「トマトジュース」を飲み続けると「血圧」は下がるのか?注意点も医師が解説!

トマトジュースを飲むと血圧が下がるのは本当?メディカルドック監修医が、高血圧への効果や摂取のタイミング・相乗効果等を解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
トマトジュースは血圧に効果がある?
トマトジュースは血圧を下げる作用があるという報告があります。トマトジュースの降圧作用がある成分は1つではなく、作用機序も異なります。今回はトマトジュースによる降圧作用に焦点をあてて解説をしていきましょう。
まず、トマトジュースを飲むだけで高血圧を改善することは難しいです。そのため、トマトジュースは血圧コントロールの補助として摂取することをおすすめします。
血圧コントロールの基本である生活習慣の改善を合わせて行いましょう。
トマトやリコピンにはどんな健康効果がある?
トマトはリコピンやベータカロチン、ビタミンEなどを含みます。これらには抗酸化作用があり、動脈硬化の進行を抑制するといわれています。
その中でも特にリコピンの健康効果に関する報告は多いです。リコピンは降圧効果やLDLコレステロールの酸化を阻害し、心血管疾患の予防に関与するという報告があります。
他にも健康効果があるといわれている栄養素が、アミノ酸のGABAです。GABAは降圧効果や精神安定の作用があるといわれています。
また、余分なナトリウムを排泄することなどによる、降圧作用があるカリウムも多く含みます。
トマトジュースは血圧を下げる効果がある?
トマトジュースは血圧を下げる効果が期待できます。トマトジュースに含まれるアミノ酸の一種であるGABAは降圧作用があると報告されています。
また、生のトマトに含まれるリコピンはそのままでは吸収されにくいです。トマトジュースなどに加工することで、リコピンが吸収されやすい形に変わるといわれています。
トマトジュースと他の血圧に効果がある飲み物との違いは?
降圧効果が期待できるといわれている成分の数が、トマトジュースと他の飲み物の違いです。
トマトジュースに含まれるリコピンやGABA、カリウムなど多くの成分に降圧作用があると報告されています。トマトジュースの他に降圧効果がある飲み物として、お茶が挙げられます。お茶はカテキン、コーヒーはクロロゲン酸など、ポリフェノールが降圧作用のある成分だといわれています。
トマトジュースを1ヶ月毎日飲み続けると高血圧に効果が出る?
トマトジュースの降圧効果の発現時期は人によって異なります。
研究報告では、数週間から数ヶ月で降圧効果が確認されています。人によっては効果を1ヶ月で実感する可能性もあるでしょう。トマトジュースの種類によっては食塩を含むものがあります。塩分を多く摂ると、血圧を上げてしまうことにもなりかねません。食塩の過剰摂取にならないよう適量にしましょう。また、糖分を含みカロリーもあるため過剰に摂取することでの血糖値上昇など、血圧以外での悪影響の可能性もあります。あくまで補助的な役割と考え、過剰摂取とならないように気をつけましょう。
高血圧でトマトジュースが向いている人・向かない人の特徴とは?
トマトジュースを飲み続けるのに向いている人の特徴は、トマトジュースの味を好む人です。また、トマトジュースはスーパーやコンビニでも購入しやすいため、手軽に摂取したい人にも向いています。
トマトジュースを飲み続けるのに向かない人の特徴は、高カリウム血症を起こすおそれがある人です。トマトジュースはカリウムを多く含みます。腎不全があり、カリウム制限が必要な場合や、カリウム保持性利尿薬やACE阻害薬を服用している人では、高カリウム血症を起こす場合があります。また、血糖値が高めの方なども気を付ける必要があります。
血圧を下げたいとき、トマトジュースはいつ飲むのが良い?
トマトジュースはいつ飲むのが良いか、飲むのに適したタイミングについて以下で説明します。
朝にトマトジュースを飲む
朝にトマトジュースを飲むと、昼や夜に飲むのと比べて、リコピンの吸収率が高まるという報告があります。リコピンの吸収率を高めるには、朝の摂取がおすすめです。
食事中にトマトジュースを飲む
トマトジュースにはカリウムが多く含まれます。カリウムは、ナトリウムを排出をする作用があります。
食事中にトマトジュースを飲むと、食事で過剰に摂取したナトリウムを排出し、降圧効果が期待できるでしょう。
就寝前にトマトジュースを飲む
高血圧の原因はいろいろあるといわれています。ストレスや睡眠不足は高血圧のリスク因子です。トマトジュースに含まれるGABAは降圧作用の他にも、リラックス効果があると報告されています。また眠れない症状の改善効果があるといわれています。
GABAの血中濃度のピークは、個人差がありますが、摂取後30分〜1時間です。トマトジュースを寝る前の30分〜1時間前に摂取するとリラックス効果が期待できるでしょう。
トマトジュースはそれほどカロリーが多くないとはいえ、就寝前にジュースを飲むことがカロリー過多につながることもあるため気をつけましょう。
高血圧の人がトマトジュースと一緒に摂ると相乗効果がある食品は?
