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「朝の血圧が高い」原因はご存知ですか?朝の血圧が高いと現れる症状も医師が解説!

 公開日:2025/03/29
「朝の血圧が高い」原因はご存知ですか?朝の血圧が高いと現れる症状も医師が解説!

朝の血圧が高い原因とは?Medical DOC監修医が朝の血圧が高いと現れる症状・夜の方が高い原因・対処法や予防法などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血圧とは?

血圧とは、血液が流れる時に血管の壁にかかる圧力のことで、以下の2種類があります。

l 収縮期血圧(最高血圧):心臓が収縮して血液を送り出す際の圧力
l 拡張期血圧(最低血圧):心臓が拡張して血液が戻る際の圧力

血圧の高さを決める要因は、「血液の量(心臓がどれだけ血液を送り出すか)」と「血管のしなやかさ(血液の流れやすさ)」などです。腎臓や神経系など多くの要因が、血圧の高さに関係します。

また、血圧は測定する場所によって、以下の2種類にも分けられます。

l 家庭血圧:毎日同じ時間に家庭で測る血圧
l 診察室血圧:受診する際、診察室で測る血圧

通常、家庭血圧よりも診察室血圧の方が高くなります。

朝の血圧が高い原因

血圧は常に変動しており、通常は朝の目覚めと共に上昇して夜間や睡眠中は低くなります。
しかし、何らかの原因によって、朝の血圧が高くなるケースがあります。
ここからは、朝の血圧が高くなる原因を解説します。

早朝高血圧

「早朝高血圧」とは、診察室血圧が140/90mmHg未満の場合で、早朝に計測した家庭血圧の平均値が135/85mmHg以上の場合を指します。
早朝高血圧を放置すると、臓器に負担がかかったり脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などのリスクを高めたりするため、治療が必要です。
受診する医療機関は、かかりつけの内科もしくは循環器内科です。朝の血圧が高い日が続いたり、起きた時の頭痛やふらつきが続いたりする場合は、早めの受診を検討するとよいでしょう。

夜間高血圧

夜間高血圧とは、夜間血圧(眠っているときの血圧)の平均が120/70mmHg以上になる状態です。
夜に上がった血圧が朝まで下がらずに持続すると、朝の血圧が高くなるケースがあります。
夜間高血圧を放置すると、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などのリスクが上昇したり、認知機能・身体機能の低下につながったりするおそれがあります。
朝の血圧が高い日が続いたり、朝起きた時に頭痛やふらつきが出たりする場合は、早めにかかりつけの内科や循環器科を受診しましょう。

睡眠不足やストレス

睡眠不足やストレスによっても、朝の血圧が上がる可能性があります。睡眠不足やストレスは自律神経を乱し、血圧コントロールを悪化させるリスクも考えられます。
「夜眠れない」「イライラする日が続いている」などがある場合は、かかりつけ医または心療内科へ相談しましょう。

薬の効果が切れかかっている

血圧の薬を朝に服用している場合、朝起きてすぐは薬の効果が切れかかっている可能性があります。
ただし薬の種類によって作用する時間や強さは異なるため、自己判断で薬の服用タイミングや種類を変えてはいけません。
朝の血圧が高めの日が続く場合、測定した血圧の記録を次回の受診時にかかりつけ医へ見せて相談するとよいでしょう。
ただし、血圧上昇による頭痛やふらつきなどがある場合は、受診日を待たず、早めにかかりつけの内科や循環器科へ相談しましょう。

朝よりも夜の血圧が高い原因

通常の人の場合、自律神経のはたらきにより夜間血圧は活動している昼間よりも10〜20%低下するといわれています。しかし、何らかの原因によって夜の血圧が高くなるケースもあります。

夜間高血圧

「夜間高血圧」とは、睡眠中の血圧の平均が120/70mmHg以上になる状態を指します。高齢者や糖尿病、慢性腎臓病や睡眠時無呼吸症候群などがある方は、夜間高血圧になりやすいといわれています。
毎日の血圧を正しく測り、血圧の高い日が続く場合は早めにかかりつけの内科もしくは循環器科を受診しましょう。

自律神経の異常

自律神経は、呼吸・体温・血圧などを調整する働きがあります。この自律神経のバランスが乱れると、夜間の血圧が正常に下がらず、高血圧の状態が続くことがあります。
夜の血圧が高い日が続く、ふらつきや立ちくらみが出るなどの場合はかかりつけの内科や循環器科へ受診しましょう。

