「24時間心電図検査」で何がわかる?”通常の心電図との違い”や費用も医師が解説!

24時間心電図とはどんな検査?メディカルドック監修医がホルター心電図の目的や結果が出るまでの期間・3割負担の費用、注意点等を解説します。

監修医師:
大沼 善正(医師)
目次 -INDEX-
24時間心電図検査(ホルター心電図)とは?
携帯できるタイプの心電計を装着し、日常生活を送りながら24時間にわたり心電図を記録する検査です。
動悸、胸痛、胸の違和感などの症状が出たときに、心電図にどのような異常が生じているのかを確認できます。約24時間装着する検査のため、翌日に再来院する必要があります。
心電図検査の仕組みと目的
心臓では規則的に電気信号が発生し、それによって心臓の拍動が調整されています。
その電気信号を体表面から記録する検査を「心電図検査」といいます。
一般的な心電図と24時間心電図(ホルター心電図)の違い
一般的な心電図は胸部と四肢に電極を付け、数十秒から数分程度記録します。
これに対し24時間心電図(ホルター心電図)検査は、長時間記録できます。そのため、短時間ではとらえることができなかった不整脈や心臓の血流不足を疑う変化(狭心症など)を検出しやすくなります。
24時間心電図(ホルター心電図)はどんな症状がある時に行う?
動悸や脈の乱れ、胸痛、胸の締めつけられる感じ、胸の圧迫感など、胸の症状があるときや、めまい、ふらつき、失神などの症状があるときに行われます。
24時間心電図検査の流れと装着中の過ごし方
基本的にはいつも通りに過ごしていただいて問題ありませんが、いくつか注意すべき点があります。
ホルター心電図の装着から取り外しまで
24時間心電図(ホルター心電図)は外来で可能な検査です。取り外しまでの間は、自宅で普段と同じように過ごしてください。
24時間心電図検査中の注意点(入浴・家電製品など)
検査中は入浴、シャワーはお控えください。最近では防水タイプのものもあるため、検査室でご確認ください。
一部の家電製品(高周波・低周波治療機器、体脂肪計、電気毛布、ホットカーペット)から発生する微弱な電気により、心電図にノイズ(雑音)が混じり、正確な診断の妨げになる可能性があります。使用は控えるようにしましょう。携帯電話、パソコンは使用可能です。
24時間心電図の検査結果で何がわかる?
どんなときに不整脈や狭心症を疑う変化が起こっているのか、また自律神経の活動などを評価することができます。
24時間心電図で結果が出るまでの期間
心電図の結果を解析する必要があるため、結果までの期間はおよそ2週間程度となります。
24時間心電図の検査結果からわかること
検査結果からは、以下のようなことがわかります。
- 症状と心電図の関連
- 不整脈が出ているか
- 狭心症が疑われるか
- 自律神経活動の状態
24時間心電図検査の費用目安
検査の費用は1割負担の場合1750円、3割負担の場合5250円です。これに加えて診察費用などが別途加算されます。
「24時間心電図検査(ホルター心電図)」の見方と再検査が必要な結果
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
「心電図検査」の判定区分と結果の見方
結果は通常以下のような判定区分で評価されます。
- A:異常なし
- B:軽度異常
- C:要再検査・生活改善
- D:要精密検査・治療
- E:治療中
C〜Eと判定された場合には、再検査や専門医の受診が必要となります。
CやDとなる主な異常所見の例は以下の通りです。
- 洞不全症候群:洞結節の働きが低下し、脈が遅くなる(洞房ブロック、洞停止)
- 2度または3度(完全)房室ブロック:心房から心室にうまく電気が伝わらない
- 上室性不整脈:発作性上室頻拍、心房粗動、心房細動
- 心室性不整脈:心室頻拍、心室細動
- 期外収縮:通常より早いタイミングで脈が出る不整脈
- ST上昇:心筋梗塞や心筋炎などが疑われる変化
- ST低下:狭心症など心筋虚血が疑われる変化
「心電図検査」の再検査基準と内容
再検査が必要と判断された場合には、健診を受けた医療機関、またはかかりつけ医を受診します。
- どのような検査を行うのか:
- 心エコー:心臓の形や動きを確認します(3割負担:2,640円、1割負担:880円)
- トレッドミル、エルゴメータ(運動負荷心電図):運動しているときの心電図変化を調べます(3割負担:4,800円、1割負担:1,600円)
- 心臓CT:冠動脈の閉塞や狭窄の有無を調べます(3割負担:10,000~15,000円、1割負担:3,000~5,400円)
- 検査費用:上記は目安です。この他に診察料などが別途加算されます。
- どこで再検査・精密検査を依頼するのか:健診を受けた医療機関、または循環器内科のある医療機関。
- 再検査・精密検査の緊急度:胸痛や胸の圧迫感、強い動悸やめまい・失神がある場合には、速やかに受診しましょう。経過観察となった場合は医師の判断に従い、3〜12か月間隔で受診します。
- 再検査結果に応じた治療内容:頻脈性不整脈には薬物療法やカテーテルアブレーション、徐脈性不整脈にはペースメーカ植込み術、狭心症疑いには冠動脈造影検査やステント留置術などが検討されます。
「24時間心電図検査」で発見できる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「24時間心電図検査」で見つかる可能性がある病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
上室性不整脈(発作性上室頻拍、心房粗動、心房細動など)
心房や房室結節が起源で起こる不整脈で、急に脈が速くなったり、不規則になったりします。動悸、胸の不快感、息切れなどの症状を起こします。
発作の時は横になって安静にします。また、医師から指示されている薬があればその指示に従って使用します。症状が落ち着かないときや、息切れ、動悸が強い場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
