目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 健康診断
  4. 「40代の血圧の正常値」はご存知ですか?高血圧・低血圧の予防法も医師が解説!

「40代の血圧の正常値」はご存知ですか?高血圧・低血圧の予防法も医師が解説!

 公開日:2025/04/17
「40代の血圧の正常値」はご存知ですか?高血圧・低血圧の予防法も医師が解説!

40代の血圧の正常値とは?Medical DOC監修医が高血圧・低血圧で考えられる病気・予防法などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

プロフィールをもっと見る
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血圧とは?

血圧とは心臓から送り出された血液が血管内壁を押す力です。一般的に、収縮期(いわゆる「上」)と拡張期(いわゆる「下」)の2つの値から評価します。たまに「上が高い」「下が低い」と言われるのはこのことです。
血圧が異常の状態が続くと、健康状態に影響を及ぼす可能性があります。特に40代は生活習慣病のリスクが高まる時期でもありますので、正常値を知り、自分の血圧を気にかけることで早期発見・予防が可能です。
この記事では、40代の血圧の正常値や高血圧・低血圧に関連する疾患、効果的な予防法について解説します。

40代の血圧の正常値

血圧はさまざまな要因で変動しますが、年齢も血圧に影響します。
血圧の正常値は、年代や性別に関係ありません。
また、測定する環境によって正常値に若干の差があります。ここでは、診察室で測定した「診察室血圧」と、家庭で測定した「家庭血圧」の2種類に分けてご紹介します。
診察室血圧では正常範囲内でも家庭血圧が高血圧の場合、高血圧の判定では家庭血圧が優先されます。これは、診察室では緊張し血圧が上昇する「白衣高血圧」という方もいるためです。
診察室血圧は、1日だけでなく別の日にも測定し、複数回の結果を元に判断します。
また、家庭血圧は、5~7日間かそれ以上の測定値の平均で判断します。

40代男性の正常値

前述の通り、40代男性に限らず、日本高血圧学会が定めた正常値は性別・年齢関係なく以下のようになっています。(単位:mmHg)

分類 診察室血圧 家庭血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <120 かつ <80 <115 かつ <75 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84 125-134 かつ/または 75-84
高血圧 140 かつ/または 90以上 140 かつ/または 90以上 135 かつ/または 85以上 135 かつ/または 85以上

高血圧の中でも180/120mmHg以上になると、脳や心臓、腎臓、血管などに「高血圧緊急症」と呼ばれる急性の障害を起こすことがあるため、注意が必要です。

40代女性の正常値

40代女性の血圧も、正常値や注意すべき値は男性と同様で、性別は関係ありません。
前述の「40代男性の正常値」をご参照ください。

「血圧が高い(高血圧)」の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧が高い(高血圧)」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ここではMedical DOC監修医が、「血圧が高い(高血圧)」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まることで血流が途絶え、脳細胞が酸素不足に陥る疾患です。主に心原性、アテローム血栓性、ラクナ梗塞の3タイプに分類されます。

手足の麻痺、しびれ、呂律が回らない、言葉が出ない、視野の欠け、といった症状が現れた場合はすぐに救急を受診してください。「様子がおかしい」と感じたら救急要請しましょう。もし24時間以内に症状が消えても、48時間以内に脳梗塞を発症するリスクが高いと言われていますので、可能であれば神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。

脳梗塞の発症直後~48時間までは、血栓溶解療法で詰まった血管を再開通させ、それ以降は再発予防には抗血小板薬や抗凝固薬を使用し、高血圧や糖尿病など基礎疾患の管理などを行います。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳を覆う「くも膜」の内側に出血が生じる疾患です。脳動脈瘤の破裂が主な原因で、高血圧や喫煙歴が主要なリスク要因とされています。
いきなり起こる「今までにない激しい頭痛」が特徴的な症状で、出血量が多い場合や再出血を起こすと、意識障害や命の危険につながります。

診断・治療が遅れると予後が悪くなるので、すぐに救急要請してください。安静にした上で、痛みを抑え、血圧を下げる処置が行われます。
症状の程度に必要に応じて外科的処置や投薬などが行われます。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の血管に生じた血栓によって血流が途絶え、心筋細胞が壊死してしまう疾患です。胸に締め付けられるような痛みが起こる他、脈拍数の乱れや呼吸困難、冷や汗などの症状が起こりますが、「放散痛」と呼ばれる胃、腕、肩などの痛みも起こることがあります。一瞬で血管が詰まった場合、突然死のリスクも否定できません。
このような症状が起こったら、すぐに救急要請しましょう。ご自身で受診する場合、循環器内科を受診してください。
カテーテル治療でなるべく早く塞がった血管を再開通させた後、心臓機能の回復のためのリハビリが行われます。

狭心症

狭心症とは、動脈硬化などが原因で心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなって生じる疾患です。身体を動かすと発作が起きて胸痛などの症状が起こる労作時狭心症、安静時に胸痛が起こる不安定狭心症、血管が痙攣して狭くなるために起こる冠攣縮性狭心症があります。
心筋梗塞の前段階にあたるため、移行しないためにも早急に循環器内科を受診しましょう。
心筋梗塞のリスクによって薬物療法や外科的手術が行われます。