朝の血圧が高いと現れる症状

朝の血圧が高い場合、血圧を測らなくても体調に異変を感じる場合があります。気になる症状がないか、チェックしてみてください。
なお、受診する際は家庭で測定した血圧の結果を持参すると、より正確性の高い診察が可能です。

頭痛

血圧が高いと、頭痛が出るケースがあります。血圧が高く、朝に飲む血圧の薬をまだ飲んでいない場合は、指示された量の薬を飲んで安静にしましょう。
その後、かかりつけの内科や循環器科へ受診します。ただし、息苦しさやしびれなどをともなうひどい頭痛の場合は、早急な受診が必要な場合があります。救急車の利用も検討してください。

めまい・ふらつき

朝の血圧が高いと、起き上がる時にふらついたり、目の前が暗くなったりすることがあります。
まずは安静にして、いつもの朝の薬を服用しましょう。落ち着いた場合は、かかりつけの内科や循環器科へ受診してください。
ただし、起き上がれないほどの強いめまいやふらつき、息苦しさなどがある場合は、脳や心臓の病気の可能性もあるため早急な受診が必要です。救急車の利用も検討しましょう。

朝のだるさ・疲労感

夜間の血圧が十分に下がらずに睡眠の質が悪くなると、朝起きたときに「疲れが取れていない」「だるい」などと感じる場合があります。原因としては、自律神経の乱れや睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。
だるさや疲労感が続く場合は、かかりつけの内科や循環器科を受診しましょう。

動悸・息切れ

血圧が高い状態が続くと心臓に負担がかかり、動悸や息切れが出やすくなります。寝ている間や朝の血圧が高いと、心臓への負担がかかりやすく、心不全や心筋梗塞のリスクが高まることも分かっています。
朝の血圧が高い場合は、安静にして、いつもの朝の薬を服用しましょう。
薬を飲んで落ち着く場合は、かかりつけの内科や循環器科を受診します。しかし、胸の痛みをともなう強い動悸や、呼吸の苦しさが出るほどの息切れの場合は、救急車を呼ぶことも検討してください。

「朝の血圧が高い」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「朝の血圧が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

本態性高血圧(一次性高血圧)

血圧のコントロールが安定していないと、朝の血圧が高くなるケースがあります。
本態性高血圧とは、特定の疾患によるものではなく、生活習慣や遺伝的要因が関与すると考えられる高血圧です。高血圧の約90%を占めるといわれており、過剰な塩分摂取やストレス、生活習慣の乱れなどが関わるとされています。

受診先は、かかりつけの内科や循環器科です。今まで落ち着いていたのに、朝の血圧が上がるようになった場合は早めに受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群

眠っているときに何度も呼吸が止まったり浅くなったりして、血液中の酸素が足りなくなる病気「睡眠時無呼吸症候群」[友駒5] によって夜の血圧も上がり、結果として朝の血圧が高く[友駒6] なるケースがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、肥満の場合はダイエット、何かの病気が原因の場合はその病気の治療などです。また、CPAPというマスクを睡眠中につけて呼吸をラクにする治療法も一般的です。
ご家族から「いびきがすごい」「寝ている間に呼吸が止まっていた」と言われた、昼間の強い眠気があるなどの方は、かかりつけの内科や呼吸器内科、耳鼻咽喉科などを受診しましょう。

内分泌性高血圧(二次性高血圧)

高血圧には、特定の病気が原因となって起こる「二次性高血圧」というタイプがあります。
そのなかでも原発性アルドステロン症をはじめとする内分泌系の病気を原因とする高血圧(内分泌性高血圧)も、夜の血圧が下がりにくくなり、朝の血圧が高くなりやすいです。
原発性アルドステロン症の原因は、「副腎にできた腫瘍」と、「左右の副腎から過剰に分泌されるアルドステロン」の2種類です。
腫瘍が原因の場合は手術療法、アルドステロンの過剰分泌の場合は薬物療法をおこないます。
自覚症状は高血圧のみのケースが多く、自分で原発性アルドステロン症を疑うのは困難です。基本的にはかかりつけの内科を受診し、必要に応じて内分泌内科を紹介されることになるでしょう。

