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「大腸がんのステージ」別の症状・余命・生存率はご存知ですか?医師が解説!

 更新日:2023/09/14
「大腸がんのステージ別」の症状・余命・生存率はご存知ですか?医師が解説!

大腸がんのステージとは?Medical DOC監修医が大腸がんのステージ別の症状・余命・生存率や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「大腸がん」とは?

大腸がんは、大腸に発生した悪性腫瘍です。粘膜にできた良性のポリープが、がん化したものと、粘膜から直接がんが発生したものの二通りがあります。

大腸がんのステージ別の症状

大腸がんは、大腸の壁のどの程度深くまでがんが入り込んでいるか(深達度)と、リンパ節に転移しているか、他の臓器(肺、肝臓、腹膜など)へ転移しているかを精密検査で調べ、ステージを決めます。

大腸がん・ステージ0の症状

一番初期のがんです。大腸壁の粘膜内にとどまっているものをいいます。ステージ0の大腸がんであれば、内視鏡治療で切除が可能です。内視鏡治療は手術治療と比較して体への負担を少なくできます。便潜血検査で陽性の場合には早めに受診し、大腸内視鏡検査をし、早期に発見することが大切です。便潜血陽性の場合には、消化器内科を受診しましょう。

大腸がん・ステージ1の症状

大腸の粘膜の下には、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層と続きます。固有筋層までにがんがとどまっているものを、ステージ1といいます。ステージ1の大腸がんでもほとんど症状がないことが多いです。ステージ1の大腸がんは浸潤の程度や、大きさ、部位を考慮し内視鏡治療を選択するか、手術治療を選択するかを決定します。

大腸がん・ステージ2の症状

ステージ2はがんが固有筋層を超えて周囲に広がっているものをいいます。ステージ2以上では手術治療を選択します。大腸がんの症状としては、血便、排便習慣の変化(便秘や下痢)、便が細くなる、貧血の進行、腹痛、嘔吐、残便感などが病状の進行とともに出現すると言われています。しかし、かなり病気が進行しても無症状なこともあります。そのため、なかなか気づかれず、病気が進行することも多いです。定期的な大腸がん検診の受診や、少しでも気になる症状があれば早めに消化器内科を受診しましょう。

大腸がん・ステージ3の症状

ステージ3とは、がんの深達度に関係なくリンパ節転移があるものです。ステージ3の大腸がんに対しては手術治療を行い、リンパ節の転移に対し、リンパ節郭清を行います。再発の可能性が高いがんでは、術後に化学療法を追加することもあります。

大腸がん・ステージ4の症状

肝臓や肺、腹膜などへ転移がみられるものをステージ4といいます。大腸のがんと転移しているがんの両方が切除可能な場合には、両方を切除します。転移したがんが多い場合や元の大腸がんの状態によって、切除することが困難な場合もあり、この時には化学療法や放射線療法などを組み合わせて治療を行います。

大腸がんのステージ別の余命・生存率

大腸がんの余命の指標として、生存率を参考にします。生存率とは、診断から一定期間後に生存している確率をいいます。大腸がんの場合、再発した患者さんは5年までに再発が分かることが多く(96.5%)、5年以降で再発する可能性は低いと報告されています。そのため、5年間再発がなければ、完治に近いと考えられます。このため、治療効果を判断する重要な指標としては、「5年生存率」を用いることが多いです。数値が大きいほど多くの方が治療により命を救える可能性が高いと言えます。
また、「生存率」の中でもがん以外の死因を除いてがんのみが死因となる場合の生存率を推計する「純生存率(ネット・サバイバル)」があり、こちらがよりがんによる生存率を正確に示していると言えます。今回の生存率はこの純生存率を示しています。