病気によって対処法はさまざまに異なりますが、薬物療法やカテーテルアブレーションなどが行われます。とくに心房細動は放置すると脳梗塞のリスクが高まるため、早期に医療機関を受診し、必要に応じて抗凝固療法やカテーテルアブレーションなどの治療を行います。
心室性不整脈(心室頻拍、心室細動など)
心室が起源で起こる脈が速くなる不整脈です。
脈が速くなるため、血圧が低下し、動悸以外にもめまいやふらつき、失神などの症状を起こします。
心室頻拍や心室細動は重症化すると命に関わることがあり、失神や強い症状を伴う場合には緊急対応が必要です。救急車を要請するなど、速やかに救急外来を受診しましょう。
治療としては薬物療法やカテーテルアブレーションのほかに、植込み型除細動器が選択されることがあります。
徐脈性不整脈(洞不全症候群、房室ブロック)
脈が遅くなる不整脈です。洞結節という場所から電気が作られなくなったり、心房から心室に電気がうまく伝わらなかったりすることが原因です。症状としては、めまい、ふらつき、失神などを起こします。このような症状がある場合には、早めに循環器内科を受診しましょう。症状や重症度によってペースメーカ植込み術が必要となることがあります。
狭心症
狭心症は、冠動脈が動脈硬化で狭窄し、心臓に必要な酸素や栄養が届きにくくなることで起こる病気です。24時間心電図(ホルター心電図)検査では、狭心症そのものを確定診断するわけではありませんが、狭心症を疑う心電図変化がみられることがあります。
症状としては、胸の痛みや圧迫感、みぞおちの痛み、のど、あごや歯の痛み、左腕や左肩の痛みなどがあります。
初めての症状である場合や、短時間で改善しても繰り返す場合、胸痛が20分以上続く場合は、冠動脈が詰まりかけているサインかもしれないため、救急車を要請するなど、救急外来や循環器内科を受診しましょう。
期外収縮
本来のリズムより早いタイミングで脈が出る不整脈です。無症状のことも多いですが、脈が飛んだり、抜けたりする感じを自覚することがあります。
一時的なものであれば、多くは経過観察となります。症状が強い場合や、頻度が増加する場合には、まずはかかりつけ医を受診し、必要に応じて循環器内科を受診します。
「24時間心電図検査」を受けるときのポイントは?
ホルター心電図をつけている間も普段通りに生活をする
検査機器をつけているからといって、安静にしていると不整脈などが現れにくいことがあるため、なるべくいつも通りの生活を送るようにしましょう。
階段の上り下りや、普段行っている運動、仕事なども含め、症状が出やすい状況を避けないことも、異常を見つけるための大切なポイントです。
動悸や胸痛など症状が出たタイミングや行動を日記などに記す
症状と心電図変化との関連を確認することができ、診断に有用ですので、症状が出た時間や、そのとき何をしていたかなどを記載するとよいでしょう。
検査日は前開きの服や、ゆったりとした服装を選ぶ
前開きの服や、ゆったりとした服装の方が、装着がスムーズで電極がはがれにくいため、検査を行いやすくなります。
「24時間心電図検査」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「24時間心電図検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ホルター心電図で心臓を検査する場合、仕事を休んで入院が必要なのでしょうか?
大沼 善正(医師)
検査は外来で行うため、入院の必要はありません。ただし、検査機器を取り外すため、検査翌日に再来院していただく必要があります。
24時間心電図検査の結果はいつ分かるでしょうか?
大沼 善正(医師)
検査後に心電図の解析が必要なため、およそ1~2週間後に結果説明となります。
24時間心電図検査中に携帯電話を使ったり、電車に乗ったりしても問題ないでしょうか?
大沼 善正(医師)
携帯電話や電車を使用しても問題ありません。ただし、一部の家電製品(高周波・低周波治療機器、体脂肪計、電気毛布、ホットカーペット)から発生する微弱な電気により、心電図記録に影響を及ぼす可能性があります。使用は控えるようにしましょう。
ホルター心電図の検査中の行動記録の書き方を教えてください。
大沼 善正(医師)
細かく記載する必要はありませんが、症状(動悸、胸痛、めまいなど)が出た時刻が分かるように記載しましょう。また、その時の行動(坂道を上っていた、急いで走っていた)などが分かると、診断に役立ちます。
まとめ「24時間心電図(ホルター心電図)検査」は日常に潜む異常を見つけ出す重要な手段!
普段の心電図検査で見つからない異常が、24時間心電図(ホルター心電図)検査によって見つかることがあります。動悸などの症状があるのに病院を受診した時には治まってしまう場合や、夜間や早朝などに胸の症状がある場合には特に有用です。気になる症状がある場合にはかかりつけ医などに相談し、必要に応じて検査を行うようにしましょう。
「24時間心電図検査」に関連する病気
「24時間心電図検査」から医師が考えられる病気は6個以上あります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
24時間心電図(ホルター心電図)検査で見つかる心電図異常は多くあります。症状がある場合にはかかりつけ医や循環器内科を受診しましょう。
「24時間心電図検査」が望ましい症状
「24時間心電図検査」が望ましい症状は6個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
動悸、胸痛、めまいなどの症状が繰り返しある場合には、早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。
参考文献
- 2022年改訂版不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン(日本循環器学会/日本不整脈心電学会)
- 標準12誘導心電図検診判定マニュアル(2023年度版).人間ドック,2023; 37: 15–30.



