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「膀胱がん」の初期症状とセルフチェック方法を泌尿器科医が解説 頻尿・血尿などの異変に要注意!

 更新日:2024/03/26

突然、何の兆候もなく血尿がみられることで発見されるケースが目立つ「膀胱がん」。痛みをほとんど伴わないため見逃すことも多く、進行してから気づくという人も少なくないそうです。一体、どのような症状に気をつければいいのかについて、「所沢いそのクリニック」の磯野先生に教えていただきました。

磯野 誠

監修医師
磯野 誠(所沢いそのクリニック)

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防衛医科大学校卒業。その後、デュッセルドルフ大学泌尿器科、恵佑会札幌病院泌尿器科、我孫子東邦病院泌尿器科などで経験を積む。2023年、埼玉県所沢市に「所沢いそのクリニック」を開院。老若男女問わず元気で豊かな生活を送れるよう、一人ひとりに最適な医療を提供する。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医。

血尿や頻尿は膀胱がんのサイン? 膀胱がんの初期症状をチェック!

血尿や頻尿は膀胱がんのサイン? 膀胱がんの初期症状をチェック!

編集部編集部

膀胱がんには、どのような初期症状があるのですか?

磯野 誠先生磯野先生

初期症状で最も多いのは、痛みなどの症状がなく血尿が出る「無症候性肉眼的血尿」です。尿が血の色で赤色やピンクになるのが特徴です。

編集部編集部

ほかには、どのような初期症状がありますか?

磯野 誠先生磯野先生

膀胱炎のような症状が出ることがあります。例えば、頻尿、残尿感、排尿時痛などを自覚する場合があります。

編集部編集部

「そうした症状がみられて、受診したらがんが見つかった」という人が多いのですか?

磯野 誠先生磯野先生

はい。そのほかにも健康診断の尿検査で、潜血反応を指摘されて受診する患者さんもいます。これは顕微鏡的血尿と言い、目に見えて血尿が出ているわけではなく、顕微鏡で見て血液成分がわかります。

喫煙・飲酒は膀胱がん発症のリスクを高める? 膀胱がんに多い原因と予防法

喫煙・飲酒は膀胱がん発症のリスクを高める? 膀胱がんに多い原因と予防法

編集部編集部

膀胱がんの発症リスクを高める原因はなんですか?

磯野 誠先生磯野先生

膀胱がんのリスク要因としては、「喫煙」が考えられます。タバコを吸わない人と比較して、現在喫煙している人は4倍、以前喫煙していた人は2~3倍膀胱がんになりやすいことがわかっています。

編集部編集部

なぜ、喫煙が関係しているのですか?

磯野 誠先生磯野先生

タバコの煙には様々な発がん物質が含まれており、血流に乗って全身を回った後、濃縮されて尿の中に排泄されます。そのため、膀胱の粘膜は常に発がん物質にさらされることになり、がんが発生するのではないかと考えられています。

編集部編集部

そのほかにも原因はありますか?

磯野 誠先生磯野先生

アニリン色素などの合成染料や、ナフチラミやナフチラミンなどの特殊な化学薬品も膀胱がんの発症リスクを高めます。そのほか、抗がん剤のシクロフォスファミドや、腎障害を起こすとして販売中止になった鎮痛剤フェナセチンなども、膀胱がんの発症リスクを高める要因として知られています。

編集部編集部

膀胱がんを予防するには、どうしたらいいでしょうか?

磯野 誠先生磯野先生

まずは禁煙が必要です。男女比で見ると、男性に多く発症することがわかっています。特に喫煙している男性はリスクが高いので、禁煙を推奨します。

膀胱がんになったら手術・治療で治る? 膀胱がんの検査・診断から治療法まで進行度別に泌尿器科医が解説

膀胱がんになったら手術・治療で治る? 膀胱がんの検査・診断から治療法まで進行度別に泌尿器科医が解説

編集部編集部

膀胱がんの検査や診断は、どのようにおこなわれるのですか?

磯野 誠先生磯野先生

膀胱がんの診断には、尿検査、超音波検査、膀胱鏡(内視鏡)検査などをおこないます。また、MRI検査もして、がんがどれくらいの深さなのかを確認したり、CT検査でほかの臓器への転移を調べたりします。

編集部編集部

膀胱がんと診断された場合、どのように治療するのですか?

磯野 誠先生磯野先生

まずは病期を区分します。一般に「T:局所でのがんの進展度」「N:骨盤内リンパ節転移の有無と程度」「M:ほかの臓器への転移の有無」という3つに分け、病期を分類します。この分類をおこなうために、診断と治療を兼ねて「TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)」をします。TURBTは、尿道を通して膀胱内に内視鏡を入れ、電気メスで腫瘍を切り取る手術です。

編集部編集部

その後は?

磯野 誠先生磯野先生

TURBTで採取したがん組織を顕微鏡で調べて、悪性度と深達度(がんの深さ)を評価します。筋層までがん細胞が浸潤していない「筋層非浸潤性膀胱がん」であるとわかった場合は、いわゆる「ステージ1」です。この場合、手術で根治できる可能性もあります。また、筋層浸潤性膀胱がんであっても転移がない場合は、膀胱全摘除術が標準治療です。膀胱周囲の臓器までがんが浸潤している、あるいは転移があるなど、がんが進行している場合には薬物療法を検討します。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

磯野 誠先生磯野先生

膀胱がんは、その名の通り膀胱に発生するがんのことを指します。この膀胱がんの最も一般的な初期症状は血尿です。血尿は目に見えるレベルのものから、微量で尿検査時にのみ検出されるものまで様々です。また、排尿時の痛みや排尿回数の増加といった症状も、膀胱がんの可能性を示す兆候として知られています。これらの症状が表れた際、最も大切なのは迅速な受診です。膀胱がんは早期に発見すれば治療の成功率も高まります。したがって、症状に気付いたら直ちに泌尿器科を受診し、膀胱がんの専門的な検査を受けることが大切です。早期の発見と適切な治療が、良好な結果へとつながります。

編集部まとめ

目で見えるレベルの血尿や排尿時の痛み、排尿回数の増加などは膀胱がんを示すものとしてわかりやすい兆候です。もし、こうした症状がみられたら、がんを早期発見するチャンスと捉えて、決して放置せずに受診しましょう。

医院情報

所沢いそのクリニック

所沢いそのクリニック
所在地 〒359-0021 埼玉県所沢市東所沢2丁目24-8
アクセス JR「東所沢駅」 徒歩10分
診療科目 内科、泌尿器内科

この記事の監修医師