動脈硬化

動脈硬化は、血管が硬くなり弾力性を失った状態を指します。主な原因は、加齢、高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病などのリスク因子が重なって血管壁にプラークが蓄積し、血管が狭くなることです。アテローム動脈硬化や細動脈硬化、中膜硬化、などの種類があります。動脈硬化によって心臓病や脳卒中などのリスクが高まるため、生活習慣の改善をはじめとした早めの対処が求められます。
食生活の改善や適度な運動、禁煙、飲酒量を控える、といったことで改善が見られなければ、薬物療法が検討されます。
健康診断などで高血圧や脂質異常症を指摘された場合、循環器内科や脳神経内科、もしくはかかりつけの内科を受診して相談しましょう。

「血圧が低い(低血圧)」の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧が低い(低血圧)」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

起立性低血圧

起立性低血圧は、急に立ち上がった時に血管の収縮が十分に行われず、血圧を十分に保つことができず血圧が下がった状態です。「脳貧血」めまいや失神を起こすことがあります。自律神経がうまく働かないのが原因と考えられています。症状が現れたら、横になると改善します。
予防のためには食事や水分をしっかりとり、軽い運動を取り入れて規則正しい生活を心がけましょう。弾性ストッキングの着用も効果的です。
症状が気になるようなら内科を受診してください。必要であれば薬物療法が行われることもあります。

心不全

心筋梗塞、不整脈、心筋症など、いろいろな原因で心臓が血液を全身に送るポンプの働きが弱くなった結果、低血圧となる場合があります。適切な治療で症状は改善しますが、心不全そのものが完全に治ることはなく、徐々に進行することが多いです。低血圧のほかに息切れやむくみ、疲れやすさを自覚する場合、一度医療機関を受診しましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモンの働きが不十分になった状態は、甲状腺機能低下症と呼ばれます。成人女性に多く、代表的なのは橋本病(慢性甲状腺炎)です。全身の代謝が悪くなり、心臓が血液を全身に送るポンプの働きが弱くなって低血圧になる場合があります。
低血圧のほか、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、便秘などの症状が起こります。これらが気になる場合は、一度医療機関で相談してもいいでしょう。

高血圧の予防法

減塩

高血圧の予防のために、まず心がけたいことです。塩分が多いと体内に水分がたまり、血液量が増えて高血圧となってしまいます。
日本高血圧学会は「高血圧患者は減塩目標を1日6g未満にすること」を強く推奨しています。日本人の食生活は塩分過剰になりやすいため、日常生活で以下のことに気をつけましょう。
・調味料の使い過ぎなどに注意して薄味を心がける
・塩分を体から排出させる働きを持つカリウムを含む食品を摂取する(大豆製品、野菜、果物)
・意識して水分を摂取する

有酸素運動

有酸素運動は、血管内皮機能を改善して血圧を下げる効果が期待できます。ウォーキングなどの有酸素運動を、できれば毎日30分程度、「ちょっときついかな」と感じる中等度の強度で行うのがおすすめです。無理せず、日常生活の運動量を増やしていくところから始めましょう。

その他の活習慣の改善

上記以外にも、
・禁煙
・規則正しい生活
・適正体重を保つ
・ストレス発散
・適度な飲酒
といったことで高血圧の改善が期待できます。

低血圧の予防法

規則正しい生活

十分に睡眠をとり、規則正しい生活を心がけましょう。特に、屋内外の寒暖差にも注意します。また、たんぱく質を含めてバランスの良い食事を摂りましょう。

適度な運動

血液を体に循環させるためのポンプ機能がきちんと働くように、ふくらはぎの筋肉を鍛えましょう。ウォーキングや階段の上り下りなどの有酸素運動を行うと効果的です。

その他

l 起き上がる時など、動作はゆっくり行う
l 多めの水分と、適度な塩分を摂取する
といったことも効果的です。

「40代の血圧の正常値」についてよくある質問

ここまで40代の血圧の正常値について紹介しました。ここでは「40代の血圧の正常値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血圧が160/90だと、体にどんな影響を与えますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血圧が160/90の場合、緊急性はないものの長期でこの状態が持続すると動脈硬化が進行します。このまま高血圧が進行すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増加するほか、長期的には動脈硬化を促進して、慢性腎臓病や網膜と呼ばれる目の血管障害なども引き起こすこともあり、注意が必要です。また、安静時に160/90mmHgでも仕事のストレスやヒートショック、怒ったり、緊張したりという感情の起伏でも急激に血圧が上昇し拡張期血圧180mmHgを超える可能性もあります。この時に血圧が急上昇することで脳卒中などを起こし、倒れてしまうこともあるため普段から血圧のコントロールをすることは非常に大切です。
自覚がなくても、高血圧を指摘されたら一度医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ 血圧が正常値から外れた40代の方は、1度内科を受診しよう

日本高血圧学会が定める血圧の正常値は、年齢・性別に関係なく、
・診察室血圧で収縮期120mmHg未満かつ拡張期80mmHg未満、
・家庭血圧で収縮期115mmHg未満かつ拡張期75mmHg未満
です。
特に気を付けたいのは高血圧で、高血圧の状態が続くと動脈硬化が促進され、脳血管疾患、腎不全、失明といった重篤な疾患のリスクを高めます。予防には1日6g未満の減塩、有酸素運動、禁煙、規則正しい生活、適正体重維持などが効果的です。
自覚症状がなくても、血圧の異常を指摘されたら一度医療機関を受診しましょう。

「40代の血圧の正常値」の異常で考えられる病気

「40代の血圧の正常値」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

内分泌科の病気

腎臓科の病気

脳神経科の病気

40代で血圧の異常をきたす疾患は多岐に渡ります。医療機関を受診して、早期診断・早期治療につなげましょう。

この記事の監修医師