科大学医学部卒業。その後、国家公務員共済組合連合会虎の門病院、東京大学医学部附属病院、国立病院機構災害医療センターで内科、糖尿病・甲状腺を中心とする内分泌疾患の治療に携わる。2019年、東京都武蔵野市に「むさしの糖尿病・甲状腺内科」を開院。これまでの経験を活かし、地域で専門的な医療を提供するクリニックづくりを心がける。医学博士。日本内分泌学会評議員、日本糖尿病学会専門医・指導医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医、日本甲状腺学会専門医。

糖尿病とは

糖尿病とは

編集部編集部

まず、糖尿病について教えてください。

田口 学医師田口先生

糖尿病は、血糖値を下げる作用のある「インスリン」というホルモンの作用不足によって、血糖値の高い状態が持続する病気です。食事をして血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌されます。通常、インスリンの働きによって血糖値が下がります。ところが、糖尿病になるとインスリンの働きが悪くなり、血糖値が高いままになってしまうのです。

編集部編集部

糖尿病にも種類があると聞いたことがあります。

田口 学医師田口先生

はい、糖尿病には1型と2型があります。1型は自己免疫疾患などが原因でインスリンを分泌する細胞自体が壊されてしまう状態です。他方、2型糖尿病は遺伝や食生活などが原因で後天的に発症します。

編集部編集部

糖尿病になると、どのような症状が出るのでしょうか?

田口 学医師田口先生

高血糖の状態が続くと、喉の渇きや排尿回数の増加などを自覚することがあります。しかし、発症初期は無症状の場合が多く、自覚症状がないという人もいらっしゃいます。また、高血糖の状態が持続して重症になってしまった場合、意識障害を引き起こすこともあります。

編集部編集部

糖尿病が進行すると、どのようなことが懸念されますか?

田口 学医師田口先生

糖尿病は神経や目、腎臓などの合併症の原因となり、様々な障害を起こします。また、心臓病や脳卒中など動脈硬化を引き起こします。

糖尿病の合併症とは

糖尿病の合併症とは

編集部編集部

糖尿病の合併症には、どのようなものがありますか?

田口 学医師田口先生

糖尿病が進行すると「糖尿病性神経障害」、「糖尿病網膜症」、「糖尿病腎症」のいわゆる3大合併症のリスクが高まります。それ以外にも、高血圧や脂質異常症を併発したり、感染症にかかりやすくなったり、動脈硬化による脳血管の疾患を引き起こしたりします。

編集部編集部

糖尿病の3大合併症について、もう少し詳しく教えてください。

田口 学医師田口先生

まず、糖尿病性神経障害ですが、手足の痺れや痛み、排尿障害、立ちくらみ、胃腸の機能低下など、全身にあらゆる症状が出ます。とくに足の異常が顕著で、感覚が鈍くなるほか、進行して重症化すると壊疽(えそ)の原因になり、最悪の場合は足を切断しなければならなくなってしまうこともあります。

編集部編集部

糖尿病網膜症についてはいかがでしょうか?

田口 学医師田口先生

糖尿病網膜症を合併すると、網膜にある毛細血管の血流が悪くなったり途絶えたりして、眼底出血や視力の低下などを引き起こします。また、進行すると失明に至ってしまう恐れがあります。

編集部編集部

最後、糖尿病腎症の説明をお願いします。

田口 学医師田口先生

糖尿病腎症は、体内の老廃物を濾過(ろか)して排出する役割がある腎臓の「糸球体」という組織が壊されてしまう状態です。糖尿病腎症を併発すると、体内に老廃物が滞り、尿中にタンパク質が漏れ出すなどの異常が生じます。糖尿病腎症が進行すると、腎臓が正常に機能しなくなる「腎不全」になり、人工透析を要する場合があります。

糖尿病の予防・治療について

糖尿病の予防・治療について

編集部編集部

糖尿病になってしまった場合、重症化や合併症を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?

田口 学医師田口先生

血糖値のコントロールが最も重要です。また、進行状況に応じて血糖値を下げる薬の内服やインスリン注射などの治療を受けるほか、日常生活でも規則正しい食生活や適度な運動などをおこなう必要があります。

編集部編集部

医療機関を受診すれば、生活習慣のアドバイスは受けられるのでしょうか?

田口 学医師田口先生

もちろんです。とくに、2型糖尿病の患者さんは生活習慣の改善が重要になるため、食事内容や運動療法の指導などをおこなっていますよ。糖尿病治療においては、食事療法がベースとして成り立っている側面もあるので、食事管理をはじめとするサポートさせていただいています。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田口 学医師田口先生

糖尿病は遺伝も要因として考えられているので、発症した家族がいらっしゃったら要注意です。また、2型糖尿病は偏った食生活や運動不足などが原因で発症します。発症初期は無症状であることも多く、血糖値のコントロールができずに進行してしまった場合、3大合併症などを引き起こしてしまいかねません。そのため、糖尿病は早期発見・早期治療、さらに言えば予防がカギになってきます。今のところは異常がなくても定期的に健康診断を受けたり、不規則な食生活や運動不足が続いているという場合は生活習慣を見直したりしましょう。

編集部まとめ

糖尿病になってしまい、血糖値のコントロールができないまま進行すると、3大合併症をはじめとする重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。糖尿病の予防には、食事や運動などの生活習慣を適正に保つことが重要とのことでした。また、重症化や合併症を防ぐためにも定期的に受診して、早期発見・早期治療に努めましょう。

医院情報

むさしの糖尿病・甲状腺内科

むさしの糖尿病・甲状腺内科
所在地 〒180-0022 東京都武蔵野市境1丁目15-10 イストワール1F101号
アクセス JR「武蔵境駅」 徒歩3分
診療科目 内科、糖尿病内科、内分泌内科

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