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「脳卒中」を予防する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2025/12/08
「脳卒中」を予防する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!
Medical DOC監修医が脳卒中の予防法・なりやすい人の特徴・予防する可能性の高い食べ物・発症のリスクを上げやすい食べ物などを解説します。
村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

「脳卒中」とは?

脳卒中(脳血管障害)は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳の細胞が壊れてしまう病気です。日本人の死因としても上位に位置しますが、それ以上に恐ろしいのは「寝たきり」や「要介護状態」になる最大の原因であることです。 脳卒中は大きく分けて3つのタイプがあります。 ・脳梗塞:脳の血管が詰まるタイプ ・脳出血:脳の中の細い血管が破れるタイプ ・くも膜下出血:脳の動脈瘤(こぶ)が破裂するタイプ これらはある日突然起こる事故のように見えますが、実はそうではありません。「サイレント・キラー」と呼ばれる動脈硬化が、長年の食生活や生活習慣の歪みによって静かに進行した結果、引き起こされるのです。特に「高血圧」は最大のリスク要因であり、これを管理できれば発症リスクを劇的に減らせることがわかっています。

脳卒中の予防法

高血圧の徹底管理

高血圧は血管に常に高い圧力をかけ、血管の内壁を傷つけます。血圧を適正(収縮期血圧130mmHg未満)に保つことで、血管の破綻や閉塞を防ぎます。 家庭での血圧測定を習慣化しましょう。食事では塩分摂取を控えることが基本です。まずは毎朝晩、自分の血圧を知ることからスタートしてください

禁煙

タバコは血管を収縮させ、血液をドロドロにして固まりやすくします。禁煙することで、血管のダメージを止め、食事療法の効果を最大限に生かすことができます。 「予防には タバコを止める 意志を持て」(脳卒中予防十か条)と言われる通り、どのような健康食品を摂っても喫煙を続けていれば効果は打ち消されてしまいます。直ちに禁煙外来などを利用して禁煙しましょう

不整脈(心房細動)のチェック

心臓の中に血の塊(血栓)ができ、それが脳に飛んで太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」を防ぎます。これは重症化しやすい脳梗塞です。 「脈が乱れる」「動悸がする」といった症状を見逃さないでください。日本脳卒中協会は脈のチェックを推奨しています。異常があればすぐに循環器内科を受診しましょう。

適度な運動習慣

ウォーキングなどの有酸素運動は、血管の内皮機能を改善し、血圧を下げる効果があります。1日30分以上の無理のない運動を続けましょう。激しい運動である必要はありません。継続することが血管を守る力になります

体重管理(肥満解消)

肥満(BMI 25以上)は、血圧、血糖、コレステロールのすべてを悪化させます。適正体重を保つことで、これらのリスクの連鎖を断ち切ることができます。 毎日体重を測る習慣をつけましょう。後述する「糖質の摂りすぎ」や「動物性脂肪の過剰摂取」を見直すことが近道です。

脳卒中になりやすい人の特徴

塩分を摂りすぎている人

日本人は世界的にも塩分摂取量が多い国民です。男性7.5g未満、女性6.5g未満(高血圧の人は6g未満)という目標を超えて摂取している人が多く見られます。 味の濃い料理、漬物、汁物を好む人は、血液中のナトリウム濃度が高くなり、それを薄めるために血液量が増えて血圧が上昇します。これが脳卒中の引き金になります。

多量飲酒の習慣がある人

アルコールは、かつて「適量なら良い」と言われましたが、最新のガイドラインでは「少量の飲酒でも脳梗塞や高血圧のリスクは上がる」とされています。 毎日晩酌をする、休肝日がないといった習慣は危険です。アルコールは血圧を上げるだけでなく、不整脈を誘発する原因にもなります。

閉経後の女性

女性は更年期まで女性ホルモン(エストロゲン)によって血管が守られていますが、閉経後はその守りがなくなり、動脈硬化のリスクが急上昇します。 甘い清涼飲料水を日常的に飲む女性は、脳梗塞のリスクが高いことがわかっています。また、筋肉量が少なくタンパク質不足になりがちな高齢女性は血管がもろくなりやすいため注意が必要です。

脳卒中を予防する可能性の高い食べ物

魚(特に青魚)

魚に含まれるn-3系脂肪酸(EPAやDHA)は、血液をサラサラにし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げます。日本の研究(JPHC研究)では、魚を「食べれば食べるほど」心筋梗塞のリスクが低下する傾向が示されています。 具体的な食品名は、サバ、イワシ、サンマなどの青魚です。1日1食(約180g)程度を目指すと良いでしょう。

大豆製品

大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをし、血管を拡張させて動脈硬化を防ぎます。特に閉経後の女性において、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げる効果が確認されています。 具体的な食品名は、豆腐、納豆、味噌、豆乳などです。日常的に取り入れやすい食品です。