高血圧の人がトマトジュースと一緒に摂ると、相乗効果がある食品は食酢や油です。食酢は降圧効果が期待できる食品で、油はリコピンの吸収率を上げるためです。
トマトジュースにリンゴ酢
リンゴ酢などの食酢に含まれる酪酸は体内で代謝されるとアデノシンという物質になります。アデノシンには血管拡張作用があり、降圧作用があると報告されています。
トマトジュースに含まれる降圧効果があるといわれる成分とは異なるため、一緒に摂ることで降圧の相乗効果が期待できるでしょう。
リンゴ酢などの食酢を空腹時に飲むと、刺激を強く感じる場合があります。空腹時を避けて飲むようにしましょう。
また、トマトジュースにはカロリーがあります。適量の摂取にして、カロリーオーバーにならないようにしましょう。
トマトジュースにオリーブオイル
トマトジュースに含まれるリコピンは脂溶性です。オリーブオイルと一緒に摂ることで吸収が高まるという報告があります。
トマトジュースにオリーブオイルを入れて飲む際の注意点は、トマトジュースもオリーブオイルもカロリーが高い食品です。適量の摂取にして、カロリーオーバーにならないようにしましょう。
「血圧」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「血圧」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高血圧
高血圧とは慢性的に血圧が高い状態です。
食塩摂取過剰や肥満・過剰飲酒・運動不足・ストレス・喫煙などが原因です。
高血圧は動脈硬化を進行させるリスク因子になり、脳卒中や虚血性心疾患・腎硬化症などを発症するリスクが高まります。
高血圧の基本的な治療は食事や運動など、生活の改善です。日本人は食塩摂取量が多いため、減塩食にすることで得られる降圧効果は大きいと考えられます。また、生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合には、薬物療法を行います。測定した血圧が繰り返し高い場合や、健康診断で高血圧を指摘された場合は早めに内科を受診しましょう。
低血圧
低血圧とは一般的に、血圧が正常範囲より低い状態のことです。
高血圧と違い、低血圧には明確な国際基準はありませんが、収縮期血圧が100mmHg未満、拡張期血圧が60mmHgを低血圧とされる場合が多いです。
低血圧では、めまいや立ちくらみ、疲れやすい、頭痛、腹痛など、さまざまな症状がみられます。低血圧の原因は、失血や脱水、薬剤、自律神経障害によって生じる場合など、さまざまです。また、原因となる疾患がなく、低血圧を生じる場合があり、低血圧の9割が該当するといわれています。低血圧であることが、体調や生活に支障がなければ治療する必要はないといわれています。低血圧予防のための注意点は、バランスのよい食事や十分な水分摂取、運動などで筋肉を鍛えるなど生活の改善をすることです。
血圧が低く、めまいや立ちくらみ、疲労感、頭痛、腹痛などの症状が続き、生活に支障をきたす場合は内科を受診しましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓に血液が十分に届かなくなることにより、心臓の細胞の壊死が起こる病気です。動脈硬化などで心臓の血管がつまることが原因となり、発症します。発症後の治療は、血栓を薬で溶かしたり、手術で血管を広げたり、新しい血管を作る手術をすることなどです。心筋梗塞の発症を予防するためには、高血圧などの生活習慣病の改善や、必要に応じて薬物療法を行います。
突然起こる激しい胸痛や胸部の圧迫感、吐き気、呼吸困難などの心筋梗塞を疑う症状の場合は早急に救急要請をしましょう。
狭心症
狭心症とは、心筋梗塞の前段階の状態です。心臓の血管が狭くなり、心筋への血液の供給が不足することで起こります。生活習慣病や喫煙などによって動脈硬化が進行し、血管の狭窄が起こることなどが発症の原因になります。発症後の治療法は薬物療法、カテーテル治療や手術などです。狭心症の発症を予防するためには、高血圧など生活習慣病の改善や適度な運動などです。必要に応じて薬物療法を行います。胸の痛みや圧迫感などの症状が現れ、15〜30分以内に症状がおさまっても再度症状が出現する可能性があります。速やかに循環器科を受診しましょう。
脳出血
脳出血とは、脳の血管が破れて出血する病気で、脳卒中の1つです。脳出血発症の主な原因は高血圧です。発症後の治療は、薬物療法や手術を行います。
脳卒中の予防には血圧の管理が重要です。そのためには、減塩や肥満の解消、禁煙、節酒、適度な運動など生活習慣の改善を行うことが大切です。脳出血の症状は、出血した場所により異なります。突然起こる激しい頭痛、半身のまひやしびれ、言語の麻痺、立てない、視覚障害などの症状が現れた場合は早急に救急要請をしましょう。
くも膜下出血
くも膜下出血とは脳卒中の1つで、主に脳動脈瘤が破れることが原因で発症します。クモ膜下出血の発症は、脳動脈瘤が主な原因です。また、この動脈瘤が破れるのは、高血圧や喫煙、過剰飲酒などが影響しています。発症後の治療は薬物療法や手術を行います。クモ膜下出血の予防には、動脈瘤に対するカテーテルや手術などの治療を行います。その上で減塩や禁煙、節酒など生活習慣の改善が大切です。突然起こる激しい頭痛や意識障害などの症状が現れた場合は早急に救急要請をしましょう。
腎不全
