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「脳梗塞の症状」はご存知ですか?前兆となる症状・予防法も医師が解説!

 公開日:2023/09/14
「脳梗塞の症状」はご存知ですか?前兆となる症状・予防法も医師が解説!

脳梗塞の症状とは?Medical DOC監修医が脳梗塞の症状・前兆・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「脳梗塞」とは?

脳梗塞とは、脳の血管が狭くなったり、血管内に血の塊(血栓)が詰まったりすることで、詰まった部分より向こう側へ栄養となる血液を送ることができなくなり、結果として脳細胞が死んでしまう病気です。
脳梗塞の主な原因は、動脈硬化と血栓(血の塊)形成です。
動脈硬化は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、加齢現象によって、血管が硬くなって動脈の壁が厚くなった状態です。血管壁が徐々に厚くなるために、血液の通り道が狭くなってしまいます。
血栓(血の塊)は、不整脈や弁膜症などの心臓病や、長時間足を動かさないことなどによって作られます。何らかのきっかけで血栓が脳の血管の中に飛んでいくと、脳の血管が詰まる可能性があります。
脳梗塞は一度発症してしまうと、ダメージを受けた脳細胞は回復しません。そのため、速やかに治療を行うことと、発症予防および再発予防が重要です。これから詳しく解説していきます。

脳梗塞の代表的な症状

脳梗塞の症状は多彩です。ダメージを受けた部位・領域によって失われる脳機能はそれぞれ異なるからです。ここでは代表的な脳梗塞の症状を説明していきます。脳梗塞の症状は、以下のような症状を突然発症した際には、すぐに医療機関への受診をするようにしてください。

運動麻痺

運動麻痺とは、筋力が低下するために、思うように体が動かない状態のことです。
具体的には、手や腕に力が入らない、足に力が入らず歩行時に斜めに歩いたり転倒してしまう、顔の動きが悪くて顔が曲がっている、よだれが垂れてしまうなどの症状が現れます。

感覚障害

感覚障害とは、感覚が過敏であったり鈍く感じたりするような感覚神経の異常な反応が生じた状態のことです。
具体的には、全身のどこかの部位に、ピリピリとしびれた感じがする、触った感触が鈍い、体の一部が自分の体ではない感覚になるといった症状が現れます。

構音障害

いわゆる「呂律がまわらない」「呂律が悪い」ことを、医学用語で構音障害といいます。
脳梗塞による構音障害は、運動機能の問題によって口や舌がうまく動かないために起こります。例えば、口の動きが悪いと「パピプペポ」は言いづらく、舌の動きが悪いと「ラリルレロ」が言いづらくなります。このように一部の発音・発声が悪くなる場合もあれば、全ての発音が悪化する場合もあります。

嚥下障害

嚥下障害とは、食べることや飲み込むこと(嚥下;えんげ)がうまくできない状態のことです。口から食べ物や水分を摂取してそれを栄養にするという、普段行っていることが難しくなります。
嚥下障害がある場合に、普段通り食べ物を食べてしまうと、食べ物が本来通過するべき食道ではなく、隣にある気管に入ってしまい(誤嚥;ごえん)、むせ込みます。これを繰り返すことと肺炎を発症する危険性があります。
もともと嚥下障害は、加齢や喉の病気で起こりやすくなりますが、脳梗塞によっても生じます。脳梗塞は高齢者に発症しやすい病気であるため、加齢の影響だけでなく脳梗塞の影響も加わるために、リハビリを行いますが嚥下機能の回復には非常に時間がかかるという問題があります。

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、痛みや痺れがあるといったわかりやすい知覚障害や、手足や顔が動かしづらいといった運動障害の問題ではなく、さらに高いレベルで、知覚と運動を総合的にすることができなくなった状態のことです。
代表的な症状は、考えをまとめて話すことや記憶を留めておくこと、集中して取り組めなくなること、行動や感情をコントロールすることが難しくなることなどがあげられます。
そのため、運動麻痺などの症状がない場合には一見すると脳梗塞の症状がないように思われがちですが、日常生活ではさまざまな問題に直面して苦労することが多くなります。

脳梗塞の前兆となる症状

脳梗塞の前兆となる症状には、一時的な脳梗塞の症状を呈する一過性脳虚血発作(TIA)というものがあります。

一過性脳虚血発作(TIA)

一過性脳虚血発作(TIA)とは、一時的に血液が脳の一部に行きわたらずに、手足の動きが悪くなったり(運動麻痺)、言葉をうまく話せなくなったり(構音障害)、目の前が真っ暗になったりするような神経症状が現れるものの、24時間以内に改善するもののことです。
一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前兆と考えられており、これが起きるとその後に高確率で、いよいよ脳梗塞を発症してしまう危険性があります。とくに2日以内に発症しやすいと言われています。

実際には、この一時的に現れる症状の多くは数分から数十分程度で消失するため、様子を見ておこうかと油断しがちになります。しかし、早めから検査と治療を開始することで脳梗塞の発症予防につながるため、脳神経内科や脳神経外科を受診して相談してください。

