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「腕がだるく力が入らない」のは「脳卒中」が原因?医師が徹底解説!

「腕がだるく力が入らない」のは「脳卒中」が原因?医師が徹底解説!

腕がだるく力が入らないのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「腕がだるく力が入らない」症状で考えられる病気と対処法

腕に負荷をかける運動や力作業を行った後などに、腕のだるさや脱力感を経験したことがあるのではないでしょうか。一時的なものであれば休憩するとすぐに回復しますが、病気の影響でこのような症状が出現している場合には、何らかの対応策が必要になることがあります。早めに病院を受診するべき疾患もあるため、注意が必要です。

腕がだるく力が入らない症状で考えられる原因と対処法

​​腕に重さを感じてだるい、思うように力が入らない症状のことを指します。このような場合、一時的な疲労、インフルエンザ、頚椎椎間板ヘルニア、橈骨神経麻痺、脳卒中などが疑われます。

インフルエンザ

インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染による気道感染症です。一般的な風邪症候群と比べて症状が重くなりやすく、高熱や全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が見られます。季節性インフルエンザは12月から3月に多く発症しますので、内科を受診して抗原キットで検査し診断してもらいましょう。治療は抗インフルエンザ薬の内服、十分な水分摂取や安静などです。周囲への感染力が強いため、外出を控えることも必要です。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の骨)の中を通る頚髄神経が椎間板によって圧迫される病気です。軽いしびれだけではなく脱力の症状が出現した際には、早めに治療を行う必要が出てきます。
橈骨神経麻痺は、手首を上にあげる動作や手指を伸ばす動作をつかさどる橈骨神経が麻痺した病態です。腕を曲げて寝るなど腕に負担がかかった状態が持続して圧迫された際などに出現します。
脳卒中は、脳の血管が詰まるか破れることで、脳組織の一部の機能が低下してしまう病気です。

腕がだるくしびれて力が入らない症状で考えられる原因と対処法

腕のしびれとともに、だるさや力が入らない症状を指します。このような場合、前述の疾患のほかに、頚椎症などが疑われます。

頚椎症

頚椎症は、頚部の背骨(頚椎)の部分で腕へ伝わる神経が圧迫されることで症状が現れます。そもそも背骨は頚部から骨盤の部分まで24個の骨(椎骨)が連なってできており、椎骨の間にクッションの役割をしている椎間板があります。椎間板は老化によって変形しますがそれに伴い椎骨や周囲の組織も変形し、神経根にダメージがあると神経根症を、脊髄神経にダメージがあると脊髄症を発症します。
神経根症では片側の首・肩・腕・手にかけての痛みやしびれ、力の入りづらさなどが現れ、脊髄症では、両側の手足のしびれ、筋力低下、排尿・排便の異常などが現れます。首や肩甲骨付近の痛み・肩こりなどの局所症状も見られます。
日頃から良い姿勢を保ち、頚椎に対する負荷が大きくならないようにすることが重要です。
治療は、症状の重症度にもよりますが、内服薬や神経ブロック、リハビリ、安静などの保存的治療を試し、症状に改善がない場合は、手術治療を考慮します。進行性に悪化する場合には早めに整形外科を受診してください。

腕がだるく力が入らなくて痛い症状で考えられる原因と対処法

腕のだるさや力が入らないことに加えて痛みがある症状を指します。このような場合、前述の疾患のほかに、胸郭出口症候群などが疑われます。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群は、首と胸の間にある通路(胸郭出口)で、首から腕にかけて走行する神経や血管が圧迫されることで、肩から手にかけのしびれやだるさ、痛みなどが出現する病気です。腕を上げる動作で肩や肩甲骨周囲、腕の痛みが生じます。手の握力低下や細かな動きが難しくなることもあります。また、腕の血行が悪化し、腕が青白くなり痛みを生じることもあります。
症状を悪化させる腕を挙げながら行う仕事や、重い物を持ち上げるような運動や労働などを避けることが重要です。
治療は、姿勢の改善やリハビリテーションなどを行います。鎮痛薬やビタミン剤の内服や装具の着用を行うこともあります。神経圧迫の原因が明らかな場合には、手術治療を考慮します。腕や手の痛み、しびれが長引く場合や、徐々に強くなっている場合には早めに整形外科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「腕がだるく力が入らない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