腎臓の機能の低下とは、糸球体濾過量が60ml/min/1.73m2未満を指します。さらに腎臓の機能が低下すると、浮腫や夜間尿、頻尿、倦怠感などさまざまな症状が出ます。腎不全とは明確な基準はありませんが、腎臓の機能が正常のおおよそ30%以下に低下した状態を言うことが多いです。
腎不全の原因はさまざまですが、多くは高血圧や糖尿病などの生活習慣病が関連しているといわれています。腎臓の機能は、一度失うと元の状態には戻りにくいです。いかに腎機能の低下を抑制するかが重要になります。腎不全の治療は原因により異なりますが、並行して食事療法を行うことが非常に大切です。また、減塩はどの病期でも共通して必要です。そのほかに、カロリーやタンパク質の必要量に関しては腎機能の状態により変わります。高血圧や糖尿病、腎炎などを合併している場合は、その治療も併せて行います。
健康診断で腎機能の低下を指摘されたり、むくみや夜間尿、倦怠感などの症状が現れたらすみやかに腎臓内科を受診しましょう。
高血圧の治療はトマトジュースだけに頼らず総合的に
高血圧の改善が飲み物だけでは限界がある理由
トマトジュースには降圧効果があるといわれていますが、作用が強いわけではないため飲み物だけでは改善に限界があります。
高血圧対策は医師の指導のもと、減塩・運動・体重管理を同時に行っていきましょう
高血圧対策は、医師の指導のもとに行うことで、個人の状態に合わせて安全な治療計画が立てられます。高血圧のリスク因子といわれている、食塩の過剰摂取や運動不足、過体重などの改善を行うことで降圧効果が増強すると考えられます。
「トマトジュースと血圧」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「トマトジュースと血圧」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
トマトジュースを飲むと血圧にどのような効果がありますか
メディカルドック監修医
トマトジュースにはリコピンやGABA、カリウムが含まれ、これらは血圧を下げる作用があるといわれています。
高血圧が気になるとき、トマトジュースは毎日飲んでも大丈夫でしょうか
メディカルドック監修医
トマトジュースを飲むことで、降圧効果を期待できます。食塩の過剰摂取を避けるため、食塩無添加のトマトジュースを選ぶことをおすすめします。しかし、血糖値が上昇したり、カリウムを含むため腎不全があるとトマトジュースを飲まない方が良いこともあります。過剰な摂取はあまり勧められません。まずは、主治医に確認をしましょう。
トマトジュースはいつ飲むとより効果が出やすいですか
メディカルドック監修医
トマトジュースを飲むタイミングは、リコピンの吸収率が高まる朝の摂取がおすすめです。
低血圧の人が毎朝トマトジュースを飲むのはNGでしょうか?
メディカルドック監修医
トマトジュースは、高めの血圧を正常化させる作用があり、正常血圧者の血圧には影響しないという報告があります。低血圧の人がトマトジュースを飲んでも基本的には問題がないと考えられます。
まとめ トマトジュースは血圧に好影響を与える可能性があります!
トマトジュースは降圧作用がある飲み物であるといわれています。しかし、トマトジュースを飲むだけで血圧をコントロールするには限界があります。高血圧の原因となる、食塩の過剰摂取や過剰飲酒・過体重・運動不足など、食事や運動などの生活習慣の改善を行うことが必要です。トマトジュースは手軽に手に入れやすく、食生活にとり入れやすい飲み物です。
しかし、トマトジュースは糖質を含み、カロリーがあります。特に液体で吸収が良いため血糖値が高くなったり、中性脂肪が高くなったりすることもあります。そのため、過剰にトマトジュースをとりすぎることは勧められません。
血圧の治療のメインではなく、補助的な役割としての摂取をおすすめします。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
腎臓系
呼吸器系
眼科
一言:血圧が高くなる原因は、生活習慣・遺伝・加齢などさまざまあります。高血圧が続くと動脈硬化の進行や心疾患や腎臓病などの合併症を招くリスク因子になります。血圧が高くても症状は現れないことが多いです。高血圧が続く場合は、症状がないからと放置せずに、はやめに医療機関を受診しましょう。
「血圧」の異常で考えられる症状
「血圧」から医師が考えられる症状は3個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
一言:血圧が高くても症状は現れないことが多いです。低血圧はめまいや倦怠感などの症状が現れる場合があります。これらの症状は他の病気でも起こるため、定期的な血圧測定がおすすめです。
参考文献
- トマトのアミノ酸について 高田式久 日本家政学会誌Vol.63 No.11 745〜749(2012)
- Unsalted tomato juice intake improves blood pressure and serum low-density lipoprotein cholesterol level in local Japanese residents at risk of cardiovascular disease. Food Sci Nutr. 2019 May 15;7(7):2271-2279.
- 降圧効果を持つ機能性食品の薬理作用〜血圧コントロールが期待される食品〜.日薬理誌.2015;146:33−39.p35-36




