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「訪問診療」の実態をご存じですか? 対象者やメリット・デメリットも医師が説明

 公開日:2024/07/28
【訪問診療の活用法】どんな人が対象? そのメリットと注意点も医師が解説

自宅にいながら医師の診察や治療を受けられる訪問診療。近年では高齢化に伴い、訪問診療の利用を勧められる人が増えています。一体どんな人が対象になるのでしょうか? また、訪問診療のメリットやデメリットは? ねりま西クリニックの大城先生に教えてもらいました。

大城 堅一

監修医師
大城 堅一(ねりま西クリニック)

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平成3年浜松医科大学卒業、平成9年7月東京警察病院勤務。平成19年9月おおしろクリニック開設、在宅療養支援診療所届出。日本整形外科学会 認定専門医、日本整形外科学会 認定リウマチ医、日本整形外科学会 認定スポーツ医。

訪問診療とは?

訪問診療とは?

編集部編集部

訪問診療とはなんですか?

大城 堅一先生大城先生

患者さんの自宅へ定期的に医師が訪れ、医療行為を行うことをいいます。在宅医療の一環として行われています。

編集部編集部

往診とどう違うのですか?

大城 堅一先生大城先生

往診は通院することができない患者さんの急な体調不良に対して行われる医療サービスで、その都度、医師が患者さんのもとを訪ねて診察します。一方、訪問診療は計画的な医療サービスを提供するのが目的で、たとえば「毎月、第一と第三月曜日の午前中に訪問する」など医師とあらかじめ約束し、その時間に診察を受けます。

編集部編集部

訪問診療ではどのようなことがお願いできるのですか?

大城 堅一先生大城先生

訪問し、検査したり、治療をしたり、薬を処方したりするほか、自宅で療養する上での相談があればアドバイスをすることもあります。また、看護をするご家族に看護指導を行うこともあります。

訪問診療の利用を勧められるのはどういう人?

訪問診療の利用を勧められるのはどういう人?

編集部編集部

訪問診療はどのような人に勧められるのでしょうか?

大城 堅一先生大城先生

訪問診療の対象は、原則的に 「居宅(あるいは施設)で療養を行っており、疾病や傷病のために通院による療養が困難な方」です。しかし、それ以外に特に規定はなく、訪問診療を行うかどうかは主治医の判断によるとされています。

編集部編集部

どんな疾患の人が訪問診療をお願いすることが多いのですか?

大城 堅一先生大城先生

疾患に決まりはなく、多くは体力や痛みなどの関係で通院困難な方が訪問診療を利用することが多いです。たとえば、糖尿病や心不全など慢性疾患の患者さんや脳卒中の後遺症のある方、がんの末期にあり自宅で緩和ケアを行っている方、認知症の方など、訪問診療を受ける方はさまざまです。

編集部編集部

特に訪問診療が勧められる人はどのような人ですか?

大城 堅一先生大城先生

病院への通院が困難な方に加え、たとえば自宅での療養を強く希望している方や寝たきりの方、終末期の緩和ケアを自宅で希望する方、退院後の療養を自宅で行う方などに勧められます。

編集部編集部

夜間や休日に体調が急変したときは、どうしたら良いのでしょうか?

大城 堅一先生大城先生

あらかじめ医師の連絡先をお聞きしていると思うので、まずは医師に相談してみます。その際、看護師や医師が自宅へ訪問して治療を行うこともあります。緊急度が高いと判断した場合には、救急車を呼ぶよう案内されることもあります。

訪問診療のメリットとデメリット

訪問診療のメリットとデメリット

編集部編集部

訪問診療のメリットはなんですか?

大城 堅一先生大城先生

最大のメリットは、自宅で療養生活を送ることができるので、QOLが大きく向上するということです。そのため、人生の最期の瞬間まで自分らしく、希望する生をまっとうできるという利点があります。

編集部編集部

ほかにメリットはありますか?

大城 堅一先生大城先生

定期的に患者さんのもとを訪問するので、体調の変化にも気づきやすく、早い時期に適切な処置を行うことができるという点が挙げられます。また患者さんにとっても通院の負担が軽減されますし、ご家族などが患者さんの送り迎えをする負担も減るでしょう。それから、外出の機会が減ることで、感染症に罹患するリスクも低くなります。また、診療や治療だけでなく、投薬や栄養状態についてなどなんでも相談できるというのもメリットです。

編集部編集部

そのほかには?

大城 堅一先生大城先生

訪問診療を実施する医療機関のうち、「在宅療養支援診療所」は24時間365日体制で緊急時の対応にあたることができるよう医師が待機しています。このようなところに訪問診療を依頼すれば、いざという時でも安心です。

編集部編集部

反対にデメリットはありますか?

大城 堅一先生大城先生

場合によっては自宅で行える医療行為には限界があり、最先端の治療を受けることは難しい場合があります。また、入院施設とは違って医師に自宅へ来てもらう必要があるので、自宅に到着するまでに時間を要することがあります。それから、在宅医療では看護や介護にあたる家族の負担が増えるという問題もあります。こうしたメリットやデメリットを比較し、患者さんの希望を叶える選択をすることが必要です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大城 堅一先生大城先生

訪問診療を依頼する際には、どの医療機関に頼むかについて、しっかりと考えていただきたいと思います。在宅療養支援診療所にも、医師がひとりで行っているところから大規模化しているところまでさまざまあり、大規模化していれば皮膚科、耳鼻科、眼科、精神科などの科目にも対処してもらえるかもしれません。ケアマネージャーが推薦した医療機関に訪問診療をお願いする方も多いと思いますが、大事なのはその方の症状やご家族の状況に合った医療機関を選ぶこと。ケアマネージャーのアドバイスを参考にしつつ、患者さんを含めご家族の意思で選択することをお勧めします。

編集部まとめ

今後、高齢化がますます進むなかでは訪問診療のニーズが高まることが予想されています。いつ、「他人ごと」ではなくなる時がくるかもしれません。あらかじめ訪問診療などについて知識を持ち、さまざまな情報を入手しておくことが、いざというときに役立ちます。健康なうちからぜひ、情報を収集してみてはどうでしょうか。

医院情報

ねりま西クリニック

ねりま西クリニック
所在地 〒178-0062 東京都練馬区大泉町3-2-9
アクセス 東武鉄道・東京メトロ「和光市」駅から西武バスに乗車「もみじ山」または「大泉第一小学校」下車より徒歩6分
西武鉄道池袋線「大泉学園」駅から西武バスに乗車「大泉北中学校入口」または「大泉四丁目」下車より徒歩7分
診療科目 内科、整形外科、呼吸器科、循環器科、皮膚科、リウマチ科

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