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「不整脈の治療法」はご存知ですか?治療薬や手術内容も医師が徹底解説!

 公開日:2023/11/10
「不整脈の治療法」はご存知ですか?治療薬や手術内容も医師が徹底解説!

不整脈の治療法とは?Medical DOC監修医が不整脈の治療法・治療薬・手術や何科へ受診すべきかなどを解説します。

小正 晃裕

監修医師
小正 晃裕(医師)

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京都大学医学部卒業。循環器内科・臨床不整脈を専門とし、これまで関西電力病院、京都大学医学部附属病院などで勤務。主にカテーテルアブレーション、不整脈デバイス診療に従事。現在は大手企業の専属産業医、複数クリニックで内科外来業務に従事しながら医療DX推進に向けて複数事業を運営中。日本内科学会認定内科医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本医師会認定産業医。

「不整脈」とは?

不整脈とは、心臓のリズムが正常とは異なる状態を指します。心臓は私たちの体にとって非常に重要な役割を果たしており、血液を全身に送り届けるポンプのような働きをしています。このポンプ機能は、普段は特定のリズムやテンポで行われており、これによって血液は適切な速さで全身に流れています。しかし、何らかの原因で心臓のリズムが乱れると、不整脈が起こります。
不整脈には、心拍が速くなる「頻脈(ひんみゃく)」、遅くなる「徐脈(じょみゃく)」、または不規則になる「心房細動(しんぼうさいどう)」など、いくつかの異なるタイプがあります。これらの状態は、心臓の電気的な活動が通常とは異なり、心臓のリズムが変わることで起こります。
不整脈は、自分で感じることができることもあり、心臓が速く打つ感じや、異常なリズムで打つ感覚を体感することがあります。しかし、全ての不整脈が症状を引き起こすわけではありません。一部の不整脈は無症状であり、特に注意が必要です。
不整脈の原因は多岐にわたり、心不全や弁膜症などの心疾患、高血圧症、喫煙、アルコールの過剰摂取、ストレス、内分泌疾患、あるいは特定の薬物の影響などがあります。不整脈は、時として危険な状態につながる可能性があり、医師の診察と適切な治療が重要となります。
この記事では、不整脈について基本的な知識を提供し、不整脈の治療法、治療薬、手術方法について詳しく解説します。不整脈を理解することで、自分自身や家族の健康を守る助けとなります。

不整脈の治療法

薬物治療

不整脈の薬物治療は、心臓のリズムを正常に戻す、またはできるだけ安定した状態にコントロールすることを目的としています。
治療には主に循環器内科を受診し、医師の診断と処方が必要です。薬物治療は通常、外来で行われますが、症状が重篤な場合には入院が必要になることもあります。
薬物の種類や用法は、不整脈の種類や患者の全体的な健康状態によって異なります。薬物治療開始後には定期的な医師のフォローアップが重要で、リハビリは通常必要ありません。

カテーテル治療(カテーテルアブレーション)

カテーテル治療(カテーテルアブレーション)は、循環器内科で行われることが多く、不整脈の原因となる心臓の異常な電気信号を修正することを目的としています。
カテーテルアブレーションでは、通常短期間の入院が必要で、手術後は数日間の入院が求められることがあります。退院後は定期的な通院が必要となり、リハビリは通常必要ありませんが、内服や受診間隔など医師の指示に沿って続けることが大切です。

外科的治療

不整脈の外科的手術は、主に心臓血管外科で行われ、重篤な不整脈や他の心臓の問題を修正することを目的としています。手術は全身麻酔で行われ、通常入院中と術後のリハビリが必要となります。
退院までの期間は手術の規模や患者の回復状況によって異なり、リハビリは心臓の機能を改善し、日常生活に戻る支援を提供します。術後の通院は、手術の成功と患者の健康状態を確認するために必要です。

デバイス治療

不整脈の種類によって、あるいは他の治療でも十分な効果が得られない時には、デバイス治療が必要となることがあります。
通常は循環器内科もしくは心臓血管外科で行われ、具体的にはペースメーカーや植込み型除細動器、さらに左心耳という血栓ができやすい場所に蓋をして血栓が飛ぶことを防ぐ左心耳閉鎖デバイスなどがあります。
いずれも入院が必要で、経過によって数日~1週間程度の入院となることが多いです。術後のリハビリは特に必要ありませんが、必要な薬剤を医師の指示通りに内服することが求められます。

不整脈の治療薬

リズムコントロール(正常な脈に戻す治療)

リズムコントロールは、心臓のリズムを正常に戻すことを目的としています。このアプローチには、主に抗不整脈薬が使用され、ピルジカイニドやフレカイニド、アミオダロンなどの薬が使用されることがあります。
これらの薬は心臓の電気活動を調整し、正常なリズムを回復させる助けとなります。
しかし、これらの薬は不整脈を悪化させるリスクもあるため、医師の指導のもとで適切な用法と用量で使用することが重要です。
用法用量は患者の状態と不整脈の種類に応じて異なり、通常は医師によって個々に決定されます。自己判断での増減や中止は症状の増悪につながることもあり、調整したい場合には必ず医師の指示を仰ぐようにしましょう。

レートコントロール(心拍数を下げる治療)

レートコントロールは、心拍数をコントロールすることを目的としています。心拍数が速過ぎる状態が続くと心臓への負担が増えて心不全のリスクが増加するため、特定の薬を使用して心拍数を減らすことができます。レートコントロールに使用される薬には、β遮断薬やCa拮抗薬などがあり、これらは心拍数を減少させて心臓の負担を減らします。
また、すぐに心拍数を下げる必要がある場合には点滴の薬もあるため、患者の状態と心拍数に応じて使用されます。これらの治療薬の用法用量は、不整脈の種類や症状の程度、そして患者の全体的な健康状態に応じて医師によって選択されます。

