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高血圧性網膜症/網膜動脈硬化症の症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

高血圧性網膜症/網膜動脈硬化症(読み方:こうけつあつせいもうまくしょう、もうまくどうみゃくこうかしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
川久保 洋 医師 川久保眼科 院長

高血圧性網膜症/網膜動脈硬化症とは

高血圧網膜症は,高血圧に起因する網膜血管の損傷である。徴候は通常,疾患後期に出現する。眼底検査で細動脈の狭小化,網膜血管狭窄(arteriovenous nicking),血管壁の変化,火炎状出血,綿花様白斑,黄色の硬性白斑,および視神経乳頭浮腫を認める。治療では血圧のコントロールを目指し,視力障害が現れたときは,網膜を治療する

引用:MSDマニュアル プロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/17-眼疾患/網膜疾患/高血圧網膜症

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
高血圧性網膜症は、高血圧眼底所見、網膜細動脈の変化(狭細、口径不同、血柱反射の増強、交叉現象)に加えて、さらに網膜(出血や白斑、浮腫、混濁等)や視神経(視乳頭浮腫等)に病変が出た場合をいいます。

高血圧性網膜症/網膜動脈硬化症の症状

本人の自覚症状はほとんど無く、目にはなんの異常も感じないことが多いのですが、眼底検査をすると高血圧の程度にしたがって、様々な変化がみられます。
高血圧性眼底で、もっともよくみられる変化は、網膜の動脈の所々が細くなったり、あるいは全体に細くなったりします。病状がさらに進むと網膜の出血や、白い斑点、むくみなどが現れます。きわめて悪化した場合には、視神経乳頭に浮腫を生じます。

引用:田村眼科
http://www.meisha.or.jp/infomation/hypertensiveretinopathy

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
通常、症状は強くありませんが、出血の状況によって視曚(ぼやけて見える)を訴えます。さらに黄斑部(網膜の中心)に出血または浮腫が及ぶと視力障害が起こります。

高血圧性網膜症/網膜動脈硬化症の原因

軽度の高血圧であっても、長い間治療しないでいると網膜の血管が損傷を受けます。高血圧によって網膜の毛細血管が損傷を受けると、血管の壁が厚くなり、そのため血管の内径が狭くなって、網膜への血液の供給が悪くなります。網膜のうち血液の供給が不足した部分だけに、小さな島状に損傷が生じることがあります。高血圧網膜症が進行すると網膜の中に血液がにじみ出ることがあり、このような状態になると視力は徐々に低下します。特に網膜の中心部にある黄斑でこれが起こると、視力の低下が進みます。

引用:西可児眼科クリニック
http://www.nishikani-ganka.com/k-kouketuatu.html

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
主な原因を以下に示します。
1 本態性高血圧症
多くの場合、本態性高血圧症のみで高血圧性網膜症の発症はほとんどありません。
2 慢性及び急性腎炎
3 妊娠中毒症
4 原発性アルドステロン症
5 褐色細胞腫
2~5の二次的高血圧症による発症が多いと言われています。
症状がないこともあり、人間ドックなど検診で、偶然見つかることが多いです。

高血圧性網膜症/網膜動脈硬化症の治療方法

血圧を下げることで血管の状態は元に戻ります。動脈硬化がある場合には、交感神経抑制薬(心臓の収縮機能を抑える薬)で、血管の負担を軽減します。

高血圧性網膜症が進行し、網膜に虚血部位や新生血管が生じた増殖網膜症には、新生血管発生の抑制、硝子体出血の予防を目的に、レーザー光凝固術を施します。さらに、硝子体出血や網膜剥離が起きてしまった場合には、硝子体手術により硝子体の透明化、網膜の剥離部分の復位を行い、視力の回復をめざします。

引用:田村眼科
http://www.meisha.or.jp/infomation/hypertensiveretinopathy

川久保 洋 医師 川久保眼科 院長ドクターの解説
治療方法は原因疾患によって異なります。多くの場合は、原因疾患の治療によって眼底の病変が改善することが多いです。本態性高血圧症の原因では血圧の改善で、慢性及び急性腎炎では薬剤や透析で、原発性アルドステロン症では手術や薬剤で、褐色細胞腫では手術で、妊娠中毒症では妊娠が終わって血圧がコントロールできるようになることで、いずれも良くなります。

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