大腸がん・ステージ0の余命・生存率

大腸がんステージ0は粘膜内にとどまっているごく初期のがんです。内視鏡治療を行います。取り残しがなければ完治する可能性が高いです。

大腸がん・ステージ1の余命・生存率

ステージ1の大腸がんは、ステージ0と違い粘膜を超えて、固有筋層までに癌がとどまっているものです。
消化器内科で大腸内視鏡検査を行い、疑わしい病変を生検し、病理検査でがんであることを確認します。その後にがんの詳しい場所を調べるために注腸検査を行います。また、血液検査で腫瘍マーカーを測定、胸部・腹部CT検査にてがんの広がりなどを把握し、がんのステージを判定した上で治療方針を決めます。ステージ1のがんの中で、深さが浅いものは内視鏡的治療で切除します。同じステージ1でも浸潤が深いものでは、消化器外科で手術を行い、がんのある腸管と転移のある可能性がある範囲のリンパ節を切除します。
大腸がんステージ1の5年純生存率は92.3%と高いです。

大腸がん・ステージ2の余命・生存率

ステージ2の大腸がんは、がんが固有筋層の外まで浸潤しているが、リンパ節転移がないものと定義されています。上記のようにがんのステージを判定する検査を行った上で治療方針を決定します。消化器外科で手術を行い、がんを含む腸管と、転移の可能性がある範囲のリンパ節を郭清します。
大腸がんステージ2の5年純生存率は85.5%となっています。

大腸がん・ステージ3の余命・生存率

ステージ3の大腸がんは、がんの深達度に関わらずリンパ節の転移があったものをいいます。ステージ2と同様に消化器外科でのがんの切除およびリンパ節の郭清を行いますが、再発予防のために抗がん剤治療が勧められます。
大腸がんステージ3の5年純生存率は75.5%です。

大腸がん・ステージ4の余命・生存率

大腸がんのステージ4は、肺や肝臓などの他の臓器や腹腔内への転移があるものと定義されています。腸管のがんと転移しているがんをすべて切除できる場合には消化器外科でまず手術を行いますが、転移の数、場所、全身の状態により手術以外の化学療法や放射線療法が勧められることもあります。
大腸がんステージ4の5年純生存率は18.3%とステージ3と比較して急激に生存率が下がります。

「大腸がんのステージ」についてよくある質問

ここまで大腸がんのステージ別の症状や余命・生存率などを紹介しました。ここでは「大腸がんのステージ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんのステージ4と診断された場合、完治しますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

がんの場合には、5年生存率を一つの完治の目安として用いることが多いです。大腸がんの場合、5年を超えて再発する例は全体の0.6%と非常に少ないと言われているからです。大腸がんのステージ4は5年純生存率が18.3%となっています。このため、進行したがんであるステージ4であっても、他のステージより低率ではありますが、完治する可能性もあると言えます。しかし、5年生存率の数字の中には、がんが再発してしまった患者さんも含まれているため、完全に生存率と完治の割合が同じとは言えないため注意が必要です。

大腸がんのステージ3とステージ4の違いを教えて下さい。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

大腸がんのステージ3はリンパ節転移があるもの、ステージ4は肺、肝臓、腹腔内などの遠隔転移があるものと定義されています。

編集部まとめ

2021年の統計では、がんで死亡した人が約38万人であり、この中で大腸がんは男性で2位、女性で1位と非常に多くなっています。大腸がんは早期に発見されれば、生存率も高いがんですが、自覚症状が乏しく気が付かずに進行していることも多いです。大腸がんを見つけるためのスクリーニングとして便潜血検査を行います。便潜血検査は簡易にできる検査であり、健康診断や自治体のがん検診にも多く取り入れられています。便潜血が陽性であれば、早めに消化器内科を受診し精密検査を受けましょう。

「大腸がんのステージ」と関連する病気

「大腸がんのステージ」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

血液科の病気

婦人科の病気

大腸がんは貧血の原因を調べる際に見つかったり、腹痛や血便などの症状からわかったりすることもありますが、実際に大腸内視鏡検査を行うまでは他の病気と見分けがつきません。しかし、貧血に伴う症状、腹痛や便秘、血便など見られた時には何かしらの病気が隠れている可能性が高いため、まずは内科を受診しましょう。

「大腸がんのステージ」と関連する症状

「大腸がんのステージ」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

大腸がんは自覚症状に乏しい病気です。上記のような症状が少しでも気になれば、早めに病院へ行き相談しましょう。大腸がんは早期に発見し、治療することが非常に大切です。

この記事の監修医師