その他の治療薬

不整脈の原因が明らかになっている場合には、その原因に対する治療で不整脈が改善することもあります。例えば、心不全が悪化して不整脈が出ている場合にはその治療が有効であり、甲状腺機能異常が原因であればその治療が有効な場合もあります。
その他、高血圧症や心筋虚血などに対しても、原疾患への治療が不整脈を減らす方向に作用することは多いです。そのため、不整脈を認めた場合には不整脈そのものの対応も重要ですが、同じく不整脈の原因になる疾患が隠れていないか、という視点を持つことが大切になります。

不整脈の手術内容

カテーテル治療(カテーテルアブレーション)

カテーテル治療(カテーテルアブレーション)は、主に循環器内科で行われる手術です。不整脈を起こす原因となる心筋組織の一部を様々なデバイスを用いて焼灼することで、異常な電気信号を消失させて不整脈を起こらなくすることができます。
この手術は局所麻酔または全身麻酔で行われ、通常は術後のリハビリは不要です。術後は不整脈の再発が無いか確認するために定期的な外来受診が必要となり、医師の指示に沿って内服加療も組み合わせることもあります。

外科手術

不整脈に対する外科手術は主に心臓血管外科で行われます。具体的には、心房細動に対するメイズ手術やそれを修正した手術法、ならびに左心耳閉鎖や切除術、心室頻拍に対する心筋切開あるいは凍結凝固手術が行われることがあります。
通常全身麻酔の手術となり、術後は心臓リハビリを行って心機能や不整脈の問題がないことを確認してから退院となります。また、退院後は医師の指示通り定期的な受診が必要となり、日常生活においても過剰な心負荷を避けたり、内服薬をきちんと飲むことが必要です。

デバイス手術

不整脈に対するデバイス手術には、ペースメーカや植込み型除細動器、左心耳閉鎖デバイスなどがあります。どの手術が必要となるかは不整脈の種類や状態によって異なり、単独で行われることもあれば薬物治療やカテーテル治療などと組み合わせて行われることもあります。
通常循環器内科あるいは心臓血管外科にて行われ、数日から1週間程度の入院が必要となります。術後のリハビリは必要ないケースが多いですが、術後の内服や外来でのフォローが重要となるため、医師の指示に沿って定期的な通院を続けることが必要です。
また、植込み型デバイスの種類によっては術後に自動車の運転や電磁波を発する環境、機械を使用した作業に制限が出ることもあるため、医師の説明をしっかりと聞き、不明点はしっかりと確認するようにしましょう。

「不整脈の治療」についてよくある質問

ここまで不整脈の治療などを紹介しました。ここでは「不整脈の治療」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

不整脈の治療や手術費用はどれくらいでしょうか?

小正 晃裕小正 晃裕 医師

不整脈の治療や手術費用については、治療の種類や手術の方法、治療を受ける施設や保険の適用範囲など多くの要因によって異なります。薬物治療の場合には定期的な診察や通院にかかる費用+治療薬代が必要となります。
手術についても手術の内容により費用は大きく異なりますが、一般的には入院+手術となると数十万円~数百万円かかることが多くなります。しかし、全て自己負担となるわけではなく、高額療養費精度を利用することで各自の収入に応じて自己負担額の上限が決まります。(詳細については全国健康保険協会のサイトも参照下さい)また、生命保険や医療保険に加入していれば各種給付金を受け取ることも可能です。

不整脈のカテーテル治療について教えてください。

小正 晃裕小正 晃裕 医師

不整脈のカテーテル治療では、血管を通して心臓内に導入された特殊なカテーテルを用いて不整脈の原因となる異常な電気信号を発生させる心筋組織を熱や冷却などのエネルギーを用いて破壊または修正します。これにより、正常な心臓のリズムを回復させることができます。
不整脈の種類により治療の内容や成功率は異なりますが、適切なケースではカテーテル治療により正常な心臓のリズムを取り戻し、生活の質を向上させることが可能です。無症状でも不整脈を指摘されたり、不整脈による自覚症状がつらい時には早めに医療機関を受診して治療について医師と相談するようにしてください。

編集部まとめ

不整脈には多くの種類があり、それぞれ原因や治療法も異なります。症状も各個人によって様々で、薬物治療が有効なものもあれば、カテーテル治療が望ましいもの、デバイス治療が必要なものまで様々です。しかし多くの場合は適切な治療を受けることで正常なリズムを取り戻したり、症状を軽減させることが可能です。
不整脈の適切な管理および治療のためには専門医の診断を早期に受けるほうが望ましく、不整脈を指摘されたり動悸や息切れ、胸痛など不整脈の可能性がある症状を認めた場合には循環器内科を受診して、精密検査を受けるようにしましょう。

「不整脈の治療」と関連する病気

「不整脈の治療」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

内分泌科の病気

不整脈の治療と関連する病気は上記のように心臓の病気だけでも複数あり、心臓以外が原因のこともあります。この判断には専門的な知識が求められますので、不整脈による症状が続く場合は循環器内科などの専門科を受診してください。

「不整脈の治療」と関連する症状

「不整脈の治療」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

不整脈が原因となる症状としては上記のものが挙げられます。一つでも気になる症状が見られる場合には一度医療機関を受診するようにしてください。

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