朝の血圧が高い時の対処法

朝の血圧が高い時は、以下の方法を試してみましょう。

安静にする

朝の血圧が高くても、少し安静にしていると落ち着くケースがあります。深呼吸をしてリラックスをする、横になって安静にするなどを試してみましょう。

しかし、時間が経っても体調が改善しない、毎朝血圧が高くて体調が悪いなどの場合は速やかに主治医や循環器内科を受診してください。

主治医を受診する

朝の血圧が高い日が続く場合は、早めに主治医を受診しましょう。

受診の際は、毎朝の血圧の数値を測定した時間や体調の変化(頭痛・めまいの有無など)メモしておくと診察の参考になります。病院や薬局で配布している「血圧手帳」を上手に活用してみてください。

救急車を呼ぶ

血圧の高さに加えて、強い頭痛や胸の痛み、意識がはっきりしないなどがある場合は早急な受診が必要です。直ちに救急車を呼び、設備の整った医療機関での治療を受けましょう。

朝の血圧上昇を予防する方法

朝の血圧上昇を予防する方法を紹介します。

朝の温度差を少なくする

暖かい場所から寒い場所へ移動すると、血管が収縮して血圧が急激に上がりやすくなります。とくに寒い冬の朝は、以下に注意して寒暖差による血圧上昇を抑えるよう心がけましょう。

・起床後すぐのトイレは、上着を羽織って暖かくして行く
・朝食準備や洗顔、ゴミ出しなど、寒い所に行く際は上着や靴下を着用する

身体を冷やさないよう、心がけてみてください。

[友駒1] 質の良い睡眠や十分な休息をとる

睡眠不足や質の悪い睡眠は、自律神経を乱れさせ、朝の血圧を上げるリスクがあります。

眠りの質を高める対策をおこないましょう。
具体的には、日中はできるだけ日光を浴びる、寝る前スマートフォン、パソコンなどの使用を避ける、適度な運動をする、寝る前のカフェインやアルコールは避けるなどが挙げられます。
また、睡眠時無呼吸症候群がある方は、受診して適切な治療を受けましょう。

生活習慣を見直す

血圧を上げやすい生活習慣を見直すと、朝の血圧が落ち着くかもしれません。
以下の生活習慣を意識して生活してみましょう。

・食事の塩分を控える
・野菜や果物などを取り入れたバランスのよい食生活を送る
・禁煙する
・適度な運動をする

少しずつ、できることから始めてみてください。

医師と薬について相談する

血圧の薬を飲んでいても朝の血圧が高い場合、その時間は薬の効果が切れている可能性もあります。医師に相談し、服用時間や種類を調整するのも一つの方法です。ただし、自己判断で薬を調節するのは危険です。

毎朝の血圧や高い時の体調変化などを記録し、受診時に医師へ伝えてみてください。

「朝の血圧が高い」についてよくある質問

ここまで朝の血圧が高い症状について紹介しました。ここでは「朝の血圧が高い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血圧が一日の中で一番高いのはいつでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

​​血圧は常に変動しており、通常は日中に一番高くなります。また、季節で言うと、夏より
冬の方が血圧は高くなりやすい傾向があります。

朝の血圧の正常値について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

家庭血圧の正常値は、収縮期血圧(最高血圧)が115mmHg未満かつ拡張期血圧(最低血圧)が75mmHg未満です。
それよりも少し高い正常高値血圧は、収縮期血圧が115〜124mmHgかつ収縮期血圧が75mmHg未満です。

編集部まとめ 朝の血圧が高い時は内科・循環器科を受診しよう!

朝の血圧が高い場合、「早朝高血圧」という朝の血圧が高い状態や「夜間高血圧」で夜の血圧が下がり切っていない状態などの可能性があります。放置すると、脳や心臓の病気のリスクが上がるため、治療薬の変更や生活習慣の改善などが必要です。
気になる症状がある場合は、かかりつけの内科や循環器科を受診してみてくださいね。毎朝の血圧測定を体調維持に役立てましょう。

「朝の血圧が高い」の異常で考えられる病気

「朝の血圧が高い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 早朝高血圧
  • 夜間高血圧

呼吸器科の病気

腎臓科の病気

内分泌代謝科の病気

朝の血圧が高い場合は、早朝高血圧の可能性があります。心血管系の病気を合併する可能性も高いため、治療が必要な場合もあります。朝の高血圧に気がついたら、早めの受診を検討しましょう。

この記事の監修医師

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