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「脳卒中の再発率」が高いのはいつかご存じですか?前兆症状と予防法も医師が解説!

 公開日:2026/05/05
「脳卒中の再発率」が高いのはいつかご存じですか?前兆症状と予防法も医師が解説!

脳卒中は再発しやすい病気として知られています。一度発症すると、その後も長期にわたって再発のリスクが続くため、継続的な予防治療や生活習慣の管理が重要になります。この記事は、脳卒中の再発率や再発の前兆となる症状、再発率を下げるための予防法を解説します。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

脳卒中とは

脳卒中とは

脳に突然発症する血管の病気の総称です。血管が詰まる脳梗塞、血管が破れる脳出血くも膜下出血が含まれます。

脳卒中の再発率

脳卒中の再発率

脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を包括した概念であり、それぞれで原因に対する治療や予防の方法は異なりますが、いずれも再発しやすいという点において共通しています。脳卒中全体の再発リスクのシステマティックレビュー及びメタアナリシスによるとデータは以下のとおりになっています。

1年後再発率

最初の30日時点で再発率は3.1%ですが、1年間では11.1%となります。

5年後再発率

5年後では26.4%が再発することになります。

10年後再発率

10年間では39.2%となります。
上記のデータからもわかるように脳卒中の再発リスクは発症から近い時期ほど高くなっており、経過年数に比例して単純に比例して増えていくわけではありません。初期の段階での再発を抑えるということが大切になってきます。

脳卒中再発の可能性がある前兆症状

脳卒中再発の可能性がある前兆症状

脳卒中の再発には、いくつかの特徴的な前兆があります。以前と同じ症状が出る場合も、まったく新しい症状が出る場合もあるため、いずれのパターンも見逃さないことが大切です。

いったん落ち着いた症状が再び出る

脳卒中の再発が前回と間を空けず起こったり病状が進行したりした場合には、前回と同じ症状が再発します。例えば「一度右手に力が入らなかったのが動かせるようになった。しかし、また力が入らなくなった」などです。

新しい脳の障害が確認される

前回と別の場所で脳卒中を起こすと当然ながら別の症状になります。しかし脳卒中の典型的な症状という部分は変わりません。

  • 身体の左右どちらか片側の運動麻痺
  • 失語や構音障害
  • 視野の半分が欠ける

これらは脳卒中を強く疑わせる症状です。前回と左右が違ったり、症状のタイプが違ったりしても症状が当てはまる場合は前兆の可能性があります。

前兆発作後に短期間で発症する

注意しなければならない症状の一つです。一過性脳虚血発作は脳卒中に典型的な症状が発症してから短時間で改善します。しかし、リスクの高い患者さんでは、2日以内に8.1%がこの後に脳梗塞を起こしてしまうということがデータで示されています。

脳卒中の再発率を下げる予防法

脳卒中の再発率を下げる予防法

脳卒中の再発予防は医学的には二次予防と呼ばれます。
生活習慣病の管理と原因に応じた薬物療法が中心となります。

血圧の正常管理

再発予防でもっとも重要度が高い項目のひとつが血圧管理です。高血圧は脳卒中すべてに共通して強く関与し、管理がうまくいかないと再発リスクが上がります。
新しいガイドラインでは、血圧管理は75歳未満では130/80 mmHg未満、75歳以上では140/90 mmHg未満を再発予防の基本目標として位置づけています。目標を理解して主体的に治療に参加していくことを心掛けましょう。

抗血小板薬の薬物療法

非心原性の脳梗塞では、抗血小板薬が再発予防の基本です。脳梗塞のタイプが非心原性で発症間もない時期では、短期間の2剤併用抗血小板療法も適応となります。
心房細動など心原性が疑われる場合は、抗凝固療法が中心となり治療法が変わります。脳梗塞のタイプで治療戦略が変わることを留意しましょう。

脂質異常症の管理

再発予防のためには、ロスバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチンという強力なスタチンを中心とした脂質管理が重要です。日本では非心原性脳梗塞・TIAの再発予防はLDLコレステロール100mg/dL以下が目安として提唱されています。スタチンでも十分にLDLコレステロールを低下しきれない場合はエゼチミブやPCSK9阻害薬という薬剤を追加することがあります。

生活習慣の改善

薬物療法だけでは再発予防は完成しません。食事・運動・禁煙・節酒などの生活習慣の改善が二次予防に重要とされています。
禁煙は最も重要な予防策の一つです。食事は減塩、野菜・魚中心のものを心がけましょう。運動は無理のない有酸素運動がよいです。そして過度な飲酒を控えましょう。
完璧にやるよりも、継続できる形にすることが再発予防では大切です。
例えば1日に8,000歩のウォーキングを取り入れる、すべて減塩は難しくても塩分が多く含まれる味噌汁やラーメンは控える、飲み会ではソフトドリンクを先に宣言しておく、など達成しやすい形に持っていくのがおすすめです。

脳卒中の再発率についてよくある質問

ここまで脳卒中の再発率を紹介しました。ここでは「脳卒中の再発率」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

脳卒中の再発率に遺伝は影響しますか?

伊藤 規絵伊藤 規絵医師

脳卒中は生活習慣や環境要因が大きく関係する病気ですが、遺伝的要因も一部影響すると考えられています。研究では、家族歴(特に兄弟の脳卒中歴や若年発症)がある人は再発リスクが高い可能性が示されています。
ただし、家族内では生活習慣も共通しやすいため、遺伝だけで決まるわけではありません。家族歴がある場合は、危険因子の管理をより丁寧に行うことが重要です。

再発率が高くなる時期や季節はありますか?

伊藤 規絵伊藤 規絵医師

再発は、前述のように一般に発症直後〜早期(数日〜数週間〜1ヶ月程度)に高いことが繰り返し指摘されており、退院後早期の内服継続・血圧管理・外来受診が重要です。
季節については研究結果が一致していません。冬に増える可能性を示す報告もありますが、地域差も大きいとされています。特定の季節だけ注意するのではなく、一年を通して危険因子を管理することが重要です。

編集部まとめ

まとめ

脳卒中の再発率は1年で約11%、5年で約26%、10年で約39%と報告されています。特に発症後の早い時期ほど再発しやすいため、初期からの予防が重要です。
再発のサインとしては、以前と同じ神経症状が再び出る、身体の片側の麻痺や言葉の障害など新しい症状が現れるといった点が挙げられます。
再発予防には、血圧管理、抗血小板薬などの薬物療法、脂質管理、生活習慣の改善(禁煙・食事・運動)を継続することが重要です。主治医と相談しながら、自分の生活に落とし込んだ予防対策を続けていきましょう。

脳卒中と関連する病気

各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

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  • 飲み込みにくくなる(嚥下障害)
  • 物が二重に見える(複視)
  • 横になって休んでいても目が回り続ける(めまい)
  • 顔や手足の感覚が鈍くなる(しびれ)
  • 歩行時にバランスを崩す(ふらつき)

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