すぐに病院へ行くべき「脳梗塞の症状」

ここまでは脳梗塞の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

手足の動きが悪い、顔の動きが悪い、言葉をうまく話すことができない、手足のしびれが突然出現した場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

これらのような脳梗塞の症状が、突然出現した際には、どんな症状でもすぐに医療機関を受診するようにしてください。日中に発症すると症状の変化があってわかりやすいのですが、寝ている時にも発症する可能性もあります。そのため、症状が突然起こるというのは、朝起きたらその症状に気がついたという状況でも構いません。脳梗塞を発症してから早い時間に治療を行うことで、血栓溶解療法や血栓回収術などの治療の選択肢が増えます。早期の治療によって症状が改善する可能性もあるので、ためらうことなく救急車を呼んで脳神経内科や脳神経外科のある病院を受診してください。

受診・予防の目安となる「脳梗塞の症状」のセルフチェック法

  • ・手足の麻痺症状がある場合
  • ・顔の麻痺症状がある場合
  • ・喋りづらい症状がある場合

脳梗塞を予防する方法

生活習慣病を改善させる

脳梗塞の主な原因である動脈硬化は、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病による影響が大きいため、これを予防することで脳梗塞の発症率を下げることができます。
栄養バランスの良い食事を摂取すること、定期的な運動を行うこと、睡眠時間を十分に取ることを目標に、生活習慣を見直していくことから始めるのが良いでしょう。

食事で気を付けるポイントは、食物繊維が豊富な野菜から食べ始めること、塩分を少なめにすることなどです。野菜から食べることで満腹感が得られやすく食べ過ぎを予防できるとともに、血糖値の急激な上昇を予防することもできます。塩分を控えることは高血圧の予防に効果があります。
運動で気を付けるポイントは、比較的軽い負荷の有酸素運動を継続的に行うことです。これまであまり運動習慣のない場合には、まずはウォーキングやジョギング、ストレッチなど無理なく続けられる運動量から始めましょう。

禁煙する

脳梗塞を含む動脈硬化性疾患に対する喫煙の悪影響が知られています。具体的には、喫煙者は非喫煙者に比べて、心臓病死亡リスクが 1.5〜4 倍、脳梗塞死亡リスクは2〜3 倍になると言われています。自力で禁煙を試みることが難しい場合には、禁煙外来で相談することも検討しましょう。

脳ドックを受ける

脳ドックでは、脳や脳の血管の異常を早期に発見することで、脳卒中(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血)を予防することができます。脳の血管に異常があれば、早めから予防治療を開始することが可能です。

人間ドックや定期健康診断を受ける

普段体調に問題を感じていなくても、定期的な人間ドックや健康診断を受けることは重要です。同じ生活習慣で過ごしていても、年齢とともに体の反応は変化することはあるため、若い時代の健康的なイメージをいつまでも持っているわけにはいきません。生活習慣病が見つかればその治療を行うことで脳梗塞の発症予防につながります。
勤務先で健康診断や人間ドックを行うことがない場合でも、自ら定期的に受けることを検討しましょう。

「脳梗塞の症状」についてよくある質問

ここまで脳梗塞の症状・予防法などを紹介しました。ここでは「脳梗塞の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

軽い脳梗塞の症状にはどんな症状がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

一過性脳虚血発作では、一時的に手足の運動麻痺やしびれ、構音障害などの症状が数分から数十分程度で起こり、しばらくすると消失することがあります。た
ただし、一過性脳虚血発作は脳梗塞の前触れの症状であるため、軽い症状と言っても脳梗塞と同様の治療が必要となる場合があるため注意が必要です。

脳梗塞になりやすい人の特徴と発症すると現れる症状を教えて下さい。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳梗塞を発症する可能性が高まる要素として、高齢者、生活習慣病(高血圧や脂質異常症、糖尿病など)のある人や、喫煙者、大量にお酒を飲む人、心房細動などの不整脈のある人などが挙げられます。発症すると現れる症状は、一般的な脳梗塞の症状と同様です。

編集部まとめ

脳梗塞は、何らかの理由で脳の血管が詰まることで、詰まった先にある脳細胞へ血液(栄養)が行き渡らないために脳機能が低下する病気です。脳梗塞を発症してしまうと、ダメージを受けた脳細胞の機能は回復しません。そのため、発症してしまった際には速やかに治療を行うことと、日頃から発症予防や再発予防を行うことがとても重要です。予防策で不足していることがある場合には、今からすぐにでも実行して脳梗塞の発症予防に努めてください。

「脳梗塞の症状」と関連する病気

「脳梗塞の症状」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

内科の病気

精神科・心療内科の病気

  • 解離性障害
  • 薬物中毒
  • アルコール中毒

意外に思われるかもしれませんが、内科や精神科の病気でも脳梗塞と同様の症状を呈することがあります。

「脳梗塞の症状」と関連する症状

「脳梗塞の症状」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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