顔の動きがおかしい場合、うまく喋ることができない場合、足の力も入りづらい場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

腕の動きが悪いだけではなく、顔の動きが悪くてうまく喋ることができなかったり、足の力も入りづらかったりする場合などは、脳卒中(脳梗塞や脳出血)の可能性が高まります。一時的な症状でしばらくすると症状が改善する場合にも、一過性脳虚血発作という脳梗塞を発症する警告サインである病気を発症している可能性があります。このような症状がある場合には、すぐに脳神経内科・脳神経外科のある救急病院を受診してください。

受診・予防の目安となる「腕がだるく力が入らない」ときのセルフチェック法

  • ・腕がだるく力が入らない以外に思うように話すことができない場合
  • ・腕がだるく力が入らない以外に足の力も入らない場合
  • ・腕がだるく力が入らない以外に顔の動きが悪かったり、顔の感覚がおかしい場合

「腕がだるく力が入らない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「腕がだるく力が入らない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

頸肩腕症候群

頸肩腕症候群とは、頸部、肩、腕から手にかけての痛み、しびれ、筋力低下、循環障害など多彩な自覚症状を呈する病気のことです。
原因を特定することが難しいことも多いのですが、肩こりや首こり、変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症なども原因に挙げられます。
長時間のデスクワークやスマートフォンの利用などは肩や首のこりの原因となりやすいため、その作業環境を見直すことが良いでしょう。治療薬は、鎮痛薬や筋弛緩薬などが用いられますが、肩や首のストレッチやスポーツを行うことなどで筋肉の緊張をやわらげることが大事です。マッサージや温熱療法も有効です。

頚椎椎間板ヘルニア

背骨は首から骨盤の部分まで24個の骨が連なってできており、上から頚椎、胸椎、腰椎に分かれます。この中には、脳から末梢神経をつなぐ脊髄神経が通っています。
頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎(首の骨)の中を通る頚髄神経が後方にとび出した椎間板によって圧迫される病気で、30代〜50代に多く見られます。
首や肩、腕に痛みやしびれが現れたり、腕や手指の脱力が生じることがあります。足の力が入りづらくなり、尿失禁をきたすこともあるので早めに治療を行う必要があります。
椎間板の変形は、加齢が主な原因と言われますが、悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。
治療は、症状の程度などによりますが、症状の首を動かさないよう安静にすることが必要です。頸椎カラー装具を用いることもあります。鎮痛薬の投与や神経ブロック注射、運動療法なども行うこともあります。このような保存的治療で軽快しない場合や手足の筋力低下が持続したり、歩行障害や排尿障害などを伴う場合は手術治療を検討する必要があります。整形外科を受診して相談してください。

橈骨神経麻痺

橈骨神経麻痺は、手首を反らす(持ち上げる)動作や手指を伸ばす動作をつかさどる橈骨神経という腕の神経が麻痺した状態の時に見られます。
多くは神経の圧迫によって発症します。腕を曲げる、腕枕をするような腕が圧迫される姿勢で寝込むことや、骨折や深い切り傷といったケガを負った際に生じることが多いと言われています。
手指は動かすことができますが、手を持ち上げられないので手がダランと下がった状態になります(下垂手)。第2指(人差し指)と第3指(中指)の間が痺れることもあります。
多くの場合には自然回復が期待できます。麻痺が強い場合には、装具を用いて手首をややそらした状態で固定し、ビタミン剤を投薬して治療します。自然回復が期待できないか、回復が不十分である場合には、手術治療を行うこともあります。整形外科で相談することをお勧めします。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)