緑茶・コーヒー

緑茶のカテキンやコーヒーのクロロゲン酸には、強い抗酸化作用があり、血管の炎症を抑えます。両方を習慣的に飲む人は、特に「脳出血」のリスクが下がることがわかっています。 具体的な食品名は、緑茶(1日2〜3杯以上)、コーヒー(1日1杯以上)。ただし砂糖たっぷりのコーヒーは避けましょう。

野菜・果物

「カリウム」が豊富に含まれています。カリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を尿として排出させ、血圧を下げる重要な働きをします。死亡リスクや心血管死リスクを低下させます。 具体的な食品名は、ホウレンソウなどの葉物野菜、バナナ、リンゴなどです。厚生労働省は「野菜1日350g」を推奨しています。

酢・香辛料・出汁(かるしお調理)

直接的な栄養素ではありませんが、これらを活用することで「減塩」をおいしく継続できます。塩味の代わりに酸味や香りで満足感を得ることで、無理なく血圧管理ができます。 具体的な食品名は、酢、レモン、すだち、シソ、ミョウガ、生姜、カレー粉、昆布やカツオの天然出汁です。

脳卒中発症のリスクを上げやすい食べ物

清涼飲料水(加糖ソフトドリンク)

液体の糖分は急激に血糖値を上げ(血糖スパイク)、血管を傷つけます。特に女性において、ほぼ毎日飲む人は脳梗塞のリスクが約1.8倍になるというデータがあります。 具体的な食品名は、コーラ、サイダー、加糖のジュースやコーヒー飲料です。100%果汁ジュースも飲み過ぎには注意が必要です。

過剰な肉類(特に男性)

肉類、特に赤肉の過剰摂取は、飽和脂肪酸の摂りすぎにつながり、動脈硬化を促進します。男性では肉の摂取量が多いほど総死亡リスクが高くなる傾向があります。 具体的な食品名は、牛や豚の脂身の多い肉、ステーキなどです。男性は魚や大豆に置き換える工夫が必要です。

加工肉

保存のために多くの塩分が使われているほか、添加物も含まれています。塩分過多と脂質の摂りすぎのダブルパンチとなりやすい食品です。 具体的な食品名はハム、ベーコン、ソーセージ、サラミなどです。

塩分の高い食品・調味料

ナトリウムの過剰摂取は高血圧に直結します。日本人の食生活では「見えない塩分」に注意が必要です。 具体的な食品名はラーメンのスープ、漬物、干物、練り物、インスタント食品です。麺類のスープは残す習慣をつけましょう。

アルコール

「酒は百薬の長」は過去の話です。少量でも血圧上昇や脳卒中のリスクとなることが世界的な研究で明らかになっています。 具体的な食品名はビール、日本酒、ワインなど種類を問わず、アルコールそのものの摂取量を減らす、あるいはゼロにすることが最良の予防です。

「脳卒中の予防と食べ物」についてよくある質問

ここまで脳卒中の予防と食べ物などを紹介しました。ここでは「脳卒中の予防と食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血管の流れを良くする食べ物について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

血管の流れを良くするためには、血管の炎症を抑え、血液が固まるのを防ぐ食品を摂ることが大切です。 まずは「青魚」です。サバやイワシに含まれるEPAやDHAは、血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにする効果が高いことが証明されています。 次に「抗酸化物質を含む食品」です。緑茶のカテキンや野菜・果物のビタミン類は、血管が酸化して硬くなるのを防ぎます。 そして忘れてはいけないのが「水分」です。どんなに良い成分を摂っても、脱水状態では血液はドロドロになります。こまめな水分補給(お水やお茶)を心がけてください。 逆に、甘いジュースや過度なアルコールは血液の粘度を高めてしまうので避けましょう。

まとめ

脳卒中は、決して運命によって決められた避けられない病気ではありません。日々の食事という「選択」の積み重ねによって、その発症を予防できる病気です。 「かるしお」などのテクニックを使い、出汁や酸味を活用して、我慢するのではなくおいしく塩分を減らしましょう。また、肉中心から魚や大豆中心へ、甘いジュースからお茶へ、極端な食事制限よりも、食べるものの質を変えることが血管を守ります。 自分の血管を知ることも重要です。血圧測定や健診を通じて、自分のリスク(高血圧や不整脈など)を把握し、早期に対処することが最大の防御です。 ある日突然襲ってくる脳卒中の発症を予防するために、ぜひ今日の食事から見直してみてください。

「脳卒中」と関連する病気

「脳卒中」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

生活習慣病の予防が脳卒中の発症予防と再発予防に重要です。運動や食事、睡眠などの普段の生活習慣の改善に取り組むようにしましょう。

「脳卒中」と関連する症状

「脳卒中」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足が動きにくい
  • 意識がわるい
  • 話しにくい
  • しびれ
  • 飲み込みにくい
これらのような症状が急に出現したら脳卒中を発症している可能性があります。脳卒中の治療は一刻を争うため、すぐに病院の救急外来を受診してください。

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