脳卒中とは、脳の血管が詰まる(脳梗塞)あるいは破れる(脳出血)ことで、脳組織の一部の機能が低下し、それに伴って体の働きが悪化する病気です。機能が低下した脳組織の部位によって、麻痺(筋力低下)やしびれなどの感覚障害などの症状が現れます。原因の多くは、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病による長年にわたる血管へのダメージの蓄積や不整脈などです。腕に力が入らないことをだるい感じがすると表現する方もいます。腕の筋力低下のみが脳卒中の症状になることは少なくて、片側の腕と足に力が入りづらいとか顔の動きが悪い、喋りづらいなどの他の症状も見られることが多くあります。
症状が出現した際には、すぐに脳神経内科や脳神経外科へ受診することが重要です。発症してから早めに治療することで、後遺症が軽減できる可能性があります。ためらわずに受診してください。

「腕がだるく力が入らない」ときの正しい対処法は?

重い荷物を持ったり、筋トレを行なうなどの腕への負荷がかかった後の一時的な筋肉疲労によるものであれば、冷やしたりマッサージをすることでしばらくすると回復します。
頚椎椎間板ヘルニアや頸肩腕症候群のような、首周りに痛みを抱える病気がある場合には、首や肩に負担をかけるような動作や作業を控えることや、首こりや肩こり改善のためのセルフケアも有効です。マッサージやストレッチなどで痛みやしびれが緩和される可能性があります。
これらの対応策などを行っても効果がない場合や、早めに治したい場合には、医療機関を受診して相談してください。
また、力が入らない症状が進行性に悪化していたり、うまく喋ることができないなど他の症状も併発する場合には、すぐに医療機関を受診してください。

「腕がだるく力が入らない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「腕がだるく力が入らない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腕がだるく力が入らないときは何科に行けばいいですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳神経内科、脳神経外科、整形外科で相談すると良いでしょう。

腕がだるく力が入らないのですがストレスが原因でしょうか。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

はい、その可能性もあります。病歴や診察所見などから疑われる病気がないかどうか検査を行っても原因がはっきりとしない場合に、ストレスから現れた症状であると診断されることがあります。

なぜか腕に力が入らないときの対処法はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

一時的な筋肉疲労であれば、冷やして休む、あるいはマッサージで改善するでしょう。ただし、病気による脱力症状の出現である場合には、セルフケアでは難しく、治療を進める必要性があります。

手や腕に力が入らずだるい症状と更年期には関係がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

更年期症状の一つである可能性もあります。疲れやすさや倦怠感を自覚することもあり、手や腕の力の入りづらさを訴える方もいます。症状が続く場合には医療機関で相談すると良いでしょう。

まとめ

腕のだるさや力が入らない症状の原因となる病気には、インフルエンザのような全身疾患から、脳や脊髄、末梢神経の疾患などが挙げられます。一時的な疲労では説明できないような症状があり、すぐに回復しないようであれば、早めに医療機関への受診を検討することをお勧めします。

「腕がだるく力が入らない」症状で考えられる病気

「腕がだるく力が入らない」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血)

整形外科の病気

婦人科の病気

内科の病気

  • インフルエンザ感染症

原因の多くに神経に関係する病気が考えられます。整形外科や脳神経内科、脳神経外科に相談すると良いと思います。

「腕がだるく力が入らない」に似ている症状・関連する症状

「腕がだるく力が入らない」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「腕がだるく力が入らない」症状の他にこれらの症状がある場合でも「脳卒中(脳梗塞・脳出血)」「脳腫瘍」「頚部脊柱管狭窄症」「橈骨神経麻痺」「頸肩腕症候群」「頚椎椎間板ヘルニア」「頚椎症」「胸郭出口症候群」「更年期障害」「インフルエンザ感染症」などの疾患の可能性が考えられます。思うように喋ることができない場合や足の力も入らない場合、症状がなかなか治らない場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師